そんなバカな 遺伝子と神について  竹内久美子  2014.4.4.

2014.4.4. そんなバカな 遺伝子と神について

著者  竹内久美子 1956年生まれ。79年京大理学部卒。同大学院に進み、博士課程修了。専攻は動物行動学。

発行日           1991.3.20. 第1            1992.7.15. 第16
発行所           文藝春秋社

神の存在を疑っているあなたへ
浮気男、浮気女を愛してしまったあなたへ
人間嫌いのあなたも
天才竹内久美子の最高傑作!

プロローグ
1860年 「オックスフォードの論争」 ⇒ ダーウィンが『種の起源』を発表した翌年、オックスフォード博物館において、英国国教会とダーウィンの代理人であるトマス・ヘンリー・ハックスリーとの間で行われた進化論史上に名高い論争
「創造説」 ⇒ 19世紀までの西洋社会を支配していた考え方。旧約聖書の創世記には神が6日間かけてあらゆるものを作った
人間は賢いはずなのに、時々とんでもないアホになってしまう。それはなぜか。これが今のところ明らかに出来るこの本のテーマ

第1章        すべては遺伝子から始まった
個体は本来利己的であるが、時にどう考えても割に合わない行動をとる場合がある
血縁が近いほど、自分を犠牲にしてもよいと思える
自分と兄弟は、自分に特有の遺伝子について考えてみると、1/2の確率で共有し合っているし、従兄弟となら1/8である ⇒ 2人の兄弟か8人の従兄弟を召集すれば、自分1個体分の遺伝子が揃うことになる
生命の本質とは、自己複製をすること ⇒ 「利己的遺伝子」の誕生

第2章        我々は乗り物(ヴィークル)である
動物の行動はどのようにして決まるのか ⇒ 遺伝子がどのように、どこまでお膳立てしているのか
淘汰が働くのは、遺伝子ではなく表現型(生物体の表に現れる性質)に対してで、遺伝子にいくら突然変異が起きても、その影響が表現型に出なければ、進化には関係がない ⇒ 表現型に現れる遺伝子の効果が問題だと行動学者は理解しているが、動物の行動について遺伝子との対応がはっきりとついた例はほとんどない
女性自身にとっても排卵日が分かりにくいのは、遺伝子に起こる突然変異とそれにかかる自然淘汰によって起こる現象 ⇒ 排卵が自覚できないのは、バース・コントロールをしにくい方向へと遺伝子が進化したためで、排卵や月経が適度に曖昧で、適度に不規則であると女はつい油断をしてしまい、利己的遺伝子のしたたかな能力に屈する

第3章        利己的遺伝子(selfish gene)の陰謀を暴く
動物行動学の世界では、8割は「親子の愛情」を信じてはいないし、9割は「友情」の存在を否定する ⇒ 「人類みな兄弟」など断じてあり得ない
「コミュニケーション」とは、正確な情報を伝える手段ではなく、相手を騙したり自分の都合の良いように操作するための手段
人間に子どもほど親を脅迫して操作する名手はいない ⇒ 急な発熱やひきつけなど、本人の自覚のないままに行われる親への脅迫は厄介、特に小児ぜんそくは、この脅迫に抗し切れない哀れな親心を苛み、親の保護が必要なくなった時にピタリと止まる
動物行動の進化については、血縁という観点から説明されるのが基本 ⇒ 行動を決める重要な鍵は、遺伝子をどれくらい共有しているか(血縁度)
非血縁者間の争いに適用したのが「ゲームの理論」 ⇒ 利己的理由が優先
人間は高い知能を持つに至った動物で、その原因については「狩猟」と「戦争」による淘汰を考えるのがふつうだが、加えて婚姻をめぐる男女の葛藤が重要と考える。嫁姑戦争もその1つで、自己欺瞞の能力が要求され、しかもその結末が遺伝子の行く末を大きく左右する人間の行動も珍しい

第4章        利己的遺伝子のさらなる陰謀
自己欺瞞の性質こそ人間の人間たる最大の特徴だが、それがどうして獲得され、強化されたのかということを考えると、その過程で重要なのは人間の婚姻形態、とりわけ他の哺乳類には見られない人間の女の奇妙な生理現象にある ⇒ 閉経後も交尾するのも自己欺瞞だし、夫がまだ生殖能力がありながら女の閉経後も婚姻形態を継続することも大いなる矛盾

エピローグ
社会生物学は、ダーウィン以来の歴史の必然として登場してきた学問で、遺伝子の論理を大前提とし、人間も含めた動物の行動、社会形成のメカニズムなどを進化論的に説明する試み ⇒ 道徳や宗教のような人間の精神的な文化も遺伝子と全く無関係ではないとし、遺伝子と文化が共進化(互いに作用を及ぼしながら進化する)すると考える
人間たるもの所詮は利己的自己複製子の乗り物(ヴィークル)
利己的自己複製子の成功と個体の成功とはほとんど無関係




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