Self-Reference ENGINE  円城塔  2014.4.24.

2014.4.24. Self-Reference ENGINE

著者  円城塔 1972年札幌市生まれ。東北大理学部物理学科卒。大学時代はSF研究会に在籍。東大大学院総合文化研究科博士課程修了。北大、京大、東大の研究員(ポスドク)を経て、06年第7回小松左京賞最終候補後、早川に原稿が持ち込まれ、大幅な加筆・改稿を経てデビュー。07年、『オブ・ザ・ベースボール』で第104回文學界新人賞、第137回芥川賞候補。同年本書で単行本デビュー。第28回日本SF大賞候補。10年『烏有此譚』で第32回野間文芸新人賞。11年第3回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞
本書が米国の優れたSF作品としてフィリップ・K・ディック賞の特別賞

発行日           2010.2.15.発行        12.1.25. 5
発行所           早川書房(ヤヤカワ文庫)

祝・芥川賞受賞
文学が、円城塔に追いついた
驚異のデビュー連作集、書下ろし2篇の増補を加えて待望の文庫化

彼女のこめかみには弾丸が埋まっていて、我が家に伝わる箱は、どこかの方向に毎年一度だけ倒される。老教授の最終講義には鯰文書の謎を解き明かし、床下からは大量のフロイトが出現する。そして小さく白い可憐な靴下は異形の巨大石像へと挑みかかり、僕等は反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進める――軽々とジャンルを越境し続ける著者による驚異のデビュー作、2篇の増補を加えて待望の文庫化!

解説                       批評家 佐々木敦
07年『ハヤカワSFシリーズ Jコレクション』の1冊として刊行された作品の文庫版。
本名非公表(割と普通の名前)。筆名は、東大大学院総合文化研究科教授で、複雑系生命論・非線形科学・カオス理論の第一人者である金子邦彦が著した短篇小説『進物史観』に出てくる「円城塔李久」という物語生成プログラムから採られている。
全体は2部構成で、第1部のNearsideと第2部のFarsideそれぞれが各10パートからなり、各パートは独立した短編と同時に、相互に様々に関連・響合しつつ、トータルで1つの(複数の(無数の))ストーリーが紡がれている、と考えるのが普通。長篇小説だが、各パートの前後関係は必ずしも絶対ではないようで、今回そうされたようにパートの追加・削除も恐らく自在に可能という意味では、通常の「長篇」とは些か異なる
「複雑系」なる難解な学問をベースにしているが、ごく平均的な思考能力と感受性を携えて、ちゃんと読めば、何が物語られているのかは誰にでも分かるように書かれている
ここには見事なまでに、何も無い、この作家であれ何であれ、意味のあることもないことも、何一つありはしない。だが同時に、ここでは「円城塔」が始まっており、今も始まり続けている。と。



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