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ならず者たちのギャラリー  Philip Hook  2018.11.23.

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2018.11.23.   ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか ? Rogues’ Gallery  ~  A History of Art and its Dealers    2017 著者  Philip Hook  オークション会社サザビーズの現・取締役。印象派と近代美術部門のシニア・ディレクター。ケンブリッジ大で美術史の学位を取得後、 1973 年にクリスティーズに入社。 80 ~ 87 年 19 世紀絵画部門の長。画商として活躍したのち、 94 年サザビーズ入社し現在に至る。その間英国 BBC の人気テレビ番組《アンティーク・ロードショー》の鑑定人役としても知名度を高めた。オークショニア、画商として、 40 年にわたり美術市場で培ってきた経験と専門知識を生かし、執筆活動も行う。特に美術市場に精通した立場から美術史を論じた書籍に対する評価が高い。『印象派はこうして世界を征服した』は世界各国での印象派の受容の歴史を分析して『フィナンシャル・タイムズ』紙の 09 年 Book of the Year に、『サザビーズで朝食を』は 13 年の『フィナンシャル・タイムズ』ほか『サンデイ・タイムズ』『スペクテイター』『ガーディアン』などでも Book of the Year に 訳者 中山ゆかり 翻訳家。慶應大卒。英国イースト・アングリア大にて美術・建築史学科大学院ディプロマ取得 発行日            2018.8.25.  初版発行 発行所            フィルムアート社 はじめに 1920 年代、画商の粘り強さと創意の豊かさで、美術の市場を開拓していった 20 世紀を代表する芸術家マルセル・デュシャンの画商に対する見方は簡潔で、「アーティストの背中についたシラミだ」 画商がいなかったら、美術史はもっとずっと違ったもの、貧しいものになっただろう 画商という職業の持つ面白みと危険性は、彼らが取引をする美術品という商品が持つ特有の性質に由来する 美術品には機能的な価値はごくわずかしかない 美術品の価値は、数量ではかることの難しい領域にあり、美や質や希少性といった概念によって左右される ⇒ 精神的で、知的で、美学的なものが基準となるうえ、しばしば社会的地位や上昇志