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最後の秘境 東京藝大  二宮敦人  2016.12.26.

2016.12.26.   最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常 著者 二宮敦人  1985 年東京都生まれ。一橋大経卒。 09 年に『 ! 』 ( アルファポリス ) でデビュー。ユニークな着眼と発想、周到な取材に支えられた数々の小説を送り出して人気を博す。本書が初めてのノンフィクション 発行日            2016.9.15.  発行                 2016.12.5.   9 刷 発行所            新潮社 はじめに 藝大彫刻科に在学する妻の奇妙な言動に興味を惹かれ、この人の通う大学は思った以上に謎と秘密に溢れていると考え、藝大について調べ始めた 1.     不思議の国に密入国 上野駅から広場を抜けて歩いていくと、芝生の中に彫刻がたくさん並んでいる。在学生や教授の作品が飾られているのだが、その合間にホームレスが寝転んでいたりする キャンパスは道路を挟んで左が美校、右が音校。行き交う人の見た目が左右で全然違う 美校の中は、いい意味で荒っぽい。材料や制作中の作品から完成品まで、あっさりとその辺に置かれている 開放的な美校に対し、音校は閉鎖的。セキュリティロックに守られている 門下部屋は、楽器の担当教授の門下生の溜まり場 11 月の美校内の鞴祭 ( ふいご )  ⇒ 彫刻家や工芸科では金属加工を行うので儀式をする 美校は、何でも自分で調達しようとするのに対し、音校は何かとお金がかかる 何でも作ろうとする人と、洗い物さえしない人が同じ学校に通う。それが藝大 2.     才能だけでは入れない 藝大の最難関、絵画科 ( 定員 80) は 17.9 倍。全校平均でも 7.5 倍と東大を遥かに凌駕 美校の現役合格率は約 20% 、平均浪人年数が 2.5 年。美大受験予備校に通うのが一般的 音校の場合は、時間的な制約から浪人は少ない ⇒ 卒業が遅れると活躍時間が限られる センター試験もあるが、あくまで実技重視 ⇒ 建築やデザイン、楽理ではセンター試験の比重大 「光るものを持っている」と審査する教授に思わせることができないと合格点は得られない 個性は重要 絶対的な正解はなく、採点基準はつまるところ「教授の好み」で、合格ラ