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消えゆくアラル海  石田紀郎  2021.12.17.

  2021.12.17.   消えゆくアラル海 再生に向けて   著者 石田紀郎  1940 年滋賀県生まれ。 63 年京大農卒。同学部助手、助教授を経て、京大大学院アジア・アフリカ地域研究所教授に。 03 年退官後、 NPO 法人「市民環境研究所」設立。京都学園大バイオ環境学部教授兼任。 40 年来、公害、環境・農業問題を中心に、市民運動など幅広い分野で活躍中。 90 年からアラル海問題に強い関心を抱き、カザフスタンには毎年渡航。「環境問題を中心とするカザフスタン研究の先導」に対し 18 年度大同生命地域研究特別賞受賞。「カザフスタンとの草の根レベルでの相互理解、友好親善に寄与した」として 19 年度外務大臣表彰   発行日            2020.2.10.  初版第 1 刷発行 発行所            藤原書店     はじめに 生まれ育った地の琵琶湖は、飲み水に不安を覚えるほど水質が悪化し、アラル海では水量が激減し、湖自体が死滅。何れも湖の流域に住む人間社会の責任 アラルの環境破壊の点検作業を通して、地域の環境特性を大事にした人の生き方を模索しなければ、人類に将来はない 本書は、アラル海流域で発生した諸問題を、日本カザフ研究会という小さな研究者集団が追いかけた記録。詳細は同研究会の報告書『中央アジア乾燥地における大規模灌漑農業の生態環境と社会経済に与える影響』全 13 巻を参照     第1章         アラル海問題との出会い 1.     アラル海問題との出会い 70 年代から琵琶湖周辺地域の公害問題に取り組む中、バイカル湖の保護運動をしているロシア人作家ラスプーチンに話す機会があり、その縁で 1987 年から開催の日ソ作家による「環境と文学に関するフォーラム」に参加 1989 年の第 2 回フォーラムでウズベキスタンの作家からアラル海が急激に後退する話を聞いて衝撃を受ける 1990 年、現地視察へ。カザフスタンの当時の首都アルマ・アタ経由で現地に飛び、 1 日 200m も湖水が後退するのを見て、環境調査が始まる   2.     干上がりの経緯 フルシチョフが西側陣営による東側陣営への経済封鎖に対抗するため農業政策を重視、「処女地開拓」の一環で中