ウルフ・オブ・ウォールストリート  Jordan Belfort  2018.8.3.


2018.8.3. ウルフ・オブ・ウォールストリート 上・下
The Wolf of Wall Street       2007

著者 Jordan Belfort 証券会社ストラットン・オークモントの創業者。年間50百万ドル以上を稼ぎ、ウルフ・オブ・ウォールストリートの異名をとった。後に証券詐欺と資金洗浄の罪で起訴され、22か月間服役。現在は経営コンサルタント

訳者 酒井泰介 翻訳家。ミズーリ州立大コロンビア校にてジャーナリズムの修士号取得

発行日           2013.12.10. 印刷              12.15. 発行
発行所           早川書房(ハヤカワ文庫NF)

本書は、20083月に、早川書房より『ウォール街狂乱日記』のタイトルで刊行された作品を改題、文庫化したもの

(上巻)
たった3分間で1250万ドルを荒稼ぎ! 必ずボロ勝ちできるからくりで儲ける株式ブローカーのベルフォートは、浪費癖も女遊びもドラッグの量も桁外れ。ハイになったままプライベートジェットを操縦し、出張先ではプレジデンシャル・スイートに高級コールガールを侍らせる。だが、そんなハチャメチャな日々は長続きしなかった・・・・・。「狼」と呼ばれた男が自ら赤裸々につづる回顧録。
(下巻) 
誰よりも稼ぎ、誰よりも頭が切れて、そして誰よりも派手に遊ぶのはこのオレだ! 怪しげな証券取引で巨万の富を築いていたベルフォートだが、遂にFBIに目を付けられることに。なんとか捜査の手をかわしつ、相変わらず破天荒な生活を送る日々。ドラッグでハイになり交通事故を起こしたり、嵐の中自分の豪華ヨットを沈没させてしまったり。マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演映画の原作

1987.5.4. 起業に失敗、無一文になって、LFロスチャイルドにセールスマンとして入社
トップ・セールスマンが連れて行ってくれたレストランは41階の5つ星「トップ・オブ・ザ・シックシーズ」で、給仕長にチップを50ドル、マティーニが20ドル
10月のブラックマンデーで、ダウは一気に508ポイント下げ、ウォール街は開店休業状態になり、LF申し訳ない閉鎖に追い込まれた。それきり狂気が根を張った
それから6年後私は、ロングアイランドのレイク・サクセスに
ストラットン・オ-クモントという証券会社を立ち上げ、最大手の一角に食い込み、ウォール街始まって以来の暴れん坊になっていた
糟糠の妻に莫大な慰謝料を払って別れ、ミラーライトのCMをやっていたモデルをトロフィーワイフにして、生後5か月の女の子をもうける
1000人の従業員を抱え、新人でも年25万ドル、3年目で100万ドルも稼げなければ使いものにならなかった
生意気な青二才がこれほどまでの金を儲けるために発見した秘密とは2つのシンプルな真実
1つは、アメリカの最富裕層トップ1%は、おおむね退廃的なギャンブラーのような人物で、不利ないかさま賭博とわかっていてさえ、サイコロを回し続けなければ気が済まない連中だった
2つ目は、世間の常識に反して、盛りのついた水牛か、LSD2,3発決めたフォレスト・ガンプ並みのIQの若い男女に、ウォール街の天才トレーダー風に見せかける演技を仕込むことは可能であること⇒ どんなバカでも、話すべき内容を11句紙に書いて、12回、1年間教え続ければ、そういう話し方を仕込める
証券取引法の穴を使って、自社が幹事として上場させる企業の株の大部分を株式名義人=指人形を使って買い付けるやり方で、ぼろ儲けしていた ⇒ 様々な証券取締法に違反するものだったので、SECは新法で当社の活動にタガをはめようとした
指人形から儲けた金を受け取るためにスイスの銀行口座を利用
最初に投資した企業が上場してくれれば、指人形を使って過半の株を保有し、公開後の株価を思いのままに操作できる ⇒ 当社宛に第3者割当をさせて、営業力を駆使して売りさばけば、濡れ手に粟の利益を得られる
ペニー株会社は、零細な個人相手に安い株を売りつけてぼろ儲けしていると当局から睨まれ、規制の対象となっていて、当社もSECから22百万ドルの訴えを起こされていたが、顧客名簿を見ると富裕層ばかり、しかも10ドルくらいまでの安い株売を扱っているので、ちょうど規制の穴をぬって商売を拡大させていた
友人が初めて私が起業資金を出した靴屋が上場することになり、14ドルに対し2種類のワラントを4.5ドルと5ドルで割当、新規公開価格は主幹事証券のストラットンが5.5ドルと決める。取引直後に禁止されている事前の密約に基づき指人形からこの価格で買い戻す。指人形たちは差額の1.5ドルが手数料として残る。あとは営業部隊が売りまくるだけ。すでに18ドルまで噴き上げる。新規公開株が100万単位分、指人形から買い戻した株が100万単位、ストラットンが自己売買する分の100万単位分、さらには株価を18ドルまで引き上げてくれた全証券会社から当社が協力の見返りとして買い戻す全ての株も、当社のブローカーたちが顧客に売りつける
ストラットンの自己売買取引の宿敵はカラ売り屋連中の攻撃だが、これだけ顧客に株を買わせれば簡単に防げる
後場の引けまでに50社の証券会社は最高値でストラットンに売り戻し、最後は買い戻しで買っているので(?)SECも当社が株価を釣り上げていると責めることはできない
他の証券会社が買い手になっているという事実は、プロージブル・ディナイアビリティ(何かを否認した時に、その主張を裏付ける根拠)になっていた
売買高は800万株、単位価格の終値は19ドルを目前で、ストラットンは500%の利益
落ちこぼればかりの人間を仕込んで会社を設立、彼らに自前の証券会社を持たせることも手伝ったので、いまだに上納金が年5600万ドルも入る
最も大事なことは、どんな取引も必ず書類の痕跡を残すこと、さらにその書類が、自分の無罪を証明するか、プロージブル・ディナイアビリティにならなければ、起訴されるのは時間の問題
昔の仲間であれ、現在のそれであれ、仕事仲間から電話で過去の取引の話を持ち出されたら、十中八九、相手は捜査協力していると思え、と教えてくれた駆け出し時代の師から電話があった時には愕然とした
スイスに行って、妻の叔母の名義で口座を開き、さらに無記名の企業をいくつか設立し、
スイスにキャッシュを密輸して企業の口座に入れる
SECが、300万ドルで和解すると持ち掛けてくるが、それは永久に証券会社の経営から手を引くことが前提 ⇒ 苦渋の決断で経営から手を引くことにするが、個人としての取引は自由であり、持ち株の譲渡等の対価は会社から受け取れるので、金に困ることはない
スイスに資金洗浄のための口座を持ち、運び屋に現金を持たせるが、別件でスイスの銀行を紹介してくれた知人から足がつき、知人がマネーロンダリングでFBIに収監されたことに関連して,私の資金洗浄にも嫌疑が掛けられる
私は、友人の靴やが急拡大するのを助けてストラットンからは手を引いていたら、後任が規制ギリギリの業務を続けていることに各州の規制当局がストラットンの支店開業を認めない状況まで追い込まれた倒産寸前に
プラザホテルは、トランプが持ち主という以外は、ニューヨークで一番好きなホテル。トランプを尊敬、実際あんなばかげた髪型で出歩きながら、世界で最もゴージャスな女たちに追い掛け回されるだなんて、権力者の定義を書き換えるようなものだ
資金洗浄の嫌疑でFBIの捜査が進んでいたようだ 
が、スイスの銀行を推薦してくれた知人とスイスの銀行員が逮捕されたというところまでで、私にまでは来ることはなかった
エリー・エリスの社長を指人形にしていたが、異常なギャンブル好きで、一緒に巻き込まれているうちに、ドラッグにもどんどんのめりこみ、当初は腰痛の痛み止めで飲んでいたものが、瞬く間にほかの種類の麻薬にも広がり、かつ量も増加、金があるだけに糸目をつけず調達して消費していったためにひどい中毒になり、ついに妻にも暴力をふるい始め、友人の勧めで矯正施設に入所、施設に入った途端に薬を断つ決心が出来、90日後には出所して親子4人で通常の幸せな家庭生活に戻る
直後にFBIに逮捕され、判事に10百万ドルで保釈されたが、その法廷を出たところで妻から、「もう愛していない、結婚は全て嘘だった」と離婚を宣告され、いくら説得しても無理だった
保釈後4日目に、連邦検事から、有罪を認めて捜査協力をしないと妻も起訴すると言われる。協力とは、隠しマイクを付け、審判の際には友人たちを裏切る証言をするということで、10年間に積み重ねてきた金融犯罪を腹蔵なく白状しなければならないことを意味したが、捜査協力は常道で、さもなければ30年は食らいこむし、もし素直に有罪を認めても捜査に協力しなければ6,7年は食らい込むといわれ、他に選択肢はなかった
ストラットンで右腕とされ、後任のCEOも同様に逮捕され、協力を応諾、刑期は20か月。他の連中も芋づる式に逮捕され、大半が実刑
2人はまたそれぞれ別の相手と付き合い、親権を共有
実際に収監されたのは、起訴されてから5年後、22か月間連邦囚人収容所で刑期を勤める(ママ)。私が想像していなかったのは、この5年間も、それに先立つ日々と同じほど狂気に満ちたものであることだった(麻薬と女漬けに戻ったということか?)


訳者あとがき
相当部分は演出の産物で、通俗的なカストリ小説をパルプ・フィクションという
タランティーノ監督が、そのちょっと安手な、しかし意外に味わい深さを活かした同名の映画を撮っている。作中の「ファック」の頻出回数も、タランティーノ作品に劣らない
創作部分と誇張部分があり、嘘つきの本領が虚実織り交ぜる形での回想録
著者は冒頭で一種の懺悔録とばかりに旧悪を告白すると言っているが、本書で明かされた悪事は、おそらくほとんどすべて公判でも暴かれたのではないか
本書の最大の嘘は、タイトルそのもの。「ウォール街の狼」などではなく、全米的には無名の詐欺師で、全国メディアには殆ど取り上げられていない。詐欺的証券会社の業界外では、まったく知られざる存在。その匿名性を隠れ蓑に、犯罪行為を繰り返していたのだろう。短期間に出来るだけ荒稼ぎして、その後はゴキブリ会社を作ってモグラ叩きを繰り返す悪のフランチャイズ商法を目的にしていた
会社をロングアイランドの田舎に作ったのも、社員を心理的に隔絶するカルト教団の常套手段であると同時に、商事改善協会(BBB)などを通じた問い合わせを逃れるためだろう。消費者からのクレームの多い詐欺会社情報はBBBに蓄積されるので、怪しいと思ったらBBBに照会すればすぐばれるが、BBBが会社の登記地別に運営されているために網をかいくぐることが出来た。全国メディアというものもないアメリカでは地元と関りの薄いニュースは報じないので、その間隙をついて、田舎の新興株屋の強引なセールスとなればすぐにわかるが、ウォール街の内部関係者と見せかければ容易く顧客を篭絡することが出来る
印象的なのは、米国の司法の病状証券詐欺は尻尾を掴むのが難しく、規制当局出身の弁護士が何とかしてしまう。そんな手詰まりの状況で、捜査協力が広く行われる。ホシを挙げた検事は民間弁護士に転出して高給を食める。一方で、協力した筆者も、22か月というションベン刑。それも刑務所ではなく警備の軽い囚人収容所だから、公共事業の屋外作業でもしているふりをしていればいい
米国の民主的手続きや社会の透明性とやらを、徒に賞揚するのは、買いかぶり。金で買える民主主義なのではないか



Wikipedia
ジョーダン・ロス・ベルフォートJordan Ross Belfort[4], [ˈbɛlfɔːrt]; 196279 - )は、アメリカ合衆国のモティベーショナル・スピーカー英語版、元株式ブローカー英語版である。相場操縦ペニー株英語版ボイラールーム英語版の運営といった詐欺行為のために22ヶ月間投獄された[5]。映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のモデル。
目次
·        1 生い立ちと学歴
·        2 キャリア
·        3 作家及び講演活動
·        4 私生活
·        5 参考文献
·        6 外部リンク
生い立ちと学歴[編集]
ブロンクス区で会計士の母と父のあいだに生まれた。母は後に弁護士となった[2][6][7][8]。ユダヤ系であり[9]クイーンズ区ベイサイド英語版で育った[8]アメリカン大学では生物学の学位を得て卒業した[10][8]。また、ボルチモア歯科医学校英語版に通っていたが、学部長が「歯医者の黄金時代は終わった。もしあなたが単に金儲けの方法を探すという理由でここにいるならば、間違った場所だ」と発言すると去った[11]
キャリア[編集]
ベルフォートはL.F.ロスチャイルド英語版でブローカーとしてキャリアを始めた[12]
ストラットン・オークモント詐欺[編集]
1990年代に投資家相手にペニー株を騙し売る株式仲介会社のストラットン・オークモント英語版を創業した[13]。投資詐欺を行っている間、ベルフォートはパーティーを繰り返し、また鎮静催眠剤「クエイルード英語版」の依存に陥った[2][14]。ストラットン・オークモントが雇った株式ブローカーは1000人を超え、フットウェア会社のスティーブ・マデン英語版のものを含む10億ドル以上の株式に関与した。ストラットン・オークモントは悪評のために1990年代後半には当局の標的となり、また2000年の映画『マネー・ゲーム英語版』(DVD化の際に邦題は『マネー・ゲーム 株価大暴落』に変更)の内容はその影響を受けている[15]
1998年にベルフォートは証券詐欺語版資金洗浄により起訴された。FBIとの協力の後、彼は約2億ドルの投資損失を産みだした風説の流布のために22ヶ月間服役することとなった。またベルフォートは被害者の投資家たちへ11040万ドルの返済が命じられた[16]。刑務所でベルフォートはカナダ人コメディアンのトミー・チョン英語版と出会い、これまでの出来事を書きとめ、出版することを勧められた。出所後も2人は友人である[17]
賠償金返済[編集]
連邦検察によると、ベルフォートは2003年に命じられた賠償要件をいまだに満たしていない。要件は彼が騙した1513名の顧客に対し、収入の50%を返還するというものであった。既に返済されている1160万ドルのうち1040万ドルは没収物件を売却して得たものである[18]
201310月、ベルフォートは自著2冊の売上と映画の版権で1767203ドル、2007年以来の講演活動で24000ドルを得ているにもかかわらず、過去4年で243000万ドルしか支払っていないとして連邦検察は提訴した[19]
作家及び講演活動[編集]
1998年以降、ベルフォートは回想録『ウォール街狂乱日記 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』と『Catching the Wolf of Wall Street』を出版している。本は40カ国で出版され、18ヶ国語に翻訳された[5]。『ウォール街狂乱日記』を原作としたレオナルド・ディカプリオジョナ・ヒルマーゴット・ロビー出演、マーティン・スコセッシ監督により『ウルフ・オブ・ウォールストリート』として伝記映画となった。撮影は20128月に始まり[20]20131225日にアメリカ合衆国で公開された[21]20141月の段階で本の売り上げは140万ドル、映画化権収入は約95万ドルと報じられている[22]
また彼はモティベーショナル・スピーカーとして世界中で講演を行っている[5]
私生活[編集]
ベルフォートは1961年にココ・シャネルのために建造された豪華ヨット「ナディーヌ号」(彼の2番目の妻と同名に変更)の最後の所有者であった。船は19976月にサルデーニャの東沖で沈没し、乗員はイタリアのCOMSUBINによって全て救出された。ベルフォートは船長の助言を聞き入れずに嵐の中での出航を強行し、波が前甲板ハッチを破壊したために沈没した[23][24][25]
2013年時点でベルフォートはカリフォルニア州マンハッタンビーチ英語版に住んでいる[17]












(私の描くグッとムービー)なきぼくろさん「ウルフ・オブ・ウォールストリート」

20187271630分 朝日
 株屋の狂おしいまでの人間味
 掌中のペンに落ちる光と影。この絵は物語の主人公で、26歳という若さで年収49億円を稼いだ実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの栄光と挫折の人生を投影しています。
 映画は彼の実録ドラマ。金への欲望と野心を抱え、世界金融の中枢である米ウォール街に飛び込みますが、ブラックマンデーで失業。再就職先で1ドルに満たないペニー(クズ)株を巧みな話術で売りさばき、トップセールスマンへと駆け上がります。自社を設立して巨額の富と名声を得ると、ドラッグや女、酒に溺れる日々。ただ絶頂は長くは続かない――
 「生臭さ」にやられましたね。下品で汚い言葉、誇張された喜怒哀楽の表現、赤裸々な欲への描写などが、僕の原風景にある「浪花っぽさ」と重なり、心をつかまれました。印象的だったのが、ジョーダンが「このペンを俺に売れ」と、麻薬売人の元締を介して仲間に物の売り方を説くシーン。元締は機能や性能の良さを語るのではなく、ペンを隠して「そのナプキンに名前を書け」と言うんです。「ペンは?」と求めると「これが需要と供給だ」って。漫画家も同じで、読者に読む必要性を作り出すことが大切なんだと感じさせられました。
 僕は、自身の経験から「強い者には理由がある」ってことを漫画で伝えたい。強さは弱さを越えた先にあって、醜さや泥臭さ、かっこ悪さをはらむもの。だから、ジョーダンの人間臭さまでもが美しく思えたんです。(聞き手・井本久美)
     *
 漫画家 大阪府出身。PL学園で全国高校野球選手権大会に出場。野球漫画「バトルスタディーズ」をモーニング(講談社)で連載中。最新刊の15巻は23日発売。
 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年)
 監督=マーティン・スコセッシ原作=ジョーダン・ベルフォート製作=米出演=レオナルド・ディカプリオほか


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