お言葉ですが。。。。 第2巻-「それはさておき」の巻  高島俊男  2007.2.18.


2007.2.18. お言葉ですが。。。。 第2-「それはさておき」の巻
1996.5.23.1997.8.7. 掲載

1.      義士討入りの日づけ
義士が本所松坂町の吉良上野邸に討入ったのは、元禄151214
西暦では1703130
元禄151114日が170311
前日降った雪が深く積もっていたというのも、1月末ならうなづける
冬至前後というのも誤り
福澤諭吉の誕生日も、天保51212日だが、西暦では1835110日となり、1834年とするのは間違い
江戸末期の外遊の記録は、どちらの暦を使っているか、日付のはっきりしないものがある
西暦を使用するようになったのは明治6年のこと

2.      「合衆国」とは何ぞや?
「アメリカは合衆国か、合州国か?」
United Statesだから「州」が集まったとするのは誤解
アメリカを「合衆国」としたのは江戸幕府の役人で、「結合した国」のことを意味したもの、「衆」が集まったという意味ではない
幕府の役人がアメリカという国の一番の特色と思ったのは、その国には世襲の君主がいないこと。個人が一堂に会して国事を行う(選挙のこと)のはまさに「合衆」であり、そこから「合衆国」となった
「共和」というのも支那古籍 ⇒ 紀元前9世紀の周で、暴君を追放した後合議制で政治を行ったのを「いっしょに仲よく」との意から「共和」と呼んだ。BC841年が共和元年で、この年が支那の歴史上正確な年代のわかる最初の年、史記の「12諸侯年表」もこの年から記載を始めている
支那の最初の共和制は14年で終わり、2度目の共和制が実現したのは、その後2740年後のAD1912Republic of China(中華民国)である

3.      肩書のはなし
「石坂泰三」の名詞には肩書きがなかった ⇒ 肩書きなしの名詞を用いる資格があるのは、肩書きなしでも通用する人だけ

4.      先生に「金之助様」とは!
差出人が姓だけを書くのは、懇意な友人の間のくだけた調子の手紙の場合
尊敬の場合 ⇒ 宛先は姓のみ、差出人は名のみ ⇒ 名だけを書くことは少なくなった
同等の場合 ⇒ 宛先は姓名、差出人も姓名
極懇意の場合又は目下宛て ⇒ 宛先は名のみ、差出人も名のみ

5.      タテヨコの論
普通の日本人が、特に身構える事なくごく自然に文を書いたとき、縦書きか横書きか
思考の通路が横になっているのに、本にするときだけ機械的に縦書きに直してあるのは、かえって読みにくく奇妙 ⇒ にせタテ
タテのものはタテのまま、横のものは横のままというのがいい
向田邦子 ⇒ パリの万年筆屋で、ためしに縦書きをしたら取り上げられた

6.      松井? うん、全然いい
「全然」は「まったく」と同じで、否定につなげる必要はない
漱石や鴎外、芥川、和辻哲郎、いくらでも肯定に使った例がある

7.      少年の手紙
神戸の小学生殺害事件
「社会を震撼とさせる」 ⇒ 「震撼」は他動詞、「ゆるがす」の意なので、「社会を震撼する」が正しいし、動詞ゆえに「と」もおかしい

8.      テーコクリッカイグンワ
「く」を守る ⇒ 「国民」というのだから「国旗」も「こくき」だろう
「き」も同じ ⇒ 「敵艦見ゆ」
音はどちらでもいいが、表記は正確に ⇒ 両者を混同する人がいる
「きづな」が「きずな」となり、「砂」のほうに分類されているのは信じ難い暴挙
完全に口語化している言葉は例外 ⇒ 「石鹸」「厄介」等

9.      ハツホツの盛衰
「発意」は、「ハツイ」か「ホツイ」か。どちらもOK
「発育」「発音」に対し、「発端」「発足」等、どちらもある
「ホツ」はもともと仏門から出たものだろう

10.  慣れれば平板
発音の話 ⇒ 耳になれてくると、発音が平板になり、なれない間はどこかにアクセントをつけるという説(俗説)
「姫路」を「メジ」、「名古屋」を「ごや」

11.  夕焼け小焼けの・・・・・
歌詞とフシの不一致から受ける違和感の話
「緑の牧場にひげづらの、兵士がやってきて」 ⇒ 「屁医師?」
君が代も、「さざれ石」を分割している
赤とんぼ

12.  「週刊文春」の怪
「シュウカンブンシュー」 ⇒ 文藝春秋の始めと終わりをくっつけた
日本語で、△un-yunの形の語は他にないので発音しにくいせいもある。△yun-unなら「春分」、△yun-yunなら「逡巡」

13.  聖戦カンツイ
戦前しばしば間違って読まれた ⇒ 「ついに」に「遂」の字を充てた(訓読み)ため、「完遂」が「カンツイ」になってしまい、その他の「遂」も「ツイ」と読むようになった
「逐」との混同も多い。「逐」は「おっかける」の意ゆえ、「逐次」は順をおってとなる

14.  「むめ」「むま」のことから
「梅」は、ごく最近まで、「ンメ」が正しい発音だった
馬も「ンマ」
B音とm音の前の「ン」は、上下の唇のくっついたmになる
明治初期、女が社会に出る際、名に漢字をあて、下に「子」を付けるのは当時の流行(決まり)
初めて海外に女を留学させたのは北海道開拓使長官黒田清隆、日本を変えるためには女が変わらなければとして、まだ学問の始まらない小さな女の子をアメリカに行かせた
明治4年、何とか5人集めて、岩倉使節団の船に便乗して渡米。うち年長の2人は直ぐにホームシックで帰国、残った3人も離れ離れにされた
津田梅子8歳 父仙は幕臣洋学者で幕末にアメリカで農業を学ぶ
山川捨松12歳 会津藩家老山川大蔵の妹、もとの名は「咲子」、大山巌の後妻となり、「鹿鳴館の花」とうたわれた
永井繁子9歳 益田孝(幕府洋式陸軍の騎兵から三井の大番頭)の妹、父・兄も幕府の使節団に加わってフランスに行っている、海軍士官瓜生外吉と結婚、終生字が書けず、自分の住所氏名も書けなかった
11年たって帰国したが、帰っても使い道がなく、日本語ができないのが致命的だった

15.  披露宴、事務所ことはじめ
女子留学生の第2陣として選ばれたのが鳩山春子(鳩山一郎の母)
竹橋女学校(日本で唯一つの官立女学校)で英語を学ぶ。明治12年に女子留学生の第2陣として文部省の命を受けたが、突然理由もなく中止となる。結婚した相手鳩山和夫はアメリカ帰りの法学者で東京大学の講師。築地のすみ屋というところで結婚の披露宴をやる(わが国初の披露宴)。夫婦相談して「法律事務所」という名称を発明。明治19年共立女子職業学校を開設。昭和1378歳で没。

16.  親ガメこけたら・・・・
出典 ⇒ ある言葉の出どころ。「不惑」の出典は「論語」。「用例」とは異なる
一つの辞書が間違った引用をしていると、皆その孫引きで、もとが直っていてもわからない

17.  附の字の不覚
「付」は「手渡す」「あたえる」の意。給付、交付、付与等。
「附」は「主要なものにくっついてくる」の意。従属、おまけ。
両者の混同は、「当用漢字」のせい。昭和29年に、新聞社が文句をつけ、国語審議会が、将来補正をするときの基本資料として、28字を増やすかわりに28字を削ることで妥協(当用漢字表補正試案)したため、「附」が犠牲となった
その際の28字とは以下の通り ⇒ 且、丹、但、劾、又、唐、嚇、堪、奴、寡、悦、朕、濫、煩、爵、璽、箇、罷、脹、虞、謁、迅、逓、遵、錬、附、隷、頒
半分カヤの中に入った28字 ⇒ 亭、俸、偵、僕、厄、堀、壌、宵、尚、戻、披、挑、据、朴、杉、桟、殻、汁、泥、洪、涯、渦、渓、矯、酌、釣、斉、竜
「遵守」は「順守」に、「膨脹」は「膨張」に、「附属」「附録」もなくなる
昭和56年に「当用漢字」に代わる「常用漢字」1945字が内閣から告示され、全て認められたにも拘らず、新聞社が使おうとしなかったので、辞書までが右へならえをしている

18.  校訂おそまつ録
甲南学園編「平生釟三郎講演集」の構成のおそまつ

19.  「初老」は御不満?
「初老」とは40歳のこと。「不惑」と同様。
40歳以後10年ごとに年の祝いをする ⇒ 「初賀」「五八頌(ごはちじゅ)」などともいう

20.  うまいものは身の養い
「栄養」ではなく「営養」(体を営(いとな)み養う)が正しい
「栄耀(えよう)」は「ぜいたく」「おごり」で、「口に栄耀させる」とは、「口にぜいたくさせる」、つまり「うまいものを食う」ということ
両者同じ様な意味がごっちゃになって「栄養」となったのではないか

21.  瓜田に履を納れずとは?
「足を履にいれる」ことだが、「納れる」とは手を用いてきちんと「はく」ことの意

22.  たくらだ猫の隣歩き
「たくらだ」とは、ジャコウに似たケモノのこと。後に、「愚か者、まぬけ」の意味に。純然たる日本語
古い諺で、「バカ猫が隣のネズミはとっても家のネズミは取らない」、「さっぱり役に立たない」の意

23.  「汚職」の問題
戦後、当用漢字の枠内で間にあわせるために、言い換え語、書き換え語をたくさん作ってしまった
「汚職」も本来は「瀆職」であり、「瀆」は尊厳・名誉を損なうことだったが、新聞がかってに言い換えた ⇒ 「冒瀆」と同じだが、こちらは「冒とく」として「冒汚」とはせず、字音語にもかかわらずひらかなを併用しているのでよけい醜い
「名誉毀損」も、「棄損」としたので、「棄て損ずる」では意味をなさない
手紙の中で相手をさす語の上()を空白にするのは、敬意の表現 ⇒ 「 先生」とする

24.  過酷は苛酷のかわりになるか?
「過酷」の「過」は、もともと結構なこと、正常なことが、過ぎてはよくない、というのが「過--」だから、「過酷」といえば、「ある程度きびしいのは当然だが、きびしすぎる」の意
ところが、戦後新聞紙上で言われるのは、ほとんどが「苛酷」と書くべきところ、「苛」の字が当用漢字に入らなかったため、全部「過酷」としたもので、もともとの「苛」も「酷」も「きつい、きびしい」の意で、同義の字を2つ並べた熟語であって、「過酷」とは構造的に違う

25.  孫子の平方、「全編発見」?
ガセネタもいいところだが、読売が真偽も確かめずに記事にしたという話

26.  カミのはじまり
「簡」というのは、まだ紙がなかったころの書写用具、竹のが竹簡、木のが木簡。竹簡を何本にも書いて紐で連ねたのを「編」という

27.  新聞文章の奇々怪々
新聞記事は、不必要に男女の別を示そうとするが、日本語自体もともとはしいて男女の別を立てない言葉

28.  「血税」騒動
「国民の血税」という言葉があるが、本来「血税」とは、「徴兵」の異称で、命を税とすることで、明治511月の「徴兵の詔」に付けられた「徴兵告論」というお達しに出てくる

29.  岸田吟香の日記
岸田吟香 ⇒ 岸田劉生の父。天保4年生まれ、明治38年に73歳で死去。美作の富裕な農家の出。東京日日新聞の主筆。文章が読みやすく、分かりやすく、面白かった。目薬を上海で売りさばいて儲けたほか、大陸関係の事業に関ったことでも著名。最初に本格的な英和・和英辞典を作った人。日本で最初に言文一致の文章を書いた人(話し言葉のままを書くというのは結構難しい)
ヘボン式ローマ字のヘボンに眼病を見てもらったのが縁で、辞書を一緒に作ったが、当初の名前の案は「詞林(しりん)」だったが、「語林(ごりん)」に変えたのは「1厘」の値上げだという洒落

30.  漢姓名の日本読み
漢姓を、日本でのみ行われる日本読みで、一つの字の読みは一つと決めて、それなりに整合性を整えている ⇒ 「姫(き⇒ひ)」「馬(ま⇒ば)」「平(ひょう⇒へい)」「沈(しん⇒ちん)」「呂(りょ⇒ろ)(いずれも本国の読み方とは違う)

31.  それはさておき
「閑話休題」 ⇒ 昔の支那の講釈師の決まり文句。本筋を語る途中脱線して脇道談義をするが、そのとき本筋に戻る時の決まり文句が「閑話休題、言帰正伝」
「閑話」は「余談」のこと。「休」は「。。。しない」「。。。するな」の意。余談はやめにするの意
「閑話休題」といってから脇道に外れるのではない

32.  「ごくろうさま」の美学
上から下へのねぎらいの言葉
敬語、あるいはもっと広く人を待遇する表現に関しては、上下だけでなく、親疎の度合いを考慮する必要がある ⇒ 「ごくろうさま」は親しい。なれなれしい、ぞんざい、ということ
昭和614月、天皇在位60年の記念式典の際、当時の中曽根首相が「陛下、本当にご苦労様でした」と挨拶したそうだ

33.  最初は亀の踊り
「ごんぼを掘る」 ⇒ ごぼうは長いもので、収穫の際は土を深く掘るから、ものごとを掘り下げて論じ、あるいは1つのことについてしつこく言うことを、こう表現した
「駄々をこねる」「くだを巻く」「不当を承知で頑張る」「手を焼かす」の意に用いている地方もある
「最初は亀の踊り」 ⇒ 子供の遊びの一種で、手足を引っ込めた亀を棒の上に乗せて放置しておくと、やがて首と手足を出してあがき始めるが、空中にいるため、手足をばたつかせるだけで一歩も進めない様が哀れであり、滑稽な見ものだったところから、人の笑いを誘う、あるいは人前で恥をさらす、惨めで滑稽な所行のこと。「まずは私自身のみっともない負け方をご披露して笑っていただきます」の意辺りとして用いる
「百尺竿頭(かんとう)一歩を進める」 ⇒ 最高の段階まで行って、そこからさらに上を目指すということ(慣用句)

34.  「すべからく」の運命
「何々しなければならぬ」「何々するのがよい」という趣旨の表現を呼び出す言葉 ⇒ 漢文訓読の例で、「須」という字を2度読みしたことから来ている ⇒ 「すべからく。。。すべし」
予告語として結構役に立っているので、いまだに使われている ⇒ 日本語は最後まで行かないとどっちに転ぶか分からない言語
「断じて」「必ずしも」「到底」「とても」 ⇒ あとに打消しが来る
ところが、最近では誤用が多く、「すべて」と同義の積りで用いられる

35.  御教示感謝の巻
「最初は亀の踊り」の意味を知らせてくれたお礼

36.  出歯亀こと池田亀太郎
「麻原彰晃こと松本智津夫」の「こと」とは ⇒ 通称が先に来て、後が本名。よからぬもの、あまり上等でないものについて言う他、ちょっとその人をからかって、もしくは親しんで言うときに使うのではないか。
「出歯亀(でばかめ)」 ⇒ 「出っ歯」ではなく「出張(でば)りたがる」とのこと

37.  亀の踊りのはやしことば、ほか

38.  からだことば談義
からだの部位(もしくは働き)を用いた言葉 ⇒ 最も多いのは「手」、「気」
「手が長い」
「顔が立つ」
「目に角を立てる」
「耳をくすぐる」
「尻を割る」 ⇒ 隠している秘密や悪事などを暴露すること
「ケツを割る」 ⇒ 思い立って始めたが持続できなくて挫折すること

39.  どっちが失礼だ
朝日の「ひと」というコラム ⇒ 〈年齢? 「女性に聞くなんて失礼なこと、外国じゃ考えられない」〉「明治時代の美術をとらえなおす高階(たかしな)絵里加さん」とあった
年齢は人物の基本データの一つ、読者がその人をイメージする材料だと考えて、新聞社も通例として年齢をつけているのだろう
「ひと」欄は、名前があって写真があって、インタビューがあっておしまいに年齢があるという、そういうコラムなのであるから、それが気に入らなければ、はじめから取材を断ればいい
「外国ありがたや教」とも言うべきもの

40.  平和解決に「こだわりたい」
「こだわり」とは語源がはっきりしないが、心にせよ、物にせよ、すんなりといってくれることが望ましいのに、固いものがあってそこで引っ掛かり、すらすらと行かないということ
したがって、「一般にはそんなことは重視しないのだろうけれど、自分にはこれが大事なのだ」という意味で「こだわる」というのは、世間の通念に対する反抗の「小さな固い石」が心にあるからという意味で分かるが、その反逆的自己主張の意地が脱落して、誰しもが認めるものを自分も認める「美しいものにこだわる」「品質のよいものにこだわる」などとなると、言葉が腑抜けになる

41.  「こっちがわ」と「あっちがわ」
「愚妻」とへりくだるのは自分の妻に対する侮辱だという人がいるが、まったくのお門違い ⇒ 「愚」は1人称、つまり「わたくし」であり、下に他の語がつくと「わたくしの」である
「拙」も似ている
ただ、1人称、2人称という切り取り方はもともと西洋人の発想 ⇒ 日本人の発想は、自分にかかわりのある世界を大きく「こちらがわ」と「あちらがわ」に分けて、こちらがわは低く言う ⇒ 「小生」「愚妻」「拙宅」「手前ども」
あちらがわは高く言う ⇒ 「貴」「大」「尊」「令」等

42.  今のモノサシで過去をはかる
朝日新聞が、韓国併合のことを「朝鮮侵略」と書いていた
明治5年の記事に「土人」とあるのを引用して、「土人は不適切な表現」と注記してあるのも滑稽 ⇒ 今不適切だからといって昔も当然不適切、という。120年前の人の用語に文句をつけてどうしようというのか

43.  学問に王道なし?
飛び級の話 ⇒ 「級」とはもともと「階段」「段階」の意味で、必ずしも学年のことではない
「飛び級」を「学問に王道(Royal Road)なし」というのと結びつけるとおかしくなる ⇒ 「王道」はまさに王様だけの特別な道はないという格言で、「飛び級」の話は、単に近道の話

44.  よしんば、いかなる、おろか
「よしんば」 ⇒ 「もしそうだとしても」「もしそうなったとしても」という、假定の言葉で、假定部分はおおむね「も」で受け、たいていの場合、余りよくないことを言う
「いかなる」 ⇒ 「にもせよ」で受ける。人に対する譲歩的(許容的)假定なので、自分の行為を言う場合にはそもそも馴染まない
「おろか」 ⇒ 「あまりにも当然で言うのもおろか」ということ。「何か極端なことを言う」、「前後とも人の場合は言いにくい」という感じで、「言うまでもなく」「もとより」と同じ意味だが、常に同じ場所で使用可能とは言えない
「家屋敷はおろか命までも差し出せという」のはいいが、「男はおろか女まで」はちょっとおかしい

45.  全部ベンの話
弁当の語源は、「便当」(便利な)の音読みか、「面桶」(めんつう:顔を洗う水を入れる桶)
智辯和歌山 ⇒ 学園創始者で1952年開創した宗教法人辯天宗の開祖(宗祖)大森智辯(女性)の名前からとった。もともと「智辯」は仏教語で「知恵の働きと言論の働き」の意味
戦後略字の不都合に、複数の文字を合併して1つにしたことがある ⇒ 「弁」が顕著
辨 ⇒ 区別。辨別
辮 ⇒ 髪を編む。辮髪
瓣 ⇒ 花びら。花瓣。安全瓣。心臓の瓣膜
辧 ⇒ 処理する、辧公室とは事務を行う部局
辯 ⇒ 言葉、言論。辯説。雄辯。辯護士は言論で擁護する人。黒白を辯ず
弁 ⇒ かんむり、帽子。一介の武弁とは軍人のこと
すべてを一括りにして「弁」としたため、どの「ベン」だか分からなくなった

46.  数は1から始まる
「けた」とは数の位で、10進法で数が一順する一カタマリ
漢字で書けば、十までが1
年齢にしても、生まれた年を1歳と言っていた ⇒ ゼロ歳などというのは、戦後アメリカから入ってきた満の数え方が広がってからのこと
競馬馬も生まれた年を1歳とする ⇒ 「あけ3歳」とは一昨年生まれた馬で、この年から走り始める
ゼロというのは、数学において数を操作する上での観念であり、假定であって、人類の日常生活における実在ではないから、実在しないものを勘定に入れることはできない ⇒ 「ゼロ個ある」とは言わない

47.  茶臼山の謎
全国各地にある「茶臼山」の「茶臼」とは ⇒ 石臼の類で、石臼よりずっと小さく、輝緑石(きろくがん)という緑色の上質の石でできていて、下臼と受皿が一体になっている物
男女性交体位の一つ

48.  日本英語は漢文のお化け?
日本の英語教育で壁となったのは「英文和訳」であり、英語における漢文
「ヒバリ読み」とか「千鳥がけ」とかいって、外国語の文字を直接日本語に直して、日本語の順番で読んで、とにかく日本語で理解してしまう ⇒ 目から入った語学で、耳は用をなさなかったのだから、上達するはずがなかった
逆に頭脳を鍛えるのにはよかった

49.  統廃合と再編・淘汰
対立したり並立したりする言葉を縮めるのは分かる ⇒ 「与野党」「陸海軍」「国公立」
「統廃合」は、同じ意味の2つの言葉なのでしっくりこない ⇒ 「再編・淘汰」で十分

50.  「還暦」と「享年」
還暦は、満年齢や誕生日とは関係なく、単純に暦の話
10干 ⇒ 甲(きのえ:かつ/こう)、乙(きのと:いつ)、丙(ひのえ:へい)、丁(ひのと:てい)、戊(つちのえ:ぼ)、己(つちのと:き)、庚(かのえ:こう)、辛(かのと:しん)、壬(みずのえ:じん)、癸(みずのと:き)
12支 ⇒ 子(ね:し)、丑(うし:ちゅう)、寅(とら:いん)、卯(う:ぼう)、辰(たつ:しん)、巳(み:し)、午(うま:ご) (ひつじ:び)、申(さる:しん)、酉(とり:ゆう)、戌(いぬ:じゅつ)、亥(い:がい)
享年の場合は、「享」は「享()ける」の意で、「享年」とは「ある年をこの世にあって過ごした」ということなので、その年が丸々なくていいから、数え年に相当する ⇒ 「享年70歳」というのは「年」と「歳」がダブるのでおかしいし、「享年708ヶ月」というのもおかしい。いずれも「享年70」でいい

51.  JISとは何者だ?
JISが字を決めている不都合
「当用漢字以外は正体」の一線を崩すべきではない






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