投稿

6月, 2014の投稿を表示しています

孤高の守護神 ゴールキーパー進化論  Jonathan Wilson  2014.6.26.

イメージ
2014.6.26.   孤高の守護神 ゴールキーパー進化論 The Outsider   A History of the Goalkeeper 著者  Jonathan Wilson   1976 年生まれ。高校時代からホッケーのキーパーをやっていて感動した体験を持つ。英『ガーディアン』『インディペンデント』などに寄稿する、スポーツ・ジャーナリスト。 訳者 実川元子 上智大外国語学部仏語科卒。翻訳家、ライター。 発行日            2014.5.20.  印刷                6.10.  発行 発行所            白水社 プロローグ ゴールを守るやり方がその国の地域の文化を体現している ゴールキーパーとゴールキーパー像が、時代を経るうちにどう変化してきたか、また国ごとにどう違うかについて書いた本。ゴールキーパーという個人とチームという集団との関係、またスポーツがそれぞれの時代の政治文化をどのように反映しているか、がテーマ 第1章         豊穣を阻むもの――サッカー草創期のゴールキーパー ゴールキーパーの存在は、比較的近代の現象 19 世紀、私立学校がそれぞれ独自のルールで行っていた「フットボール」を、学校同士が対戦できるように統一ルールを定める試みが盛んに行われたが、そのどこにもゴールキーパーについて言及された箇所はない 1863 年 英国にフットボール・アソシエーション (FA) 設立 当時の一般的な布陣は 9 人のフォワードと 2 人のバックスで、ドリブルしてゴールすることがすべて。初期のルールでは「フェアキャッチ」と見做されればどの選手でもボールを手で扱えるが、ボールを持って走ったり、投げてゴールすることは許されなかった ヴィクトリア朝時代の学校のディフェンダーは、身体的に劣って、やる気もない学生がやるものだとされ、小柄でへたくそ、臆病者がやらされ、ファインプレーをするとフィールドプレイヤーに戻してもらえたが、少なくとも英国ではいまだにある、ゴールを守ることを恥とする風潮の始まりが伺える ゴールキーパーについて書かれた最古の記録は、 1865 年のアッピンガム校での試合で、ゴール前に 1 人置いた選手を中心にゴールを守り、その選手

半自叙伝  古井由吉  2014.6.22.

イメージ
2014.6.22.  半自叙伝 著者 古井由吉  Wikipedia 参照 発行日            2014.3.20.  初版印刷                    2014.3.30.  初版発行 発行所            河出書房新社 初出 I  半自叙伝            2012 年 3 月~ 10 月 『古井由吉自撰作品 1 ~ 8 』月報 II  創作ノート        1982 年 9 月~ 83 年 3 月 『古井由吉 作品 1 ~ 7 』 もう半分だけ          書き下ろし 『 08-02   杳子 ( ようこ ) ・ 妻隠 ( つまごみ ) 』参照 I  半自叙伝 Ø   戦災下の幼年 大正の東京流入者の 2 世、昭和の沿線郊外っ子のハシリ ⇒ 新興開発地で、出来たときにはさぞや年寄りたちの微苦笑ならぬ微顰蹙を買ったことだろうが、空襲で焼き払われ、ひとまずご破算になった 3 月 9 日夜半からの下町を襲った空襲は、西南遙か隔たった私の地域では無事だったが、下町の惨状が伝わるにつれ、空襲というものに対する観念、考えが一変 5 月 24 日未明、東京の西南部を山の手から郊外まで焼き払った空襲に、私の家も焼かれた 大垣の父の実家に疎開したが、 7 月にはそこにも空襲が来て町全体を焼き払い、私たちは美濃の母親の実家に移動 Ø   闇市を走る子供たち 昭和 20 年 10 月、父親が迎えに来て美濃から東京に帰る 八王子に向かう東京駅中央線ホームで、アメリカ兵がかじっていたリンゴをくれたが、捨てろと父親に言われてぽとりと下に落とした。あれが私の戦後の始まり 昭和 25 年に新制の中学校に入る ⇒ 前年に開設されたばかりの区立中学で、私たち 2 期生が入ると午前と午後の二部授業となる 朝鮮戦争たけなわの頃、ラジオの政府広報のスポットで、「あなたは今、何をしてますか」と夜の茶の間に呼びかけ、貯蓄を奨励した末に、「これからは物よりも金の時代です」と結んだ アメリカから援助の、赤砂糖がどっさり、煮炊きに使っても余るほど、配給になった頃で、初めは甘味料の足りない時代の事とて喜んで嘗めていたが、そのうちダニが棲息していると伝えら