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フルベッキ伝  井上篤夫  2023.1.

  2023.1.20.   フルベッキ伝   著者 井上篤夫 作家。欧米各地で幅広い分野の人物を取材、ボストンに 4 年間在住。その知見に基づく数多くの評伝や翻訳を手がける。著書に『志高く 孫正義正伝 決定版』 ( ベストセラー ) 、『ミシェル・オバマ 愛が生んだ奇跡』など   発行日            2022.9.1.  初版第 1 刷印刷   9.8.  発行 発行所            国書刊行会     序章 フルベッキ写真 1895 年、雑誌『太陽』にフルベッキが息子と並んで 47 人の維新の志士に囲まれている写真が掲載され、 1974 年と 1976 年の 2 度にわたって肖像画家が日本歴史学会の雑誌『日本歴史』に取り上げ、 30 年前のもので、若き明治天皇や西郷、大久保、龍馬などが勢揃いしていると披露したので、「志士の群像写真」として喧伝されたが、 2013 年に偽物との決定的証拠が出てきて、岩倉具視の息子 2 人が長崎を訪れ、佐賀藩が長崎につくった洋学校・致遠館 ( ちえんかん ) の関係者が迎えて一緒に撮った写真であることが判明定、撮影時期も 1869 年末、大半は無名の佐賀藩士、現在 20 名近くが同定 ただ、フルベッキが重要人物であることは揺るがない。直接教えを受けた大隈や副島だけでなく、西郷や坂本龍馬までも接触があったし、高橋是清は終生フルベッキを「師」と仰ぎ、フルベッキの最晩年まで関係が続いた 日本に留まること 40 年、流暢な日本語が話せる稀な宣教師として日本人に愛され続けた 近代日本の黎明期、シーボルトやへボン、グリフィス、モースなど多くのお雇い外国人たちが日本の近代化に貢献したが、教育 ( 学制 ) 、政治、法律 ( 特許 ) 、国憲、音楽など広範にわたって業績を残したのはフルベッキ グリフィスも、「フルベッキがいなければ、日本の近代化はあり得なかった」とまで言っているように、日本の変革期に立ち会い、新生日本の建設に多大なる貢献をした異色の宣教師であり、教育者であり、何より日本をリードする人材の育成をした恩人   第1章         ザイストから希望の国へ l   生まれ故郷ザイスト オランダ・ユトレヒト郊外の村が故郷で、裕福な家系の生まれ l