すばらしいクラシック音楽  車田和寿  2025.11.1.

 2025.11.1. すばらしいクラシック音楽

 

著者 車田和寿 声楽家。1979年福島県出身。福島県立安積高等学校卒業。国立音楽大学声楽科卒業。東京都立高等学校音楽家教諭として4年間勤務した後、渡独。ブレーメン芸術大学声楽科を最優秀の成績で卒業。在学中にキール歌劇場においてオペラ歌手デビューを果たし、以後ハンブルク州立劇場、ヒルデスハイム歌劇場、レーゲンスブルク歌劇場、ザクセン州立歌劇場(ドレスデン)、ザクセン国立劇場(ラーデボイル)など、ドイツ国内外の歌劇場において数多くのオペラにソリストとして出演する。2015年にはオリバー・コルテ作曲「コペルニクス」の世界初演において主役のコペルニクス役を務めた。また演奏活動の傍らヨーロッパの伝統的な歌唱法とその指導法を長年にわたり研究。近年は車田和寿オペラ声楽アカデミーを主宰し、国内外で後進の指導にあたる。2021年からはクラシック音楽や声楽について解説するYouTubeチャンネル「車田和寿―音楽に寄せて」「車田和寿―歌の翼に」を開設。チャンネル登録者数は合計で15万人を超えており、幅広い層に音楽の魅力を伝える役割を果たしている

YouTube: https://www.youtube.com/@kazuhisakurumada

 

発行日           2025.7.18. 初版第1刷発行

発行所           あさま社

 

 

はじめに――音楽は心の自由だ!

音楽を聴いて、自分が一体何を感じたのか、心がどのように動かされたのか、どんなメッセージを受け取ったのか、実はそういう事柄について話をするのが大事

音楽にはたくさんの魅力や大切なことがある。その1つが「音楽は心のコミュニケーションである」ということ

l  音楽とは「自由な世界」への扉

音楽を聴くということは、音楽の心に共感することであり、心と心を通い合わせるということ。共感がある限り、人はどんなにつらい状況でも本当の意味で1人になることはない

音楽の大きな力は、音楽が自由な心の世界へと行くための入口であり、ツールであるということ。聴く目的は人それぞれだが、音楽を通して自分自身の心の自由を手に入れること

音楽を聴いて、何を考えるのか、何を想像するのか、これは僕たち11人に与えられた特権であり、そうした心の自由は、実は誰にでもある

シューベルトは、辛い人生の中でも音楽を書くことによっていつでも自由な心の世界へと行くことが出来た。彼の音楽には、彼が心の中で見た美しい世界が広がる

 

 

第1幕     バッハ パワフルな仕事、子だくさんな音楽家

・小さなオルガンに導かれて   

ザクセン州には、バッハの時代に活躍したオルガン製作者ジルバーマンのパイプオルガンがまだあちこちに残っている

・バッハの壮絶な生涯 10人の子との死別 労働者のような一面 

バッハはドイツ中部アイゼナハの出身。ルターもこの街で育ち、聖書をドイツ語に翻訳

バッハは、ヴァイマールの宮廷オルガニスト兼宮廷楽師長の後、ケーテンで楽長に

2人の妻との間に20人の子をもうけるが、生存したのは10人。失った悲しみや救い、癒し、祈りといったことがバッハの音楽の大きなテーマとなる

教会で礼拝用のカンタータを作る。カンタータとは、その日の礼拝の内容に合わせて作られる20分ほどの声楽曲。毎週1曲で5年間作り、うち200曲余りが現在に残る。主なものに《マタイ受難曲》《ミサ曲ロ短調》など

バッハの人柄を知る手掛かりは多くないが、クラシック音楽には作曲家の心情が込められている

・バッハ音楽のすばらしさ!──神と対話した「音楽の父」 

1000曲を超えるバッハの曲から読み取れるのは、バッハと神との個人的な結びつき

バッハの音楽を聴くとき、「バッハにとって神とはどのような存在だったのか」を無視することはできない。バッハの音楽に表現されているのは、題材に触れて動いた「心」であり、何かに共感した「心」が描かれている。バッハの音楽からは、人の「心の声」が聞こえてくる

 

マタイ受難曲 人類史に残る傑作の一つ    

この曲で描かれるのは、キリストの受難劇を目の当たりにした人々の様々な気持ちであり、最終的には大きな救いへ繋がっていく

音楽の合間に入る「コラール」は、ルター派の教会の讃美歌で、民衆が歌うもの。バッハはコラールに、聖書の場面を音楽に反映させるかのように、少しづつ表情を変えて和音を付け加え、音楽の心を受け止めた聴衆に、自分の心と向き合う時間を与えるかのよう

ゴールドベルク変奏曲 数学的な面白さが隠された名曲 

元々の題名は、《二段鍵盤付きのクラヴィチェンバロのためのアリアと様々な変奏による、クラヴィーア練習曲》で、最初と最後のアリアと30曲の変奏曲から成る合計32曲の作品

この曲の面白さは、音楽の形とその「構造」にある。3曲ごとに1つのグループに分かれ、3曲目は最後の第30変奏を除いてカノンが演奏される。カノンとは、同じ形の旋律を、後から別のパートが追いかけるタイプの演奏(輪唱)で、ゴールドベルクでは、グループごとに音程を1度上げていくというトリックが使われる

ブランデンブルク協奏曲 様々な古楽器の響きが楽しめる   

6曲からなる合奏協奏曲集。正式名称は《様々な楽器のための6つの協奏曲》

合奏協奏曲は、ヴィヴァルディらによって洗練された音楽のジャンルで、小編成の独奏グループと合奏オーケストラのグループが交互に演奏するのが特徴

ヴィヴァルディは、バッハが編曲した作曲家ということで、20世紀になって有名になった

最も有名なのは5番。特にチェンバロ演奏の長いソロは、現在のピアノ協奏曲の原点

そのほかの名曲

カンタータの代表作はBWV147

最高傑作の1つが《ヨハネ受難曲》BWV245

無伴奏ヴァイリンのためのソナタとパルティータ BWV10011006。パルティータ第2番《シャコンヌ》は壮大な曲

管弦楽作品の代表作は、《ブランデンブルク》と《管絃楽組曲》BWV10661069。第3番のアリア《G線上のアリア》

【コラム】バロック音楽ってどんな音楽?

17世紀初め~18世紀中頃。モンテヴェルディの世界初の本格オペラ《オルフェオ》から、《マタイ受難曲》のバッハまで。特徴は、①感情を重視、②豪華絢爛、③通奏低音

 

J.S. バッハ :マタイ受難曲 BWV 244 - Part I: Kommt, ihr Tochter, helft mir klagen (Chorus)

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J.S. バッハ :マタイ受難曲 BWV 244 - Part II: Aria: Erbarme dich (Alto)

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J.S. バッハ :マタイ受難曲 BWV 244 - Part III: Aria: Mache dich, mein Herze, rein (Bass)

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J.S. バッハ :マタイ受難曲 BWV 244 - Part I: Kommt, ihr Tochter, helft mir klagen (Chorus)

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J.S. バッハ :ゴルトベルク変奏曲 BWV 988 - Aria

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J.S. バッハ :ゴルトベルク変奏曲 BWV 988 - Variatio 1. a 1 Clav.

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J.S. バッハ :ゴルトベルク変奏曲 BWV 988 - Variatio 30. Quodlibet a 1 Clav.

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J.S. バッハ :ゴルトベルク変奏曲 BWV 988 - Aria

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J.S. バッハ :ゴルトベルク変奏曲 BWV 988 - Variatio 1. a 1 Clav.

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J.S. バッハ :ブランデンブルク協奏曲第5 ニ長調 BWV 1050 - I. Allegro

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J.S. バッハ :ブランデンブルク協奏曲第5 ニ長調 BWV 1050 - II. Affettuoso

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J.S. バッハ :心と口と行いと命もて BWV 147 - Chorus: Herz und Mund und Tat und Leben

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J.S. バッハ :心と口と行いと命もて BWV 147 - Aria: Bereite dir, Jesu, noch itzo die Bahn (Soprano)

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J.S. バッハ :心と口と行いと命もて BWV 147 - Chorus: Jesus bleibet meine Freude

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J.S. バッハ :ミサ曲 ロ短調 BWV 232 - Kyrie eleison (Chorus)

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J.S. バッハ :ミサ曲 ロ短調 BWV 232 - Domine Deus (Soprano, Tenor)

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J.S. バッハ :ミサ曲 ロ短調 BWV 232 - Kyrie eleison (Chorus)

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J.S. バッハ :ミサ曲 ロ短調 BWV 232 - Domine Deus (Soprano 1, Tenor)

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J.S. バッハ :ヨハネ受難曲 BWV 245 - Part I: Herr, unser Herrscher (Chorus)

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J.S. バッハ :ヨハネ受難曲 BWV 245 - Part II: Arioso: Betrachte, meine Seel (Bass)

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J.S. バッハ :ヨハネ受難曲 BWV 245 - Part II: Aria: Mein teurer Heiland - Jesu, der du warest tot (Bass, Chorus)

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J.S. バッハ :ヨハネ受難曲 BWV 245 - Part I: Herr, unser Herrscher (Chorus)

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J.S. バッハ :オルガン小曲集 BWV 599-644 - Das alte Jahr vergangen ist, BWV 614

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J.S. バッハ :オルガン小曲集 BWV 599-644 - In dir ist Freude, BWV 615

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J.S. バッハ :オルガン小曲集 BWV 599-644 - Mit Fried und Freud ich fahr dahin, BWV 616

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J.S. バッハ :フランス組曲第5 ト長調 BWV 816 - I. Allemande

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J.S. バッハ :フランス組曲第5 ト長調 BWV 816 - II. Courante

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J.S. バッハ :フランス組曲第5 ト長調 BWV 816 - I. Allemande

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J.S. バッハ :フランス組曲第5 ト長調 BWV 816 - II. Courante

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J.S. バッハ :イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV 971 - I. Allegro

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J.S. バッハ :イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV 971 - III. Presto

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J.S. バッハ :イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV 971 - I. Allegro

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J.S. バッハ :無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3 ホ長調 BWV 1006 - I. Preludio

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J.S. バッハ :無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3 ホ長調 BWV 1006 - II. Loure

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J.S. バッハ :無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3 ホ長調 BWV 1006 - III. Gavotte en rondeau

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J.S. バッハ :無伴奏チェロ組曲第1 ト長調 BWV 1007 - I. Prelude

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J.S. バッハ :無伴奏チェロ組曲第1 ト長調 BWV 1007 - II. Allemande

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J.S. バッハ :管弦楽組曲第3 ニ長調 BWV 1068 - I. Ouverture

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J.S. バッハ :管弦楽組曲第3 ニ長調 BWV 1068 - II. Air, "Air on the G String"

 

第2幕     モーツァルト 人の心に寄り添う天才

・旅人を惹きつける街   

モーツァルトの音楽の素晴らしさに最も理解を示し、温かく迎えた街がプラハ

・モーツァルトの生涯 5歳で作曲! 神童だった子供時代 

幼少のモーツァルトは旅に明け暮れたが、ロンドンで出会ったバッハの末息子ヨハン・クリスティアンに影響を受ける

成長するにつれ、宮廷作曲家の定職を目指すが果たせず。旅の音楽師の姿は、マリア・テレジアに、「世間を物乞いのように渡り歩く」と揶揄させる

自尊心が強すぎて、雇用主から警戒され、フリーランスとしていかざるを得なかった

ウィーンに来てようやく才能が認められ、ヴェーバー家のコンスタンツェと結婚

・モーツァルトが天才である理由──心の奥深くを理解する作曲家  

モーツァルトは古典派の代表格。バロックとロマン派の間。多作であらゆるジャンルをこなす。その天才性は、「共感性」であり、身の回りの物事に共感する力があった

自らの経験に基づくエネルギーの爆発が作曲の動機となると同時に、「他者の感情」に共感して音楽に込めることにも長ける。そうした音楽の根底にあるのは「許し」。チャイコフスキーは、自らのモラルに照らして、そこから外れるキャラクターにはどうしても感情移入できなかったが、モーツァルトはモラルから外れても「許し」た上で音楽をつけた

人間の「どうしようもなさ」への圧倒的洞察に優れ、そこから生まれた音楽は、しばしば大きな優しさとして伝わってくる

 

「フィガロの結婚」――「笑いと涙」「許し」にあふれた傑作オペラ! 

本作の背景にあるのは「初夜権」。領主の伯爵が花婿より先に花嫁と初夜を過ごすという特権を復活させようとする物語で、原作は貴族批判から何度も上演禁止となっていた

モーツァルトの音楽のキーワードは、「笑いと涙」と「許し」。生身の人間としての音楽をつけ、コメディに仕立てる

クラリネット協奏曲 聴けば人に優しくなれる  

モーツァルト最後の協奏曲であり、クラリネットのための唯一の協奏曲

透明感が増し、聴く人を優しい気持ちにさせる

「レクイエム」 死とは我々の生の真の目標である 

モーツァルトが病床で作曲した最後の未完の作品。14曲で構成されるが、モーツァルトが完成させたのは最初の1曲のみで、後は断片的なスケッチが残されているだけ

モーツァルトが感じていた「死」は、「慰め」となって、必要としている人たちに救いを与えてくれる。ここにモーツァルトの《レクイエム》の素晴らしさがある

そのほかの名曲

ホルン協奏曲第2番 KV417 4曲中の最初に作られた曲

ピアノ協奏曲第20番 KV466 大きな収入源の1つで、全27曲中17曲がフリーランスとして活動中のウィーンで作曲。初めて短調で書かれ、暗く劇的な音楽

すみれ KV476 ゲーテの詩につけた曲。通作歌曲

アイネ・クライネ・ナハトムジーク KV525 セレナーデ第13番。器楽曲のジャンルとして定着し、モーツァルトが芸術的なレベルにまで高めた

ドン・ジョヴァンニ KV527 フィナーレの三重唱はオペラ史上最もすぐれた場面の1つ

交響曲40番 KV550 モーツァルトの3大交響曲の1つ。短調で書かれたのは25番とこれの2曲のみ

交響曲第41番 KV551 《ジュピター》。最後の交響曲。根底にはモーツァルトの大きな愛が溢れ、フーガを用いた第4楽章はモーツァルトの最高傑作の1

クラリネット五重奏曲 KV581 弦楽四重奏にクラリネットが加わった編成が特徴

アヴェ・ヴェルム・コルプス KV618 晩年の合唱曲。「優しさ」「慈悲深さ」が温かく包む

魔的 KV620 友人のシカネーダー 一座のために作曲された一般大衆向けのオペラ

 

【コラム】古典派の音楽ってどんな特徴?

18世紀中頃~19世紀前半。ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンが活躍した時代

古代ローマの「クラシクス」とは、「最高の」「本物の」の意で、古典文学がクラシックの代表

特徴は、①シンプルで分かりやすい、②洗練された様式美、③多くのジャンルが誕生

 

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モーツァルト :歌劇「フィガロの結婚」 K. 492 - Act I: Aria: Non più andrai (Figaro)

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モーツァルト :歌劇「フィガロの結婚」 K. 492 - Act II: Arietta: Voi, che sapete (Cherubino)

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モーツァルト :クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622 - I. Allegro

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モーツァルト :クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622 - II. Adagio

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モーツァルト :レクイエム ニ短調 K. 626 - Introit: Requiem aeternam

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モーツァルト :レクイエム ニ短調 K. 626 - Sequence No. 4: Recordare, Jesu pie

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モーツァルト :レクイエム ニ短調 K. 626 - Offertory No. 1: Domine Jesu Christe

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モーツァルト :ホルン協奏曲第2 変ホ長調 K. 417 - II. Andante

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モーツァルト :ピアノ協奏曲第20 ニ短調 K. 466 - I. Allegro

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モーツァルト :ピアノ協奏曲第20 ニ短調 K. 466 - II. Romance

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モーツァルト :すみれ K. 476 - Das Veilchen, K. 476

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モーツァルト :セレナード第13 ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 K. 525 - I. Allegro

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モーツァルト :セレナード第13 ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 K. 525 - II. Romanze

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モーツァルト :歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 K. 527 - Act I Scene 5: Aria: Madamina, il catalogo e questo (Leporello)

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モーツァルト :歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 K. 527 - Act I Scene 9: Duettino: La ci darem la mano (Zerlina, Don Giovanni)

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モーツァルト :歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 K. 527 - Act II Scene 15: Don Giovanni, a cenar teco (Il Commendatore, Don Giovanni, Leporello, Chorus)

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モーツァルト :交響曲第40 ト短調 K. 550 - I. Molto allegro

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モーツァルト :交響曲第41 ハ長調「ジュピター」 K. 551 - I. Allegro vivace

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モーツァルト :交響曲第41 ハ長調「ジュピター」 K. 551 - IV. Molto Allegro

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モーツァルト :クラリネット五重奏曲 イ長調 K. 581 - I. Allegro

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モーツァルト :クラリネット五重奏曲 イ長調 K. 581 - II. Larghetto

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モーツァルト :アヴェ・ヴェルム・コルプス K. 618 - Ave verum corpus, K. 618

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モーツァルト :歌劇「魔笛」 K. 620 - Act I: Aria: Dies Bildnis ist bezaubernd schön (Tamino)

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モーツァルト :歌劇「魔笛」 K. 620 - Act II: Aria: Der Holle Rache kocht in meinem Herzen (Konigin)

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モーツァルト :歌劇「魔笛」 K. 620 - Act II: Papagena! Papageno! (Papageno, Papagena)

 

 

第3幕 ベートーベン 苦悩を乗り越え、希望の音を鳴らす

・ボンで起きた奇跡   

ボンのシンボルはベートーヴェン。生誕の地。死後20年経っ、リストの多大な貢献により市庁舎前に記念碑が建立され、それをきっかけに様々な作曲家たちが交わる

・ベートーベンの生涯 肖像画からにじむ決意? 

ケルン選帝侯に3代にわたって音楽家として仕え、幼い頃は「第2の神童モーツァルト」と呼ばれ、16歳の時ウィーンでモーツァルトに会いレッスンを受けている。その後ウィーンでハイドンに師事、ケルン選帝侯の支援で勉学を続け、貴族サークルに出入り

ライバルを意識すると同時に、ハイドンの教授法も含め周囲への猜疑心が芽生える

聴力が永遠に戻らないことを知って「ハイリゲンシュタットの遺書」を書き、性格はさらに気難しく、疑り深いものとなる

・難聴を抱え到達した高み!──音楽に渦巻く強く前向きなエネルギー

ベートーヴェンの音楽は、難聴になって、より雄弁になる。遺書を書いた後、芸術のために生きる決断をし、芸術家として音楽を世に残すことが自分の使命だと考える

ベートーヴェンが信じたものが表現される。それは「希望」であり「喜び」

音楽によって、人間にとって不変のドラマのような、大きな理念を描こうとした。《田園」や交響曲第7番、《第九》などがその代表。そこには強く前向きなエネルギーが宿る

同時に人間の弱さや苦しみも理解し、「緩徐楽章」と呼ばれるゆっくりとした楽章に表れる

 

ピアノトリオ第7番「大公」――人前で演奏した最後の曲   

ベートーヴェンはデビューを飾るために作品1となる楽譜の出版に慎重で、最初は25

作品1に選んだのは、3曲のピアノトリオ。ピアノ・ヴァイオリン・チェロで演奏。特に優れているのが第7番《大公》。皇帝の弟ルドルフ大公はベートーヴェンの支援者で弟子

ベートーヴェン自身によって初演されたが、43歳でほとんど耳が聞こえず、良い演奏とは言えなかったが、公に演奏した最後で、4年後完全に聴力を失ったという

緩徐楽章の第3楽章では、ベートーヴェンの優しい内面の心を覗くことが出来る

ピアノ協奏曲第5番「皇帝」――心の弱さと対話する 

ナポレオンがウィーンに攻め込んだ際、疎開を余儀なくされたルドルフ大公のためにピアノソナタ第26番を作曲し《告別》と名付ける。作曲家が題名をつけるのは珍しい

《皇帝》も曲とは全く無関係に後世つけられたもの。第1楽章はオーケストラが主題を演奏し、その後でピアノソロが同じ主題を繰り返す。その後、自信と勇気に溢れた輝かしい主題が演奏され、そこにはベートーヴェンの使命を全うしようとする強烈な意志が感じられる。第2楽章は、一転して非常に穏やかで優しい旋律となり、その裏には何かを諦めたような悲しみが見える。自分自身の心の弱さと対話していたのだろう

交響曲第9番 喜びに満ちた驚愕のファンファーレ!  

ベートーヴェンは、難聴の回復の見込みがないと悟った31歳で、希望や喜びを失うが、20年後の《第九》のテーマは、彼がかつて失った「希望」

50代に入ってから《ミサ・ソレムニス》という対策を生み出し、最高の芸術作品とも呼ばれる《第九》を完成させ、独唱と合唱を加えて多くの人と喜びを分かち合おうとした

そのほかの名曲

ピアノソナタ第8番《悲愴》作品13-2 初期の傑作。情熱的に心の悲しみが表現されており、この激しさはベートーヴェンの特徴の1つ。第2楽章は大きな優しさで溢れる

ヴァイリンソナタ第5番《春》作品24 難聴で苦しむ時期に書かれたが、幸福感と温かさに満ちた曲

交響曲第3番《英雄》作品55 遺書の後で生きる決断をして、最初に書かれた大作。この作品からベートーヴェンの音楽に「理念」が現れてくる。民衆を率いる英雄を讃える

ピアノソナタ第23番《熱情》作品57 身分の違う恋が成就することはないという現実に激しく抵抗する中にも明るい希望の光が差し込み、ベートーヴェンの心の葛藤を思わせる

交響曲第5番《運命》作品67 中期の傑作。怖れや不安に打ち勝つといった「理念」を表現

ピアノトリオ第5番《幽霊》作品70-1 第2楽章は人間の深い悲しみを表現

オペラ《フィデリオ》作品72 ベートーヴェンの遺したオペラの中で唯一上演される作品。「希望」や「愛」といった人類普遍のテーマを打ち出している

交響曲第7番 作品92 戦争からの解放、自由、勝利といった強い理念が謳われる。全楽章を通して特定のリズムによる動機を組み合わせるという新たなスタイルに挑戦

歌曲集《遥かなる恋人に寄せて》作品98 歴史上初の連作歌曲とされる。6曲で構成。自然への共感が生き生きと歌われ、その感情の温かさと高まりが聴き手の心を大きく動かす

《ミサ・ソレムニス》作品123 《荘厳ミサ》とも呼ばれる晩年の大作

 

【コラム】クラシック音楽に「頭の良さ」は必要?

クラシック音楽には、実に様々な文化が合わさって出てくる。題材もギリシャ神話からゲーテの古典文学、象徴派と呼ばれる絵画までと幅広いので、クラシック音楽を知りたいと思ったら、こうした文化への関心や理解は欠かせないが、一方で音楽は理屈を超えて人間の心に訴えかける力があり、それを感じ取る力こそが必要。それが感情

大事なのは、頭と心のバランス。まずは音楽の心を感じることから始める

 

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ベートーヴェン :ピアノ三重奏曲第7 変ロ長調「大公」 Op. 97 - I. Allegro moderato

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ベートーヴェン :ピアノ協奏曲第5 変ホ長調「皇帝」 Op. 73 - I. Allegro

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ベートーヴェン :ピアノ協奏曲第5 変ホ長調「皇帝」 Op. 73 - II. Adagio un poco moto -

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ベートーヴェン :交響曲第9 ニ短調「合唱付き」 Op. 125 - IV. Presto - Prestissimo

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ベートーヴェン :交響曲第9 ニ短調「合唱付き」 Op. 125 - IV. Finale: Presto - Allegro assai

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ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ第8 ハ短調「悲愴」 Op. 13 - I. Grave - Allegro di molto e con brio

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ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ第8 ハ短調「悲愴」 Op. 13 - II. Adagio cantabile

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ベートーヴェン :ヴァイオリン・ソナタ第5 ヘ長調「春」 Op. 24 - I. Allegro

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ベートーヴェン :交響曲第3 変ホ長調「英雄」 Op. 55 - I. Allegro con brio

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ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ第23 ヘ短調「熱情」 Op. 57 - I. Allegro assai

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ベートーヴェン :ピアノ・ソナタ第23 ヘ短調「熱情」 Op. 57 - II. Andante con moto

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ベートーヴェン :交響曲第5 ハ短調「運命」 Op. 67 - I. Allegro con brio

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ベートーヴェン :交響曲第6 ヘ長調「田園」 Op. 68 - I. Awakening of Cheerful Feelings Upon Arrival in the Country: Allegro ma non troppo

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ベートーヴェン :ピアノ三重奏曲第5 ニ長調「幽霊」 Op. 70, No. 1 - I. Allegro vivace e con brio

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ベートーヴェン :ピアノ三重奏曲第5 ニ長調「幽霊」 Op. 70, No. 1 - II. Largo assai ed espressivo

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ベートーヴェン :歌劇「フィデリオ」 Op. 72 - Overture

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ベートーヴェン :歌劇「フィデリオ」 Op. 72 - Act II: Introduction and Aria: Gott! Welch' Dunkel hier! (Florestan)

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ベートーヴェン :歌劇「フィデリオ」 Op. 72 - Act II: Duet: O namenlose Freude! (Leonore, Florestan)

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ベートーヴェン :交響曲第7 イ長調 Op. 92 - I. Poco sostenuto - Vivace

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ベートーヴェン :交響曲第7 イ長調 Op. 92 - II. Allegretto

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ベートーヴェン :遥かな恋人に Op. 98 - An die ferne Geliebte, Op. 98

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ベートーヴェン :ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲) ニ長調 Op. 123 - Kyrie: Assai sostenuto (Mit Andacht)

 

 

第4幕 シューベルト 天国的美しさを誇る「隠れた天才」

・音楽の都で見た 歴史の転換点   

偉大な音楽家の中で唯一ウィーン生まれ。

・シューベルトの生涯「彼はすべてを神から授かっている」 

寄宿学校に入り、多くの友人の支援と刺激を得て作曲活動を始める。作曲の指導をしたのが宮廷楽長のサリエリで、両者の子弟関係は長く続く。フランス革命後の社会の変革期に生きたが、学んだのはあくまで古典派の音楽

当時は、演奏家としての実力が重視されたため、作曲だけのシューベルトの曲は出版の機会がなく、漸く友人たちの手で《魔王》が出版され、一躍注目を集める

次第に病に侵され、病と回復を繰り返しながらも作曲を続ける

医療費による膨大な借金は、死後出版された売り上げによって返済

・聴くと涙が出るのはなぜか──その美しさの源泉   

「天性」を感じさせる天才作曲家は、モーツァルトとシューベルトで、特に「洞察力」と「想像力/創造力」に優れる

シューベルトの創作において重要な意味を持つのが歌曲。その創作の源泉となったのは詩。ゲーテはマイヤーホーファー、ショ-バーなどの詩から着想を得て作曲している

ドイツの詩は、強弱によるリズムと最後に韻を踏むという制約の中で、言葉にできない感情をメタファー(比喩)を用いて表現しようとする。それを読み取る感性がシューベルトには具わっていた。それが鋭い洞察力と豊かな想像力

シューベルトの音楽には、この世のものとは思えない美しい天国のような世界が広がる

シューベルトの生きた時代は、厳しい言論統制の下にあり、芸術家たちは美しい世界を自らの芸術の中に求めた。シューベルトにとって音楽とは「救い」だったのでは

未完成交響曲 天国的に美しい世界 

交響曲第8(一部では第7番とも)。病によって第2楽章まで。第1楽章のロ短調の重々しい雰囲気は病に苦しむシューベルトの心が表れているようだが、次のホルンの主題が現れると、突然天国的な美しい世界が広がる。気づかないうちに別世界に連れていかれるところがシューベルトの素晴らしいところ。第2楽章では、美しい旋律の間に、激しい苦しみの感情が何度か繰り返される。その激しさは病に対するシューベルトの怒りかも

ピアノソナタ第21番 深い森に差し込む光   

死の2カ月前に作曲された最後のピアノソナタ。古典派からロマン派への過渡期の作曲家で、音楽的には古典派で暫く評価も低かったが、《冬の旅》との繋がりや、シューベルトの言葉で書かれた大きな共通性、構造のあることが明らかにされ、今では代表作とされる

1楽章は柔らかい朝の光に包まれた、霧がかかった森の中を散歩しているような世界が広がる。優しさと美しさ、そこに何かを示唆しようとする哲学的ともいえる奥深さがある

2楽章は深い孤独の中をさまよう様な世界観

「冬の旅」 主人公と自らの姿を重ね合わせる

24曲からなる連作歌曲集。他の古典派作曲家たちと違うのは、ドイツ歌曲をたくさん作ったこと。結婚が叶わなかった男が当てもなくさまよう物語には、その男がどうなったのか、未解決な部分が聴衆に大きな疑問を投げかける。聴けば聴くほど奥深い

そのほかの名曲

歌曲《糸を紡ぐグレートヒェン》D118 最初の傑作で、ゲーテの『ファウスト』が題材。恋するグレートヒェンの感情の高まりを見事に描いた傑作

歌曲《音楽に寄せて》D547 友人ショーバーの詩に音楽をつけた。音楽・芸術が「より良い世界へと」導いてくれた感謝を歌う

ピアノ五重奏曲《ます》D667 第4楽章が《ます》。天性の明るさが聴き手を包み込む

詩篇23番 D706 旧約聖書の詩篇23番につけた曲。女性4部合唱。詩の世界を音楽に変えて聴衆に示す天性の才能を感じる。救いと永遠の憩いが描かれる

楽興の時 D780 晩年の作。6曲からなるピアノ小品。6番は透き通るようなシューベルトの魅力で溢れる

歌曲集《美しき水車小屋の娘》D795 ミュラーの詩に20曲をつける。失恋した若者が、最後は小川の辺で眠りにつく。恋や希望が描かれ、明るい雰囲気が特徴

アルペジョーネソナタ D821 罹患の2年後に弦楽器のために書かれた曲

4つの即興曲 作品90 D899 4曲からなるピアノ小品集。転調を繰り返しながら、聴き手をより美しい世界へと運ぶ

交響曲第9(新全集では8) D944 《グレート/大ハ長調交響曲》とも呼ばれ、ベートーヴェンが用いた希望の3度の音型で始まり、シューベルト最後で最高の交響曲

歌曲集《白鳥の歌》D957/965a 遺作14曲を集めた歌曲集。最後の《鳩の使い》はシューベルトの歌曲の中でも最も美しい

 

【コラム】録音の嘘?

録音の歴史は150年ほどと短い。音が一度鳴り響いたら消えるというのは、音楽の本質的な一面で、音楽が終わった後では、音の記録や感情の記憶だけが残り、音楽以外の何かを聴衆の心に残す。二度と再現できないと思うからこそ、より大事にしたくなる何かがある

19世紀後半に録音が誕生し、音楽の在り方は大きく変わる。再現性を持ったために、演奏も変わる。ミスない演奏とするために、様々な手が加えられ、一度限りの演奏とは違った姿で残される。生の演奏とは質が異なる音楽。生には生の魅力がある

 

シューベルト :交響曲第8 ロ短調「未完成」 D. 759 - I. Allegro moderato

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シューベルト :交響曲第8 ロ短調「未完成」 D. 759 - II. Andante con moto

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シューベルト :ピアノ・ソナタ第21 変ロ長調 D. 960 - I. Molto moderato

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シューベルト :冬の旅 Op. 89, D. 911 - 1 おやすみ

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シューベルト :冬の旅 Op. 89, D. 911 - 5 菩提樹

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シューベルト :冬の旅 Op. 89, D. 911 - 21 宿屋

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シューベルト :糸を紡ぐグレートヒェン Op. 2, D. 118 - Gretchen am Spinnrade, Op. 2, D. 118

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シューベルト :音楽に寄せて Op. 88, No. 4, D. 547 - An die Musik, Op. 88, No. 4, D. 547

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シューベルト :ピアノ五重奏曲 イ長調「ます」 Op. 114, D. 667 - IV. Tema con variazioni

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シューベルト :詩篇第23 Op. 132, D. 706 - Psalm 23, Op. 132, D. 706

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シューベルト 6つの楽興の時 Op. 94, D. 780 - No. 3 in F Minor: Allegro moderato

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シューベルト 6つの楽興の時 Op. 94, D. 780 - No. 6 in A-Flat Major: Allegretto

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シューベルト :美しき水車小屋の娘 Op. 25, D. 795 - 1 さすらい

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シューベルト :美しき水車小屋の娘 Op. 25, D. 795 - 9 水車職人の花

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シューベルト :美しき水車小屋の娘 Op. 25, D. 795 - 20 小川の子守歌

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シューベルト :アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D. 821 (チェロとピアノ編) - I. Allegro moderato

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シューベルト :アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D. 821 - I. Allegro moderato

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シューベルト 4つの即興曲 Op. 90, D. 899 - No. 1 in C Minor

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シューベルト 4つの即興曲 Op. 90, D. 899 - No. 3 in G-Flat Major

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シューベルト :交響曲第9 ハ長調「ザ・グレート」 D. 944 - I. Andante - Allegro ma non troppo

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シューベルト :白鳥の歌 D. 957 - 1 愛の使い

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シューベルト :白鳥の歌 D. 957 - 4 セレナーデ

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シューベルト :白鳥の歌 D. 957 - 14 鳩の便り

 

第5幕 シューマン かなわぬ恋を音楽に乗せて

・多彩な顔を見せる工業都市  

シューマンとゆかりが深いのはルール工業地帯を背景にしたデュッセルドルフ

・シューマンの生涯 出版業の家庭に生まれる 

シューマンの時代になると職業選択が自由化。音楽家以外の生まれ。18歳でヴィークについて音楽家になることを決断、その娘クララにも遭う。弱い指をトレーニングで潰し、作曲家を目指すと同時に文章も書き、音楽雑誌を立ち上げ

ヴィークの反対で法廷闘争にまでなったクララとの結婚が現実的になると、シューマンはものすごい創作意欲を発揮。多くの歌曲を花嫁に捧げ、結婚した年は「歌の年」と言われる

クララは、シューマンの音楽が管絃楽的だと感じ、交響曲を書かせたので、翌年は「管絃楽の年」と呼ばれる。翌年は「室内楽の年」、その次は「合唱の年」となる

その後ロシアへの演奏旅行中に、遺伝性の鬱病を発症。聴覚障害も出来して精神病院へ

投身自殺が未遂に終わるが、そのまま病院で死去

・音楽に秘められた多彩な感情──作曲家ではなく「音の詩人」として

ロマン派の先駆け。ロマンチックというものの本質が詰まっている。言葉と音を結び付け、作品の多くには、イメージした姿が標題として用いられた。音楽と標題が自然に融合

詩人でもあったシューマンは、詩を読む感性にも優れ、言葉11つ、そしてその行間から読み取った感情を、音楽として自然に表現することが出来た

「謝肉祭」作品9――文学的な世界観がつまった名曲  

シューマンを代表するピアノ曲。21曲からなる小品集。祭りに集う様々な人の描写に工夫

「詩人の恋」作品48――音の詩人に相応しい名曲! 

歌曲集には、シューマンの目を通して見たハイネやケルナーなどの詩の世界が広がる

《詩人の恋》は、ハイネの詩集『歌の本』の「叙情的間奏曲」から16の詩に作曲された連作歌曲集。恋をした主人公の気持ちが言葉、そして音楽で表現。最初の6曲は愛が芽生えた不安や喜び、興奮の気持ちが、7曲目以降は失恋の怒り、悲しみ、絶望の気持が歌われる

交響曲第1番「春」作品38 昇る3度は希望の3

結婚して半年で書き上げた最初の交響曲。それぞれの楽章に「春の始まり」「夕べ」「楽しい遊び」「たけなわの春」と標題をつけ、希望に溢れた曲。冒頭の「ドレミ」と昇る3度の音型は、「ミソド」の音型と共にベートーヴェンが希望を象徴するために用いた音型

そのほかの名曲

《子供の情景》作品15 結婚を反対されていた時期に書かれた13曲からなるピアノ曲集。クララへの愛を確信したシューマンのポジティブな気持ちが反映される

《クライスレリアーナ》作品16 8曲のピアノ曲集。同じ歳のショパンに献呈。様々な感情をピアノという楽器で雄弁に語る

《リーダークライス》作品24 結婚した年に書いた連作歌曲集。ハイネの『歌の本』の9つの詩に作曲。恋する心から失恋に移り変わる様子を描く

《ミルテの花》作品25 結婚の年クララに贈られた26曲を花束にした歌曲集

《リーダークライス》作品39 全12曲の歌曲集だが、全篇を通じた物語性はない

《女の愛と生涯》作品42 シャミッソーの8つの詩に作曲。結婚に反対されたシューマンがこの詩に共感を覚え、自身の気持ちを聴き手に想像させる

《ピアノ五重奏曲》作品44 シューマン以降は、ピアノ、ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロが定番となる。室内楽の年と呼ばれ、結婚生活の幸福感に溢れる

《ピアノ協奏曲》作品54 唯一のピアノ協奏曲。「ドシララ」で始まる主題は、クララのイタリア語名を音名に置き換えたもの

交響曲第3番《ライン》作品97 最後の交響曲。《ライン》は後世の命名

 

【コラム】「ロマン派」ってどんな音楽なの?

19世紀前半~19世紀末。ヴェーバー、リスト、ブラームス、チャイコフスキーなど

理性より本能を、形式より想像力を、頭より心を重視する考え方

特徴は、①標題音楽(題名ではなく、音楽の内容を言葉で説明し、聴衆にイメージを喚起させるもの)、②形式よりも想像力(代表例は特定の形式を持たないオーケストラのために書かれた交響詩)

ピアノや管楽器が大きく進化し、今とほぼ変わらない形が完成

バロック、古典派、ロマン派の違いは、あくまで表現のスタイルであって、音楽の熱量とは直接関係ない

 

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シューマン :謝肉祭 Op. 9 - 1 前口上

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シューマン :謝肉祭 Op. 9 - 5 オイゼビウス

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シューマン :謝肉祭 Op. 9 - 10 A.S.C.H. - S.C.H.A. (躍る文字)

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シューマン :謝肉祭 Op. 9 - 11 キアリーナ

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シューマン :謝肉祭 Op. 9 - 12 ショパン

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シューマン :謝肉祭 Op. 9 - 13 エストレラ

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シューマン :詩人の恋 Op. 48 - 1 美しい五月に

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シューマン :詩人の恋 Op. 48 - 2 僕のあふれる涙から

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シューマン :詩人の恋 Op. 48 - 3 ばらよ、ゆりよ、鳩よ

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シューマン :詩人の恋 Op. 48 - 4 君の瞳に見入る時

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シューマン :詩人の恋 Op. 48 - 5 私の心をゆりの杯にひたそう

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シューマン :交響曲第1 変ロ長調「春」 Op. 38 - I. Andante un poco maestoso - Allegro molto vivace

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シューマン :子供の情景 Op. 15 - 1 見知らぬ国と人々について

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シューマン :子供の情景 Op. 15 - 7 トロイメライ

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シューマン :子供の情景 Op. 15 - 13 詩人は語る

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シューマン :クライスレリアーナ Op. 16 - I. Ausserst bewegt

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シューマン :クライスレリアーナ Op. 16 - II. Sehr innig und nicht zu rasch - Intermezzo I - Tempo I - Intermezzo II - Tempo I

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シューマン :クライスレリアーナ Op. 16 - IV. Sehr langsam

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シューマン :リーダークライス Op. 24 - No. 1. Morgens steh' ich auf und frage

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シューマン :リーダークライス Op. 24 - No. 5. Schöne Wiege meiner Leiden

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シューマン :リーダークライス Op. 24 - No. 9. Mit Myrten und Rosen

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シューマン :ミルテの花 Op. 25 (抜粋) - 1 献呈

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シューマン :ミルテの花 Op. 25 (抜粋) - 3 くるみの木

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シューマン :ミルテの花 Op. 25 (抜粋) - 7 睡蓮の花

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シューマン :リーダークライス Op. 39 - 1 異郷で

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シューマン :リーダークライス Op. 39 - 2 間奏曲

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シューマン :リーダークライス Op. 39 - 5 月夜

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シューマン :女の愛と生涯 Op. 42 - 1 彼に会って以来

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シューマン :女の愛と生涯 Op. 42 - 2 彼は誰よりも素晴らしい人

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シューマン :女の愛と生涯 Op. 42 - 4 私の指の指輪よ

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シューマン :ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op. 44 - I. Allegro brillante

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シューマン :ピアノ協奏曲 イ短調 Op. 54 - I. Allegro affettuoso

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シューマン :交響曲第3 変ホ長調「ライン」 Op. 97 - I. Lebhaft

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シューマン :交響曲第3 変ホ長調「ライン」 Op. 97 - I. Lebhaft

 

 

第6幕 ブラームス 頑なに交響曲へ挑む ベートーベンの後継者

・港町として栄えた名残   

ハンザ同盟の都市ハンブルク生まれ

・ブラームスの生涯 孤独と霊感をたずさえて  

独立運動に失敗して亡命したハンガリー人がハンブルクに押し寄せ、ブラームスも亡命ヴァイオリニストレメーニの伴奏者として演奏旅行をしている

20歳でシューマンと出会い、大音楽家の賛辞の重荷に堪えかね、一旦デュッセルに戻るが、シューマンの投身自殺を聞いて、残された家族の世話をするうち、クララに恋心を抱く

ベートーヴェンのような古典的音楽を目指し、交響詩を創造したリストや、音楽によるドラマ性を重視して楽劇を創作したヴァーグナーらロマン派の先達と訣別

年齢とともに深みを増していくが、その性格は非常に内気で、内面を人前で晒すことを特に嫌った。自分の考えと相容れない人物は身の回りに近づけなかった

 

交響曲第1番 作品68 「ベートーベンの交響曲第10番!」と評される

ベートーヴェンの交響曲のあまりに高い完成度に、ロマン派は交響曲を敬遠する中、ブラームスは20年かかってようやく完成させ、指揮者のハンス・フォン・ビューローは「ベートーベンの交響曲第10番!」と評したという。眼前で故郷が壊滅している様子を目撃しているかのような、絶望と怒りの感情で始まるが、次の楽章では前向きなエネルギーが感じられ、最後はベートーヴェンの「歓喜の歌」の主題を用いたメロディーが演奏される

「6つの小品」作品118 クララ・シューマンへの献呈   

作品114以降が晩年の作品。作品11860歳の時の作曲。人前では口にすることのなかったクララへの想いが聞こえてくるよう。心の葛藤が感じられる

クラリネットソナタ 作品120 「蛇が尾を噛んで輪は閉じられた」

晩年出会ったクラリネット奏者ミュールフェルトに触発され、作曲家人生の締め括りとして書いた。作品1の主題が引用することで、作曲家人生に区切りをつけようとした

 

「4つの厳粛な歌」作品121、「コラール前奏曲」作品122

亡くなる前の年に書かれた。区切りをつけた後でクララが発作を起こしたため、聖書から4カ所を選んで歌曲としたのが前者。クララの死後、プロテスタント教会の讃美歌であるコラールを選んで11曲のオルガン曲を書いたのが後者で、ブラームスの死後出版

 

・ブラームス音楽のすばらしさ!──言葉にならない気持ちを曲に託す 

ブラームスの作品には、標題がない。彼の音楽にはそうした頑なな部分が表れる

人前では本心を表さなかったが、彼の音楽はどれも雄弁で、《ハンガリー舞曲》や《ジプシーの歌》など、民族音楽を積極的に取り入れることで情熱的な作品を多く書くが、その情熱は、頑なさともいえる強い意志によるものだった

ブラームスの音楽は、言葉を遥かに超えている

 

そのほかの名曲

ハンガリー舞曲集 ジプシーの音楽を編曲したもの

2つのモテット 作品29 アカペラの合唱曲。バッハの音楽を取り込もうとしている

歌曲集《美しきマゲローネ》作品33 唯一の連作歌曲集。ティークの小説から15の詩に作曲。歌におけるメロディーを重視したため、メロディーの美しさが際立つ

《ドイツ・レクイエム》作品45 代表的な宗教曲。ルターのドイツ語訳聖書からの歌詞

ワルツ集《愛の歌》作品52 4声部とピアノのための声楽曲。四重奏でも合唱でも

ハイドンの主題による変奏曲 作品56 ハイドンのディヴェルティメントの主題が基

ヴァイオリン協奏曲 作品77 唯一のヴァイオリン協奏曲。心の内面を表現

2つのラプソディー 作品79 狂詩曲。特に決まった形はない。感情がほとばしる

ピアノ協奏曲第2番 作品83 円熟期の作品

交響曲第4番 作品98 最後の交響曲。深い溜息を漏らすかのような第1楽章の主題が印象的。第4楽章ではシャコンヌというバロック時代の形式を使う

 

【コラム】信仰心がないと音楽は味わえない?

「宗教曲」のジャンルを聴くには: 音楽と信仰は別物。不即不離ではない。音楽が伝えるものはあくまで感情。作曲家は何らかの意図をもって音楽を書き、演奏家はそれを忠実に聴衆に届けようとするが、最終的に聴衆がどのように感じるのかは聴衆の自由

音楽を感じる上で最も大事なのは、想像力であり、共感する力。音楽の心を理解しようと寄り添う態度が重要

 

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ブラームス :交響曲第1 ハ短調 Op. 68 - I. Un poco sostenuto - Allegro

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ブラームス :交響曲第1 ハ短調 Op. 68 - IV. Adagio - Più andante - Allegro non troppo ma con brio

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ブラームス 6つのピアノ小品 Op. 118 - No. 2. Intermezzo in A Major

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ブラームス 6つのピアノ小品 Op. 118 - No. 5. Romanze in F Major

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ブラームス :クラリネット・ソナタ第2 変ホ長調 Op. 120, No. 2 - I. Allegro amabile

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ブラームス :クラリネット・ソナタ第2 変ホ長調 Op. 120, No. 2 - III. Andante con moto - Allegro

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ブラームス 4つの厳粛な歌 Op. 121 - I. Denn es gehet dem Menschen wie dem Vieh (For that which befalleth the sons of men)

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ブラームス 4つの厳粛な歌 Op. 121 - IV. Wenn ich mit Menschen- und Engelszungen redete (Though I speak with the tongues of men and of angels)

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ブラームス 11のコラール前奏曲 Op. 122 - No. 3. O Welt, ich muss dich lassen

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ブラームス 11のコラール前奏曲 Op. 122 - No. 11. O Welt, ich muss dich lassen

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ブラームス :ハンガリー舞曲集 WoO 1 (管弦楽版) - Hungarian Dance No. 1 in G Minor (orch. J. Brahms)

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ブラームス :ハンガリー舞曲集 WoO 1 (管弦楽版) - Hungarian Dance No. 5 in F-Sharp Minor (orch. A. Parlow)

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ブラームス :ハンガリー舞曲集 WoO 1 - No. 1 in G Minor

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ブラームス :ハンガリー舞曲集 WoO 1 - No. 5 in G Minor

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ブラームス 2つのモテット Op. 29 - No. 1. Es ist das Heil uns kommen her

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ブラームス 2つのモテット Op. 29 - No. 1. Es ist das Heil uns kommen her

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ブラームス :ティークの「マゲローネ」によるロマンス Op. 33 - 1 いまだかつて悔いた者はない - 15 Romanzen aus Die Schöne Magelone, Op. 33: No. 1. Keinen hat es noch gereut

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ブラームス :ティークの「マゲローネ」によるロマンス Op. 33 - 15 まことの愛はとこしえに - 15 Romanzen aus Die Schöne Magelone, Op. 33: No. 15. Treue Liebe dauert lange

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ブラームス :ドイツ・レクイエム Op. 45 - I. Selig sind, die da Leid tragen

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ブラームス :ワルツ集「愛の歌」 Op. 52 - No. 1. Rede, Mädchen (Speak, maiden)

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ブラームス :ワルツ集「愛の歌」 Op. 52 - No. 2. Am Gesteine rauscht die Flut (The flood rushes beside rocks)

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ブラームス :ワルツ集「愛の歌」 Op. 52 - No. 3. O die Frauen (Oh, these women)

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ブラームス :ハイドンの主題による変奏曲 Op. 56a - Variations on a Theme by Haydn, Op. 56a, "St. Anthony Variations"

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ブラームス :ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op. 77 - I. Allegro non troppo (cadenza by. J. Joachim)

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ブラームス :ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op. 77 - II. Adagio

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ブラームス 2つの狂詩曲 Op. 79 - No. 1 in B Minor

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ブラームス 2つの狂詩曲 Op. 79 - No. 2 in G Minor

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ブラームス :ピアノ協奏曲第2 変ロ長調 Op. 83 - I. Allegro non troppo

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ブラームス :ピアノ協奏曲第2 変ロ長調 Op. 83 - I. Allegro non troppo

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ブラームス :交響曲第4 ホ短調 Op. 98 - I. Allegro non troppo

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ブラームス :交響曲第4 ホ短調 Op. 98 - I. Allegro non troppo

 

 

第7幕 ヴェルディ 「オペラ王」と呼ばれた声の魔術師

・ヴェローナ音楽祭の熱狂

イタリア北部の街ヴェローナの音楽祭は、1913年ヴェルディ生誕100年を記念して開催

舞台となる円形闘技場はローマ時代のもの

《ナブッコ》の祖国を失ったヘブライ人の心を歌う合唱曲は、イタリア第2の国家

・ヴェルディの生涯 人生さえドラマティックに脚色する 

旧約聖書を題材にしたオペラ《ナブッコ》の作曲を依頼されたのが転機となって自信を取り戻し、当時のイタリアで高まる統一への機運を自らの音楽に反映させ、スカラ座史上に残る大ヒットを記録。愛国的感情への訴えが作品の成功に繋がると知ってその後に活かす

最初の9年間にオペラ全28曲の半分を書きあげる

しばしば厳しい検閲にあって内容変更を余儀なくされている

・ヴェルディ音楽の聴きどころ!──美しい旋律とドラマチックなオペラ 

様式的には、「後期ベルカント・オペラ」に分類。ベルカントは美しい歌の意。ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティ達により洗練された様式で、ヴェルディはそこにドラマ性を加え、大きくて重いドラマチックな声を要求

同年次のヴァーグナーのオペラは、物語の進行をオーケストラが担いヴェルディと異なる

 

「椿姫」パリ社交界で繰り広げられる真実の愛   

同名の芝居からオペラへ

「ドン・カルロ」円熟期の壮大な人間ドラマ!

後期を代表する傑作。シラーの同名の戯曲が基

「アイーダ」古代エジプトを舞台に描かれる愛の物語  

後期を代表する傑作

そのほかの名曲

《リゴレット》 中期3部作の1つ。主要登場人物の感情表現11つが魅力的

《トロヴァトーレ》 中期3部作の1つ。力強い声の共演は大きな見どころ

《オテロ》 晩年の傑作。

《ファルスタッフ》 最後のオペラで、例外的に喜劇 

《レクイエム》 モーツァルト、フォーレとともに3大レクイエムの1

 

【コラム】音楽生活が激変する! オーディオのすすめ

 

ヴェルディ :歌劇「椿姫」 - Act I: Prelude-

 

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ヴェルディ :歌劇「椿姫」 - Act I: Libiamo, ne' lieti calci, "Brindisi" (Drinking Song)

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ヴェルディ :歌劇「椿姫」 - Act II: Scena ed Aria Germont

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ヴェルディ :歌劇「椿姫」 - Act I: Un di, felice, eterea Si redesta in ciel l'aurora (Alfredo, Violetta)

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ヴェルディ :歌劇「椿姫」 - Act I: E' strano! E' strano! - Ah, fors' e lui (Violetta)

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ヴェルディ :歌劇「椿姫」 - Act III: Parigi, o cara Ah! Grand Dio!

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ヴェルディ :歌劇「ドン・カルロ」 - Act I Scene 1: Dio, che nell'alma infondere (Don Carlo, Rodrigo, Chorus)

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ヴェルディ :歌劇「ドン・カルロ」 - Act III Scene 1: O don fatale, o don cruel (Eboli)

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ヴェルディ :歌劇「ドン・カルロ」 - Act III Scene 2: O Carlo, ascolta (Rodrigo)

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ヴェルディ :歌劇「ドン・カルロ」 - Act I Scene 1: Io l'ho perduta! (Carlo, Monk)

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ヴェルディ :歌劇「ドン・カルロ」 - Act I Scene 1: E lui! Desso l'Infante! (Rodrigo, Carlo)

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ヴェルディ :歌劇「ドン・カルロ」 - Act I Scene 1: Dio, che nell'alma infondere (Carlo, Rodrigo)

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ヴェルディ :歌劇「アイーダ」 - Act I Scene 1: Celeste Aida (Radames)

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ヴェルディ :歌劇「アイーダ」 - Act II Scene 2: Gloria all'Egitto, ad Iside (Crowd, Priests)

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ヴェルディ :歌劇「アイーダ」 - Act IV Scene 2: O terra addio (Aida, Radames, Chorus, Amneris)

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ヴェルディ :歌劇「イル・トロヴァトーレ」 - Act II: Vedi, le fosche notturne (Chorus)

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ヴェルディ :歌劇「イル・トロヴァトーレ」 - Act II: Il balen del suo sorriso (Conte, Ferrando, Chorus)

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ヴェルディ :歌劇「イル・トロヴァトーレ」 - Act III: Di quella pira (Manrico, Leonora, Ruiz, Chorus)

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ヴェルディ :歌劇「オテロ」 - Act I: Esultate! (Otello)

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ヴェルディ :歌劇「オテロ」 - Act I: Gia nella notte densa (Otello)

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ヴェルディ :歌劇「オテロ」 - Act II: Sì, pel ciel marmoreo giuro! (Otello)

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ヴェルディ :歌劇「オテロ」 - Act IV: Niun mi tema (Otello)

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ヴェルディ :歌劇「ファルスタッフ」 - Act I Scene 1: L'Onore! Ladri! Io stesso, si, io, io (Falstaff)

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ヴェルディ :歌劇「ファルスタッフ」 - Act II Scene 1: E sogno? O realta (Ford)

[X]25

ヴェルディ :歌劇「ファルスタッフ」 - Act III Scene 2: Dal labbro il canto estasiato vola (Fenton, Nannetta)

[X]26

ヴェルディ :歌劇「ファルスタッフ」 - Act III Scene 2: Un coro e terminiam la scena Tutto nel mondo e burla (Falstaff, Ford, Tutti)

[X]27

ヴェルディ :レクイエム - Requiem: Requiem - Kyrie

[X]28

ヴェルディ :レクイエム - Dies irae: Dies irae

[X]29

ヴェルディ :レクイエム - Dies irae: Ingemisco

 

 

第8幕 チャイコスフキー 優美な3大バレエ音楽の生みの親

・心震えるウクライナの体験  

オデッサは、リヒテルやギレリスを輩出した街。チャイコフスキーもキエフ近郊で夏を過ごし、そこで得た着想からたくさんの名曲を書いている

・チャイコフスキーの生涯 病的なまでの鋭い感性 

正式な西欧の音楽教育を受け、当時反西欧を掲げる「ロシア5人組」とは一線を画す

ロシアやウクライナの民族音楽を積極的に取り入れ、国粋主義的な影響が強く見られる

オペラが得意でなかったのは、登場人物のほとんどに共感できなかったから。その必要がないバレエ音楽では成功

・心を刺激する独特の音楽──優美で抒情的な魅力はどこからくるか 

5人組の音楽は、どことなく泥臭く、民族的な力強さがあり、大きな魅力だが、チャイコフスキーの音楽は、非常に優雅で、洗練された印象を与える。美しく抒情的なメロディーからは優しく柔らかで繊細な人間性が感じられる

 

序曲「1812年」作品49 ナポレオン戦争の戦勝記念と慰霊の年  

1812年はナポレオン軍がモスクワから撤退を余儀なくされた年。戦勝記念と戦没者慰霊のために皇帝が建立したハリストス大聖堂の70年後の完成記念のために作られた曲

「くるみ割り人形」 冬の定番曲となった「おとぎの世界」

バレエの世界観を音楽で表現することにかけてとりわけ優れた能力を発揮

交響曲第6番「悲愴」作品74 「交響曲の神髄は『人生』である」   

最後の作品。自身は「標題交響曲」と呼び、「計画されている交響曲の神髄は「人生」だ」と語るように、自分の人生を表現しようとした。第1楽章から順に「すべての衝動的情熱、自信、活動への渇望」「愛」「失望」「死で終わる」と標題がつけられているが、第3楽章は当初の構想と違い、苦悩の中で獲得した成功のイメージに近い。最終楽章は、古典派様式と異なり、ゆっくりしたテンポで演奏され、深い悲しみを表そうとしている

そのほかの名曲

《ただ憧れを知るものだけが》 若い頃作曲した6曲の歌曲の1

《交響曲田2番》作品17 チャイコフスキーの国民楽派的な性格が最もよく表れた曲。複数のウクライナ民謡の旋律が用いられたことから、ウクライナを意味する「小ロシア」とも呼ばれる。第4楽章はベートーヴェンが度々用いた希望の3度の音型で始まる

《白鳥の湖》作品20 《ローエングリン》のテーマにも似ている

《ピアノ協奏曲第1番》作品23 国民主義的な影響が強く見られる曲。ウクライナ民謡が用いられていることが特徴

《エフゲニー・オネーギン》作品24 チャイコフスキーを代表するオペラ。題材はプーシキンの同名の戯曲。メロディーの美しさは絶品

《スラブ行進曲》作品31 オスマンによってセルビアのスラブ人が殺害された事件での犠牲者追悼のための曲。セルビア・ロシア行進曲とも呼ばれる。《1812年》との共通点も

《交響曲第4番》作品36 同性愛を偽装するために結婚するが失敗、その後で書かれた曲で、本心を晒すことが出来ない葛藤や苦しみ、心の中の満たされない欲求などが表れる

《弦楽セレナーデ》作品48 多くのセレナーデを作曲した尊敬するモーツァルトの精神に立ち返るために書かれた曲。古典的な性格を持った音楽

《晩禱(ばんとう)》作品52ロシア正教の聖歌をの旋律を基にアカペラの合唱曲としたもの。ラフマニノフに同名の曲があるが、比較的シンプルな和音で作られ、素朴な感じ

《交響曲第5番》作品64 冒頭の絶望から最後は勝利へと変わる音楽には感動

 

【コラム】違いが分かる「耳」の育て方

レベル1 ピッチ(音の微妙な高さ)の違いを聴き分ける

レベル2 (楽器の)音色の違いを聴き分ける

レベル3 音楽の違い(演奏家による差異)を聴き分ける

レベル4 音の良し悪しを聴き分ける。好みではなく良し悪し

レベル5 音楽や演奏の良し悪しを聴き分ける。

エキスパート1 聴音が出来る

エキスパート2 楽器を習得した人が持つ耳。どのように体を使ってその音を出しているかが分る

 

1

チャイコフスキー :祝典序曲「1812年」 Op. 49 (合唱付き) - 1812 Festival Overture, Op. 49 (version with chorus)

[X]2

チャイコフスキー :バレエ音楽「くるみ割り人形」組曲 Op. 71a - II. Danses carateristiques: March

[X]3

チャイコフスキー :バレエ音楽「くるみ割り人形」組曲 Op. 71a - II. Danses carateristiques: Dance of the Sugar-plum Fairy

[X]4

チャイコフスキー :バレエ音楽「くるみ割り人形」組曲 Op. 71a - II. Danses carateristiques: Russian Dance, "Trepak"

[X]5

チャイコフスキー :バレエ音楽「くるみ割り人形」組曲 Op. 71a - III. Waltz of the Flowers

[X]6

チャイコフスキー :交響曲第6 ロ短調「悲愴」 Op. 74 - I. Adagio - Allegro non troppo

[X]7

チャイコフスキー :交響曲第6 ロ短調「悲愴」 Op. 74 - IV. Finale: Adagio lamentoso

[X]8

チャイコフスキー 6つの歌 Op. 6 (抜粋) - No. 6. Nur wer die Sehnsucht kennt (None but the Lonely Heart)

[X]9

チャイコフスキー :交響曲第2 ハ短調「小ロシア」 Op. 17 - I. Andante sostenuto - Allegro vivo

[X]10

チャイコフスキー :交響曲第2 ハ短調「小ロシア」 Op. 17 - IV. Finale: Moderato assai - Allegro vivo

[X]11

チャイコフスキー :バレエ音楽「白鳥の湖」組曲 Op. 20a - I. Scene

[X]12

チャイコフスキー :バレエ音楽「白鳥の湖」組曲 Op. 20a - II. Waltz

[X]13

チャイコフスキー :バレエ音楽「白鳥の湖」組曲 Op. 20a - III. Dance Of The Swans

[X]14

チャイコフスキー :ピアノ協奏曲第1 変ロ短調 Op. 23 - I. Allegro non troppo e molto maestoso - Allegro con spirito

[X]15

チャイコフスキー :ピアノ協奏曲第1 変ロ短調 Op. 23 - III. Allegro con fuoco

[X]16

チャイコフスキー :歌劇「エフゲニー・オネーギン」 Op. 24 - Act I Scene 2: Puskai pogibnu ya, no pryezhde (Tatjana)

[X]17

チャイコフスキー :歌劇「エフゲニー・オネーギン」 Op. 24 - Act I Scene 3: Zdyes on, zdyes on, Yevgeni! Kogda bi zhizn domashnim krugom (Tatjana, Onegin, Chorus)

[X]18

チャイコフスキー :歌劇「エフゲニー・オネーギン」 Op. 24 - Act II Scene 2: Nu, shto zhe? Kuda, kuda, kuda vi udalilis

[X]19

チャイコフスキー :スラヴ行進曲 Op. 31 - Marche slave (Slavonic March), Op. 31

[X]20

チャイコフスキー :交響曲第4 ヘ短調 Op. 36 - I. Andante sostenuto - Moderato con anima

[X]21

チャイコフスキー :交響曲第4 ヘ短調 Op. 36 - II. Andantino in modo di canzona

[X]22

チャイコフスキー :弦楽セレナード ハ長調 Op. 48 - I. Pezzo in forma di Sonatina

[X]23

チャイコフスキー :弦楽セレナード ハ長調 Op. 48 - II. Walzer

[X]24

チャイコフスキー :徹夜祷 Op. 52 - Bless the Lord, O my soul (Blagoslovi, dushe moya, Ghospoda)

[X]25

チャイコフスキー :徹夜祷 Op. 52 - Blessed be the man (Blazhen muzh)

[X]26

チャイコフスキー :徹夜祷 Op. 52 - Lord, have cried unto Thee

[X]27

チャイコフスキー :交響曲第5 ホ短調 Op. 64 - I. Andante - Allegro con anima

[X]28

チャイコフスキー :交響曲第5 ホ短調 Op. 64 - IV. Finale: Andante maestoso - Allegro vivace

 

 

 

第9幕 ラフマニノフ クライマックスを重視する 偉大な作曲家

・ロシア、冬空の下での演奏   

・ラフマニノフの生涯 優れたピアニストとしての成功 

ロシアの後期ロマン派を代表する作曲家

・聴きどころは「深み」!──曲の中には必ずクライマックスがある 

ピアニスト、指揮者、作曲家の分野すべてで成功。音楽においては一切の妥協を許さない厳格な人物。「どの音楽にも必ずクライマックスがある」という信念を持ち、クライマックスがわかっていないと、聴き手に伝えなければならないことが分からない

 

ピアノ協奏曲第2番 作品18  偉大なピアニストたちの演奏で    

1番の失敗の後で復活を遂げた作品。生命力に満ちた曲。ラフマニノフを知るうえで重要な「深み」がこの曲でも大きなテーマとなっている

「晩禱」作品37 深い響きに包まれたアカペラの合唱曲

1次大戦中に作曲した合唱曲。晩禱は、ロシア正教の大きな祝日の前の土曜日の夕方行なわれる礼拝のこと。そのしきたりに倣って作曲。アカペラで歌われる。演奏には、普通のバスより1オクターヴ低いオクタヴィストが必要

「ヴォカリーズ」 美しい旋律に乗せた歌詞のない歌曲  

ヴォカリーズとは、母音唱法のこと。母音だけで歌い、歌詞はない

メロディーは、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」(終末思想の1)の音型を用いている

 

そのほかの名曲

《前奏曲嬰ハ短調》作品32 出世作。アメリカで「モスクワの鐘」と題して出版

《ここは素晴らしい場所》作品217 歌曲の代表作

《交響曲第2番》作品27 グレゴリオ聖歌「怒りの日」の旋律が何度も出てくる

交響詩《死の鳥》作品29 スイスの画家ベックリンの同名の絵をを基にした標題音楽

《ピアノ協奏曲第3番》作品30 再演時にマーラーが指揮してともに音楽を作り上げた

《聖金口(きんこう)イオアン聖体礼儀》作品31 ロシア正教会のためのアカペラの合唱曲

《鐘》作品35 合唱やソリストを伴った大規模な合唱交響曲。人生の四季を正教会の鐘に準えた詩を採用

《パガニーニの主題による狂詩曲》作品43 独奏ピアノと管弦楽のために書かれた狂詩曲。パガニーニの《24の奇想曲》の主題を用い、ピアノの可能性が最大限発揮される

《交響的舞曲》作品45 最後の作品。ピアノ2重奏でホロヴィッツと2人で初演

 

【コラム】演奏家のミス、許せますか?

ミスを恐れず、感情を伝えることに重点を置く

 

1

ラフマニノフ :ピアノ協奏曲第2 ハ短調 Op. 18 - I. Moderato - Allegro

[X]2

ラフマニノフ :ピアノ協奏曲第2 ハ短調 Op. 18 - I. Moderato - Allegro

[X]3

ラフマニノフ :徹夜祷 Op. 37 - アヴェ・マリア 「生神童貞女や喜べよ」

[X]4

ラフマニノフ :徹夜祷 Op. 37 - 復活の讃詞 「爾は墓より復活し」

[X]5

ラフマニノフ :徹夜祷 Op. 37 - 聖母マリアの感謝の讃歌 「おお勝利の先導者よ」

[X]6

ラフマニノフ 14の歌 Op. 34 - 14 ヴォカリーズ ホ短調 - 14 Songs, Op. 34: No. 14. Vocalise

[X]7

ラフマニノフ 14の歌 Op. 34 - 14 ヴォカリーズ ホ短調(管弦楽版) - 14 Songs, Op. 34: No. 14. Vocalise (version for orchestra)

[X]8

ラフマニノフ :幻想的小品集 Op. 3 - 2 前奏曲 嬰ハ短調「鐘」 - Morceaux de fantaisie, Op. 3: No. 2. Prelude in C-Sharp Minor

[X]9

ラフマニノフ :幻想的小品集 Op. 3 - 2 前奏曲 嬰ハ短調 「鐘」

[X]10

ラフマニノフ 12の歌 Op. 21 (抜粋) - 7 ここはすばらしい場所

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ラフマニノフ 12の歌 Op. 21 - 7 ここはすばらしい場所 - 12 Songs, Op. 21: No. 7. Zdes' khorosho (How Fair this Spot)

[X]12

ラフマニノフ :交響曲第2 ホ短調 Op. 27 - I. Largo -

[X]13

ラフマニノフ :交響曲第2 ホ短調 Op. 27 - III. Adagio

[X]14

ラフマニノフ :交響詩「死の島」 Op. 29 - Ostrov myortvikh (The Isle of the Dead), Op. 29

[X]15

ラフマニノフ :ピアノ協奏曲第3 ニ短調 Op. 30 - I. Allegro ma non tanto

[X]16

ラフマニノフ :ピアノ協奏曲第3 ニ短調 Op. 30 - I. Allegro ma non tanto

[X]17

ラフマニノフ :ピアノ協奏曲第3 ニ短調 Op. 30 - I. Allegro ma non tanto

[X]18

ラフマニノフ :聖ヨハネ・クリュソストムスの典礼 Op. 31 - Great Ektenia

[X]19

ラフマニノフ :聖ヨハネ・クリュソストムスの典礼 Op. 31 - The First Antiphon: Bless the Lord, o my soul

[X]20

ラフマニノフ :聖ヨハネ・クリュソストムスの典礼 Op. 31 - The Second Antiphon: O only begotten Son and Word of God

[X]21

ラフマニノフ :合唱交響曲「鐘」 Op. 35 - I. Die silbernen Schlittenglocken: Allegro ma non tanto

[X]22

ラフマニノフ :合唱交響曲「鐘」 Op. 35 - II. Die zarten Hochzeitsglocken: Lento

[X]23

ラフマニノフ :パガニーニの主題による狂詩曲 Op. 43 - Rhapsody on a Theme of Paganini, Op. 43

[X]24

ラフマニノフ :パガニーニの主題による狂詩曲 Op. 43 - 18変奏 アンダンテ・カンタービレ - Rhapsody on a Theme of Paganini, Op. 43: Variation 18: Andante cantabile

[X]25

ラフマニノフ :交響的舞曲 Op. 45 - I. Non allegro

[X]26

ラフマニノフ :交響的舞曲 Op. 45 - II. Andante con moto (Tempo di valse)

 

 

10 ラヴェル ダンディで完璧主義「管弦楽の魔術師」

・パリが「芸術の都」と呼ばれる理由   

・ラヴェルの生涯 スペイン・バスクの血を引く作曲家 

バスク地方の生まれ。14歳でパリ音楽院ピアノ科に入学。その年のパリ万博でジャワのガムラン音楽とリムスキー・コルサコフのロシア音楽に影響され、「管弦楽の魔術師」の基礎を築く。《パヴァーヌ》で評判をとりながら、ドビュッシーの模倣との批判も

1次大戦参戦中の母親の死で、一旦創作意欲を削がれるが、アメリカに旅行して復活

・隙のない美しいラヴェル音楽──色彩豊かで完璧な魅力とは  

完璧主義者。内面を決して見せないよう暮らす。創作過程も内密に。内面に向かうエネルギーが特徴

 

「亡き王女のためのパヴァーヌ」M.19 宮廷で王女が躍るかのような舞曲  

最初の成功したピアノ曲。パヴァーヌは宮廷の舞曲。昔の宮廷を想像して作曲

「ダフニスとクロエ」M.57 エーゲ海の島を舞台にした恋物語  

バレエ音楽だが、振り付けは残っていない。のちに組曲に編曲

「ボレロ」M.81 「管弦楽の魔術師」ラヴェルの真骨頂

ボレロは18世紀のスペイン発祥の舞曲。オーケストラのクレシェンドだけが唯一の変化となる曲を思いつく。同じメロディーを、異なる楽器の組み合わせで演奏し、音色と雰囲気に変化を与える

 

そのほかの名曲

《水の戯れ》M.30 ピアノ曲。初期の傑作。不協和音を多用して非現実な世界観を表現

《スペイン狂詩曲》M.54 管弦楽曲の代表作。スペインの民族的な要素を含む

《マ・メール・ロワ》M.60/M.62 ピアノ連弾曲から後に管弦楽曲やバレエ音楽に編曲。イギリスの童謡《マザーグース(仏語でマ・メール・ロワ)》を題材にした組曲

《高雅で感傷的なワルツ》M.61 ピアノ独奏曲から管弦楽曲へ編曲。「高雅なワルツ」を作曲したシューベルトのワルツを念頭に置いて描かれた

《クープランの墓》M.68 ピアノのための6つの組曲。のちに4つを抜粋して管弦楽曲に編曲。フランスを代表するバロック音楽の作曲家クープランに敬意を表した曲

《ラ・ヴァルス》M.72 オーケストラのために作曲したワルツ。踊りには不向きとされ、純粋な管弦楽曲として初演

《左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調》M.82 第1次大戦で右手を失ったピアニストの依頼で書く。「混在したミューズたち」とのメモが書き込まれ、神話の世界観をイメージ

《ピアノ協奏曲ト長調》M.83 晩年の作曲。アメリカで書かれ、ジャズ風な趣味が散見

《ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ》M.84 バリトンのために書かれたオーケストラ伴奏付き歌曲。最後の作品

 

 

 

1

ラヴェル :亡き王女のためのパヴァーヌ(ピアノ版) - Pavane pour une infante défunte (version for piano)

[X]2

ラヴェル :亡き王女のためのパヴァーヌ(管弦楽版) - Pavane pour une infante défunte (version for orchestra)

[X]3

ラヴェル :ダフニスとクロエ 2組曲 - Daphnis et Chloe Suite No. 2

[X]4

ラヴェル :ダフニスとクロエ 2組曲 - Daphnis et Chloé Suite No. 2

[X]5

ラヴェル :ボレロ - Bolero

[X]6

ラヴェル :水の戯れ - Jeux d'eau

[X]7

ラヴェル :水の戯れ - Jeux d'eau

[X]8

ラヴェル :スペイン狂詩曲 - Rapsodie espagnole

[X]9

ラヴェル :マ・メール・ロワ - 1 前奏曲

[X]10

ラヴェル :マ・メール・ロワ - 2 1 紡車の踊りと情景

[X]11

ラヴェル :マ・メール・ロワ - 9 5 パゴダの女王レドロネット - 10 間奏曲 - 11 終曲 妖精の園

[X]12

ラヴェル :高雅で感傷的なワルツ(ピアノ版) - 1 中庸の速さで

[X]13

ラヴェル :高雅で感傷的なワルツ(ピアノ版) - 2 かなりゆるやかに

[X]14

ラヴェル :高雅で感傷的なワルツ(ピアノ版) - 3 中庸の速さで

[X]15

ラヴェル :高雅で感傷的なワルツ(管弦楽版) - I. Modéré

[X]16

ラヴェル :高雅で感傷的なワルツ(管弦楽版) - II. Assez lent

[X]17

ラヴェル :高雅で感傷的なワルツ(管弦楽版) - III. Modéré

[X]18

ラヴェル :クープランの墓(ピアノ版) - 1 前奏曲

[X]19

ラヴェル :クープランの墓(ピアノ版) - 2 フーガ

[X]20

ラヴェル :クープランの墓(ピアノ版) - 3 フォルラーヌ

[X]21

ラヴェル :クープランの墓(管弦楽版) - 1 前奏曲

[X]22

ラヴェル :クープランの墓(管弦楽版) - 2 フォルラーヌ

[X]23

ラヴェル :ラ・ヴァルス(管弦楽版) - La valse (version for orchestra)

[X]24

ラヴェル :左手のためのピアノ協奏曲 - Piano Concerto for the Left Hand

[X]25

ラヴェル :ピアノ協奏曲 ト長調 - I. Allegramente

[X]26

ラヴェル :ピアノ協奏曲 ト長調 - II. Adagio assai

[X]27

ラヴェル :ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ(声と管弦楽版) - No. 1. Chanson romanesque

[X]28

ラヴェル :ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ(声と管弦楽版) - No. 3. Chanson a boire

[X]29

ラヴェル :ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ(声とピアノ版) - No. 1. Chanson romanesque

[X]30

ラヴェル :ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ(声とピアノ版) - No. 3. Chanson a boire

 

 

 

 

 

 

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音楽にはたくさんの魅力や大切なことがあります。
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それによって聴き手の心の中には、様々な感情が巻き起こり、やがて心の中で自分自身との対話へと つながります。
しかしこのような経験は、自分が感じたことを大事にして初めて体験できることでもあるのです。

 

 

北海道新聞

<訪問>「涙がでるほど心が震える すばらしいクラシック音楽」を書いた車田和寿(くるまだ・かづひさ)さん

中村公美

2025928 4:00

作曲家や名曲の魅力 声楽家目線で

 著者はドイツを拠点に数多くのオペラに出演する声楽家。本書は「クラシック音楽を楽しむ入り口になれば」と、バッハやモーツァルトら偉大な10人の作曲家を紹介。その生涯にふれながら、楽曲の持ち味をわかりやすく解説する。

 公演活動や国内外での指導など多忙な日々を送る。2021年からはクラシックや声楽をテーマにしたユーチューブチャンネルを開設。「わかりやすく、音楽が身近になった」と人気を集め、現在は15万人の登録者を持つ。本書は「30年以上音楽に携わってきた経験をすべて込めて書き上げた」という。

 印象的なのは、行間にあふれる音楽への愛と、生き生きとした筆致。かなわぬ恋に苦悩するブラームスらの興味深い素顔が描かれるほか、それぞれの人生や時代が作品に与えた影響などを初心者でもわかるように説明する。オペラ歌手としての深い洞察が光るほか「音楽は人の心をつなぐと同時に、心を自由にするかけがえのない存在」との思いが伝わってくる。

 「国や時代の偏りをなくし、バランス良く代表的な音楽家を取り上げた」という本書では、約130曲の名曲を紹介。QRコードから冒頭が無料視聴でき、多彩なクラシックの世界を気軽に楽しむことができる。「文章で知識を深め、音楽を聞いて感じることで、新たな発見があり世界が広がるのでは」と狙いを話す。

 1979年、福島県出身。中学生のときは管弦楽部だったが、合唱コンクール参加を機に自身の声の力を意識。高校入学後は声楽家を目指して専門家から学び、国立音大声楽科に進学。卒業後は都立高校の音楽教諭を経て、2006年にドイツに留学。ブレーメン芸術大声楽科在学中にキール歌劇場でオペラ歌手デビュー。ドイツ国内外の歌劇場で数多くのオペラのソリストを務めるなど、年間5070公演に出演してきた。「声楽家は独り善がりにならないよう、多くの人に聞いてもらうことが重要です」

 ドイツで培った経験を生かし、若手声楽家の育成に力を入れるが、今後は日本のオペラファンを増やす活動にも取り組みたいと考えている。「オペラは演技やせりふで音楽を楽しむことができる総合芸術。多くの人に親しんでもらえるよう、日本の地方都市を巡る活動ができたらと思います」

 中村公美 

 

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