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国家と音楽家  中川右介  2013.11.25.

2013.11.25.  国家と音楽家 著者 中川右介 ( ユウスケ )   1960 年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。「クラシックジャーナル」編集長。膨大な資料から埋もれた史実を発掘し、新たな歴史を構築する執筆スタイルで人気を博す 発行日            2013.10.26.  初版第 1 刷発行 発行所            七つ森書館 『週刊金曜日』 2011.4.29. ~ 2013.4.5. に隔週掲載。単行本化に当たって参照した自著は『カラヤンとフルトヴェングラー』『世界の 10 代オーケストラ』『 20 世紀の 10 大ピアニスト』 (12-02) 『第九』『未完成』 ヒトラーに翻弄されたフルトヴェングラーとカラヤン、ムッソリーニに抵抗したトスカニーニ、スターリンに死の寸前まで追い詰められたショスタコーヴィチ ―20 世紀という戦争と革命の時代、音楽家はいかに国家と対峙したのか。 はじめに  音楽史に刻まれている大音楽家たちが、 20 世紀という革命と戦争の時代に国家とどう対峙したかを描く、歴史読み物 第1章      独裁者に愛された音楽 史上最も芸術に理解があり、芸術を保護し支援した政治家は、恐らくヒトラーで、彼の政権ほどクラシック音楽とオペラを優遇した政権はない。それゆえに音楽家たちは、戦後ナチ協力者として批判されたが、音楽家たちに罪はあったのか Ø   ヒトラー政権 ⇒  1933.1. ヒトラー首相就任 ベルリンの州立劇場でワーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》がヒトラーの前で上演され、フルトヴェングラーが指揮 新たに「国民啓蒙・宣伝省」が設置され、ゲッペルスが大臣に就任 宣伝省の下に全国文化院が置かれ、リヒャルト・シュトラウスが総裁、フルトヴェングラーが副総裁に就任 Ø   ドイツを去った音楽家たち フリッツ・ブッシュ (1890 ~ 1951)  ⇒ ドレスデンのザクセン州立歌劇場音楽監督だったが、オペラの上演が中止され、弟の世界的ヴァイオリニスト、アドルフの妻がユダヤ人だったこともあって、ドイツを離れ、その後任にはナチス政権を礼讃していたカール・ベーム (1894 ~ 1981) が就任、ゲッペルスの良き相談相手となる