Invent & Wander   Jeff Bezos  2022.5.6.

 2022.5.6. Invent Wander Jeff Bezos Collected Writings

Invent Wander: The Collected Writings of Jeff Bezos  2021

 

寄稿    Jeff Bezos Amazon創業者、元CEO。宇宙飛行士のコスト削減と安全性向上に取り組む宇宙開発企業ブルー・オリジン創業者。ワシントン・ポスト社オーナー。’18年ホームレスの家族を支援する非営利団体の支援や低所得地域の優良な幼稚園のネットワーク構築に注力するベゾス・デイワン基金設立。'86年プリンストン大を電気工学とコンピュータサイエンスでサマ・カム・ラウディ(最優秀)、ファイ・ベータ・カッパ(全米優等学生友愛会)メンバーとして卒業。’99年タイム誌「パーソン・オブ・ザ・イヤー」選出

 

序文 Walter Isaacson 元『タイム』誌編集長。『スティーブ・ジョブズ』『レオナルド・ダ・ヴィンチ』など著作多数

 

訳者 関美和 翻訳家。MPower Partners Fundゼネラル・パートナー。慶應大文・法卒。電通、スミス・バーニー勤務の後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経てクレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長。アジア女子大(バングラデッシュ)支援財団の理事も務める。訳書に『FUCTFULLNESS

 

発行日           2021.12.7. 第1刷発行

発行所           ダイヤモンド社

 

 

アマゾンの驚異的成功を生んだ、考え方・ロジック・原則のすべて

l  Day 1哲学」の重要性

l  なぜ「長期がすべて」なのか?

l  顧客に「本当にこだわる」とはどういうことか?

l  「新しいビジネス」を始め、成長を生み出す方法

l  「カルチャー」が致命的に重要な理由

l  「失敗への意欲」と「イノベーション」の密接な関係

l  「パンデミック」で明らかになったこと

 

 

Introduction            Walter Isaacson

何人もの偉人の伝記を書いてきたが、彼らが特別なのは、創造性とひらめき。真のイノベーターにはそれがあり、現存する人物で並ぶのはベゾス

創造性とひらめきの素にあるものは、第1に飽くなき好奇心で、時に知識より重要(アインシュタインの言葉)。次いで芸術と科学を愛し、その2つを結びつけていることで、テクノロジーと人間性が結びついた時、心を震わすようなものが生まれる(スティーブ・ジョブズ)

さらには、「現実歪曲空間」を備えていることも特徴の1つでジョブズのいう「Think Different」はその一例であり、相対性理論もその考え方をヒントに生まれたもの

また、あらゆるものごとにまるで子供のような驚きの念を持っていることも共通しているベゾスはこうした特徴をすべて併せ持つ人物。ナラティブやストーリーテリングに興味を持つのは、物語に個人的な情熱を抱いているから

偉大な科学や探検や発見の瞬間を記した歴史的な遺物を収集しているが、こうした人文科学への愛とテクノロジーへの情熱に、ビジネス感覚を結び付けている。その3者の組み合わせこそ、ベゾスが現代の最も成功した影響力のあるイノベーターである所以

ベゾスは、数多くの産業を根本から変えた。世界最大のEC(E-Commerce)サイトであるアマゾンは、買い物のあり方を変え、我々が配送や配達に期待するものを変えた。重工業を宇宙に移すという長期的目標を見据えて民間の宇宙開発企業を設立

母方の祖父ローレンス・ギーゼは、元海軍司令官で、水素爆弾の開発に携わる。自活力と冒険心は母親譲り。17歳でジェフを生み、キューバ難民と再婚してジェフを育てた

10歳で、スタートレックのゲームへの情熱がコンピュータに繋がり、独学でプログラムしてゲーム三昧となる

物理学をするためにプリンストンに入るが、自らの限界を知って電気工学とコンピュータサイエンスに切り替え。卒業後はヘッジファンドに入り市場のミスプライスの発見に没頭したが、インターネットが年率2300%を超える成長との統計を目にして、オンライン小売店舗開設というアイディアを思いつく。上司からは止められたが、後に自身のリスク計算思考の一部として有名になった思考実験である「後悔最小化のフレームワーク」により、80歳になって判断を振り返った時にどう思うかを想像してできるだけ後悔の数を減らそうとして決断

エンジニアを採用しやすいことからシアトルに本拠を構え、’95年開店すると注文が殺到

書籍の成功を糧に、”Everything Store”を目標として、対象を音楽とビデオに、次いで家電とおもちゃ拡大。特に利用者の声から「ロングテール」の概念を学んだのが大きい

‘99年末、『タイム』誌がPerson of the Yearにまだ黎明期のベゾスを選んだときは、ドットコムバブルの熱狂が冷め始めたころで、大きな冒険だった。アマゾンの株価も大暴落したが、ベゾスのビジネスモデルは間違っていなかった

アマゾンのイノベーションの好例の1つがアマゾン・プライムで、アメリカ人の意識を一変させた。アマゾン・ウェブ・サービスAWSもクラウドとストレージサービスでインターネット起業者に浸透、数年にわたってライバルが現れない奇跡に恵まれた

スマートスピーカーのアマゾン・エコーとホームアシスタントのアレクサも、機械学習とクラウドの開発から生まれたもので、顧客ニーズを先取りして成功、市場調査ではなく、直感から生まれた

ブルーオリジンはアマゾンとは別にベゾスが情熱を注いでいる事業。再利用可能なロケットを使って、伝道者として宇宙探検に臨む

2013年、ワシントン・ポストを買収、資金と熱量と技術力と新しい記者を投入したのは、社主のグラハムからの申し出に対し、同紙の重要性を直感して乗り出した

私が最も重要だと思うベゾスの教訓は以下の5

1. 「長期Long Term」に目を向ける――長期的に市場リーダーとしての地位を固めることを考えて、投資判断を続ける。長期に目を向けることで、より速くより安く優れたサービスを求める顧客の利益と、投資リターンを求める株主の利益を一致させることができるし、長期思考はイノベーションを可能にする

2. しつこく情熱的に「顧客」に集中する――顧客中心の企業を目指す。物を売って利益を得るのではなく、顧客の購買判断を助けることで対価をもらっている

3. 「パワポとスライド」のプレゼンを避ける――物語の持つ力を信じ、ナラティブ形式の文章で訴える

4. 「大きな判断」に集中する――「後戻りできる決定」については意思決定のプロセスを分散させるように努め、「後戻りできない決定」にこそリーダーは集中すべき

5. 「適材」を採用する――採用の基準は、尊敬できる人物か、加入するチームの能力を引き上げてくれるか、どの側面でスーパースターになる可能性があるかの3つ。長時間にわたって、一所懸命、賢く働くことを求められる

'20年、ベゾスは圧力をかけてきた議会下院で、人種問題や気候変動・経済格差、パンデミックへの対応などアメリカの直面する課題を列挙しつつ、「問題は山積だが、それでも、私たちがこのアメリカで享受している恩恵のほんの一部でも受けられればありがたいと思う人たちが、世界には大勢いるはず。この国では、毎日が始まりの日だ」と証言

 

出典について

以下は全て、ベゾスの言葉と考えを収録したもの

Part 1は、アマゾンの株主に送る手紙を集めた

Part 2は、ベゾスのインタビューや講演の原稿を集めた

 

 

Part 1   株主への手紙

l  長期がすべて                  1997

1997年、Amazon.comは大きな躍進を遂げたが、今はインターネットの始まりの日(Day 1)であり、アマゾンにとっても始まりの日に過ぎない

アマゾンの成功は、私たちが生み出す長期的な株主価値によって測られると信じる。その価値とは、市場リーダーとしての地位を確固たるものにしていく能力そのもの

市場の1番手、リーダーとしての地位の強固さを評価の指標として意思決定をしている

顧客に集中し続け、圧倒的な価値を届けることに集中

 

l  こだわり              1998

世界で最もお客様中心の企業を築くつもり。顧客は鋭く賢いということを心に留めつつ、ブランドイメージは現実の投影だということを大原則に掲げる

継続的なイノベーションと顧客体験への徹底的なこだわりを通して自らを差別化してきた

 

l  先の先を見据えて事業を築く                  1999

書籍だけでなく新しいカテゴリーでも最高のオンラインストアとして認められている

株主は、世界最大のイーコマースプラットフォームの一部を所有している

2000年度の目標は、顧客数を伸ばし、顧客11人との関係を強化すること。速いペースで商品とサービスを拡充すること。現場の業務遂行力を卓越させること。すべての事業領域で収益性を追求すること

我々は二重に恵まれている。市場規模が青天井の領域で事業を行い、その土台となるテクノロジーが日々進化している。これは千載一遇のチャンス

 

l  長期を見据える               2000

株価は80%以上下落しているが、企業業績はあらゆる指標で力強く、顧客満足度も84

「株式市場は短期的には投票機だが、長期的には計量器」と言われていることもあり、長期的な目で力をつける努力をしていく

顧客体験が果てしなく向上していくことでイーコマースは成長し、新規顧客が増加する。顧客体験を向上させてくれるのは、回線容量及びディスク容量の増加と処理能力の劇的な向上(ムーアの法則)であり、それらすべてが猛烈なスピードで安くなっていくことを背景としたイノベーションによるもの。リアルタイムで個人に合わせたウェブサイトのパーソナリゼーションが向上する。小売業の15%近くはそのうちオンラインに移ると信じる

 

l  顧客基盤が最も価値ある資産                  2001

4四半期には、成長とコスト削減のバランスが効果を発揮し始め、利益目標を大幅に上回ると同時に、事業成長が再び加速

20011月立ち上げのマーケットプレイスが順調に伸びる

Amazon.comの土台となっていたのは、「豊富な品揃え」と「利便性」だったが、今年はそこに、徹底的かつ継続的な価格の引き下げが加わる

 

l  お客様にいいことは株主にもいい            2002

幅広い品揃えが可能であると同時に、棚卸資産の回転率は年間19回に上る。さらに個々の顧客に合わせて店舗をパーソナライズしている

フルフィルメント業務(受注から決済、配送に至るまでの業務全般)におけるミスやエラーの根本原因を突き止め除去することに長けている――ミスを減らせば費用が低減し、顧客体験は向上する

顧客体験の大半を固定費化することにより、事業が急拡大すれば、固定費は相対的に圧縮されるので、価格を下げつつ顧客体験を向上させることが可能

全米顧客満足度指数で、過去最高の88点を獲得――すべてのサービス業の中で過去最高

ベストセラーリストの上位100冊の合計価格を大型書店と比較したところ、アマゾンの方が23%安く買えた――大型書店での値引きは15冊に対し、アマゾンでは76冊が値引き

低価格と顧客満足を同時に実現しながら、業績も向上させ、顧客にとっていいことが株主にとってもいいことに繋がっている――顧客単価が34%増、株主利益であるフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローから固定資産購入費を差し引いたもの)も黒字に転換

 

l  長期思考              2003

長期思考は真のオーナーシップに必須の条件であると同時に、その産物でもある

ウェブサイトに悪いレビューを載せたり、インスタント・オーダー・アップデートで以前購入済みの商品を注文すると自分で気づくことのできるサービスの導入も売上減に繋がるが、敢えて実行したのは顧客のより良い購買判断を助けることが最終的に会社の利益に繋がるから

顧客体験改善のために最もコストがかかったのは、配送料無料サービスと継続的な商品値下げ――欠陥を排除し、その結果削減されたコストを値下げという形で顧客に還元することは、長期的な意思決定であり、値下げとコスト構造改善の果てしない循環を推進することによって、アマゾンの事業はより強く、より価値の高いものになるはず

 

l  財務について話をしよう              2004

究極の財務目標=長期成長の最大の原動力と考える指標は、1株当たりのフリーキャッシュフロー――株式の価値は将来のキャッシュフローの現在価値

損益計算書や利益成長率では問題なく見えても、固定資産投資を勘案したフリーキャッシュフローでの成長が見込まれなければ株主価値が創造されているとは言えない

棚卸資産を素早く回転させ、サプライヤーへの支払い前に顧客から集金できるため、キャッシュを生み出す営業サイクル(在庫回転日数+売掛金日数‐買掛金日数)が構築されている

フリーキャッシュフローの増加に加えて、株式希薄化についても、転換社債の返済により潜在的な希薄化対象の株式を償却するなど、株式数の効率的な抑制に配慮している

 

l  意思決定              2005

データに基づく意思決定はアマゾンの得意とするところだが、それにも増して重要なのは判断力――効率性と規模拡大によって毎年継続的かつ大胆に値下げをするとしているが、その決定は数字に基づくやり方で決められない、重要な意思決定の一例

価格弾力性については大量のデータがあるが、定量分析は短期的なものでしかなく、時として定量的な分析に反した意思決定が必要

アマゾン・プライムもサード・パーティ出品者への商品詳細ページ開放も定量分析の結果からは出てこない判断

強力な定量的かつ分析的な文化と大胆な意思決定を行える勇気を併せ持つことが重要だが、その両面を組み合わせるに当たり、まずは顧客を起点にそこから遡って仕事をする

「構造化されない意思決定プロセスの構造」 → 1976年に3人の科学者が書いた論文で、組織がより定量的な業務決定とは対極にある「構造化されていない」戦略的な意思決定をどのように行うかを調査した結果、「科学者が業務決定に注目し過ぎると、組織は間違った行動に走りやすくなる」との結論に達した

 

l  新規事業を成長させる                2006

新規事業の判断には、高いリターン、高い成長性に加え、顧客に差別化要因を持ち込める力の有無が重要――フルフィルメント・バイ・アマゾンは出品者にアマゾンのフルフィルメントサービスを利用させるもの、アマゾン・ウェブ・サービスはソフトウェア開発者にアマゾンのウェブサイトを利用させるサービスで、何れも新規事業として成功

 

l  伝道者たち           2007

‘07年、アマゾン・キンドルお披露目――リアル書店を真似るのではなく、発想だけをもらって、リアルには出来ないが新しいメディアならできることを見つけた成果。膨大な品ぞろえ、読者のレビューを通して購入判断を支援、発見機能 (この本を買った人はこちらも買っている)や、検索機能の提供。読みたい本を探して手に入れるまで1分もかからない簡単便利な購買体験など。さらに出版社にとってもいいことだらけ

人間はツールとともに進化する。ツールが変われば私たちも変わる。デスクトップや携帯など繋がり合うツールが私たち人間を変えている。人々は情報をつまみ食いするようになり、短い時間しか物事に集中できなくなっている。ツールによって楽に情報のつまみ食いが出来れば、人々は長い文章を読まなくなり、もっと情報をつまみ食いするようになる

キンドルは長い文章を読むことを目的とした専用ツール。集中力が持続する方向に向かって新しいツールが、蔓延している情報のつまみ食いへの対抗力になることを願う

志ある伝道者として、より良いプロダクトを作っていく:kindle=火を熾(おこ)

 

l  お客様起点で考える                   2008

長期思考によって既存の能力が引き出され、思いもよらないような新しいことが可能になり、失敗と反復が許容され、それが発明にもつながり、未知の領域を開拓する自由が生まれる。さらにはお客様にこだわる姿勢に大きく重なる

顧客視点で「遡って考える」working backwardsという哲学は、手持ちのスキルによって何ができるかを考える「スキル起点の考え方」とは対照的

'05年にアマゾン・プライムを始めたのも同じ理由。79ドル/年で2日以内の配送が無料

 

l  目標を定める                  2009

目標設定の会議は長く、活発で、細かいのが特徴

2010年に向けた目標は452項目、年に数回レビューし修正する

360項目は顧客体験に直接インパクトを与えるもので、売上に関するものは8項目、フリーキャッシュフローに関するものは4項目しかなく、「利益」「利益率」は0

 

l  基本ツール           2010

アマゾンのテクノロジーは、ほぼ必ず「サービス」として実行される。サービスとは、動作に必要なデータをカプセル化し、セキュリティが強化されたインターフェースを提供するロジックの小さなまとまり

アマゾンのテクノロジーの土台となる抽象的概念が、サービス指向アーキテクチャSOA

 

l  発明のちから                  2011

アマゾン・ウェブ・サービスAWSが企業の成長を助け、キンドル・ダイレクト・パブリッシングKDPが本の出版を容易なものとしている

発明は、形も規模も様々だが、中でも人々に力を与え、その創造性を解き放ち、夢を追いかけることを可能にするようなものこそ、世の中を一変させる劇的な発明といえる

セルフサービス型のプラットフォームを提供することで、多くの人々が大胆に試行錯誤を行い、不可能だったり現実的でなかったことを実現し、ウィンウィンの状況が生まれた

セルフサービス型に固執するのは、イノベーションを遅らせないためで、無理そうなアイディアを試すことで限界が広がり、社会が多様性の恩恵を受ける

作家にとってKDPはいいことづくめ。著作権や派生的権利を作家が持ち続けられ、好きなタイミングで出版できる。印税率は70(大手出版社が電子書籍の著者に支払う印税率は17.5)。一般的な書籍の単価は2.99ドルなので、著者は2ドルを受け取れる

 

l  最大の競争相手は自分                2012

アマゾンの何よりの活力の源はお客様に喜んでほしいという願い

顧客体験の急速な改善に向けて努力――顧客体験が自社の高い基準に満たないケースを自動検知するシステムを開発し、ビデオ視聴中の画質の低下などでは返金などの対応をし、予約日と発売日の間の最安値を保証して発売日に値が下がっていれば差額を返金

 

l  「あっ」と言わせる            2013

プライム――対象商品が20百万超を超え、増え続けている

キンドルは、航空機の離着陸時にも使用が認められた

ファイアTV開始――ビデオ視聴用の軽量ハードウェア。ASAPテクノロジーによって顧客の見たいコンテンツを予測し、事前バッファリングによりすぐに視聴可能

アマゾン・フレッシュ――西海岸3都市でサービスを開始、生鮮食品に始まり、家電・おもちゃや家庭用品にまで対象を拡大

社員のエンパワメント策実施――キャリアチョイスはスキル取得の支援、ペイ・トゥー・クイットは辞めるならお金を払う制度で自らのやりたい仕事を考えさせる仕組み、バーチャル・コンタクト・センターは在宅で顧客向けサービスを提供するもの

退役軍人の採用は政府の軍事奉仕者支援プログラムの一環、

物流イノベーション

メイデイ――デバイス上での技術サポートに対する考え方を革命的に塗り替えた。キンドル用のデバイスに組み込んだ音声反応サービス

 

l  3つのビッグアイディア              2014

理想の事業アイディアの特徴とは――顧客に愛される、巨大な規模に拡大できる、投下資本への高いリターン、長期にわたって継続できる

アマゾンの理想の事業3本柱は、マーケットプレイス、プライム、AWS

いずれの事業でも使うツールは同じ――顧客への拘り、イノベーションへの情熱、優れた業務運営への注力、長期的思考

マーケットプレイスの始まりはオークション。商品詳細ページでサードパーティ出品者と自社のカテゴリ担当者を競わせたところ、瞬く間にサードパーティの商品が増加。いまではその割合が40%超となり、全世界で200万超のサードパーティ出品者がマーケットプレイスで商品を販売するが、同時にアマゾンの商品にも弾みがついた

セリングコーチというサービスを通して、機械学習による「お知らせ」を出品者に自動的に発信し、在庫切れや価格変更など出品者の業績向上へのヒントを提供

アマゾン・プライムは、買物史上最高にお得なサービスとして顧客が理解するという勘から始まったが、会員規模の拡大により即時配送のコストが劇的に削減され、さらには追加費用で1時間以内の配送を提供するサービス(プライムナウ)へと発展している

AWSも、速くて小回りが利く利点が認められ、スタートアップに加えて大企業の利用が増えている

 

l  ひとつの大勝ちが多くの実験をまかなう              2015

史上最速で年間売上1000億を達成。AWSはもっと速い速度で100億を達成

両者には、いくつかの原則を心から気にかけ、その原則に忠実に行動するという際立った組織文化が共通点として内在――顧客に拘り、情熱を込めて新しいことに取り組み、道を切り拓き、失敗を厭わず、辛抱強く長期に目を向け、プロとしての誇りをもって優れた業務運営を行う。すべて長時間かけて人と出来事によって作られ企業の歴史に刻み込まれた

失敗をどう捉えるかがユニーク――ビジネスではリターンの分布がロングテールだからこそ、大胆な賭けが大切で、大勝ちすれば多くの実験の元が取れる

 

l  二日目(Day 2)をかわす              2016

大企業の中でいかにして始まりの日(Day 1)の熱気を保ち続けるか?

そのための必須要素は、顧客への拘り、既存のプロセスへの疑問、外部トレンドの取り入れ、素早い意思決定など

意思決定のコツは、①硬直的な意思決定のプロセスは厳禁、②欲しい情報の70%で判断、③「反対してもコミットする」が合言葉(まずやってみることで、意思決定の時間を短縮できる)、④考えの本質的な違いを早めに認識しすぐ上にあげて処理する

大企業の規模と能力を持ちながら、スタートアップの精神と心を保つことは可能

 

l  高い基準の文化をつくる              2017

アマゾンが顧客に拘る最大の理由は、顧客はいつも絶対に不満を抱えているから

高まり続ける顧客の期待の先を行くには?――高い基準を持つ企業文化の確立

高い基準の4要素――①教えられるもの、②その領域に特化したもの、③認識できるもの、④現実にどのくらいの努力が必要かを明示できるもの

 

l  直感と好奇心と、さすらう力                  2018

サードパーティ出品者の売上が当初から一貫して増え続け、全体の50%を超えた

フルフィルメント・バイ・アマゾンとプライム・プログラムの相乗効果で、サードパーティ出品者からの購買体験が格段に向上したのがその根底にある

組織には効率とさすらいの両方が必要。さすらうことは効率第一のやり方だけでは足りない部分を埋め合わせてくれる

 

l  永遠に拡大を続ける                 2019

コロナ危機で注文が急増、サプライヤーと配送網は逼迫

国連気候変動枠組条約に沿って気候変動対策に関する誓約に調印、パリ協定の目標を10年前倒しで達成し、2040年までに炭素排出実質ゼロを目指す。同時に再生可能エネルギー比率を’24年までに80%、’30年までに100%達成を目指す

包装ゴミの削減についても、100%再利用可能なパッケージを開発中

永遠に拡大を続けるために、高い時給の維持、充実した福利厚生の提供、人材の育成のためのプログラムの開発などに注力

 

 

Part 2   人生と仕事

l  人生の贈り物

恵まれた両親と母方の祖父母に育てられた

母は17歳で私を身籠り、高校から放校されそうになったところを祖父のとりなしで卒業、子供のころピーターパン作戦でキューバから共産主義を逃れて米国に連れてこられた父と一緒になり、若い両親に代わって祖父母が農場で私を育ててくれた

 

l  人生を変えたプリンストン大学での出来事

1982年マイアミの高校を卒業。物理学者になりたくてプリンストンに行き、物理学の優等コースに入ったが、どうしても解けなかった難問を一瞬で解いたスリランカ人の同級生を見て理論物理学の道を断念、電気工学とコンピュータサイエンスに専攻を変えた

 

l  あなたの選択があなたという人間をつくる――プリンストン大学の卒業生に向けて

才能と選択は違う――頭の良さは持って生まれた才能だが、優しさは選択であり、才能に溺れると選択を誤りかねない。生まれながらの才能をどう使うか。誇りに思えるのは選択

卒業後は、本当の意味で自分の人生が、自分自身で築き上げる人生が始まる

80歳になって自らの人生を省みる時、自分の人生を最も適切かつ端的に表すのは、自分が行ってきた選択の数々に他ならない。私たちはつまるところ、自分の選択からできている

 

l  創意工夫で問題を乗り越える力

物事を前に進めようとすれば必ず問題に突き当たるし、失敗するし、うまくいかないことがある。その時は元に戻ってまたやり直せばいい。自分でできることをやる。自力でやる

 

l  ヘッジファンドを辞めて本を売るようになった理由

急成長するクオンツ型ヘッジファンドに入った後、ウェブが年率2300%で伸びていると知って、オンラインで売れそうなものをリストアップ。アイテムが桁違いに多いのに対し、実店舗で置けるのは限界があるという点に着目して本を選択。世の中にあるすべての本をアマゾンで売ろうというのが最初の発想

インターネットバブルの崩壊で株価が6ドルまで落ちた時、事業のあらゆる指標が上向いているのを見て、企業は株価ではないと確信。固定費たビジネスなので、販売量が一定水準を超えると固定費を回収して、高収益になることがわかっていた

 

l  根っこにある原因を見つける

アマゾンで買い物をして問題が生じた時は、改善のチャンス

問題の根っこにある原因を突き止め、根っこから修正する。それがすべての顧客のためになる

 

l  富を創造する

2020年現在、時価総額は1.44兆ドルで、私の持ち分は11%。1.28兆ドルの富を株主のために創造した。誰かのためにこれだけの富を創り出した。これがあるべき姿

企業家資本主義と自由市場の力によって、世界が直面する数多くの課題が解決できると強く信じている

 

l  アイディアを育む

心と直感は大切。リスクをとるべき時もある。野性の勘も必要。そうしたものがあって初めて優れた判断ができる。そしてグループで議論して判断する。謙虚な姿勢が必要。だが失敗自体は悪いことではない。それはまた別のこと

 

l  3年先を考える

いつも2,3年先を考えるのが経営者の仕事。そうしていれば日に100件も決定を下す必要はない。1日に3つでも良質な決定が出来たらそれで充分だし、その3つの判断の質を最高に上げなければならない

 

l  アマゾン・ウェブ・サービスはどのようにして生まれたか

コンピューティング機能のアウトソーシングサービスの提供――セキュリティが強化されたApplication Programming Interfaceで全てのサービスが利用でき、誰にでも使えるくらいわかりやすい、サービス指向アーキテクチャを組み入れたもの

自前でやるのは大変な重労働、その割には事業に何の付加価値も与えない、参入コストのようなもの

通常新しいものが発表されると2年遅れで競合企業が参入するが、AWS7年も独走

 

l  アレクサ・AI・機械学習

アレクサはクラウド内のアシスタントで、インターネット上で起動

エコーは、遠くの声まで拾ってくれるスマートスピーカーを搭載したデバイス

2012年開発開始――スマホアプリで管理すると、都度アプリを開いて画面を探さなければならないので、常時電源オンを前提に考える

機械学習を使って有り得ないことが解決できるようになり、進歩が加速する転換期

アマゾンのデバイスは「アレクサ」という掛け声を聞いて初めて上部のリングが点灯し、話し手の言葉をクラウドに転送する

ハッキングは現代の最大の課題の1つ。国による統制はどう管理されるかが不明確なので望ましくないが、解決策は見えていない

 

l  実店舗とホールフーズ

実店舗領域で新しいアイディアとして考えたのが無人店舗のアマゾン・ゴー

ホールフーズの買収はプライムと合体させて全く新しい体験にする方法を考えた

買収に当たって創業者と話をするときいつも考えるのは、その人が使命を持った伝道者か単なる金目当ての傭兵かどうかということ

ホールフーズの創業者は伝道者。あらゆる人にオーガニックで栄養のある食品を届けるという使命を持っているので、アマゾンの持つノウハウを提供してその使命達成を支援する

 

l  ワシントン・ポストの買収

20年来の友人であるグラハムから買収に興味があるかと聞かれ、新聞そのものには興味なかったが、インターネットをわかっていることが大切だということがわかった以外、決め手になったのは直感で、あまり分析は気にせずに決断

新聞は固定費型ビジネスだが、売上が激減。その原因は新聞の優位性をインターネットがすべて帳消しにしていたことで、ワシントン・ポストが世界の民主主義にとってとんでもなく大切な役割を果たしていることに疑いはなかった

インターネットは全てを破壊するかわりに、お金をかけずに世界に配信する力という恩恵をもたらす。その利点を活用しない手はない。少数の購読者からたくさんのお金をとるモデルから、大勢の読者からほんの少しづつお金をもらうモデルに変えれば生き残れる

この社会で私たちを守ってくれるのは法律だけではない。アメリカには報道の自由がある。それが憲法で守られている。社会規範もまた私たちを守ってくれる。私たちが憲法の言葉を信じるからこそ、社会は機能する。憲法を攻撃するたびに、その社会規範が少しづつ周辺から崩れていく。私たちは報道の自由を守り続ける

 

l  信頼

信頼=評判は、難しいことを何度も上手にやることによって築かれる

信頼は、誠実さであり、能力の高さや実行力でもある

透明性も大切――できることとできないことをはっきりと表明する

反対しながら一緒に働ける場所がいい。誰でも意見を持つのは自由だが、ノーというのも経営陣の仕事。テクノロジー企業が国防総省の仕事をすべきでないという意見もあるが、私たちは国防総省を支える。人々は強い国防を望んでいる。だから私たちはそれを支援する。自由と民主主義を守るというのがすべてに優先される大原則

 

l  ワークライフハーモニー

仕事によって活力が奪われるか、活力が湧いてくるか、たいていは活力の問題

ワークとライフはバランスをとるものではなく、ぐるぐると環のように巡るもの

 

l  人材を採用する――傭兵か伝道者か

社員が会社に留まるのは、使命のためであってほしい。使命に共感できる人に来てほしい

人材を引き付けるには、偉大な使命、本当に意義のある目的を与えること

 

l  物事を決める方法

意思決定には2種類――いったん決めたら後戻りできず影響が深刻な意思決定と、後戻りできるもの。前者の決定には熟慮が必要で、「急がば回れ」が当てはまる

意思決定のスピードを上げるには、後戻りできるかできないかを問うことに加え、「反対してもコミットする」という原則を共有する

 

l  競争

ビジネスの世界にゼロサムゲームはあまりない

ライバルに勝つためには、足腰の強さと敏捷さ、規模も必要

敏捷さの中でも意思決定のスピードは最も大切。次いで実験への許容力=リスクの許容

失敗には2種類――実験的な失敗とオペレーションの失敗で、両者を峻別して発明とイノベーションを追いかけることが必要

ライバルとの競争で重要な点は、相手と同じ土俵に立たないこと。だからこそイノベーションが必要。宇宙やサイバー領域では特にそうだ

 

l  政府による監督と大企業

巨大な組織は厳しい監視の目に晒されるというのは社会のあるべき姿

起業家資本主義がきちんと機能することが重要

 

l  気候変動対策に関する誓約

2019年、アマゾンはパリ協定の目標を10年前倒しで達成する誓約書に署名

F  温室効果ガス排出量を定期的に計測し報告する

F  パリ協定に沿った脱炭素戦略を実行する

F  本格的な変革によっても削減できない炭素排出について、社会に有益な形での相殺に同意する

達成には他の大企業の協力が必要で、そのためのリーダーシップをとりたい

 

l  ベゾス・デイワン基金

2018年、20億ドルの原資で発足――ホームレスの家族を助ける活動をする非営利組織への資金提供と、非営利幼稚園のネットワークを作ることを目的とする

何事も小さいもののように扱うのが私流のやり方で、大企業になっても小さな会社の頭と心を持っていたい。それが「デイワン」の哲学の一部

 

l  宇宙を目指す目的

2019年、ブルーオリジンの月探査機「ブルームーン」お披露目

地球は有限で、差し迫った課題や解決しなければならない問題がある。長期的にはエネルギーの枯渇という課題がある――生き物としての人間は97ワットのエネルギーを消費するが、先進国に住むと1人当たり1万ワットを消費

なおかつ、グローバルなエネルギー使用量は毎年3%伸びている

解決策の1つは、エネルギー効率を上げること――すでに織り込み済み

地球を出れば、太陽系には使用可能な資源が豊富に存在する

宇宙を利用しようにも宇宙にインフラが存在しないために参入企業はほとんどない

宇宙に人間の活動空間となるスペースコロニーを創るために必要なインフラ作りを始めるのは私たちの世代。次世代の起業家の創造性を花開かせるための投資が必要

そのために絶対必要なのが、ロケットの打ち上げコストの低減と、宇宙にある資源の活用

ブルーオリジンでは再利用可能な垂直離陸型ロケットを開発。既に11回連続着陸に成功

月には3日で行けるし、永久影には氷があって電気分解すれば推進剤となる水素が得られる。大型月面着陸機を使えば資材の運搬が可能となりインフラの構築に役立つ

 

l  アメリカでは、毎日がはじまりの日です

(2020.7.29. 反トラスト法に関する米国議会下院公聴会での証言)

生い立ちから起業の詳細を語る

最初に資金調達した時に一番良く聞かれたのは「インターネットって何?」という質問

初期のアマゾンへの投資は極めてリスクの高いもの。2001年末までの累積損失は30億ドルに近い。企業として成功できたのは大きなリスクを取り続けたから

創業以来、アマゾンでは「Day 1」の精神を肝に銘じてきた――すべてのことに初日と同じ活気と起業家精神で取り組むことを企業DNAの柱とする。顧客の信頼を得て、その信頼を守り続けていくことが「Day 1文化」を維持する原動力になる

42州で数十万人という雇用を創出、キャリア習得支援、米国内だけでも過去10年に2700億ドル超の投資をおこない70万人近い雇用が間接的に生まれている。サードパーティ出品者を迎え入れたことで、今やアマゾンで物を売る中小事業者は世界中で170万に上り、220万の雇用を創出したと推測

8割以上を占める社外株主のために26年間で1兆ドル超の資産を生み出した

アマゾンは規模が大きいからこそ、重要な社会課題に有益な影響を与えることができる

気候変動対策に関する誓約に調印し、'40年までに炭素排出量実質ゼロを目指す

ワシントン州には最大規模のホームレスシェルターを開設

アマゾン・フューチャー・エンジニアは、子供たちに刺激と教育を与え、社会に出る準備をさせるグローバルなキャリア開発プログラムで、テクノロジー業界を先導する次世代の人材を育て、この業界ではまだ数少ないマイノリティの機会を広げることに投資していく

アマゾンが世の中の厳しい目に晒され、精査されるのは良いこと。それに耐えうる組織をつくることが私たちの責任

アマゾンがアメリカで生まれたのは偶然ではない。この国は個人の才覚と自立の精神を尊重し、ゼロからものをつくる創造者を尊重する。安定した法の下で起業家とスタートアップを育み、世界最高の大学教育制度を提供し、自由な民主主義を尊び、リスクテイクの文化がDNAに根付いている

アメリカも問題・課題は多いが、それでも、私たちがこのアメリカで享受している恩恵のほんの一部でも受けられればありがたいと思う人たちが、世界には大勢いるはず。この国では、毎日が始まりの日であり、非常に困難な今の時代にあっても未来は明るいと、これまで以上に強く信じる

 

 

訳者あとがき

ベゾスの「原則」とは、

    「変わっていくもの」ではなく「変わらないもの」に目を向ける――顧客が「より安く、より早く、より品揃えの多いサービスを求める」というのは変わらないので、その求めに応じることに集中する

    長期を見る――長期的価値創造に投資する

    インフラをつくる――生活インフラの一部になるサービスを構築

    頭ではなく心に従う――意思決定の基準を示す

 

 

 

Wikipedia

ジェフリー・プレストン・ベゾス(Jeffrey Preston Bezos1964112 - )は、米国実業家投資家フィランソロピストAmazon.com 共同創設者取締役会長。出生名はジェフリー・プレストン・ジョーゲンセン(Jeffrey Preston Jorgensen)。

世界最大級の資産家の1人であり、フォーブスの長者番付によると2020年時点で2046億ドルの資産を有する。世界で初めて資産が2000億ドルを超えた人物。2013年に米有力新聞ワシントン・ポストを買収しオーナーとなった。ジェフ・ベイゾスとも[6][7]

生い立ち[編集]

家系[編集]

ジェフ・ベゾスことジェフリー・プレストン・ベゾス(出生名:ジェフリー・プレストン・ジョーゲンセン)は1964112日にニューメキシコ州アルバカーキに生まれた。父はシカゴ出身のテッド・ジョーゲンセン(Ted Jorgensen)、母はジャックリン・ギーゼ・ジョーゲンセン (Jacklyn Gise Jorgensen) という名である[8]Jorgensenの家系はデンマーク系であり、テッドの祖父はデンマークのホルベックからの移民であった[9]。ジェフが生まれたとき、母親は17歳の高校生であり、父のテッドはバイクショップのオーナーだった[10][信頼性要検証]

ベゾスの母方の祖父はアルバカーキでアメリカ原子力委員会の地方局長 (regional director) をしていたローレンス・プレストン・ギーゼである[11]。ギーゼは早くにその職を辞し、テキサス州コトゥーラ近郊にある家族で経営する牧場の仕事を始めたが、ベゾスは若い頃よくここで夏を過ごした[12]。彼は後にこの牧場を買い取り、25,000エーカーあった土地を300,000エーカーにまで広げている[13][14]。母方の祖母はマッティ・ルイズ・ギーゼ(旧姓はストレイト)という名で、家系をたどると、ベゾスはカントリー歌手のジョージ・ストレイトといとこの関係にあたる[15]

ほどなく母はテッドと離婚し、19684月にキューバ移民のミゲル・「マイク」・ベゾスと再婚する[16]。マイクは4歳だったジョーゲンセンの息子を養子にとり、そのときに姓もベゾスと改めた[17]。一家はテキサス州ヒューストンに引っ越し、義父のマイクはニューメキシコ大学を卒業後にエクソンでエンジニアとして働き始めた[12]

スクール時代[編集]

ベゾスは小学4年から6年までヒューストンのリバー・オークス小学校に通った[18]。ベゾスは科学に関心を持っており、工作の才能もあった。ある時は電動のアラームを仕掛けて、弟たちを部屋に入れないようにしていたほどである[19][20]

一家はフロリダ州マイアミに移り、ベゾスはマイアミ・パルメット高校に通った[21][22]。彼は高校在学中からマクドナルドで働き、朝のシフトで簡単な調理を担当していた[23]フロリダ大学で開催された科学の生徒研修プログラムにも参加している。1982年に彼はいわゆる卒業生総代を務め、ナショナル・メリット・スカラーシップ[24][25]、シルバー・ナイト賞を獲得している[24](どちらも優秀な生徒に贈られる奨学金または表彰制度)。

大学時代[編集]

1986年に、GPA4.2プリンストン大学を卒業し、電気工学と計算機科学で学位を取得した。当初は物理学者となることを目指していたが、量子力学の偏微分方程式の問題を理解できず、クラスメイトに代わりに解いてもらったときにその夢をあきらめた(そのクラスメイトは3ページ分の代数の問題を暗算することができたとベゾスは述懐している)。ベゾスは直ちに電気工学とコンピュータサイエンスに専攻を変えたという。

彼はまた全米最古の学生クラブであるファイ・ベータ・カッパ英語版)のメンバーでもあった[26][27]。大学時代には、優秀な工学徒としてタウ・ベータ・パイ英語版)にも選出され、宇宙探査・開発のための学生組織のプリンストン支部長にもなっている[28][29]

l  経歴[編集]

キャリアアップ時代[編集]

1986年にプリンストン大学を卒業したベゾスはインテルベル研究所アーサー・アンダーセンなどからオファーを受けた[30]。彼が最初に就職したのは金融決済システムを手がけるスタートアップ企業Fitelで、貿易情報のネットワーク構築に従事した[31]。ベゾスは、その後開発部門と顧客サービスの責任者に昇進している[32]

その後に大手金融サービス会社バンカース・トラストでプロダクト・マネージャーとなり、銀行業界に籍を移して1988年から1990年まで働いた[32]

さらにその後、1990年から1994年まで新興のヘッジファンドであるD.E.ショーで仕事をし、30歳のときには同社で4人目のシニア・バイス・プレジデント(副社長)になった[30][32]D.E.ショーで、当時話題になっていたインターネットについて調査を任されたことで、インターネットが急速に普及しつつあることを知り、ベゾスはインターネットによる物販の可能性を確信する。

l  Amazon起業[編集]

詳細は「Amazon.com」を参照

1993年の後半に、ベゾスはオンライン書店を始めることを決める[33]。彼はD.E.ショーを退職して、ニューヨークからシアトルへの移動中に事業計画を書き上げ、自宅のガレージでAmazonを起業した。19941月のことだった[34][35]。新しい会社の名前は南アメリカアマゾン川にちなんだもので、アルファベットの最初の文字であるAから始まるという意味合いも一部にはあった[36]

両親が300,000ドルともいわれる金額を都合してくれたため、彼はそれをアマゾンに投資した[35]。彼は初期の投資家の多くに、アマゾンが潰れたり自分が破産する可能性は70パーセントあると告げていた[37]Amazonはもともとオンライン書店であったが、ベゾスは常にその業務を拡大する計画を温めていた[32][36]

Amazon創業から3年後に、ベゾスは株式の公開(IPO)を行っている[38]。フォーチュンやバロンズには厳しい観測の記事が掲載されたが、ベゾスはインターネットの成長によって、ボーダーズバーンズ・アンド・ノーブルのような巨大な書店チェーンとの競争に勝てると譲らなかった[36]

1998年、ベゾスは音楽と映像もオンラインで販売を始めた。この年の終わりには、彼の会社はさまざまな日用品も扱うようになった[36]1997年の株式公開で調達した5,400万ドルを資金として小規模な競合他社を積極的に買収した[36]

ITバブル崩壊を乗り越えて快進撃[編集]

21世紀初頭のITバブル崩壊により多くのIT企業が倒産に追い込まれ、2000年にはAmazonの株価も113ドルから6ドルに暴落したものの、堅実なビジネスモデルを選択したAmazonは生き残り、IT不況を乗り越えて電子商取引における大手企業となった。

2002年には、天気予報チャンネルとウェブ・トラフィックからデータを集積して、アマゾン・ウェブ・サービスをスタートさせた[36]。しかしこの年の後半に、大規模な投資が続いていたAmazonは収益の伸びがとまった段階で財政難に陥ってしまった[39]2000年にベゾスは銀行から200億ドルの融資を受けているが、Amazonのキャッシュバランス(現金残高)はわずかに35,000万ドルに減少していたのである[40]。会社が破綻間近になったため、ベゾスは複数の物流センターを閉鎖し、Amazonの全従業員の14%にあたる人数を解雇した[40]Amazon2003年には財政的な安定を取り戻し、この年は4億ドルの黒字となった[41]

ベゾスがAmazon Kindleをスタートしたのは200711月である[42]2008年のタイム誌の記事によれば、彼はビデオゲームと同じように読書でもフローな状態をつくりたいと考えていた。つまり読者が完全に本へ没入できるようしたいと思っていたのである[43]

2013年にはアマゾン・ウェブ・サービスについてアメリカ中央情報局(CIA)6億ドルの契約を結んでいる[44]。この年の10月に、Amazonは世界最大のオンライン小売企業として認められた[45]

20175月、3日間で10億ドルのアマゾン株を売却したとOnebox Newsが報じた[46]

202122日、CEO202179月期(第3四半期)に退任すると発表[47]202175日にCEO社長を退任した。

l  ブルーオリジン設立[編集]

詳細は「ブルーオリジン」を参照

20009月、ベゾスは有人宇宙飛行事業を目的とする民間企業であるブルーオリジンを設立した[48]。宇宙旅行と太陽系の開拓に彼は昔から関心を持っていた[25]1982年に高校を卒業したときは総代表としてスピーチを行ったが、後日マイアミ・ヘラルドから内容について取材を受け、そこでも地球周回上にホテルや、アミューズメントパーク、コロニーを建設することに興味があると語っている[49]18歳のベゾスはまた、地球上の資源の枯渇を憂いて、環境保護への関心も表明していた[50]

ブルーオリジン設立後、2006年までは特に目立った活動はなかったが、この年にテキサス州西部に打ち上げおよび実験施設の建設のために広大な土地を購入している[51]2000年代後半にこの会社に世間の注目が集まると、ベゾスは有人宇宙旅行のコスト低減と地球外旅行の安全性向上についてたびたび語るようになった[52]

20119月、ブルーオリジンの無人試作ロケットの1つが低高度での飛行試験中に機能停止した。この事故はある意味で挫折と受け取られることもあったが、その後の報道では設立時と比較してブルーオリジンは宇宙飛行に向けてはるかに前進しているということが報じられた[53]

20135月、ベゾスはヴァージン・ギャラクティックの会長リチャード・ブランソンと面識を持ち、この年に宇宙飛行事業の可能性と戦略について議論を繰り返した[54]。彼はリチャード・ブランソン、イーロン・マスクの名を挙げて、自分も含めた3人には億万長者であり、複数の事業を経営しながら宇宙飛行を第一に考えている共通点があると語ったことがある[55]

l  ワシントンポスト買収[編集]

201385日、ベゾスは15年来の知り合いのドナルド・E・グラハムがオーナーを務めるワシントンポストを買収したことを発表した[56]。買収額は25,000万ドルだった[57]。そのために彼は有限責任の持ち株会社であるナッシュ・ホールディングスを設立している[58]2013101日に売却が成立し、ナッシュ・ホールディングスの傘下に入った[59]

20143月、ベゾスははじめてワシントンポストに大きな改革を行い、テキサス州、ハワイ州、ミネソタ州で提携する地方紙を購読する読者に向けてオンライン版のペイウォール〔課金制度〕を撤廃した[60]20161月には、デジタル版やモバイル版、アナリティクス・ソフトウェアの刷新を行い、メディアとテクノロジーの会社として再出発を図った[61]

一方で買収してから数年は、新聞社との将来的な利益相反の可能性も指摘されていた[62]。ベゾスとワシントンポストの編集委員会は、オーナーが新聞のコンテンツを不当に操作しているという批判は事実でないと否定し、ベゾスは新聞の独立性は保っている[63][64]2016年にはオンライン版の購読者が急増し、ワシントンポストは2013年にベゾスが買収して以降、はじめて黒字化した[64]

ベゾス・エクスペディションズによる投資活動[編集]

ベゾスは、ベンチャー・キャピタルのベゾス・エクスペディションズ(Bezos Expeditions)を通じて、個人的な投資を行っている[65]1998年にはGoogle25万ドルを投資し、最初期の株主の1人となった。彼はこの投資でGoogleの株式を330万株取得したが、その株価は2017年には310億ドル相当になっている[66][67]

ベゾスは老化を遅くしたり、止めたりすることで寿命を延長させる研究をするユニティ・バイオテクノロジー社(Unity Biotechnology)にも投資を行っている[68]。ヘルスケア分野では同社のほかにグレイル(Grail)、ジュノ・セラピューティックス(Juno Therapeutics)、ゾックドック(ZocDoc)などにも関わっている[69]

l  対外イメージ[編集]

冷酷な経営者

ニューヨーク・タイムズのジャーナリスト、ネリー・ボウルズは、世間的なベゾスの人格や人柄のイメージについて「きわめて優秀だが、ミステリアスで冷血な大物経営者」と評したことがある[70]1990年代に、ベゾスは従業員が慈善事業や社会福祉に頼ることを前提にした冷酷な経営によってAmazonを成功させたという評価を受けることもあった極度の倹約家

世間においては、彼の事業における極度の節制や倹約とAmazonや彼個人の資産の豊かさがセットで語られるようになった。ベゾスは億万長者どころではない資産がありながら、服はAmazon本社のオフィスにあるロッカーにおいているし、乗っているのも1996年式のホンダアコードである[73]

若い頃はオタク

2000年代の前半では彼はいわゆるギークやナード(おたく)であり、社会性にかけるというイメージを持たれており、サイズのあわない服を着たり、人付き合いにおいて数々の失敗をしていた[74][75][76]

必要以上に定量化とデータを優先する

ベゾスは世間から必要以上に定量化とデータを優先するとみられている[77][78]。このイメージは伝記作家のアラン・ドイチュマンが詳述しているとおり「リストをもとに語り」、「自分が行うあらゆる決定の前に、基準と優先順位」を列挙するというものである[74]

過度に競争を煽る人間

彼の人格を伝える本や文章には、議論を呼び、世間の注目を集めるものもある。有名なのはジャーナリストのブラッド・ストーンがベゾスに無断で出版した『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』で、この本の中では注文の多い上司であり過度に競争を煽る人間として描かれている[71][77]

Amazonの元従業員の証言では、ベゾスとのまるでダーウィン主義者とするかのようなやりとりも注目に値するが、同時に企業を成功させ続ける手腕についての賞賛の声も挙がる[79]

楽観的なCEO

経営上の障害や外部性をほとんど顧みない、あまりに楽観的なCEOという悪い意味でのステレオタイプも持たれている[80][81]

一方で、こうした評価については、ベゾス自身や彼の妻、Amazonの従業員、そして世間からも性格付けとしては間違っていると批判もされている[82]

外見と出費

2010年代前半で、ベゾスの経営には帝国主義的な性格があるという評価が定まり、それとともに世間的なイメージも変化しはじめる。彼は仕立てた服を着るようになり、厳しいダイエットを課してウェイト・トレーニングを始めたほか、金を使うことに躊躇がなくなった[83]

ベゾスの肉体改造は企業としてのAmazonの変貌とも比較され、Amazonそのものになぞらえて語られることも多くなった[84][85]。その外見から、独占的なビジネスをてがける企業を象徴するような世間的イメージを持たれることが増え、ポップカルチャーにおいては、野心家のスーパーヴィランとしてパロディにもされている[86][87][88]

安売りをする傲慢な人物

2017年以降、サタデー・ナイト・ライブではカイル・ムーニーやスティーヴ・カレルから安売りをする傲慢な人物として表現されるようになった[89]。彼はタコやローストしたイグアナを食べるなど変わった食事をすることも知られている[90][91][92]

世界最悪の上司

20145月には、国際労働組合総連合がベゾスを「世界最悪の上司」と名付け、書記長のシャラン・バロウは「ジェフ・ベゾスは北アメリカ的な企業モデルを推し進めている雇用者の残酷さを象徴している」と評した[93]

事業以外の出費を嫌がる

2010年代後半には、事業化できないものに関わる費用を支出することを嫌がるというイメージが覆されることになる[13]。しかし他の富豪と比べたときには、慈善事業に対する関わり方が比較的浅いことをもって、2016年以降は世間から悪い評判を持たれるようにもなる[13][94]

ベゾスは自身に関する批判的な記事については積極的に反論することでも知られている。2015年、彼はニューヨークタイムズに掲載された記事を非難する文章を従業員に回覧させた[95][96]

l  経営哲学[編集]

後悔最小化のフレームワーク

ベゾスはD.E.ショー時代やAmazonの創業期に自ら「後悔最小化のフレームワーク」と呼ぶ考え方を採用していた[97]。彼はその人生哲学をこう表現する。「80歳になったら、自分はウォール街を去ったことを後悔するだろうか?ノー。インターネットの誕生に立ち会えなかったことを、自分は後悔するだろうか?イエス」[97]

経営の数値化

1990年代から2000年代初めまで、彼はAmazonを経営する上であらゆる側面を数値化しようとして、従業員をスプレッドシートでリスト化したり、経営上の判断をデータに基づいて行った人物とされる[98]

素早く大きくなれ

Amazonを成長させるために、彼は「Get Big Fast」〔素早く大きくなれ〕というモットーを実行した。この言葉は、会社には一定の事業規模が必要であり、安定的にマーケットを独占しなければならないということを言ったものだ[36]

一方で彼は、Amazonが得た利益を配当の形で株主に還元せず、会社の成長のために使っている[74]

Day 1」の経営哲学

1日目: 起業(スタートアップ)
2
日目: 停滞
3
日目: 迷走
4
日目: 辛く、痛みをともなう衰退
5
日目

ベゾスは自分のグロース・マインドセット〔成長のための思考法〕を表現して、「いつだってDay 1だ」と語っている[99][100]

ワーク・ライフ・ハーモニー

ベゾスは一般的な「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を使わず、「ワーク・ライフ・ハーモニー」と言う。バランスという言葉には、どちらかではなく一方(だけ)を持つかのような含みがあると彼が考えているからである[101]。彼の考えでは、仕事と家庭生活は、情報を共有して調整をおこなう相互接続的なものなのだ[101]

ベゾス・プリンシパル

ジャーナリストのウォルト・モスバーグは、批判や指摘を受け入れられない人間には新しいことやおもしろいことができるはずがないという考え方を「ベゾス・プリンシパル」と名付けている[102]

2枚のピザ

ベゾスはミーティングを早朝に設定せず、また社内では「2枚のピザ」ルールを守らせている。これはピザが2枚あれば全員に行き渡る人数だけを会議室に集めろ、というものである[103]

面接時のルール

Amazonで採用しようとしている人間を面接するときに、ベゾスは3つのことを自分に問いかけると語っている。それは、その人物を尊敬できるか、その人物が当たり前になっている基準を引き上げられるか、どんな状況においても模範的となれるか、である[104]。またベゾスは能力の高い社員にはパワーポイントを使わせず、原稿6枚分の情報を口頭でプレゼンさせる[105]

5つの原則

彼はAmazonに投資を行う人間とは一年間トータルで6時間しか顔を合わせることがない[103]1998年以降、年に一度、ベゾスはAmazonの株主宛に5つの原則を繰り返し述べた手紙を送っている。5つの原則とは、下記のとおりである。

競争相手ではなく顧客をみる。

マーケットを握るためにリスクをとる。

従業員のモラルを高める。

企業文化(組織文化)を育てる。

人に活力を与える[106][107]

自身のメールアドレス

彼は自分や会社に顧客がアクセスする窓口である「jeff@amazon.com」というメールアドレスを変えていない[108]。届いたメールに返信することはないが、そのうちのいくつかには件名にクエスチョンマークを付けて、該当する分野を担当する役員に転送している[108]

影響を与えた人物

ベゾスは彼の経営哲学に大きな影響を与えた人物として、ウォーレン・バフェットバークシャー・ハサウェイ)、ジェームズ・ダイモンJPモルガン・チェース)、ボブ・アイガーウォルト・ディズニー)を挙げている[109]

アマゾンのオフィス

アマゾンの廊下やエレベーター等の壁は、ホワイトボードが一面に張られており、どこでも議論をしたり質問を告知できるようになっている。またアマゾンの創業時代から、全社員が「中古のドア」で手作りしたデスクを使っており、そうやって浮かせたお金をお客のために使うという。

l  評価と資産[編集]

2008カーネギーメロン大学から名誉博士号を授与された[110]

20183フォーブス世界長者番付の歴史において初めて個人資産1000億ドルを達成する1120億ドルを記録し、ビル・ゲイツを抜き初めて世界長者番付1位となった[111]

20197、元妻のマッケンジー・スコットと離婚する際に、保有するAmazon株の4%を譲渡した。

202011時点で1150億ドルだった資産はパンデミックに伴うAmazonの収益増加で爆発的に増えた。

2020720、純資産が1日で130億ドル(13800億円)増加した。これは個人純資産の1日の増加幅としては史上最高記録である。[112]

2020826午後、ベゾスの保有資産は世界で初めて2000億ドルを上回った。

フォーブスの試算では、ベゾスの2020826米東部時間1350分の時点で2046億ドル(216600億円)となっている。[113]

私生活[編集]

1992年、マンハッタンDEショーで働いていたベゾスは、小説家のマッケンジー・タトルと出会った。彼女は当時この会社のリサーチ・アソシエイトであった。2人はこの一年後に結婚している[32][114]1994年に州をまたいでワシントン州シアトルに引っ越し、ベゾスはこの地でAmazonを創業した[115]2人には4人の子供がいる。3人の息子と中国から養子にとった娘が1人である[116][117]

20033月、ベゾスを含め3人が載っていたヘリコプターが、テールブームを木にぶつけてウェスト・テキサスに不時着した[118]。彼は軽いけがをしたが、その日のうちに現地の病院を退院することができた[27]

2016年には映画『スター・トレック BEYOND』でスターフリートの隊員役を演じており、キャストやスタッフとともにサンディエゴ・コミックコンで試写会にも参加している[119]

201919日、ベゾスは25年間連れ添った妻であるマッケンジーと連名で、「長期にわたる」別居生活を経て離婚する意向であることをTwitter上で発表した[120][121][122]

l  政治[編集]

ネット関連の議員を支持

選挙活動の収支報告書によれば、ベゾスはワシントン州を選挙区とする民主党の上院議員パティ・マレーマリア・キャントウェルの選挙戦を支援している。彼はジョン・コニャーズパトリック・リーヒスペンサー・エイブラハムといったインターネット関連の議題を扱い委員会に所属する上院議員を支持している[123]

同性婚の合法化を支持

ベゾスと妻のマッケンジーはともに同性婚の合法化を支持しており、ワシントン州で同性婚を合法化した住民投票に賛成票を投じるよう運動する団体であるワシントン・ユナイテッド・フォー・マリッジに250万ドルの寄付を行っている[124]2010年にはワシントン州の所得税を上げることに反対する運動に10万ドルの資金提供をした[123]2012年には、アマゾンの政治行動委員会(PAC)に寄付を行っており[123]、この機関を通じて民主党議員と共和党議員にそれぞれ56,000ドルと74,500ドルの資金を提供した[125]

トランプとは敵対

2016年の大統領選挙後には、国防省が用いる技術の活用を支援する諮問会議である、ドナルド・トランプの国防革新諮問委員会(Defense Innovation Advisory Board)に招聘されたが、ベゾスは特段のコメントもなく固辞している[44][126]。実際ベゾスとトランプは、敵対関係にあるとも形容されてきた[127]。選挙直後には勝利したトランプとの関係が悪化しているとされる企業の株価が軒並み下がり、アマゾンの株価も下落したことでベゾスの資産も一時的に13億ドル相当が目減りした[128]。トランプは、Twitterを通じて繰り返しベゾスを攻撃しており、彼がフェイクニュースで政権批判をしているだけでなく[129]、アマゾンについても適正な税金を支払わずにアメリカ合衆国郵政公社をこき使っていると批判している[130]。一方でベゾスは、自分のロケット会社を使ってトランプを宇宙に飛ばすというジョークを何度か口にしている[131][132]

国防総省との契約

2014年、Amazonは自社のクラウド・コンピューティング関連のサービスで6億ドルといわれる契約をCIAと結ぶことに成功した[133]2018年には、共同事業防衛基盤(JEDI)として知られる100億ドルの契約を今度は国防総省と締結するが、これはそもそも入札仕様書がAmazonに有利な内容だったといわれている[134]。国防長官ジェームズ・マティスがベゾスに招待されてAmazon本社を見学し、以前にAmazonのコンサルタントを務めていたロビイストのサリー・ドネリーを通じて取引条件の調整を行ったため、このJEDIの契約については議論が巻き起こった[135]。ベゾスは移民に開放的な国境政策を支持しているが、Amazonは移民税関捜査局(ICE)に対して積極的に顔認識ソフトウェアを売り込んでいる[136]

サウジアラビアとの関係

20183月、ベゾスはシアトルでサウジアラビアの皇太子であり事実上の支配者であるムハンマド・ビン・サルマーンと面会し、サウジヴィジョン2030への投資環境について説明を受けた[137]2020年1月、国連の専門家はベゾスのiPhoneへのサウジアラビアのムハンマド皇太子によるWhatsAppを通したハッキング事件を報告した。[138]

l  慈善活動[編集]

ベゾスは直接寄付を行うとともにベゾス・エクスペディションズの資金提供による非営利のプロジェクトを活用して慈善活動を行っている[139]。この個人投資会社を通じて、ベゾスは、シアトルの歴史産業博物館にベゾスセンター・フォー・イノベーションに1,000万ドルを、プリンストン大学の神経科学研究所にベゾスセンター・フォー・ニューラル・サーキュート・ダイナミクスに1,500万ドルの寄付を行っている[140][141]

フレッド・ハッチンソン癌研究センターには2009年から2017年にかけて、1,000万ドルから3,500万ドルまで複数回の寄付している[142]。ベゾスは、元Amazon従業員が設立した非営利団体ワールドリーダーにも80万ドルの寄付をしている[143]

20123月には、大西洋に沈んだサターン5F1エンジンが水深4,300メートルで発見されたが、彼はこれを海底から回収するつもりであり、それに向けて資金提供を行ったことをブログ上で発表した[144][145]2013年にはこのエンジンがアポロ11の打ち上げに使われたものであることが判明し[146]、回収後にはシアトルの航空博物館で展示されることになった[147]

一方で彼の慈善活動は、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットのそれと比較されたときはあまりよい評価を受けていない[13][148][149]

2020年2月18日、自身のinstagramで私財から100億ドルを投じて「ベゾス・アースファンド」を新たに設立すると発表した。[150]

l  書籍[編集]

共著[編集]

ジェフ・ベゾス、ディック・コストロ英語版)他 著、佐藤智恵  『巨大な夢をかなえる方法 世界を変えた12人の卒業式スピーチ』文藝春秋20153月。ISBN 978-4163902272

関連書籍[編集]

脇英世 『アマゾン・コムの野望 ジェフ・ベゾスの経営哲学』東京電機大学出版局20116月。ISBN 978-4501626808

リチャード・ブラント 著、井口耕二  『ワンクリック ジェフ・ベゾス率いるAMAZONの隆盛』日経BP201210月。ISBN 978-4822249151

ジェニファー・ランドー(Jennifer Landau) 著、スタジオアラフ  Amazonをつくったジェフ・ベゾス』岩崎書店20132月。ISBN 978-4265079094

桑原晃弥 『ジェフ・ベゾスはこうして世界の消費を一変させた ネットビジネス覇者の言葉』PHP研究所201310月。ISBN 978-4569814452

ブラッド・ストーン(Brad Stone) 著、井口耕二 『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』日経BP20141月。ISBN 978-4822249816

西村克己 1分間ジェフ・ベゾス』SBクリエイティブ20146月。ISBN 978-4797377293

桑原晃弥 『ジェフ・ベゾス アマゾンをつくった仕事術』講談社20148月。ISBN 978-4062190305

桑原晃弥 『ジェフ・ベゾス ライバルを潰す仕事術 企業・業界・組織・人、誰もができる悪の技術』経済界20152月。ISBN 978-4766720594

 

 

Amazon.com, Inc.(アマゾン・ドット・コム・インク、IPA: [/æməzɒn/])は、ワシントン州シアトルに本拠地を置くアメリカの多国籍テクノロジー企業である。電子商取引クラウドコンピューティングデジタルストリーミング人工知能に焦点を当てている。

同社は「世界で最も影響力のある経済的・文化的勢力の一つ」と呼ばれ、世界で最も価値のあるブランドとされている[6]GoogleAlphabet)、AppleMetaFacebook)と並ぶアメリカの情報技術産業ビッグテックの一つである[7]

2020年現在、Amazon がアメリカ国外でサイトを運営している国はイギリス[8]フランス[9]ドイツ[10]カナダ[11]日本[12]中国[13]イタリア[14]スペイン[15]ブラジル[16]インド[17]メキシコ[18]オーストラリア[19]オランダ[20]トルコ[21]アラブ首長国連邦[22]シンガポール[23]サウジアラビア[24]スウェーデン[25]18か国である。

歴史[編集]

起業に至る経緯[編集]

1993年当時、ジェフ・ベゾスが働いていた D.E.ショーで、話題になっていたインターネットについて調査を任され、インターネットが急速に世界規模で普及しつつあることを知り、ベゾスはインターネットによる物販の可能性を確信し、D.E.ショーを退職して起業することを決断する。

Amazon の設立は、創業者ジェフ・ベゾスが「後悔の最小化フレームワーク」と呼ぶ、ベゾス自身の考え方の結果としてもたらされた。つまり、ベゾスが起業を決意したのは当時のインターネット・バブルにすぐに加わらないことで未来に生じる後悔を避けるためだった[26]

1994年、30歳のベゾスはウォール街のヘッジファンド「D. E. Shaw & Co.英語版)」のシニア・バイス・プレジデントを退職し、ワシントン州シアトルに転居した。シアトルでベゾスは、のちに Amazon.com となる企業のための事業計画に取り組んだ[27]

Cadabra として会社設立[編集]

199375日、ベゾスは「Cadabra, Inc.」という名の会社をワシントン州の法人として登記した[28]19941月、ある弁護士が「Cadabra」を「cadaver(死体)」と聞き間違えた出来事を受けて、ベゾスは社名を変更することになった[29]

ベゾスは19949月に「relentless.com」というドメインを購入しており、自身のオンラインストアを「Relentless」と名付けることも一時考えたが、友人から「Relentless(情け容赦ない)」という言葉の響きは少々不穏であると指摘されたこともあり思いとどまった。現在も relentless.com のドメインはベゾスによって所有されており、アクセスした際には amazon.com へリダイレクトされる[30][31]

Amazon へ社名変更[編集]

ベゾスは、社名を「Cadabra, Inc.」から変更するにあたって、辞書を引いて言葉を探した。ベゾスが「アマゾン」という単語を選び出したのは、それが「エキゾチックで変わった」場所であり、自身のインターネット事業のイメージに合致していたためだった。加えて、アルファベット順に並べられた場合に一番上に現れる「A」から始まる名称が好ましいという事情もあった[32]。さらに、アマゾン川は世界最大の河川であり、ベゾスの計画もまた、自らのオンラインストアを世界最大の商店にすることだった[32]

電子商取引の年間成長率を2,300パーセントと予測する、あるインターネットの将来についてのレポートを読んだあと、ベゾスはオンラインで販売できる20種類の商品のリストを作った。次にベゾスは、このリストからもっとも有望と思われる5種類の商品を絞り込んだ。それらの商品は、コンパクトディスク、コンピュータハードウェア、コンピュータソフトウェア、ビデオ、そして書籍だった。最終的に、文学への大きな世界的需要、書籍は低価格であること、膨大なタイトルが出版されていることなどを考慮し、ベゾスは自身の事業をオンライン書店とすることを決めた[33]

Amazon 創業の地は、ベゾスが借りていたワシントン州ベルビューの自宅ガレージとされている[32][34][35]

l  オンライン書店サービスの開始[編集]

19957月、Amazon.com はオンライン書店としてのサービスを開始した[36]Amazon.com で最初に売れた本はダグラス・ホフスタッターの著作『流動的思考と創造的類推』だった[37]。サービス開始後の最初の2か月で、Amazon はアメリカの50の州すべてと、世界の45か国以上で書籍を売り上げた。最初の2か月における Amazon の週間売上は、最高で2万米ドルだった[38]

ベゾスによれば、ブリック・アンド・モルタルの書店は最大規模のものでも15万種類の本しか販売できないが、オンラインの書店では既刊の書籍すべてを取り扱うことも可能だった[39]

199510月、Amazon は一般に向けた自社の告知を行った[40]19966月、Amazon デラウェア州の法人として再登記された[5]1997515日、Amazon.com  NASDAQ に上場(ティッカーシンボル AMZN)し、1株あたりの価格18.00米ドルで新規株式公開した(1990年代末に行われた3回の株式分割の結果、11.50米ドルとなった)[要出典]

l  ブランド構築を優先して投資を行う[編集]

Amazon は他社に先駆けて、ブランドを構築することを重要視していた。出資者たちには、数年ほどは赤字のままだと説明していた。目先の利益に捉われず積極的に投資を行うことで、他社サービスより先んじて市場シェアを獲得することに専念した。

ベゾスは1997年、ある取材に対して「我々のビジネスモデルに他社がコピーできないような特色はない。だが、考えてみれば、マクドナルドのビジネスモデルも他社にコピーされたが、それでもマクドナルドは数十億ドル規模の企業になることができた。その大きな要因はブランドネームだ。そして、インターネット上ではブランドネームが現実世界よりも大きな意味を持つんだ[41]」と述べた。

l  独創的な長期的視点のビジネスモデル[編集]

Amazon が創業時に掲げたビジネスモデルは独創的なものだった。ベゾスは、開業当初の4 - 5年間では利益を挙げることはできないと予測していた。Amazon の株主は「ゆっくり」な成長速度に対して、もっと速く採算性を確保しなければ株主の投資を正当化することはできず、長期的には生き残ることすらできないだろうと不満を漏らした。

21世紀初頭のITバブル崩壊は多くのIT企業を倒産に追い込んだが、2000年に Amazon の株価も113ドルから6ドルに暴落したものの、堅実なビジネスモデルを選択した Amazon は生き残り、IT不況を乗り越えて電子商取引における大手企業となった。

2001年第4四半期、Amazon は開業以来初めて利益を計上した。10億米ドル以上の収益に対し、利益は500万米ドルとささやかなものだった(一株利益1セント)が、黒字への転換はベゾスの型破りなビジネスモデルが成功できることを示した[42]

l  さらなる成長と拡大[編集]

2011年、Amazon はアメリカでフルタイム従業員を3万人雇用していた。

2016年末の時点で、アメリカにおける従業員は18万人、全世界のフルタイムおよびパートタイム従業員は306,800人となっていた[43]

本社のあるシアトルボーイング企業城下町として知られていたが、2018年現在では市内オフィスの20パーセントを Amazon が使用しており、同社による経済効果の累計が4兆円を超えるなど、アマゾンの企業城下町となりつつある[44]

模造品の横行による有名ブランドの撤退[編集]

2020年現在、Amazon はアメリカでのEC市場シェアでは40%近くを占め、圧倒的トップにあるが、この頃よりディズニーナイキワークマンなど有名ブランドが次々に Amazon から撤退する事態が起こり、牙城が揺らぎ始める。

その理由として、Amazon 内の模造品の多さによる「ブランドイメージの棄損」、自社独自で最終顧客に対してしっかりブランディングを行いたいというブランド側の思惑、モールに支払う割高な手数料がかからず、データベースなど含めプラットフォームに極度に依存する(ロックイン)ことのない自由な設計思想がベースになっているカナダ発の EC プラットフォームの Shopify(ショッピファイ)の進出、販売データや顧客データを管理することはできないという欠点などが上げられる。

Amazon ではいまだ第三者による大量のブランド品が販売され、偽造品の販売も横行しており、2019年からは日本でも偽物の排除を目的としたプログラム「Project Zero」を開始。商品情報を継続的に自動スキャンすることで偽造品の疑いがある商品を検知するシステムや、ブランド側が偽造品の疑いがある商品をサイト上から削除できる権限を持たせるなどの対策を行ってきたが、事実上放置に近い状態であり、なおかつモール側に直接の法的責任はない。

沼澤典史清談社)は、Amazon は日本でもイギリスでも法人税を回避しており、「違法行為はしないが脱法行為は否定しないという遺伝子があるとすれば、真剣に取り締まっているかどうか、大きな疑問が残る」と発言している。さらに、「プラットフォームビジネスは、ブランド側からすれば、短中期的な売り上げが見込めるため参加する企業も多かったが、そのプラットフォームビジネスによって、皮肉にもブランドビジネスの本来のあり方が見直されるようになってきた」とし、ナイキやルイ・ヴィトンなど有名ブランドは、本来、出所表示、品質保証、広告宣伝の3つの機能が備わっているため、この機能による「ブランド力」のおかげで価格競争に左右されず、消費者は信頼して高い金額を払い商品を購入するのがブランドビジネスの基本だったのが、プラットフォームによる模造品の氾濫・安易な値引きでブランドビジネスモデルが成立しなくなったと指摘した[45][46][47][48]

一方、Shopify(ショッピファイ)は、2020年現在で9%弱のシェアで Amazon に次いで第2位につけているが、2020年の売上高は約3080億円で、前年比で86%増を達成。ショッピファイでは Amazon とは異なり、アカウントを作成して管理設定を行うだけで EC サイトが立ち上げできる。ショッピファイは基本的にはECサイト作成を主なサービスにしているため、モールに支払う割高な手数料が必要ではなく、結果、出品業者が続々とショッピファイに乗り換えているなど、Amazon の座を脅かす存在となっている。すでにネスレゴーゴーカレーコムデギャルソンRed Bull など、有名企業でも商品力で勝負する企業が多くサイトを立ち上げているなどの変化が出ている[46][48]

l  沿革[編集]

1990年代

19937月、Amazon.com, Inc の前身となる法人「Cadabra.com」を登記。

19941月、Cadabra.com から Amazon.com に改名される。

1995年春、アマゾンのウェブサイトが完成し、βテストを開始。

1995716日、アマゾンの正式サービスを開始。

19966月、デラウェア州法人として再設立[5]

1997514日、NASDAQ に上場を果たし、初値は118ドルをつける。

19985月、株価が一時105ドルに。

19986月、ミュージックストアを開設し音楽配信事業に参入。英国とドイツにてアマゾンのサービス開始。

19996月、ユーザーが累計1,000万人に。

19999月、米特許商標庁でワンクリック(1-Click)特許が認められる。

199912月、バーンズ&ノーブルズの精算システム「エキスプレスレーン」をワンクリック特許の侵害で訴える。

199912月、ジェフ・ベゾス、タイム誌の「今年の人」になる。さまざまな企業に出資したり、買収したりして機能を追加。

2000年代

20001月、1,500人をレイオフ(解雇)。99年末から00年末にかけてアマゾンの株価は90パーセント下落。最安値が一時15ドルとなる。

20009月、航空宇宙企業「ブルーオリジン」を設立、有人宇宙飛行を目的とした事業を開始。

2000111日、日本語サイト Amazon.co.jp「本」のストアをオープン。

2001(平成13年)124日、札幌にカスタマーサービスセンターを開設。

20014月、NTT DoCoMo i モードアクセスサービスをスタート。

20015月、Amazon アソシエイト・プログラムサービスをスタート。

2001613日、「音楽」「DVD」「ビデオ」のストアを同時オープン。

20018月、Ezweb アクセスサービスを公式サイトとしてスタート。

200110月、アマゾンに立ち読み機能を追加。「ソフトウェア」と「TV ゲーム」のストアをオープン。

200110月、「代金引換」による支払いスタート。

20027月、クラウドサービス「Amazon Web ServicesAWS)」を開始。

20029月、「マイストア」オープン。

2002116日、「Amazon マーケットプレイス」オープン。

2002年、ウェビー賞を受賞[49]

20037月、「エレクトロニクス」ストアをオープン。

2003115日、「ホーム&キッチン」ストアをオープン。

200312月、「ボーダーフォンライブ!」向け公式サイトをオープン。

20049月、ブックストア内に「雑誌」コーナーをオープン。

20041012日、「おもちゃ&ホビー」ストアをオープン。

200411月、ケータイサービスをリニューアル。「Amazon スキャンサーチ」を追加した新ケータイサービス「Amazon モバイル」提供開始。

200511月、ブックストアにて「なか見!検索」を開始。物流センター「アマゾン市川 FC(フルフィルメントセンター)」を開業。

20051117日、「スポーツ」ストアをオープン。

20064月、コンビニ・ATM・ネットバンキング払い開始。

20065月、米特許商標庁がワンクリック特許の再審査を命じる。

20066月、出版社やメーカーの商品を委託販売する「Amazon e 託販売サービス」を開始。

200683日、「ヘルス&ビューティー」ストアをオープン。

200610月、Amazon ショッピングカードをコンビニエンスストアにて販売開始。「お急ぎ便」の提供開始。

200721日、「Amazon ポイントサービス」を開始。

2007329日、「時計」ストアをオープン。「スポーツ」ストアの店名を「スポーツ&アウトドア」ストアに変更。

2007424日、「マーチャント@amazon.co.jp」を開始。

20076月、「ベビー&マタニティ」ストアをオープン。初の会員制プログラム「Amazon プライム」を開始。

2007828日、丸善と Amazon.co.jp による共同ブランドストア「丸善オンラインストア」を開始。

200710月、物流センター「アマゾン八千代 FC(フルフィルメントセンター)」を開業。

20071119日、電子書籍リーダーAmazon Kindle」を発表。電子書籍販売サービス「Kindleストア(Kindle Store)」を開設。

2008414日、在庫管理・商品配送代行サービス「フルフィルメント by Amazon」の提供を開始。

2008529日、「コスメ」ストアをオープン。

200871日、「コンビニ受取」サービスを開始。

2008828日、iPhone/iPod touch 向け専用サイトをオープン。

20081015日、「食料&飲料」ストアをオープン。

20081127日、靴とバッグ専門の新たな Web サイト「Javari.jp」をオープン。

200942日、「ジュエリー」ストアをオープン。

2009527日、「文房具・オフィス用品」ストアをオープン。

2009 622日、Amazon ギフト券をコンビニエンスストアにて販売開始。

2009721日、靴とバッグ専門サイト「Javari.jp」からキッズ&ベビーカテゴリーがオープン。

200910月、「当日お急ぎ便」の提供開始。物流センター「アマゾン堺 FC(フルフィラメントセンター)」を開業。「カー&バイク用品」ストアをオープン。

2009115日、「Amazon フラストレーション・フリー・パッケージ(FFP)」の導入を開始。プライベートブランド「Amazon ベーシック」製品の提供を開始。

200911月、靴のネット販売大手「ザッポス(Zappos.com)」を買収。

2010年代

20103月、米特許商標庁が、ワンクリック特許を認める最終手段を示す。

2010427日「楽器」ストアをオープン。

201063日、初の iPhone/iPod touch 向けアプリ「Amazon モバイル iPhone アプリ」を Apple app にて提供開始。

201068日、「Javari.jp」、携帯向けサイト「Javari.jpモバイル」をオープン。

2010617日、「Amazon Vine(ヴァイン)先取りプログラム」をオープン。

20107月、「Amazon マーケットプレイス Web サービス」の提供を開始。物流センター「川越 FC(フルフィルメントセンター)」を開業。

201082日、「お届け日時指定便」の提供を開始。

20109月、「著者ページ」提供を開始。服&ファッション小物ストアにおける取り扱いブランドを拡張。「Amazon定期おトク便」を開始。

2010930日、「ペット用品」ストアをオープン。

201010月、Kindle ストアで著者が直接電子書籍を販売すれば、70パーセントと条件のいい印税を支払う仕組みを提案。

2010111日、「無料配信サービス」を開始。

2010112日、「Nippon ストア」をオープン。物流センター「大東 FC(フルフィルメントセンター)」を開業。

20112月、ビデオサービスを開始。

20113月、個人向けのクラウドサービス「クラウドドライブ(Cloud Drive)」を開始。

20119月、電子書籍リーダー「Kindle Fire」を発表。

20123月、ロボットメーカーの Kiva Systems を買収[50]

20129月、電子書籍リーダー「Kindle Fire HD」を発表。

20121025日、日本向けの Kindle ストアが開設。

20146月、米国にてスマートフォンfire phone」を発売[51]

2020年代

2021526日、大手映画会社のメトロ・ゴールドウィン・メイヤーMGM)を84.5億ドル(約9200億円)で買収することを発表[52]連邦取引委員会FTC)や欧州連合EU)の規制当局による審査を経て、2022317日に買収が完了した[53]

l  物流[編集]

旧本社ビルはワシントン州シアトルの小高い丘にある元病院(PacMed)で、2010にシアトル市内に新たな本社を設置した[54]

物流拠点[編集]

Amazon では、独自の物流拠点(フルフィルメントセンターFC)をアメリカ、ドイツ、イギリス、中国、日本などにおいて整備している[55]

詳細は「Amazon.comの拠点一覧」を参照

航空便[編集]

増加する貨物量に対応するため Amazon Prime Air 計画をスタートした。顧客までの配送をマルチコプターで行うドローン宅配便と、自社専用の貨物機『Amazon One』(767-300)による専用便(運行はアトラス航空へなどへ委託)が柱となる[56]

管理[編集]

商品の管理方法

物流拠点において書籍はジャンルや出版社といったカテゴリで分けずに配置する方法で管理し、分類する手間を省いている[57]。書籍を棚入するときには、書籍につけられたバーコードと棚のバーコードを読み取ってホストコンピュータに登録する。そして、書籍を取りにいくときにはホストコンピュータから携帯端末へと情報を送り、どこにあるかを把握する。

201412月に公開した第8世代の物流拠点の内部では、ロボットを活用し作業効率向上を図っている[58][59]

労働者の待遇

物流拠点での労働者の過酷な状況について、アメリカ[60]、イギリス[61][62]、ドイツ[63]、フランス[64]などで報じられている。

ウェブサイト[編集]

Amazon のサービスは世界中の国で運営されていると思われることもあるが、実際にはごく限られた先進国が中心である。

経営[編集]

ロングテール」も参照

経営上の特徴[編集]

Amazon の経営的特徴は、「顧客中心主義」「発明中心主義」「長期的視野」を掲げ事業を行っていることである[67][68]

顧客中心主義

事業開始後の間もない1997年の年次書簡には、「事業の中心はあくまで顧客であって、他社との競争ではない」と書かれており、それが成功した理由であるとベゾスは述べている。「焦点を顧客に当てること」が重要であり、顧客の要求は常に尽きることなくあり、それに答えることで企業は成長できる。他社との競争を重視しているスピードが遅くなる。ビジネスで成功するためには、常に革新的であるべきで、そのために顧客の要望に応えることが重要だと説明している。

Amazon のオフィスの机は「中古のドア」を手作りして作ったものであり、顧客に関係しないことについてはお金を使わない経営ポリシーを貫いている。

発明中心主義

「商品レビュー」や「1クリック注文」など、さまざまな新機能を実現して特許を取得することで、競合企業と差別化を行っている。

長期的視野

ジェフ・ベゾスは、アメリカ国内で最大規模の書店は最大で20万点の書籍を扱っているが、インターネット書店であれば何倍もの種類の商品を扱うことが可能と期待し、設立当初の4-5年の期間は利益が十分に上がらないことを戦略として予測したことが特徴的である。

一般の小売業と異なり「当社は、売上高や利益を最大化することではなく、フリーキャッシュフローを最大化することを目的にしている」と株主宛への AnnualReport に記し、通期決算で赤字決算となることもある。1997年のナスダック上場以来、株主に対し配当を配ったことがなく、2014年時点で17年連続で無配を継続していることに対し株主が拍手喝采している株式会社的企業といえる[69]

日本企業は「Amazon は日本に対し法人税を納めておらず、またダンピング販売をしているために競争環境の違いが大きく、設備投資などができない[70][71]」、日本の電子書籍販売事業者は「アマゾンの販売する電子書籍には消費税がかからず不公平[72]」と批判する。

20145月、国際労働組合総連合は、従業員をロボットのごとく扱う労働・業務環境や納税回避を理由に、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスを世界最悪の経営者として選出した[73][74]

20158月、アマゾンは非情で悲惨な職場環境であるとニューヨーク・タイムズが報じた[75][76]。 

l  納税[編集]

問屋商法

20097月、「本社機能の一部が日本にある」として東京国税局から140億円前後の追徴課税処分をされたことが報じられた。アマゾン側は「米国に納税している」と主張し日本とアメリカとの2国間協議を申請。アマゾンジャパンも「課税は不適切」とし[77]、日本での納税義務はないという立場である。

20109月、日米相互協議の結果、課税処分は大幅に減額され、国税庁は銀行供託金の大部分を解放した[78]。しかし、Amazon の法人税については、依然としてフランス、ドイツ、日本(2006年から2009年)、ルクセンブルク、イギリスなどによって査察が進行中、または行われる可能性が指摘されている[78]

201912月、Amazon.com は現在の外国法人が契約主体では事業展開上の制約が多く、日本事業を拡大するためには適切に納税する方が得策との判断から、日本国内での販売額を現地法人であるアマゾンジャパン合同会社(Amazon Japan G.K.)の売上高に計上する方針に転換。2017年と2018年分の法人税計300億円を納付したことが報じられた[79]

アマゾン税

アメリカには、連邦として消費税はないが、州によっては売上税が設定されている。このことに関連し Amazon tax の議論がある[80]

2013122日、合衆国最高裁判所は、EC サイト通販の売上税に関するニューヨーク州法が、アメリカ合衆国憲法に反し無効であるという、アマゾンらによる訴えを却下した[81]

l  Amazon の特徴[編集]

レコメンデーション機能[編集]

Amazon の最大の特徴は強力なレコメンデーション機能にある。現在のところ Amazon はレコメンデーションの実用レベルの最先端を走っているという見方が支配的であり、技術の向上にも余念がない。実際、近い将来には顧客の宗教や思想まで含めて営業活動に反映させることが可能となるといわれる。技術的にはすでに開発済みで、米国で特許を申請している[82]。また、パーソナライゼーション技術の解説記事においても、Amazon.com はひとつの成功例として語られることが多い。一方、レコメンデーション自体は個人の趣味嗜好、場合によっては思想信条、性的な関心といったきわめてクローズドな情報を収集する過程を含む。このためプライバシーの観点からの問題提起が出されることも多い。

Amazon.com のレコメンデーション機能は、A9といわれるエンジンによって行われている。この場合のレコメンデーション機能とは、過去の購入履歴などから顧客一人ひとりの趣味や読書傾向を探り出し、それに合致すると思われる商品をメール、ホームページ上で重点的に推奨する機能のことである。たとえば Amazon.co.jp の「トップページ」や「おすすめ商品」では、そのユーザーが過去に購入、閲覧した商品と似た属性を持つ商品のリストが自動的に提示されるが、それはレコメンデーション機能の一部である。シリーズ物の漫画などの購入をレコメンドする場合にはちょうど新刊が出たころに推奨し、似たような傾向の作品をも推薦する。以上の意味で、Amazon のレコメンデーション機能は協調フィルタリングに分類されると考えてよいだろう。

Amazon.co.jp の機能は Amazon.com においても装備されている。Amazon.co.jpAmazon.com のポータルサイトのユーザーインターフェースは、言語を除きほとんど同じであるため、以降は動作の説明を要する場合には、Amazon.co.jp のポータルサイトの操作方法に準拠して説明する。

ASIN[編集]

Amazon Standard Item Number の略。Wikipedia の一部の記事にも使われている ASIN コードは、10桁のアルファベットと数字により構成される Amazon.com の商品識別番号である[83][84] 。原則としてひとつの商品に対してひとつのカタログ(商品詳細ページ)・ASIN が登録される。Amazon.com Amazon.co.jp で同じ商品を扱っている場合は、同一の ASIN コードになる。200612月まで、書籍の ASIN コードは ISBN のコードと同一であった。20071月以降、ISBN 規格の変更にともない、以前10桁であった ISBN の桁数が13桁へ変更された。しかし、現在のところ ASIN コードの桁数は10桁で変更はないため、両者の間で齟齬が生じている。

l  カスタマーレビュー[編集]

ユーザーは商品に対して星5つを満点として評価をすることができる(これを「レビュー」と呼ぶ)。また、レビューの読者は投稿されたレビューが参考になったかどうか、「はい」か「いいえ」の票を入れることで評価できる。Amazon.comでは、Amazon Vine の対象商品などを除き、発売前の商品に購入者レビューを書き込むことはできない。かつて Amazon.co.jp では発売以前にレビューを書き込み評価点数までつけることができた[85]。このため発売前に思い込みや期待値を書いた購入者レビューが多数含まれてしまい、購入後に実物を触って評価した適切な購入者レビューを埋没させていた。

Amazon.co.jp では、最低でも1回はそのアカウントを使用して Amazon.co.jp にて商品購入をしていないと、購入者レビューを書き込むことができない。しかし、一度でも Amazon.co.jp で買い物したアカウントを使用すれば、レビューを書き込む商品を Amazon.co.jp から購入していなくとも購入者レビューを書き込めてしまう。米法人の Amazon.com ではアカウントを作成すれば誰でも情報の投稿ができるシステムを採用している。

未購入者も購入者同様にレビューが書けるようになっており、購入また未購入でのレビューかは表示機能で確認できる[86]

アフィリエイトサービス[編集]

Amazon アフィリエイトサービスと呼ばれる、店子を開設するサービスを提供している。そのサービスは、SOAP プロトコルによる高度なサービスをはじめとし、単なる XSLT テンプレートファイルを置くだけで店子を開設することのできる XSLT エンジンも提供している。店子は売り上げによって報酬を受け取ることができる。このサービスはさまざまなサイトで利用されている。

l  ロゴ[編集]

2000年に制定された Amazon ロゴは、"amazon.com"amazon 部はボールド体)の黒いサンセリフの文字に、a から z に向かって下向きの弧を描くオレンジ色の矢印が重ねられたもの。この矢印は、"from A to Z" AからZまで)、つまり Amazon で何でも揃うという意味と、顧客の満足を表す笑顔とを同時に表現したものである[87]

l  批判[編集]

訴訟[編集]

世界最大の書店?

1997512日、米国の大手書店バーンズ・アンド・ノーブル Amazon を提訴した。バーンズ・アンド・ノーブルの訴えは、Amazon は自社を「世界最大の書店」であると主張するが、Amazon は「実際には書店などではなく、書籍のブローカーである」ため、そのような主張は虚偽であるという内容だった。この訴訟は示談で解決し、Amazon は引き続き「世界最大の書店」と主張することとなった[88]

企業秘密の盗用?

19981016日、ウォルマートAmazon を相手に訴訟を起こし、Amazon が複数の元ウォルマート重役を雇い入れることで、ウォルマートの企業秘密を盗んだと主張した。この訴訟も示談という形で解決したが、Amazon は元ウォルマート社員に対する人事異動および業務制限の実施を強いられた[88]

l  プライバシーの問題[編集]

Amazon は、趣味や嗜好に関する情報を過度に集め、仕様上、個人情報が簡単に公開できてしまう傾向があることを指摘し、注意を喚起する議論があった[89]。米国 Amazon は、子どもの個人情報を親の許諾なく収集していることで消費者団体から苦情を寄せられた経緯がある[90]。また、「ほしい物リスト(Wish List)」が「子どもと性犯罪者の接触機会を高める」という指摘が従来からあった[91]。なお、Amazon は「ウィッシュリストは、ユーザーが欲しいものを公開するシステムであり、欲しいものが一致した場合物々交換が行われることがあるが、アマゾン上ではない取引のためアマゾンは関与しない」としている。2008年、Amazon.co.jp でも「ほしい物リスト」の仕様による情報の漏洩が話題となった[92]。詳細は「Amazon.co.jp の項の「ほしい物リストとプライバシーの問題」の節」を参照。

Amazon はサインイン(ログイン)しなくとも、ブラウザに保存されているクッキーを元にアクセスした者を特定して、過去の購買履歴や評価した内容を元に「お薦め」の商品をトップページに提示するため、サインアウト(ログアウト)しなければ、アクセスに使用したブラウザ・ソフトを立ち上げた人間はだれでもサインアウトしなかった人の読書傾向や購買傾向を知ることができる。とりわけ書籍の購入リストはその者の思想・良心の自由を侵害するおそれが大きいため問題となる。

マーケットプレイスで購入した場合、出品者に住所や氏名などが開示される仕様である。

l  電子書籍[編集]

Amazon では、電子書籍端末および電子書籍関連サービス「Kindle」を展開している。

詳細は「Amazon Kindle」を参照

アマゾン・アップグレードサービス[編集]

買った本を自宅に置いたまま、職場や旅行先でも読める新たなサービス。インターネットを利用可能な場所ならばどこでも、Amazon に接続して閲覧することができる[93]

電子インク端末[編集]

Amazon.com 2004年に設立した社内研究施設のLab126において、電子ブックリーダーの研究・開発を開始した。端末と電子書籍サービスのブランド名はグラフィックデザイナー Michael Patrick Cronan によって「灯をともす」を意味する「Kindle」と名付けられた。

20071119日にアメリカ国内限定で Kindle First Generation が発売された。この端末は4階調グレースケール表示に対応した6インチ電子インクディスプレイキーボードを有し、250MB の内部メモリと SD カードスロットを備えていた。発売後数時間で完売し、翌年4月まで在庫なしのままだった。2009223日には読み上げ機能を加え内部メモリを増強した Kindle 2 が発売された。これ以降の Kindle 端末では SD カードスロットは省かれている。同年1019日には国際版が発売され日本でも販売された。現行の電子インク端末は2012101日に発売が開始された Kindle Paperwhite である。

LCD端末[編集]

詳細は「Kindle Fire」および「Kindle Fire HD」を参照

電子インク端末のラインとは別に、タッチパネルに対応する7インチ・カラー LCD ディスプレイを有する Kindle Fire はアメリカで20111115日に発売された。OS  Android を元に独自に開発したものを搭載し、ネットブラウジングなどタブレット端末としての機能も備えている。2012096日に第二世代 Kindle Fire が、2012914日には7インチ HD ディスプレイディスプレイを持つ Kindle Fire HD が、20121116日にはさらに8.9インチ版 Kindle Fire HD が発売された。

アマゾン・ウェブサービス[編集]

Amazon アマゾン ウェブサービスAWS)として、Amazon S3 などのいわゆるクラウドコンピューティングサービスを提供しており、年々サービス規模を拡大している。本サービスを提供するためのデータセンターは米国(US East および US West1, US West2)、欧州(アイルランド)、アジア・パシフィック(シンガポール、東京[94])、南米(ブラジル)などに置かれている。また米国の政府エージェント専用の Gov Cloud も提供している。

Amazon Appstore for Android[編集]

2011322日、Android 向けのアプリケーションを提供する Amazon Appstore がオープンした。アプリには有料と無料のものがあるが、「free app of the day」という形で、通常は有料のアプリを日替わりで無料提供するサービスも行っている。ただし、無料アプリを入手する場合でも Amazon.com の顧客アカウントが必要である[ 1]

購入は Android 搭載の携帯機器に Amazon Appstore アプリをインストールしてから行う[ 2]。あらかじめパソコンからアクセスしてアプリを購入しておいてから、携帯機器で再アクセスしてダウンロードすることも可能である。

パソコンで Amazon.com にログインして Amazon Appstore でアプリを閲覧すると、すでに別のアプリをダウンロードしたことがある顧客であれば、同じ携帯機器で使用可能かどうかが表示される。また、パソコン上での Test Drive(お試しプレイ)が可能なアプリもある[ 3]。一方、(3G  4G ではなく)Wi-Fi 接続しなければダウンロードできないアプリもある。

Amazon Prime Video[編集]

Amazon Prime Video は、ビデオ・オン・デマンドサービスである。ドラマや映画などのライブラリーのレンタルおよび購入に加え、プライム会員は指定されたライブラリー作品を無料無制限で視聴できる。プライム会員だけが視聴できる作品もある。作品の自社制作や独占配信も行っており、それらの作品群には「Amazon ORIGINAL」のブランドが冠される。2015年、自社制作作品の『Transparent(トランスペアレント)』がールデングローブ賞の最優秀シリーズ賞を受賞し、ストリーミングサービス作品としては初めての受賞となった。

訴訟[編集]

世界最大の書店?

1997512日、米国の大手書店バーンズ・アンド・ノーブルAmazonを提訴した。バーンズ・アンド・ノーブルの訴えは、Amazon は自社を「世界最大の書店」であると主張するが、Amazon は「実際には書店などではなく、書籍のブローカーである」ため、そのような主張は虚偽であるという内容だった。この訴訟は示談で解決し、Amazon は引き続き「世界最大の書店」と主張することとなった[88]

企業秘密の盗用?

19981016日、ウォルマートAmazonを相手に訴訟を起こし、Amazon が複数の元ウォルマート重役を雇い入れることで、ウォルマートの企業秘密を盗んだと主張した。この訴訟も示談という形で解決したが、Amazon は元ウォルマート社員に対する人事異動および業務制限の実施を強いられた[88]

備考[編集]

JK・ローリングの手作り本『The Tales of Beedle the Bard(吟遊詩人ビードルの物語)』を、ロンドンで開かれたサザビーズオークション195万ポンド(約45,000万円)で落札し、これを連想させる限定版を Amazon のみで販売した[95]

 

 

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