品格語辞典 関根健一 2023.12.8.
2023.12.8. 品格語辞典 Words for your Elegance
編者 大修館書店編集部
監修 関根健一 1957年生まれ。同志社大法、立教大文卒。日本新聞協会用語専門委員。元読売新聞東京本社編集委員。元文化審議会国語分科会委員。大東文化大非常勤講師。著書に『文章がフツーにうまくなる とっておきのことば術』。『明鏡国語辞典 第3版』編集・執筆協力者
絵 いのうえさきこ 漫画家。『問題な日本語』シリーズでは、小学生から90代まで、幅広い層の人気を集める。著書に『いのうえさきこのだじゃれ手帖』
発行日 2022.8.10. 初版第1刷
発行所 大修館書店
(『無礼語辞典』参照)
はじめに
相手に重要さが伝わらなかったり、納得してくれないと感じたことはないか
もしかしたらそれは用いている言葉に品格が足りていないからかもしれない
「分かればいい」で済ませず、相手を尊重した真摯な姿勢、内容を的確に表そうとする高い見識が窺えるような表現を工夫してみてはどうか
「すごい」も改まった場面では「すこぶる」「非常に」や「極めて」などを使いたい。「群を抜く」「比類ない」なら、それを評価して褒める気持ちが込められる。「苛烈」「激甚」とすれば、注意を喚起する効果も期待できる
内容にふさわしい品格のある語を適切に使い分け、読み手・聞き手の信頼にこたえる表現を目指してください
品格レベル
*
日常的に使えて、失礼にならない表現
** 挨拶文や社交的な会話などで使うと効果的な表現
*** 格調高く優雅だが、仰々しくなることもある表現
l 相変わらず
* 依然、いつものごとく、変わりない、やはり
** 今なお
*** 平常通り
l 相手
*
向こう、同伴者、パートナー
l 会う
*
お目に掛かる、会見、対面、面会
** 謁見、お目通り、邂逅、接見
*** 謦咳に接する
l 合う
*
一致、整合、適する
** 適う
l 飽きる
** 倦む、倦怠、食傷、辟易
l あげる
*
与える、差し上げる、支給、進呈、提供
** 供する、謹呈、献上、捧げる、譲与
l 憧れ
** 思慕、憧憬、垂涎、渇仰(かつごう、かつぎょう、「故人の徳を渇仰する」
l 朝
** 暁、曙、朝まだき、払暁、黎明
*** 朝(あした)、東雲(東の空がわずかに白むころ)
l 頭がいい
*
賢い、切れる、賢明、聡明、利発
** 英明、該博、賢しら、碩学、篤学、博覧、有識、老獪
以下***のみ
l 集まる――蝟集(群衆が――)、糾合(同志を――)
l 余り――余蘊(――なく追究)
l 現れる――**流露(人への気持ちが――)、発露、発現
l 歩く――逍遥
l 行く――訪う、参ずる
l 忙しい――早々(――に日を過ごす)
l 一番――随一(ずいいち)
l 一瞬――玉響(たまゆら、――身を休める)
l いつの間にか――いつかしら(――夜も更けていた)
l 祝う――寿ぐ(言葉で祝福)、奉祝(国家の慶事を国民が祝う)
l 受け入れる――諾う(うべなう、申し出を――)
l 受け継ぐ――襲う(先代の芸名を――)
l 受け取る――**笑納、拝受、落手(手紙、品物)、落掌(書状)
l うまい――**佳味(かみ)、甘露、好味(こうみ)、滋味(じみ)、芳醇、老巧
l 売る――ひさぐ
l 行い――**所業(よくない行いについて)
l 怒る――瞋恚(しんい、しんに、――の焔)
l 教える――垂範、陶冶(とうや、性質・才能を鍛える)
l 落ちぶれる――落魄、淪落(――の淵に沈む)
l 衰える――萎靡(いび、――沈滞)
l 驚く――**愕然、喫驚(吃驚)、驚嘆、驚倒(きょうとう)
l 覚える――拳々服膺
l お前――御身、貴所、貴台、**尊堂、足下、貴殿
l 思い――**感懐、思念(しねん、神を――する)、所懐、所存、万感
l 思い出す――**想起、追憶、追懐、追想
l 覚悟する――臍(ほぞ)を固める
l 悲しみ――**哀感、哀愁、愁傷、愁嘆、断腸、沈痛、悲哀、悲壮、悲嘆、悲痛
l 必ずしも――**強(あなが)ち、満更
l 感謝――感佩(かんぱい)、**深謝、多謝、万謝
l 感心――**感嘆、感服、敬服、心服
l 頑張る――研鑽に励む、水火も辞さない、老骨に鞭打つ
l 聞く――耳朶に触れる
l 気持ち――思し召し、胸懐(きょうかい、――を吐露)、方寸(去就は我が――にあり)
l 綺麗――見目麗しい、**流麗、美麗、端整
l 食う――喫する
l ぐずぐず――因循(――な態度)
l けしかける――指嗾(しそう、浪人を――する)
l 結局―究竟(くっきょう)、詮ずる所、畢竟、**差し詰め、帰する所
l 欠点――瑕瑾(かきん)
l 元気――**矍鑠、軒昂、清勝、つつがない、無病息災
l 後悔――臍を噛む、**慚愧(ざんき)
l 拘る――泥(なず)む(旧習に――)
l 御馳走――饗する、**佳肴(かこう)
l 断る――峻拒、**拝辞、謝絶
l 壊れる――壊乱
l 栄える――殷賑、時めく、隆昌
l 盛ん――澎湃(ほうはい)
l 咲く――笑(え)む(梅の花が――)
l 寂しい――蕭然、**寂寥(――に堪えない)、寂寞(――に閉ざされる)
l 賛成――肯(がえ)んずる、**首肯
l 時間――光陰、春秋、星霜
l 死ぬ――不帰の客、身罷(まか)る、瞑(めい)する、幽明境を異にする
l 出版――梓(あずさ)に上(のぼ)す
l しょうがない――よんどころない
l 証拠――証憑
l 調べる――閲(けみ)する
l 知り合い――故旧
l 心配――寒心に堪えない、危懼(きく、――の念)
l すぐ――時を移さず
l 勧める――慫慂(こうした方がよいと勧める)
l スルー ――黙す、**黙過、徒(や)疎かに
l 世間――江湖、**世上、市井
l 全部――悉皆
l そのうち――不日、**程なく、日ならずして
l それぞれ――己(おの)がじし
l 尊敬――敬仰(けいぎょう)、**崇敬、尊(とうと)ぶ
l 楽しむ――歓を尽くす
l 多分――蓋し(確信を込めた推定)
l たまたま――ゆくりなく、**はしなくも、たまさか
l 段々――漸(ぜん)を追って、**歩一歩
l 中途半端――未だし(実力は――の感)
l ちょっと―― 一掬(いっきく、――の涙)、**微々、寸分(すんぶん)
l 告げ口――讒言(ざんげん)
l 繋がり――縁(えにし)
l ディスる――讒謗(ざんぼう、罵詈――)
l 出掛ける――**他出
l 手紙――雁書(がんしょ)、尺牘(せきとく)、玉梓(たまずき)、芳墨(ほうぼく)
l 手懐ける――籠絡、**御する
l 手本――亀鑑(きかん)、**範例
l 手間取る――**難渋、遅滞
l どうしようもない――よんどころない
l どうぞ――曲げて
l 時――砌(みぎり、向暑の――)
l 泊まる――旅寝、旅枕、**逗留
l 友達――知音(ちいん)、友垣、**朋友
l どや顔――時を得顔(昇進が叶い――)
l 取るに足りない――眇(びょう)たる(――存在)、**瑣末、区々
l 泣く――袖を絞る、袖を濡らす、涕涙(ていりゅう)、**落涙
l なので――接続詞として使うもので、くずれた感じを伴う言い方
l 並ぶ――伯仲、**伍する
l 似る――紛う
l 馬鹿――烏湖(おこ、――の沙汰)、**浅薄、愚劣、暗愚
l 馬鹿にする――玩弄(がんろう)、**揶揄、侮蔑、嘲弄、軽侮
l 始める――緒に就く
l バズる――時めく、**席巻、一世を風靡、*注目、流行
l はっきり――さやか
l 話す――弁ずる
l 冷える――凍(い)てる、冴(さ)える
l 引き受ける――諾(うべな)う、**諾する
l ぴったり――凱切(がいせつ、――な考え)、**符号、好適、似合わしい
l 独り占め――壟断
l びびる――怖(お)じる
l 病気――不快
l 古里――郷関(きょうかん)、**家郷
l 平然――ものかは、**恬然
l 下手――**拙い、稚拙、拙劣
l ほっとする――愁眉を開く
l 褒める――嘉(よみ)する
l ぼんやり――杳々(ようよう)、かそけし、**杳(よう)として
l 見通し/見破る――洞見(どうけん、本質を見る)
l むかつく――憤(いきどお)ろしい
l 無駄――**徒爾(とじ、――に終わる)、徒(あだ)、反故
l 珍しい――珍、**稀に見る
l 面倒――繁文縟礼(じょくれい、――を廃す)、**煩雑、煩瑣
l 揉め事――紛擾(ふんじょう、――を招く)、**悶着、波瀾
l やばい――危殆(たい)に瀕する(不利な状況)、**比類ない(望ましいこと)
l 夕方――夕景(――から外出)、**黄昏
l 許す――寛恕、恕する、宥恕、諒恕、**容赦
l 夜――暮夜、夜半
l 夜ご飯――夕餉
l 喜び――欣喜雀躍、**喜悦、恐悦
l 別れる―― 一別(――以来)
l 忘れる――忘失
l 私――**愚生
l 私たち――吾人
l 悪口――悪罵、讒誣(ざんぶ)
大修館書店 ホームページ
品格ある大人の言葉遣いをサポート!
「頑張る」「すごい」「ちょっと」――ふだんづかいの言葉を、改まった場面でも使える表現に言い換えると? 言葉選びに迷ったとき、品格ある言葉=「品格語」への言い換えをサポートする辞典。見出し語500項目、品格語のべ約3300項目を収録し、用例や解説で使い方もわかる。五十音索引、見出し語の分類一覧付き。
コメント
コメントを投稿