ニューヨーク・タイムズを守った男  David E. McCraw  2020.6.11.


2020.6.11.  ニューヨーク・タイムズを守った男
Truth in Our Times Inside the Fight for Press Freedom in the Age of Alternative Facts         2019

著者 David E. McCraw 1954年生まれ。イリノイ大卒。コーネル大大学院、オールバニ・ロースクール修了。『ニューヨーク・デイリーニューズ』紙の法務部門を経て、02年より『ニューヨーク・タイムズ』紙の副法務担当役員として、名誉毀損、情報公開などに関する訴訟を手がける。201610月ドナルド・トランプ氏の弁護士に対し、同紙の権利を擁護する手紙を執筆。文面が公開され話題になる。ニューヨーク大学ロースクールの客員教授、ハーバード・ロースクールの客員講師も務める

訳者 日暮(ひぐらし)雅通 1954年生まれ。青山学院大卒。英米文芸・ノンフィクション翻訳家。日本推理作家協会会員。おもな訳書に『未解決事件 死者の声を甦らせる者たち』(柏書房)『最初の刑事──ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件』(早川書房)『図説 図書館の歴史』(原書房)『キャプテン・クック 世紀の大航海者』(東洋書林)『テクノロジーとイノベーション』(みすず書房)『ディープ・シンキング 知のトップランナー25人が語るAIと人類の未来』(青土社)など多数。

発行日           2020.2.25. 印刷               3.5. 発行
発行所           毎日新聞出版


アメリカ合衆国憲法修正第1
連邦議会は、国教を樹立、又は信教上の自由な行為を禁止する法律、言論又は出版の自由を制限する法律、並びに国民が平穏に集会する権利及び苦痛の救済を求めて政府に請願する権利を制限する法律を制定してはならない

序章
本書は、アメリカの報道の自由が激しく混乱した時代を辿るもの。狂乱の2016年大統領選とともに始まったその時代、そしてそれに続くトランプ政権の1年半の間に、マスコミと大統領の対立はエスカレートしていった
選挙戦終盤の数か月と新政権最初の数か月に展開された出来事によって、その後のアメリカの戦いの様相を理解した ⇒ アメリカのマスコミに対する攻撃がどのような形をとり、それに対してマスコミがどのように反応するか
本書の目的を以下に定める ⇒ 読者に対して、『ニューヨーク・タイムズ』による重大な報道の裏側を見せること。法律による――時に平穏に、時にそうではない――ジャーナリズムの保護とその具体的な方法、そして根本的な理由によりそれを可能にした様子を理解してもらうこと
報道の自由というアメリカの伝統こそが、ジャーナリストが真実を追究して日々行っている選択に力を与え、照らし出してくれるものだということをぜひ伝えたい
報道の自由の重要性を疑問視する者は殆どいなかったのに、今や憲法修正第1条を制限するための法律の改正を求めて、大統領がマスコミのことを国民の敵、社会の汚点、「フェイクニュース」商人などと、公然と非難するのみならず、大統領がそう言って人々を熱狂させ煽りたてる時代になった
大統領自ら司法省に対して「匿名(アノニマス)」の身元を突き止めるべく犯罪捜査の開始を命じた。大統領の一貫性のない言動、性急な政策選択、そして法の支配の軽視を捉えて、『タイムズ』の特別ページに寄稿したという「罪」を犯した、政府高官に対してである
民主主義にとって、現代は決して良くはない時代で、私たちは何か手を打つ必要がある

第1章        大統領選挙の日
落ち目の@NYTimesは、そもそもの初めから私のことを見誤っていた。私が予備選に破れると言い、そのあとは本選でも敗れると言っていた。フェイクニュースだ! ドナルド・トランプ(2017.1.28.)
2016.11.8. 22:00PM トランプが大統領の地位を手に入れようとしていた
トランプが相手にしていたのは、ヒラリーだけではなく、全米の大手マスコミでもあった
トランプの驚異の台頭は、事実が重要だという考えに対する攻撃によって、彼はある一線を越えたばかりか、消し去った
トランプが大統領選に出馬するころにはマスコミ業界も大きく変化。タイムズは放送業から撤退、他の傘下の新聞社はすべて売却。容赦なき広告費争いと、強い党派心の急増。真実の本質そのものを巡る、文化的な闘争が特徴であるマスコミ業界において、重要性と価値を持つ国際的な立場を維持しつつニュースを提供すると同時に、生き残りをかけてデジタルメディアとしての改革も行っていた。政府は長らく秘密主義をとってきたものの、9.11以降テロ行為におびえ、国の安全保障政策がさらに拡大した結果、アメリカ政府の地球規模の野心を取材しようとするジャーナリストにとっては、果てしない壁が築かれることになった。秘密主義の増大に対して生じたのが、驚く程の規模と大胆さを伴った漏洩
記者の仕事も変わる。携帯を手にした大統領が証明するように、ツイートがジャーナリズムの1形態になるのと同時に、ジャーナリズムの対象にもなった
1610月トランプのセクハラを取り上げたタイムズの記事を弁護する手紙を書いてトランプの弁護士に送る
近年の歴史上、記者に対して即興で話をした大統領は、トランプの外にいない。それでいて、マスコミを公然と非難する。自らが訴訟を起こしやすくするよう、名誉棄損法の改正を要求し、集会で取材しているジャーナリストをヤジるよう、観衆にけしかける。彼の指導力、倫理観、誠実さ、人気を問題視した記事は「フェイクニュース」と非難され、トランプの世界では、真実が不都合になると、「もう1つの事実」になる
アメリカの人々の心の中では争いが進行していて、マスコミはその真っ只中で身動きが取れなくなっている

第2章        認識ある過失
1964年、「ニューヨーク・タイムズ対サリヴァン事件」では、マスコミを罰したり、批評家の口封じをするために、力のある者が名誉棄損訴訟を使うことに、法的な障壁を新たに設けた
法律はジャーナリストにフリーパスを与えてくれるわけではないが、自由の対価とは、ある程度のミスに対する寛大さであるという、バランスならぬアンバランスに基づいたシステムなのだ。自由討論では、過った発言は避けられない・・・・表現の自由が存続するために活動の場が必要になるというのなら、過った発言も保護されなければならない120日ホワイトハウスの報道官が、トランプ就任式の観客はオバマの時より、生で見た人数も世界中で見た人数も過去最大だったと発表した時、真実の向かう先がはっきり見えた。報道の自由を巡る争いは、アメリカの法律を変えるなどというレベルについての戦いではない。真実の本質そのもの、アメリカ国民の心を掴める者、声が届いて信じてもらえる者になれるかという戦いになるのだ。国としての私たちが、報道の自由は重要だと変わらず信じているのか、そして最後には必然的に、自分たちには報道の自由を守る意思がまだあるのかということについて、国民投票が毎日行われることになる。我々を憲法修正第1条の文言など意味をなさない、光の差さない片隅へと、引き下がらせようと試みているのだ

第3章        謎の郵便物と裁判所にある箱
169月ニューヨーク・タイムズの記者の自宅に、95年のトランプの州税申告書の一部が郵送されてきたとの連絡、差出人住所はトランプタワーだが、送り主は不明、書類の真偽も不確か
著者がトランプの弁護士を初めて相手にしたのは04年、『タイムズ』が「アプレンティス」というTV番組について、不動産ライターによる「ドナルドの適性評価」という見出しの記事を掲載した時。「ニューヨークで最大の不動産業者だ」というトランプに対し、他の業者の方が大きいと書いた内容に対し、トランプが「悪意に満ちた個人攻撃」だとして訂正を求めてきた。その後も何かというとトランプ側は訴訟を仄めかして記事にいちゃもんをつけてきた
ニューヨーク州立裁判所には、90年代初頭のトランプ対トランプ事件のファイルが封印されている。イヴァナとの最初の結婚の時の離婚届だが、ニューヨークの法律は、婚姻関係の書類は封をしたままにするという高い基準を設けているため、通常はどちらかが絡んだ刑事事件など別の訴訟手続きで書類が必要となったとする「特殊事情」を示さないと開示されないため、『USA Today』のガネット社と共同で開示を求めて提訴 ⇒ 種々取り沙汰されているトランプ自身の性格や能力をアメリカ国民が大統領候補としてより的確に判断する手助けになるというのが趣旨だったが、裁判所は却下

第4章        税の日
2011年、バーセリズム(オバマの出生に疑義を唱える主張)の真っ最中に、トランプは自身の納税申告書の公表とオバマの出生証明書の公表を結びつけ、14年には立候補した場合には間違いなく公表すると請け合っていたが、立候補表明後はIRSの監査などを理由に出し渋った挙句、1972年以降で納税申告書の公表を拒んだ初の大政党候補になることが確実となった
1610月、郵送された納税申告書を公表する前にトランプ陣営に探りを入れる。申告書では9億ドル以上の営業損失が計上され、それによれば向こう18年にわたって連邦所得税の回避が可能となるからくりを質問したが、公表は違法だとして、公表した場合の法的措置をちらつかせてきた ⇒ 最初に電子版で掲載すると、『ワシントン・ポスト』がタイムズによる公表を見出しとして載せる
情報が公共の利益であり、ジャーナリストがそれを得るために何等不正を働いていない場合には、ジャーアンリストは罰せられない、というのが憲法修正第1条で。このことは、記者の情報源がその情報を得るために違法行為を働いたとしても、変わらない

第5章        非公式会見の日
ホワイトハウスのプレスルーム内でのバトルは1か月にわたって続き、大統領によるマスコミへの中傷は、ツイッターから野放しで吐き出されていた
224日スパイサー報道官は、一部の記者たちを記者会見の場から締め出す ⇒ 小人数の記者が集まる非公式の会見であり、ホワイトハウス記者協会によって指定された「代表取材記者」がその会見を取材して、出席しなかった記者にその内容を伝える
トランプはツイートで、FBIが国家の機密を漏洩する者を阻止できていないと烈しく攻撃
更に、「フェイクニュースのマスコミは私の敵ではない。アメリカ国民の敵なのだ」とツイート、大統領がアメリカ国民のある集団全体を裏切り者と非難することなど考えられない
取材の制限や、自由を保障した過去の裁判例はほとんどないか役に立たない
記者会見の制限については、09年オバマもフォックス・ニュースを締め出したことがあったことを、トランプが言い逃れに使っている

第6章        私たち(US)対アメリカ(US)
新聞業界はこの20年壊滅的な打撃を受けてきた。企業の広告の出し方や、読者がニュースを知る方法が根本的に変わったせいで、0015ねんの間に新聞社の広告収入は670億ドルから200億ドル以下へと減少し、過去50年の利益がすべて消失。10年間で新聞・雑誌は10万人以上の職が失われたが、タイムズは忠実な購読者のお陰で生き続け、16年には収入の70%が印刷物の購読料と広告から得られている
トランプの勝利までは、核となる読者層の政治的立場については疑いなく、左に傾いていて、トランプに対する反感が少しでもあると、一気に増える。トランプは「落ち目のタイムズ」という呼び方を好むが、選挙直後の彼のツイート「選挙戦の報道のせいで千人単位で購読者を失っている」に対し、タイムズの上層部は現職の大統領とツイートでの真っ向勝負に出る。@RealDonaldTrumpのアカウントにはタイムズからの返信が載る「事実:印刷版も電子版も新規購読者は急増。流行とともに、止まっては始まるものだ。通常の4割増し」
電子版と印刷版合計で購読者数は300万を超えた ⇒ タイムズに御目付け役を期待
タイムズ社は、ニュースを伝える側にいる公正な仲介者であることを、長らく誇りとして来た。社説面は左寄りになることもあるかもしれないが、ニュースコラムは非常に高い壁の反対側にいて、事実に対して公正に対処している
トランプが就任してホワイトハウス入りしたのち、『タイムズ』は「確定リスト」を発表。日ごとに増す大統領の虚偽の記録帳だが、妄想と嘘は峻別しなければならない
タイムズ社自体も、国を分断していた不和の影響を例外なく受けていた ⇒ 18年初頭、編集主幹のディーン・バケットとマーク・トンプソンCEOが従業員に対して、礼儀をわきまえるよう、もう少し努力が必要と文書で伝えた
ソーシャルメディアは、今や記者にとって生活の一部になっているが、自分の意見を投稿するか否かの判断の最後の拠り処は、「自分の投稿を読んだ人が、あなたが特定の事柄について偏っていると思う根拠はないか?」「自分の投稿を見た読者が、あなたのことをタイムズ社のジャーナリストだと気づいた時、公正で偏りがないというタイムズ社の報道に対する読者の考えに、影響を及ぼさないか?
脅しがこの国の全体の姿を反映したものではないと理解はするが、今やあまりに頻繁で、憎悪や敵意の度合いがあまりにも強い。ほとんどはネット上の一時的な雑音に過ぎないが、たった1人の人間に行うことができる点を忘れてはいけない

第7章        漏洩警察
176月、ニュースサイトのインターセプトが、ロシアによるアメリカ大統領選への妨害工作に関して、「国家安全保障局NSAの極秘報告書 16年の選挙選直前のロシアによるハッキング工作を詳述」の見出しで、大きな記事を掲載
漏洩は真実を求める強い力ではあるが、法の秩序を破壊するものであり、法は漏洩者に公益的開示を認めていない
タイムズ社はオバマ時代、自分たちの発表した記事の情報源を捜し出そうと司法省が始めた一連の漏洩捜査を、怒りと不信の目で見ていた。そのほとんどは目的を達しなかったが、政権最後の数か月間には、漏洩捜査のあらゆる複雑性と、情報源と記者との関係の不明確なルールに直面

第8章        中傷のドン
175月、トランプ時代におけるタイムズ社初の名誉棄損訴訟 ⇒ トランプ支持者の石炭王傘下の石炭会社6社がタイムズを提訴。大統領就任式に対して行った献金について、タイムズは社説で、炭鉱業にまつわる健康、安全、環境に関する厄介な規定の削除を期待しての献金ではないかと示唆、更には07年の炭鉱崩壊事故を地震が原因だと偽って主張したと指摘。最後は支払い無しの和解で決着
この訴訟の直後に相次いで2件の名誉棄損訴訟がタイムズ社に対して起こされた

第9章        フェイクなフェイクニュース
17年初のギャラップ調査では、マスコミが「ニュースを十分、正確に、公正に報じている」と考えているのは32(前年比△8)。別の調査では、報道機関はトランプ政権に関してフェイクニュースをでっちあげていると信じる人が46%。共和党に投票した75%以上がマスコミはフェイクニュースを発表していると確信していた
自分と協調しない報道機関を懲らしめるために連邦政府の権力を使うと脅すトランプに対して、国民の怒りがほとんど存在したいないのは悪い前兆だが、アメリカには実際フェイクニュースの問題が存在する ⇒ 1つは本当のフェイクニュース問題で、人々を誤った方向に導いて分断を図るべくソーシャルメディアを介して意図的に間違った記事で政治を汚染するもの。もう1つはフェイクなフェイクニュース問題で、トランプ政権について問題を提起しようとする報道機関を弱体化させ、権威を失墜させるために「フェイクニュース」という言葉を用いること
主流派のマスコミにいる者で、故意の嘘をうまくやってのけようとする者はいない。大手マスコミにフェイクニュースが存在するという大統領の主張そのものが、フェイクニュース
17年、タイムズ社は「真実は難しい/真実を知るのは難しい/真実はかつてないほど重要である」というテーマの広告をテレビとネットで打って、真実と虚偽を巡る論争に加わる

第10章     不安定
178月、セッションズ司法長官は、「マスコミが果たす重要な役割は尊重し敬意は払うが、それも無制限ではない――人命を危険に晒して罰を受けないということは認められない」と発言
スパイ法は形を変えながら、100年以上存在し続けている。曖昧なところも往々にしてあるが、機密情報の所持若しくは公表によって起訴されたジャーナリストは、これまでいないことだけは確かで、法的責任は情報源である政府の消息通に降りかかった

第11章     ワインスタインとその仲間
ハリウッドのハーヴェイ・ワインスタインがハリウッドの女性たちにしてきたことについての衝撃的なネタを扱ったのは、フォックスのトークショーのビル・オライリーが女性虐待の件で繰り返し訴えられ、秘密裏に巨額の示談を結んでいたのを暴露した9か月後のこと ⇒ 179月スキャンダル公表。#MeToo運動の発端ともなり、ワインスタインは名誉棄損訴訟で脅す常套手段に訴えることもなく、素直に謝罪文を出す

ゴーカー・メディア(Gawker Media)とは、アメリカ合衆国ニューヨーク市のオンラインメディア企業(ブログパブリッシャー)である。ギズモードライフハッカーなど有力なメディアを抱えて、ブログネットワークを形成している。ブログを使ったメディアの最大手企業である。2010年に発売前の新型iPhone流出事件で、世界的に知られるようになり、日本でも代表的なブログ・メディアとして紹介される事が多い。gawkとはボケーと見るという意味の英語で、ゴシップを紹介するGawker.com仕事術を紹介するLifehackerガジェットを紹介するギズモードなど多数のブログを所有している。
報道内容はブログごとに異なるが、例えばゴーカー・ドットコムは日本の毎日デイリーニューズWaiWai問題東原亜希に対するジョークを紹介する事もある。quantcastのデータによると、利用者は648万人/月~1151万人/月、ページビューは5634万/月~1815万/月(2012年全世界)で、アメリカ合衆国が大半を占め(78割)、その他にカナダやイギリス、オーストラリア、インドからのアクセスが多い

第12章     FOIAの国のアリス
177月、大統領が「アマゾン・ワシントン・ポストは、私がアサドと戦うシリア反乱軍への巨額で、危険で、無駄な支出を終わらせることに関して事実をでっちあげ・・・・」とツイート。5日前の同紙の報道に対する反論だったが、「アマゾン・ワシントン・ポスト」というのはないし、シリア反乱軍への支援とか、それをやめるという大統領の判断は国家安全保障上の機密事項にも拘らず大統領自らがリークしたことから、『タイムズ』の記者が情報公開法FOIA=Freedom of Information Act(66年ジョンソンにより成立)に基づいて関連書類を要求するも、CIAが答えなかったので提訴、CIAはグローマー回答で対抗

グローマー拒否(Glomar response)とは、情報公開制度における概念。開示請求に対し文書の存否自体を明らかにすることなく当該開示請求を拒否することである。存否応答拒否とも言う

第13章     トラブルだらけの世の中
17年暮れ、タイムズの記者が秘密情報源から、エジプトに関する話を入手 ⇒ エジプト政府が二枚舌外交を行っていて、大使館をエルサレムに移すというアメリカの判断を公然と非難する一方で、トランプ政権のこの計画を支持していた証拠。エジプトの諜報部員が人気テレビ番組の司会者たちに呼びかけて、大使館の移転を受け入れるようエジプト国民にけしかけろとのメッセージを伝える声が録音されていた
年明け早々記事の掲載を始めると、エジプトの弁護士が当局に対し、タイムズ社に対する捜査を求め、議会も外国メディアによるエジプトへの宣戦布告と非難
アメリカの報道機関やジャーナリストが、海外の多くの国でどれほど孤立するようになったか、単に不況でアメリカの大都市の新聞の大半が外国支局を閉鎖したために国際的な取材力が弱まっただけではない。世界の過酷な地域に留まっているアメリカの報道機関に関しては、ジャーナリストは敵対的な政権にとって、いいカモになっていた
タイムズでは、08年にアフガニスタンで記者が誘拐され7か月にわたる救出作戦を著者が指揮して何とか脱出してきた記者を無事帰国させたが、政府内の担当部署であるFBIが何の役にも立たないことを思い知らされたし、それ以降も何度か同じよう同じ案が発生
14年にはISによってジャーナリスト2名が惨殺され、危険な場所に向かう外国特派員の行動に対する警備強化が図られた
世界で最悪の独裁者たちは、アメリカの大統領が、自国の独立した報道機関を国民の敵と非難して、報道の自由を蝕むことができるのなら、自国のジャーナリストを全く同じ方法で扱ってもいいということを知る。この状況は、圧政的な国家で仕事をしているアメリカの報道機関にとって気の滅入るものであり、一方で大統領による「フェイクニュース」攻撃が世界の独裁者たちの間に広まり、彼等にとって不都合な報道はすべて「フェイクニュース」とされている
エジプトでの捜査が続く中、またしても新たなネタがもたらされる。エジプト当局が国内でテロリストの野営地の破壊を目論み、密かにイスラエルに空爆を行わせているという内容で、公開すればタイムズの立場を益々危機に追いやることは明らかだったが、『ニューヨーク・タイムズ』がこれほど重要なネタを発表しないという選択肢はなかった

第14章     ある朝の手紙
169月のトランプの2人の女性に対するセクハラを暴露した記事に対し、トランプの弁護士から抗議と脅しの手紙が届き、それに対する著者が起案したタイムズ社の回答もネット上に掲載され、瞬く間に炎上。2日にわたって「メール投稿数」と「閲覧数」でリストのトップに留まり、著者は言論の自由運動の顔となる
回答を公開したことに対して、ある高名なジャーナリストから、「人身攻撃」だとして非難されたが、決して反トランプというわけではなく、真実を封じ込めようとする者や、政府を秘密主義で覆い隠そうとする者と戦うという自身の役目に忠実に従っただけ
自身の役目は政権によって変わることはなく、情報を差し控えたことでオバマ政権を30回以上訴え、共和党がアメリカを透明性のない国にしようとするたびに相手にしてきた
80代半ばのクラレンス・ジョーンズは、60年代初頭にマーティン・ルーサー・キングの個人弁護士だったが、タイムズ社対サリヴァン事件の発端は、キング牧師の支持者が、『タイムズ』に出した広告。モントゴメリーで公民権運動に参加した人々が耐え抜いた暴力と虐待が詳述されていた。サリヴァンは地元の警察の本部長で、南部一帯の実力者立ちは名誉棄損法を用いて、公民権運動を世の中に伝えようとするタイムズ社などの報道機関を脅していた。クラレンスは今回のトランプ騒動のあと著者に手紙を書き、サリヴァン事件の際にタイムズ社とサルツバーガー家が新聞を守ったことや、その広告を出した公民権運動の指導者も守ったことを思い出させてくれた
。「当時31歳の私はキング牧師とタイムズ社に対して、サリヴァンの訴訟はタイムズの口封じと南部の公民権運動の指導部の首切りが狙いだと、全身全霊で伝えた。私たちとタイムズは戦うしかなかった。自分たちが生き残るために戦った」
クラレンスはその時も正しかったし、今も正しい。サリヴァン事件から55年が過ぎても、戦うという選択しかいまだにないのだ


あとがき 憲法修正第一条は死んだ──恋愛物語
憲法修正第1条は、今やインターネットのサイバー空間の風へと形を変えて、フェイスブックやツイートの豊かな基盤となっている
16年間のニュース編集室の弁護士としての活動を通じて分かったことは、危険な世界や、激しく分断された国家の取材でジャーナリストが日々遭遇している多くの困難に対しては、憲法修正第1条は沈黙してきた
この国が「報道の自由」に目覚めたのは50年前。人種差別と、ベトナム戦争からウォーターゲート事件まで、嘘をつき続けた政権によって分裂した国で、勇気あるジャーナリズムが可能となるのは、マスコミが法律上の危険を感じない場合のみと連邦最高裁が判断し、その解釈に憲法修正第1条が反応した。64年のサリヴァン事件は名誉棄損法に大変革をもたらしたが、重要なのはその前後関係で、不公平を暴くために深南部まで分け入る北部の記者の権利を守ることを目的とした判決だった。71年のペンタゴン文書の時は、法廷は事前抑制に一線を引いて、裁判に訴えてマスコミに報道を止めさせようとする政府の権力を効果的に抑制したが、ここでも前後関係が重要で、ベトナム戦を闘う政府の二枚舌に関する記事だったので、語られるべき物語があり、政府が保持する秘密を追いかける勇気と冒険心を備えたジャーナリストの声を聞くことを、憲法修正第1条が可能にした
現在では、真実を伝えて、必ず生じる権力の逸脱をチェックする、民主主義の一番の希望であり続ける主流派メディアの存在に対する脅威は、形や範囲が変わってきている
フェイクニュースの激増、報道の自由の否認に信じられないほど時間をかける政権、情報源を持つ記者の能力を脅かす、政府による歯止めのきかない監視計画、慎重を要する重要な記事の秘密情報源を保護できない法律、世界の広い範囲で外国特派員が遭遇する危険な現状、そして2つの現実を作り出した、ばらばらのマスコミの環境――共和党の赤の現実と民主党の青の現実、あちらにはフォックスとブライトバート、こちらにはタイムズとポスト。分別ある民主主義を定期的に不可能にする相異――がある。更にその背景には技術革命がある。マスコミは脅されて、民主主義は真実を必要としている。50年前、報道の自由はその解決策に欠かせないものだったが、今ではマスコミは意味のある返答ができない場合が多く、現在民主主義を脅かしているその問題を助長してきたともいえる
それでも本書は恋愛物語だった。憲法修正第1条に関する恋愛物語でもあった
一方でつらいもう一つの現実が存在。サイバー空間でのヘイトスピーチなどにも、憲法修正第1条が救いの手を伸べてしまっている
制御の利かないインターネットと、独裁的な衝動を持つ反マスコミの大統領は、無関係ではない。トランプの才能は、その関係を直感的に認識していることにある
真実を隠したいという大統領にはだれも驚かないはずだが、驚くのは実に多くのアメリカ人がその暗がりで彼を進んで支持していること
一種のデマが民主主義にとってこれほど害になるのは、憲法修正第1条とは結局のところ、法律ではなく人の心についてのものだからだ。ジャーナリストにどれだけの自由があろうと、誰も彼らのことを信じなければ何の意味もない
アメリカ国民が憲法修正第1条を好きにならなければ長くは生きられない。必要なのは、見解に対する愛情の話で、楽なロマンスではなく、不断の努力が必要
ジャーナリズムとは科学ではなく、芸術なのだ。憲法修正第1条を完璧に正しく理解したとしても、それだけでは民主主義を再び偉大にするには足りない。偉大に至る唯一の道は、アメリカ国民の心の中に通っている


ニューヨーク・タイムズを守った男 デヴィッド・E・マクロー著
報道の自由へ 弁護士が奮闘
日本経済新聞 朝刊
202044
2016年の米国大統領選挙は、政治だけでなくメディアの世界をも大きく変えたイベントだった。ソーシャルメディアが大きな影響力を持ち、既存の有力新聞やテレビ各社が「まさか」と思ったトランプ大統領が誕生した。「フェイクニュース」との言葉を連発して既存メディアを攻撃するトランプ氏から最大の標的とされたニューヨーク・タイムズ紙の顧問弁護士を務めてきた著者が、その奮闘ぶりをあますことなく記している。
ツイッターでのつぶやきが「ジャーナリズムの一形態になるのと同時に、ジャーナリズムの対象にもなった」世界での言論・出版の自由とは。ベトナム戦争の機密情報を暴露し、ニクソン政権と対決した「ペンタゴン・ペーパーズ」を報じた同紙でさえ、デジタル時代への対応に苦闘しているかが伝わってくる。記者が取材してきたニュースの扱いを巡って同紙がどれだけ編集部門と法律部門が連携して根拠を固めるか。報道の自由を守るために必要な覚悟を知らせてくれる。
トランプ時代が終わっても、おそらくメディアを取り巻く状況は変わらない。米国で言論・出版の自由を定める憲法修正第1条を守る戦いは困難と認めつつ、それを守ることは「できるはずだと、変わらずに信じている」と結ぶ。日暮雅通訳。(毎日新聞出版・2400円)


出版社からの内容紹介
 民主党候補が多数名乗りをあげ、大統領選挙が本格的にスタートしたアメリカ。4年前、ドナルド・トランプが当選してから、アメリカの国内の政治状況は一変した。
 著者は、アメリカの代表的な新聞、「ニューヨーク・タイムズ」紙の社内弁護士。記者たちが日々取材してくるネタについて、様々なアドバイスを行ってきた。大統領から名誉棄損で訴えられるかもしれないニュースを報じるべきか、見送るべきか。 ...そんなニュース編集室の議論の内側を描く。
 格差が大きく、社会が分断されているといわれるアメリカで、なぜ今も新聞の報道が支持を得るのか。彼らのしなやかさと、行動の基本にある「憲法修正第一条」――「言論・出版の自由」を追った1冊。


週刊朝日書評  2020424日号
ニューヨーク・タイムズを守った男 デヴィッド・E・マクロー著/日暮雅通訳
  永江朗2020.4.21 10:19書評#ベスト・レコメンド
トランプと闘う
 新聞記者が書いた本はたくさんあるが、『ニューヨーク・タイムズを守った男』は新聞社の弁護士が書いたというところがユニークだ。著者のデヴィッド・E・マクローはニューヨーク・タイムズ紙(NYT)の弁護士。
 新聞社の弁護士というと、暴走する記者をいさめるブレーキ役のイメージがある。だが著者は違う。いや、NYTは違う、というべきか。同紙では、記事が確実に出るために弁護士が仕事をする。
 その典型的な例が、2016年の大統領選直前に行われた、トランプ側弁護士とのやりとりだ。トランプから性的嫌がらせ(というより暴行)を受けた、という2人の女性の話をNYTが掲載した。トランプ側は記事の撤回と謝罪を求め、かなり威圧的な手紙を送ってきた。著者はそれに対して報道の正当性を主張し、「訴えやがれ、望むところだ!」(永江による意訳)と返した。両者は手紙をネットで公開したものだから、世間は大騒ぎ。NYTには賞賛(と批判)のメールが殺到した。
 こうしたことはNYTが反トランプ、反共和党だから行われたわけではない、というのが本書の趣旨である。表現の自由、報道の自由を定めた米国憲法修正第1条や、NYT対サリバン事件(1964年)の判例などを尊重すれば、必然的な行動なのだ。本書ではヒラリー・クリントンの私用メール問題や、オバマ政権の隠蔽体質なども鋭く批判している。
 トランプはNYTについて「落ち目」と罵倒し続けるが、彼が大統領に就任して同紙の購読者は激増したという。新聞を購読することが、権力監視の第一歩なのである。


Wikipedia
ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市に本社を置く、新聞社並びに同社が発行している高級日刊新聞紙アメリカ合衆国内での発行部数はUSAトゥデイ162万部)、ウォール・ストリート・ジャーナル101万部)に次いで第3位(48万部)[3]
l  概要[編集]
ニューヨーク・トリビューン紙に対する高級新聞というスタイルをとって1851にニューヨーク市で創刊された。当初は優れた体裁が人気を集め順調に発行部数を伸ばしたが、南北戦争後に南部に対する寛大な論調が反感を呼び一時低迷した。その後20世紀に入ると世界各地に取材網を張り巡らせ、ワシントン・ポストウォール・ストリート・ジャーナルと並ぶアメリカを代表する高級紙としての地位を確立した。
アメリカではしばしば The Times と略される。" times.com " ドメインはニューヨーク・タイムズが所持している。All The News That's Fit To Print(印刷に値するニュースはすべて掲載する)とのモットが毎号A-1面の左上に印刷されている。
日本においては、朝日新聞社と提携しており、東京支局を朝日新聞東京本社ビル内に設けている。また、かつては共同で英字紙ヘラルド朝日International Herald TribuneThe Asahi Shimbun)を発行していた。東京支局長は、マーティン・ファクラーMartin Fackler201110月現在)。
ビリー・ジョエルは代表曲、「ニューヨークへの想い」で、ニューヨーク望郷の念をデイリーニューズとニューヨーク・タイムズに込めた。
歴史[編集]
ニューヨーク・タイムズは1851918日に、ヘンリー・ジャーヴィス・レイモンドとジョージ・ジョーンズによって、ニューヨーク・デイリー・タイムズの名で創刊された。レイモンドは、AP通信の創設者でもある[要出典]。新聞は、1896にアドルフ・オークスによって買収され、彼の指導のもとで国際、経済などの記事を強化していった。1897には、" All The News That's Fit To Print " というスローガを採用したが、これは競合するニューヨーク市の新聞、ニューヨーク・ワールドやニューヨーク・ジャーナル・アメリカンなどのイエロー・ジャーナリズムに対する牽制と思われる。本社を42番通りに移した後、1904にこの界隈はタイムズスクエアと呼ばれるようになった。9年後、タイムズは43番通り229番地に本社ビル、タイムズ・タワーを建設した。しかし、タイムズ・タワーは1961に売却されている。
初期のタイムズは、日刊であるものの、毎週日曜日には発行されていなかったが、南北戦争中に日曜版の発行を開始した。1918に、第一次世界大戦に関する記事で、ピューリッツァー賞を初受賞している。翌年1919には、ロンドンへの紙面輸送が開始された。
クロスワードパズル1942に特集記事として開始された。ファッションの項目は1946の開始である。1946年からは国際版が発行されていたが、1967にそれを停止し、ニューヨーク・ヘラルド・トリビューンやワシントン・ポストと共同でパリインターナショナル・ヘラルド・トリビューンを創刊した。Op-edは同紙が世界で初めて1970年に掲載を始めた。1996にはインターネッ上に自社のサイトを開設した。新しい本社ビルはレンゾ・ピアノの設計による超高層ビルで、マンハッタン8番アヴェニューと41番ストリートの交差点に建設されている。
タイムズ紙はクラシック専門のラジオ局WQXR96.3 FM)とWQEW1560 AM)を所有していた。WQXRはタイムズ紙よりWNYCに移行し、2008108日午後8時(ニューヨーク時間)に周波数は(96.3 FM)より(105.9 FM)に変更となった。[4]
l  現在[編集]
現在のニューヨーク・タイムズは、部数の面では2全国紙USAトゥデイ227.8万部)、ウォール・ストリート・ジャーナル206.2万部)の半分程度だが、一般紙としてはワシントン・ポストと並び著名な新聞であり、地方紙でありながらも米国を代表する新聞と見なされている(米国内の日刊新聞は99パーセントが地方紙で、全国紙はUSAトゥディとウォール・ストリート・ジャーナルのみ)。
タイムズは、主に米国内の記事が選定対象になるピューリッツァー賞90余り受賞するなど、その記事は米国内では高く評価されてきた。1971には、ベトナム戦争に関するアメリカ国防総省の秘密資料ペンタゴン・ペーパーズが掲載された。これをうけ、政府はタイムズ紙を機密漏洩罪で告訴したが、裁判所は報道の自由を政府の文書公開基準に優先するとの判決をくだした。この裁判は、合衆国憲法修正第1言論の自由)を巡る以後の判例に、大きな影響を与えた。翌年1972には、アフリカ系アメリカ人梅毒感染者たちが暗密のうちに治療を拒否されていることを報告し、大きな議論を巻き起こした。最近では、2004の仕事現場の安全性に関する記事で、ピューリツァ賞を受賞している。
重要な演説、議論などが行われた際にはその原稿を一字一句もらすことなく全て掲載することでも知られている。
ニューヨーク州には16の局を持ち、他には11の国内支局、26の海外支局を有する。20041226日時点では、総発行部数はウィークデイで1,124,700部、日曜版は1,669,700部であった。
経営はニューヨーク・タイムズ・カンパニーによって行われ、アドルフ・オークスの子孫であるザルツバーガー家が株式を所有している。
2016ドナルド・トランプ大統領就任以降、トランプ氏の意向で政権の発表情報にアクセスすることが難しくなったことから、調査報道に力を入れ始めた。
調査報道をはじめとする権力監視のスタンスが共感を得たこともあり、2018には電子版の契約者数が昨年比21%増を記録、経営の立て直しに一定の目処がたったことから記者を増員し編集部を1600人体制へと拡大することを発表した。[5]
20191027までに、ホワイトハウスは全ての連邦政府機関に対しニューヨーク・タイムズの購読停止を求めたと発表した。トランプ大統領は、2016年アメリカ合衆国大統領選挙から一貫してタイムズ紙などの報道をフェイクニュースとして批判を続けてきた[6]
l  報道内容について[編集]
リベラルな論調[編集]
一般的にタイムズはリベラルな論調を持つとされる。これは政治記事と社会記事において顕著である。同性婚についても肯定的で、同性の結婚記事が異性間と差別なく掲載される。もっともアメリカでは大統領選挙などで新聞が特定候補の支持を鮮明にするなど、政治色を強く打ち出すことは許容されている。保守系メディアのFOXニュースから近年、一貫して攻撃を受けている。
マサチューセッツ工科大学のリカルド・パグリシは2004 " Being the New York Times: The Political Behaviour of a Newspaper " という論文を発表した。この中で彼は1946から1994の期間におけるタイムズ紙の取り上げた記事を調査し、タイムズが民主党支持であることを統計から立証している。例えば大統領選では優先的に民主党候補を取り上げ、対立する共和党候補については小さな記事で扱う、などである。
特集項目の中の芸術関連記事(主要項目を参照)における政治的コメントについてはジャーナリズムにおけるバイアスの典型であるとの指摘もある。例として、AO・スコッの映画評論記事は時折保守派に対する皮肉が散見され、フランク・リッチ執筆のアート関連コラムでは頻繁に芸術とは関連性の薄い保守派攻撃がなされている。
タイムズの専属コラムニストにより執筆される Op-Eds については他の紙面に比べ独立性が高く政治的偏向も少ないとされる。しかしこのセクションについても政治的中立性が批判されることがある。
l  ニュース、論説、広告の混同[編集]
20021125、紙面のトップ記事として "女性選手のオーガスタ参加について沈黙を続けるCBS" との記事を掲載した。この記事ではマスターズ選手権の主催者であるオーガスタ・ゴルフクラブが女性ゴルファーの参加を拒否している問題を扱い、ボイコットの支持を示唆していたが、これに対し批評家からは事実報道と論説の混同であるとの批判がよせられた。保守派ブログの主宰者ミッキー・カウスは編集長のレインズが "ニュース" という言葉の再概念化を行っていること、ここでいう "ニュース" とは個人や団体がレインズが望むような失敗をすることであろう、と批判した。
社説のページにおいてエクソンモービルの広告記事を掲載していることにも批判が存在する。紙面に掲載される編集者への手紙 " letters to the editors " を恣意的に選択しているとの批判もある。
l  タイムズ自身によるバイアスの調査[編集]
2004の夏、上記のような批判に対してパブリック・エディターであるダニエル・オクレント執筆の調査記事が掲載された。彼はタイムズ紙が幾つかの項目においてリベラル支持のバイアスを有していることは確かであるとし、例としてゲイカップルの結婚問題をあげた。彼はこのバイアスがニューヨークの新聞としてのコスモポリタニズムに起因しているとしている。
オクレントは経済政治外交問題、市民権などに関する記事については言及を避けている。ただ彼はイラク戦争の問題に関してブッシュ政権批判が不足していたとしている。
l  イラク大量破壊兵器報道問題[編集]
200298日、ジュディス・ミラー記者による記事で「イラクが過去1 - 2年にウラン濃縮技術に必要なアルミニウム管数千本を入手しようとしていた」という政府関係者からの情報を掲載した。その日チェイニー副大統領TVでのインタビューで「これは今朝のニューヨーク・タイムズにも載っていた確実な情報だ」と述べ、フセイン大統領の核開発疑惑を訴え、イラク戦争への世論誘導に利用した。後に捏造であると判明するこの情報を流したのは、他ならぬチェイニー副大統領のスタッフ(リビー副大統領首席補佐官)だった。チェイニー副大統領の自作自演である可能性が高かったが、ジュディス・ミラーとニューヨーク・タイムズは情報源秘匿の原則に従って、この事実をイラク開戦後もずっと隠蔽していたため「ブッシュ政権の情報操作に加担した」と厳しい批判を受けた。
2004526日、同紙はイラクで破壊兵器が発見されなかったことを受け、イラク開戦前の記事に誤りがあったと自己批判をする編集者の記事を掲載した。誤りがあったとされるのは、上記の記事のほかに20011026日付の、イラク国内にテロリスト訓練所と生物兵器製造所があるとする記事と、同年1220日付の、バグダッドの病院地下に大量破壊兵器の保管施設が存在するというイラク亡命者の話を伝えた記事など数本。同紙は「記事は正確ではなく、あってはならないものが幾つもあった」としたうえ、その後の取材で間違いが分かった記事も修正しなかったという。
530日には社外審査役(オンブズマン)による、過去の記事の検証と誤りを指摘する記事を掲載した。同年103日には、イラクの核疑惑に関する特集記事を掲載し、その中で米政府の組織的な情報操作があったことを指摘し、ブッシュ政権の責任を厳しく追及した。
ジュディス・ミラー記者はその後、イラク大量破壊兵器報道を巡るプレイム・ゲート事に関連して連邦大陪審での証言を拒否したため収監される。同紙は「取材源秘匿」の原則に則ってミラー記者を擁護してきたが、ミラー記者が独断で取材源を明かして釈放されると一転して全社を挙げて非難に回る。同紙の編集主幹ビル・ケラーは、全社員へ当てたメールでミラー記者への擁護を撤回すると、同紙コラムニストのモリーン・ダウドはミラー記者を「大量破壊女」と批判した。同僚たちからの非難にいたたまれなくなったミラー記者は、2005118日付けでニューヨーク・タイムズを退社したが、ニューヨーク・タイムズの彼女への対応は「昔付き合っていた女を振るようだ」(ニューズウィーク)と揶揄された。
l  日本関連の記事[編集]
ニューズウィーク誌は、ニューヨーク・タイムズの報道姿勢について「同紙が日本関連の記事を書くときは、いつも好意的に書かないのに決まっている」と評する[7]。また東日本大震災におけるニューヨーク・タイムズの報道を賞賛する一方で、「かつて日本に関してステレオタイプな記事を掲載し続けた」と指摘している[8]北朝鮮による日本人拉致問題では、社説において拉致問題は解決済みとする立場を表明したことがある[9]
l  ノリミツ・オオニシ記者の日本関連の記事
l  ニコラス・クリストフ記者の日本関連の記事
1991湾岸戦争の際、同紙の女性コラムニストが「日本は国際的責任分担をしておらず、無責任」とする著名入り社説を掲載。現在、この女性コラムニストが同紙編集長である。また一貫した強硬な「反捕鯨」論調でも知られる。
1995に起きた沖縄米兵少女暴行事件を速報せず、3日後にようやくベタ記事にした。さらに東京支局長だったニコラス・クリストフは「日本女性が読む野蛮なコミック」と題して、同事件に触れて日本人が憤慨しているとした上で、「『レイプを称賛する』かのような、アメリカ人の感覚からするとエロティックというより病的な内容の女性向け漫画、レディースコミックを日本の女性の多くが読んでいる」との記事を掲載した[10]
1998には見かねたニューヨーク在住の女性を中心とする日本人7人が、同紙のこれまでの日本関連記事から最も誤解の酷い10の記事を選んで検証・批判した『笑われる日本人 -- ニューヨーク・タイムズが描く不可思議な日本』を日米同時に自費出[11]、「米国メディアの日本報道に見る誤解」と題するパネルディスカッションを上野千鶴子らを招いて開催した。上野は「米国が捏造する日本」、「米国だけが世界だなんて狭すぎる」と厳しく批判した[12]。また、同著の編集長である大竹秀子AERAの取材にて「どの記事も、色眼鏡を通して日本を見ていることが問題だ。全体像を見せることなく、センセーショナルな見せ物的報道をばらばらに報道されると、それが積み重なって『日本ってヘンな国だ』という認識が出来上がり、ステレオタイプを助長してしまう」と同紙の報道姿勢を厳しく批判している[13]
2005に行われた44回衆議院議員総選挙を巡る記事について、自民党長期政権を中国共産党朝鮮労働党一党独裁になぞらえたことに関し、日本外務省から「不公正な記事である」との正式な抗議を受けた。[要出典]
200612 北朝鮮による日本人拉致問題について、本来の拉致問題解決に焦点を絞らず、北朝鮮中国に対する日本国民の嫌悪感をあおり、そうした世論を憲法改正問題などの政治的問題にも利用しようとしている」とする記事を掲載。後日、日本政府はこの報道を問題視し、中山恭子首相補佐官(拉致問題担当)の反論文を同紙と、同紙の姉妹紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンに投稿。後者へは26日付で掲載されたが、同紙には掲載されなかった。
20073月には安倍晋三首相(当時)の強制連行否定発言を受け、安倍晋三を「国家主義者」と呼び、日本政府の対応を批判する従軍慰安婦特集記事を一面に掲載した。[要出典]
2008麻生太郎首相就任の2日後に「好戦的な民族主義者」と社説で主張した。これに対し日本政府は同紙に対し公式な反論文を送付し[14]105日付けで掲載された。
20098月に、鳩山由紀夫民主党代表(当時)がPHP研究所発行の「Voice」に寄稿した論文を無許可で転載しただけでなく、内容を改変・削除し、鳩山代表が「反米主義者」であるとの印象を米国政府に与えた。また、同紙は過去にも、ジェイソン・ブレア記者による記事捏造・盗作がスキャンダルとなっている(注:この件は全くの別件で、ジェイソン・ブレアの事件は社内で詳細な調査を行った)。
2010829日、2009年に京都朝鮮第一初級学校公園を不法占拠しているとして、在日特権を許さない市民の会が抗議行動を行ったことを紹介し、「日本社会の下層の青年たちは、自らの生活に対して失望、落胆した感情をインターネットなどを通じて外国人への排斥につなげている。そして、こうした日本人はネット右翼とも呼ばれる」とした。また、ネット右翼の日本人の多くは若い男性で、給与額の低い仕事に従事しているとした上で、根拠を示すことなく、「9,000人の組織化された会員がネット上で時間や場所を決めたうえで、外国人に向けたデモ活動や、キリスト教に対する排斥運動を行っている」と掲載した。[15][16]
20101017日、「日本ほど急激に経済的な繁栄が逆転した国は歴史的にも珍しい」とし、日本人の苦しい生活の様子を紹介した。これに対し、在ニューヨーク日本総領事館は、「記事は日本の社会経済状況を過度に単純化したもので、木を見て森を見ないものだ」とし、「外交政策や若者たちの活力をみれば、日本が引き続き世界で指導力を発揮していることは明らかだ」と反論した文が、111日の電子版に掲載された。[17]
2011325日、津波の被害を受けた宮城県石巻市鮎川浜の捕鯨産業の被害に焦点を当て、「津波が、これまで欧米の環境保護団体の抗議・妨害活動でもおよばなかった日本の捕鯨産業の支柱を倒してしまった」と津波被害の深刻さと現地の悲しみを報じた。一方、在ニューヨーク日本総領事館は同日、「津波が捕鯨産業の終えんに『成功』したとの報じ方をするのはあまりに冷酷だ」として同紙に抗議した[18][19]
2011311日の東日本大震災直後から現地入りし、地震、津波被害の状況を伝えた。また、原子力事故の記事では、日本の報道に先駆けてメルトダウンについて報じた。日本から撤退する外国メディアが多い中で、精力的に取材する姿勢はニューズウィーク誌からの賞賛を受けた。独自の調査報道により、「国土を破壊し、原子力事故を引き起こした津波、地震後、日本政府が隠蔽した一連の深刻な失敗を力強く調査したことにより(ピューリッツァ賞ウェブサイトより)」、2012年ピューリッツア賞のファイナリスト(次点)にノミネートされた。また、調査記事チームとして、米国海外報道クラブ(Overseas Press Club of America)のハル・ボイル賞(Hal Boyle Award)の次点、またアジア出版協会から調査報道として最優秀賞を受賞した。そのほか、2011年のエネルギー関連報道で世界エネルギー賞の最優秀賞を獲得した。
2013426日、猪瀬直樹東京都知事による『(2020年の夏期五輪招致のライバルである)イスタンブール批判』を田淵広子記者とケン・ベルソン記者がスクープし話題となった[20]。これについて猪瀬は謝罪[21]をしたが、同時に「質問者に一定の誘導があった」との主張もしている[22]田淵広子記者は橋下徹の慰安婦に関する発言についても「日本の男の品格は最低である」という趣旨の記事を書いている[23]
2013611日、田淵広子記者は上田秀明人権人道担当大使の「シャラップ」発言をTwitterで伝えた[24]。これは拷問禁止委員会における苦笑に対して行われたものである[25][26][27][28]。笑ったのは日本のNGOのみだという見解もある(「もちろん、我々は大使の激怒と反論の馬鹿馬鹿しさに笑ったところ」[29]と当事者が証言)が、いずれにせよ大使の怒声は国連委員会の会場中に響き渡った。翻訳英会話学校を経営するデイヴィッド・セインによると、"Shut up!"(シャラップ)は日本語で「黙れ」を意味する言葉だが、英語圏では「てめえ、黙りやがれ」といった強いニュアンスで用いられることが多く、知的な表現ではない[27]。また"Shut up!"は普通しゃべっている人を黙らすときに使われるもので、笑っている人に言うのは不自然である。上田の発言は日本のイメージダウンにつながりかねない不適切なものだといった批判があいつぎ[27][28]、辞任を求める声も上がった[30]日刊ゲンダイの取材に応じた外務省関係者によると、上田はもともと英語をあまり得意としておらず[26]AFP通信も上田の英語力について「あまり得意とは見受けられない」と評している[30]。また、上田が「中世」を意味する"the Middle Ages"と言うべきところで、「中年」を意味する"middle age"(定冠詞 the がなく、age が単数形)と発声したことが失笑を買った原因だったのではないかとする説も挙げられた[31]。外務省は翌617日までに上田に口頭で注意を行い、その後、920日付で上田は人権人道大使を退任し、外務省参与の職も辞した。外務省では辞任は上田から辞職願が提出されたためであり、「シャラップ」発言とは無関係であるとしている。
2015212日、田淵広子記者ラッツ&スターももいろクローバーZがテレビ番組の収録の中で一緒に黒塗りメークで撮った写真がツイッター上に公開されたことにツイッター上で抗議(最初のツイートは削除されている)し、[32]Why Japan needs to have a conversation on racism(なぜ日本人は人種差別の議論を呼ぶのか?)」などと投稿[33]。ネットでは賛否両論[33]となり、黒人からは批判[32]もあり、ももクロは217日に予定されていた日本外国特派員協会での会見をキャンセルした[32]
201955日、「New Emperor, Old Throne」と題し、皇后が低い地位に置かれている日本の皇室制度を揶揄する風刺画を掲載し、日本側から抗議の声も上がった[34]
l  イギリス関連の記事[編集]
イギリスメーガン妃が英王室から離脱したことに関し、メーガン妃を強く擁護し、イギリスにおける人種差別と女性差別を批判的に取り上げている[35]。この話題に関し、イギリスのメディア関係者であるピアーズ・モーガンは「どう考えても恥知らずなコラム」と一蹴している[36]
l  医療・保健関連の記事[編集]
長年にわたる病気およびヒトの健康についての、持続的かつ網羅的な質の高い報道が評価され、2000年にメアリー・ウッダード・ラスカー公益事業賞を受賞した。
l  中国関連の記事[編集]
ガーディアンによれば、ニューヨーク・タイムズは、毎日新聞デイリー・テレグラフなどとともに、中国CGTNなどから影響や支援を受けている報道機関の一つとして挙げられている。これらの報道機関は、中国に対して否定的な報道は除外し、好意的な報道を優先するような報道を意図的に実施している可能性が指摘されている[37]
l  外れた予想や誤報[編集]
1920の社説にロバート・ゴダードの研究を批判し、宇宙空間を飛行するロケットなど存在し得ないとした。
"スミソニアン財団の援助のもと、クラーク大学で研究をおこなっているゴダード教授には作用反作用の法則が理解できていないと見られる。彼は今日高校で教えられている基本的知識を有していないのであろう。"
1969アポロ11が月面に着陸する直前に同紙は訂正記事を発表している。
"科学調査と実験の双方から、17世紀アイザック・ニュートンが発見した物理法則の有効性が実証されつつある。そして今日ロケットが大気中と同様に宇宙空間でも飛行できることは周知の事実となった。当紙は過去のミスを認める。"
l  イラク大量破壊兵器報道問題。
200011日に同紙は「昨日までの発行号数は間違いだった」とする異例の訂正を発表。
"当時の同紙記事によると18982月、14499号の翌日を誤って15000として以来、102年にわたって実際より500多い数字が毎日一面に掲載されてきた。"
20081223日、同紙は22日付紙面に掲載したドラノエ・パリ市長の投書が偽物だったことがわかり、検証なしに掲載したことを認め、訂正と謝罪をした。
"パリ市長のものとして掲載された手紙は、ヒラリー・クリントン上院議員国務長官就任に伴う後継者に名前が挙がっている故ケネディ大統領の長女キャロラインについて「後継の資格がない」「控えめに言っても驚きであり、あまり民主的ではない」と批判していた"
これまでに何人かの訃報記事をその死に先立って掲載したことがある。
ウィリアム・ベーア ニューヨーク大学教授) - 学生のいたずらにより1942に記事掲載
アラン・アベル(en) - アベル自身の巧妙ないたずらにより1980に記事掲載
キャスリン・サーガヴァ(バレエ・ダンサー)デイリー・テレグラフによる記事をうけて2003に掲載
l  主要項目[編集]
紙面は3つの主要項目により構成されている。
1. ニュース News
国際国内ワシントンの政治ビジネステクノロジーサイエンス健康スポーツニューヨーク地区教育天気、訃報および訂正記事(常設)で構成される。
2. 論説 Opinion
社説 Editorials , Op-Ed、および読者からの投稿 Letters to the Editor で構成される。
3. 特集 Features
芸術書籍映画演劇旅行、ニューヨークガイド、レストランワイン家庭ガーデニングファッションクロスワードゲームカートゥーン雑誌、週のまとめで構成される。
l  スタイル[編集]
紙面および記事の構成に関しては、一貫して同じスタイルをとっている。人名に言及する際には、通常の名字で呼ぶのではなくその役職、称号を用いる。見出しは語数が多く、重要な記事では副見出しが付される。USAトゥデイにより始められた紙面のカラー化が進んだ際にもモノクロにこだわっていた。紙面におけるトップ記事は一面の上部右側に掲載される。
l  インターネット版[編集]
ニューヨーク・タイムズのウェブ版は1995に開始された。ニュースサイトの中でも最も利用者が多いサイトの一つである。米国の新聞では、WEB版でもUSAトゥデイ、ウォールストリート・ジャーナルに次ぎ3位である。
2007917日、ニューヨーク・タイムズは、ページビューが増大したことにより、Webサイトの有料部分での購読料金による収入が、トラフィックに伴って増大したサイトの無料部分からの広告収入に見合わなくなったため、課金を取りやめると発表し、翌日の深夜から実施した[38]。サイト全体を全読者へ解放したのに加え、ニューヨーク・タイムズはそれまで最新1週間分を除いて有料だったニュース記事のうち1987年から現在までのものすべてと、米国法の下でパブリックドメインにある1851年から1922年までの全記事を無料化した[39]
l  マガジン[編集]
本紙日曜版の別冊として、「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」(en)が発行されている。マガジンは1896の創刊で、本紙に掲載しきれない長文の記事や、カラー写真を大きく掲載したフォト・ルポルタージュ報道写真)で知られる。20071月現在、発行部数は約168万部。
l  ブックレビュー[編集]
紙面の特集項目に存在する刊行書籍の書評を、高く評価する人がいる。この書評での取り上げられ方によって、売り上げが左右されると言う人もいる。同時に掲載されるベストセラー・リストも、アメリカの読書会における代表的なリストとして知られている。執筆者の1人としてミチコ・カクタニがおり、ピューリツァー賞の批評部門で受賞するなどその書評は高く評価されているが、極めて辛口な記事を書くため批判を受ける事も多い。
l  経営者および記者など[編集]
発行人[編集]
アドルフ・オークス(1896 - 1935年)
アーサー・ヘイス・ザルツバーガー(1935 - 1961年)
オーヴィル・ドライフス(1961 - 1963年)
パンチ・ザルツバーガー 1963 - 1992年)
アーサー・オークス・ザルツバーガー・ジュニア(1992 -
編集長[編集]
ターナー・カトリッジ 1964 - 1968年)
ジェームズ・レストン 1968 - 1969年)
〈空席〉 1969 - 1976年)
エイブ・ローゼンタール (1977 - 1986年)
マックス・フランケル (1986 - 1994年)
ジョセフ・リリヴェルド(1994 - 2001年)
ホゥエル・レインズ(2001 - 2003年)
ビル・ケラー(2003 -
現在活躍する記者・コラムニスト[編集]
デイヴィッド・ブルックス
ウィリアム・サファイア
モーリーン・ダウド
ジョン・ティーニー
ボブ・ハーバート
フランク・リッヒ
ジョナサン・ソーブル(20154月から東京支局長)
過去に在籍した著名な記者・コラムニスト[編集]
ヘンリー・スコット・ストークス - 元東京支局長。フィナンシャルタイムズ初代東京支局長。三島由紀夫伝等著書あり。タレントハリー杉山の父
マーティン・ファクラー - 元東京支局長。財団法人日本再建イニシアティブ主任研究員兼ジャーナリスト・イン・レジデンス
杉隆 - 元東京支局記者(契約の正式名称はリサーチアシスタント。署名記事を書いたことはない[40])。その後フリージャーナリストに転身。
ロバート・バーン - 1972から2006まで週3チェスのコラムを執筆した。
ジェイソン・ブレア - 執筆した記事のうち約40本で捏造、盗作が発覚し、退職した。
ニール・シーハン
ジュディス・ミラー



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