捏造の科学者―STAP細胞事件  須田桃子  2015.10.8.

2015.10.8. 捏造の科学者―STAP細胞事件

著者 須田桃子 1975年千葉県生まれ。早大大学院理工学研究科修士課程修了(物理学専攻)01年毎日新聞社入社、06年科学環境部記者、生殖補助医療や生命科学、ノーベル賞などを担当。特にiPS細胞については06年当初から山中伸弥・京大教授のノーベル賞受賞まで継続的に取材。森口尚史氏が、「iPS細胞を使った世界初の心臓移植手術」を実施したと発表した際は、その内容を疑い、記事化を見送った経験もある。今回の事件では、当初は「世紀の発見」との理研の発表を信じ、報道を行ったが、疑義が指摘されるようになると、各関係者への独自取材をもとにスクープを連発、一連の報道をリードし続けた

発行日           2014.12.30. 第1刷発行              15.2.1. 第4刷発行
発行所           文藝春秋

第1章        異例づくしの記者会見
STAP細胞発表の4日前、理化学研究所から記者会見開催の案内が入るが、「幹細胞研究の基礎分野で大きな進展があった」とあるだけで、成果のタイトルはおろか、概要や発表者名も書かれていない妙なもの。笹井にメールで問い合わせても、「須田さんの場合は〈絶対〉来るべきだと思う」とあるのみ
理研の発生・再生科学総合研究センターCDBの副センター長の笹井芳樹は、再生医療分野の著名な研究者。「ES細胞」を使って脳の発生初期を再現する研究に取り組む。11年にはマウスのES細胞から目の網膜の元になる「眼杯(がんぱい)」という立体的組織を作成することに成功、失明の原因となる網膜の病気の再生治療に繋がるとして注目
日を置かず判明した概要は、論文の掲載誌は英科学誌ネイチャー、発表者はまだ30歳前後の小保方晴子で笹井氏の秘蔵っ子、小規模な研究室(研究ユニット)を主宰しており、論文は、マウスの細胞を酸に晒すなどのストレスを与えるだけで受精卵に近い状態に初期化(リプログラミング)され、ES細胞やiPS細胞のように体のあらゆる細胞に分化する能力を持つ万能細胞に変化したという内容で、STAP細胞と命名されたという
ネイチャーを発行する雑誌社からもメディア向けに論文のゲラ刷りが提供される
理研の記者発表のタイトルは「体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見――細胞外刺激による細胞ストレスが高効率に万能細胞を誘導――」
ES細胞やiPS細胞では分化しない胎盤の組織にも分化する能力がある点は、受精卵により近い性質を持つ可能性が示唆されていて興味深い
記者がまず取り組むのは、成果の大きさや意義付けを、第三者の研究者の意見を聞きながら、客観的かつ慎重に評価すること
「追試できるとしたら画期的。iPS細胞以上のショック」「多能性と初期化についての新たな発見という基礎科学的な意義が大きい。手法自体はあまり洗練されていない」との評価を得る
iPS細胞以来、「新たな万能細胞」発見の報告が出ては消えているが、今回は明らかに反応が違う
14.1.28. 記者会見 ⇒ 小保方、笹井、若山照彦・山梨大教授が並ぶ
動物の分化しきった体細胞は初期化できない、という常識を最初に破ったのは、1962年イギリスのジョン・ガードン博士で、卵子を使えば体細胞の核を初期化し、あらゆる細胞に変化する能力を取り戻せることを証明し、クローンオタマジャクシを作ることに成功
96年には、クローン羊が生まれ、哺乳類の体細胞も初期化できることが証明された
06年 山中教授が卵子を使わずに体細胞そのものを初期化することに成功
07年には、ヒトiPS細胞の開発を発表
今回の発表は、細胞の核への直接的な操作を人工的におこなうことなく、細胞の外から刺激を与えるだけで、体細胞を初期化できたとするもの
14.1.30. 各紙がトップに取り上げ、0711月のiPSの記事を上回るフィーバーぶり
小保方の博士論文を指導した早大先進理工学部の常田聡教授も教え子の成果に喜びを隠せず。小保方は応用化学科の出身だが、大学院入学後に自ら再生医療を志望して研究分野を変え、卒論のテーマはバクテリアを分離して培養する手法の開発。小保方はAO入試で入学しており、常田教授はその受験にも居合わせ、モチベーションが高いことに好感
下村文化相は、理研を世界トップの成果を生み出す研究を担う「特定国立研究開発法人」に指定する方針を固めたことを明らかにする
1週間後の記者会見では笹井氏の能弁が際立つ ⇒ CDBは採用に際し目利きを徹底的にやり、失敗したらクビ。小保方については、「積み上げ型の研究をきちっとやっていける。挑戦させたい」と感じたという
すでにネット上では、論文の画像について様々な疑義が囁かれ始め、理研でも疑義についての予備調査を開始

第2章        疑義浮上
発表から2週間後には、ネット上にSTAP論文の複数の画像に不正の疑惑が出たこともあって、政府の総合科学技術会議への小保方の出席がキャンセル
ネット上ではさらに胎盤画像にも流用の指摘があり、電気泳動実験の結果で2つの画像を切り貼りした痕跡があるとの指摘も出る
STAP論文は、主論文「アーティクル」と、2本目の「レター」の2本が同時掲載され、「アーティクル」の著者は8人で責任著者は小保方とバカンティ(ハーバード大医学大学院教授)、「レター」の著者は11人で責任著者は小保方、若山、笹井
疑惑の第1報は15日で、毎日のみ
ネット上では、再現性が取れないとの指摘も
予備調査の始まる数日前、笹井と丹羽(プロジェクトリーダー)が京大iPS細胞研究所CiRAに来て、山中教授他所内の研究者たちに謝罪。騒動の発端は、STAP細胞とiPS細胞を比較するイラストの資料で、iPS細胞作製方法の進展に全く触れずに、開発当初のiPS細胞の特徴を並べてSTAP細胞の優位性を印象付ける内容だったことで、そのため多くの報道ではiPS細胞のがん化の恐れが強調され、危機感を抱いた山中教授が誤解を訴えていた。318日理研はこの資料を「誤解を招く表現があった」として撤回
217日にはネイチャーも不自然な画像の調査に乗り出したことを明らかにする
著者も出演したニコニコ動画では、STAP細胞が胎盤にも分化することを明確に裏付けるデータは示されていないとの指摘もあった
若山は、世界で初めて体細胞クローンマウスの作成に成功、クローン動物研究の第1人者、12年山梨大に転出するまではCDBのチームリーダー。STAP研究では、STAP細胞由来の細胞が全身に散らばるキメラマウスの作製に成功し、万能性の証明で重要な役割を果たした
小保方は、11.4.13.2.若山研に客員研究員として在籍、その間の実験結果を論文にまとめ、複数の科学誌に掲載を却下された後、笹井が加わって書き直し、14年に掲載されたのがネイチャーの論文
若山は、疑惑は事実だが、単純ミスであり、深刻な問題ではないと説明
その後もネット上では画像の新たな疑惑が次々と浮上 ⇒ 他の論文のコピペによる無断引用で、短期間でこれほど問題が噴出する論文は前代未聞。他の著者は沈黙を守る
iPS細胞の登場後活気づいた日本再生医療学会理事長・岡野女子医科大学教授は、小保方が同大の連携研究教育施設で学んでいたときに指導しており、世間のバッシングに批判的
12年に読売が「iPS心筋移植 初の臨床応用」としてスクープした森口氏について、怪しい人物だから気を付けたほうがいいと警告してくれた研究者から、iPS細胞との比較で安全性を論じている部分への疑問と、小保方に対して「科学的な議論に慣れていない」という印象を抱いたことが提起された。初期化の仕組みがわからないことを認めていながら、「安全性」を論じているのは不自然だし、小保方の印象にしても、「何でもやってしまう」、つまり不正行為に慣れていているのではとの指摘
36日、理研が発表したSTAP細胞作製実験のノウハウをまとめたプロトコル(実験手技解説)を巡り、一晩のうちに研究者の間から疑念が噴出 ⇒ STAP細胞の根幹は、「分化しきった体細胞を初期化した」ところにあり、リンパ球集団に僅かに残る未分化の細胞からできたものではないことを証明するためには、目印となるTCR再構成(リンパ球の一種であるT細胞に特有の痕跡)が見られなければならないが、プロトコルには「TCR再構成が見られない」と記載されていたところから、STAP細胞が何の細胞からできたのかわからなくなる
理研への問い合わせでも、丹羽は強弁し、笹井は詳細までは把握しておらず危機感も乏しかった

第3章        衝撃の撤回呼びかけ
39日にはネット上で、「テラトーマ実験の画像」が11年の博士論文のものと酷似との指摘
テラトーマとは、生きたマウスの皮下に万能細胞を移植した時にできる良性の腫瘍で、中には様々な組織の細胞が凝縮されて詰まっている。STAP細胞を移植した時に、このテラトーマができ、様々な組織に分化した細胞がその中に確認できれば、STAP細胞には万能性があるという1つの証拠となる
画像はできた組織毎に腫瘍の切片を作り、撮影したもので、それが以前の論文のコピーでは話にならない ⇒ STAP細胞そのものへの疑念が膨らむ
310日 若山が論文取り下げを日本人の共著者に呼びかける ⇒ NHKのスクープ
テラトーマ画像とTCR再構成での2つの問題が取り下げ呼びかけの理由で、小保方からキメラマウスを作製するよう依頼されて渡された細胞がES細胞由来かもしれないという疑念が出てきたので、正しくやり直すべきと考えた
共著者が集まってもう1回実験をやり直せばはっきりするが、その気配はない
さらに、小保方の博士論文では、NIHのウェブサイトを丸写ししていることも判明
笹井は、STAP細胞以外の自身の研究成果に対し、生命科学などの優れた業績に与えられる「上原賞」を受賞したが、STAP細胞を巡る騒動については「根の深い話ではない」とコメント、若山も説得したと言明、小保方をかばう言葉もあった
論文の疑義について笹井と同じ情報を共有しているはずの丹羽も、小保方のデータ管理能力には疑問を持つが、研究能力の高さは確認しているとコメント、さらに論文の不備と科学的な現象とは別に考えてほしいと訴える
314日 理研・野依理事長が陳謝、調査委員会は、6件の不正疑惑のうち4件を不正の可能性ありとして調査継続とした
小保方の「未熟さ」が強調されたが、どうして「未熟な」者が研究ユニットリーダーに採用されたのか疑問
論文撤回には、バカンティ教授が「データが誤りであるという証拠がない以上撤回すべきではない」と反対

第4章        STAP研究の原点
STAP細胞の原点は、01年バカンティ兄弟の論文にある ⇒ 兄のハーバード大教授は麻酔医と同時に細胞をベースに組織の再生を試みる組織工学を専攻、弟は医師。哺乳類の体の組織には栄養補給が途絶える等の過酷な条件下でも生き残る小さな細胞が休眠状態で存在し、元の組織の細胞に分化する能力があるという内容だったが、根拠を示す数値や統計データがなく、本気で取り上げた人はいなかった
バカンティ研究室に留学した小保方のあるプレゼンがバカンティ教授を驚かせ、共同研究と留学期間の延長の申し出があったばかりか、博士号もない学生にもかかわらず後半の費用はハーバード持ちという破格の待遇
組織の破片から小さな細胞を分離する粉砕実験に取り組んだ過程で、若山との共同研究の話がまとまり、11年ハーバードにポスドクとして籍を置きながら若山研の客員研究員としてボストンと神戸を往復、費用はハーバード大のブリガム病院が支弁
若山はキメラマウスの作製に成功するが、若山研での小保方は単独で行動することが多く、研究室内でのプレゼンは周囲を唸らせる出来栄えだったが、データや画像には日付も説明もなかった
12年 ネイチャー、セルやサイエンス(米科学誌)に最初の論文(「体細胞を刺激によって初期化し、新たな万能細胞を作製した」、筆頭著者小保方、責任著者バカンティ、共著者若山他)を投稿するが不採用、米国特許の仮出願(発明者バカンティ、小保方ほか)も行われた
若山研からヒトSTAP細胞の作製実験計画がCDBの倫理委員会に提出され、理研内でも公になり、竹市センター長もキメラマウスの成功があったので一瞬で信用、小保方を研究ユニットリーダーに推薦。同時に笹井が論文作成を支援することに決定
13.3. ネイチャー誌にSTAP論文投稿。Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency=刺激惹起性多能性獲得細胞という名称もこの時初めて使用
13.4. 米国特許庁への本出願の代わりに国際出願も行われ、笹井が加わる

第5章        不正認定
小保方は、1年後になって、早大に11年の自身の博士論文取り下げを申し出
笹井のやり方は、とにかく極秘にすることで、共同研究者にすら論文が出るまでは自分のデータを見せない
著者の疑問の照会に対し、笹井は強弁を繰り返しながらも、自らの研究者人生に、この先挽回できないかもしれないほどの打撃を与えたのは間違いないとまで言っている
4月の内部調査結果報告では、小保方による2件の研究不正行為(画像の切り貼りによる改竄とテラトーマ画像の流用による捏造)を認定、若山・笹井については不正はなかったものの責任は重大、丹羽は関与が薄いとの結論
小保方のみ、STAP細胞の発見すら否定されかねないとして、理研を提訴する構え

第6章        小保方氏の反撃
細胞研究、多能性研究の分野で世界的な権威である丹羽が実験責任者となって検証実験を実施することになる ⇒ 元々のプロトコルを書きながら、自らはSTAP細胞を作ったことがなかったこと自体不可思議
小保方が理研に対し不服申し立て ⇒ 科学的な疑義に対する説明には説得力がなかった共著者でありながら、小保方と笹井が別個に記者会見することも異様であり、そのうえ釈明ばかりが目立つ笹井の会見に対しては、科学者として不誠実との見解が強く、CDBの存廃の危機すら予感された

第7章        不正確定
調査委員会の石井俊輔委員長の04年の論文にも画像データの切り貼りの疑念が浮上、委員長を辞任。さらには、他の委員の過去の論文にも図の切り貼りや流用があるとの指摘
理研は、小保方の申し立てを却下するとともに、再調査しない方針も決定、懲戒委員会が動き出す

第8章        存在を揺るがす解析
CDBによる全画像調査の過程で、STAP細胞や、STAP細胞から作製した「STAP幹細胞」の存在を根底から揺るがす2つの解析結果が出る
1つは、若山が第3者機関に依頼したSTAP幹細胞の解析で、実験に使ったマウスと矛盾する不自然な結果が出た ⇒ 若山研で提供したマウスでは絶対できないSTAP幹細胞ができたことに困惑、ES細胞を自由に使える環境にあった小保方の作為しか考えられず、若山自身が行った再現実験でも成功したことはなかった
2つ目は、公開されているSTAP細胞の遺伝子データを理研が解析したところ、STAP細胞では説明のつかない結果が出た

第9章        ついに論文撤回
ヨーロッパでは、世界の3大不正の1つに認知 ⇒ 2000年代に起きた科学史に残る2つの論文不正事件に匹敵する大問題との認識。ベル研の高温超電導研究での大量論文不正が起きたシェーン事件とソウル大学の黄教授がヒトクローン胚からES細胞を作ることに初めて成功したと発表したが後でねつ造が発覚した事件の2
理研の「研究不正再発防止のための改革委員会」が改革案を諮問した「改革委員会」(委員長・岸輝雄・新構造材料技術研究組合理事長)は、CDBの「解体」を含む抜本的な改革を迫る提言書をまとめる ⇒ 小保方のユニットリーダー採用についても、必要な選考手続きを悉く省略した信じ難い杜撰さと批判、論文の作成過程についても小保方の杜撰な研究データの記録・管理を許したCDBの責任を追及、笹井についても秘密保持を優先し内容の検証を怠ったと断定、いずれもCDBの組織体制に由来すると分析
この期に及んでも竹市は、「科学の世界には不思議なことがいっぱいある、それをすべて否定したらサイエンスではなくなる。不思議なことを尊重して、最後まで調べたい、それが検証実験だ」と強弁したのみならず、自己点検検証委員会の報告書についても、「私が危ないと思うところは全部削除した」と、隠蔽ともとられ兼ねない発言をして関係者を唖然とさせた
7月 ネイチャー誌が2本の論文を撤回、研究成果は白紙に
理研は、検証実験への小保方の参加と、STAP論文の新たな疑惑についての予備調査の開始を決定
笹井も、「STAP現象は最も有望な仮説」という主張を頑として曲げなかったが、「STAP現象全体の整合性を疑念なく語ることは現在困難」と見解を翻す
iPS細胞を使って目の難病を治療する世界初の臨床研究を率いるCDBの高橋政代プロジェクトリーダーが、「理研の倫理観には耐えられない、現場は落ち着いて研究に専念できる環境にない」と実名でツイッターに投稿

第10章     軽視された過去の指摘
12年 小保方らがネイチャー他の3大科学誌に投稿した際、研究者は査読者を自分で選べないが、どうしても査読してほしくない人をあらかじめ編集者に伝えることができることから、セルへの投稿時、iPS細胞の山中教授とiPS細胞やES再生医学研究のトップランナーの1人、イェーニッシュMIT教授を外すよう求めており、iPS細胞研究を相当意識していた様子が窺える
査読者のコメントは、問題点や疑問点、改良点など23項目が列挙されているが、小保方の言った「細胞生物学の歴史を愚弄している」という言葉は見当たらない。初歩的な指摘も含め、丁寧な指摘の数々が、次の投稿時に生かされた形跡がない
にもかかわらず、同じ論文が、2回目のネイチャー投稿時には採択されたのは驚き。査読者の人数が1人増えて3人になっているものの、そのうちの1人は同一人物を思われ、前回より表現が弱められてはいるが、論文発表後に専門家の間で議論されている科学的な疑問点がほぼ網羅されており、掲載は勧められないとしている

第11章     笹井氏の死とCDB「解体」
147月 早大は、小保方の博士論文の調査委員会の結論として、11か所について著作権侵害行為かつ創作者誤認惹起行為(盗用)と認定しつつ、不適切だが不正行為ではなく、博士号の授与に重大な影響を与えるものではないとした ⇒ 小保方は、調査対象となった論文は「作成初期段階の草稿」だと主張、直前まで修正したものを最終稿として提出、調査委員会も博士号を取得したものと同じ論文とは認めなかったものの、実物は確認できないまま結論を出したのは驚きと同時に疑問が残った
10月 博士号授与に最終責任を持つ総長の結論は、今後1年程度で論文が訂正されれば学位を維持できるとした「猶予付き取り消し」であり、博士号を授与するに値する人物だとして送り出したことに対する責任や、さらにはそのことがSTAP細胞問題を惹起したのではないかという疑問に対しては直接の回答を避ける
日本学術会議が、「研究全体が虚構であったとの疑念を禁じ得ない」として、不正の全容解明と関係者の処分を要求
8月 笹井自殺、享年52ES細胞から網膜や神経細胞を作り出す研究で世界をリード、山中教授と共同受賞したガードン英ケンブリッジ大名誉教授の孫弟子
CDBの日本名は「発生・再生科学総合研究センター」であるのに対し、英文名は”Center for Developmental Biology(発生生物学研究所)” ⇒ 英文には実態が反映され、その役割を果たしてきたが、設立から10年以上たって発生生物学のピークを過ぎても巨額の予算を獲得できたのは、再生医療の牽引役という看板があったからで、その責任者だった笹井は再生医療の成果を出し続けなければならないというプレッシャーに負けたともいえる
8月 理研が改革のアクションプランを発表 ⇒ CDBの「解体的出直し」をうたうが、理事は全員留任
同時に検証実験の中間報告発表 ⇒ ネガティブな結果
STAP細胞が存在する科学的根拠だった論文が撤回され、研究が白紙に戻っている現在、全世界で第3者が再現できたことが一度もないのに、論文以外の方法まで広げて、これ以上検証実験を続ける意味はないとの批判も根強い
CDBによる全画像調査(8章参照)を理研内部で担当した遠藤氏が、解析結果を論文発表、遺伝子データをとった時点ではSTAP細胞がなかったと思うと言明、理研内部の自浄作用を示してくれた

第12章     STAP細胞事件が残したもの
14.10.時点で、「STAP細胞や、STA細胞から作られた幹細胞とは何だったのか」という謎は未解決
「誰がなぜ、そしてどのように研究不正行為に関わったのか」も謎のまま ⇒ 具体的な動機やきっかけ、手段は不明のまま
理研の対応で一番問題だったのは、検証実験をいち早く計画し、実行に移した一方で、調査委員会が断定した2件の不正以外に指摘された論文の多数の疑義を長らく放置したこと
不正の全容解明よりもSTAP細胞の有無のほうが重要なテーマとされたが、科学は長年、論文という形式で成果を発表し合い、検証し合うことで発展してきており、本来STAP論文こそ、STAP細胞の唯一の存在根拠のはずで、不正の調査を先送りにしたことは、科学の営みのあり方を否定する行為ともいえる
何より理研は、「信頼」という研究機関にとって最も大切なものを失った
シェーン事件(9章参照)との類似 ⇒ ドイツ出身の物理学者シェーンが、ベル研究所の超電導研究の大御所バトログ博士と共同研究で高温超電導に関する画期的な成果を63本の論文とし、時代の寵児となったが、内部告発からデータの改竄・ねつ造が発覚、すべての論文が取り下げられ、母校での博士号も剥奪された事件
   不正の舞台が酷似 ⇒ ベル研が情報通信分野の大手ルーセント・テクノロジー社に所属、ITバブル崩壊の余波でベル研でもリストラが進んでおり、低迷するベル研にとってシェーンが「希望の星」だった。同様にCDBでも政府からの運営費交付金が10年間で半減、iPS細胞を凌駕するSTAP細胞を携えた小保方が「希望の星」となった
   若き研究者と著名で信用厚いシニア研究者の組み合わせも同じ ⇒ 研究の核心的部分の実験が若手研究者一人で行われ、指導的立場のシニア研究者がその責任を十分果たさなかった
l  発表当時の科学界の興奮振りも相似
   不正を見抜けなかった科学誌の査読システム ⇒ 査読者の慎重な意見が適切に掲載の判断に反映されているとはいいがたく、編集部の商業主義的意向が強く働いている
一流科学誌に掲載されたからと言って内容の正しさを担保されているわけではない
l  失敗続きの追試
l  実験ノートの不備
   学生時代からの不正行為 ⇒ 基礎的な指導を受けないままに論文が通る
シェーン事件との最大の違い
l  疑惑発覚後の所属機関や母校の対応 ⇒ ベル研は告発した内部委員以外はすべて外部委員で構成される調査委員会を立ち上げ、世界中から告発を広く募り、4か月後に調査委員会の報告書がまとまるとシェーンは即日解雇。ドイツの母校の博士号剥奪は裁判にまでなったが大学側が勝訴
14.10. 理研は、複数の国で特許の国内移行手続きをとる ⇒ 検証実験が継続中であり、STAP現象が完全に否定されたわけではないというのがその理由で、出願論文中の不正疑惑については各国の特許庁の判断に委ねるとしている
l  論文発表から発覚までの期間の違い ⇒ シェーン事件では論文発表から外部告発まで2年以上経っているが、STAP論文は発表の1週間後には海外の論文検証サイトで画像の切り貼りが指摘され、疑惑に関する情報はソーシャルメディア上で共有され、徹底的に分析、議論された
科学者コミュニティと科学ジャーナリズムが協力し合い、あいまいなままの幕引きを許さなかったことが、理研の再調査開始に繋がった
STAP問題が提起した課題は多く、すぐに解決するのは難しいが、科学者が誠実でいられる研究環境を目指していくことが大事と考える



捏造の科学者STAP細胞事件 [著]須田桃子
[]斎藤環(精神科医)  [掲載] 朝日 20150222
他者を巻き込み増殖した嘘

 真性の嘘(うそ)つきとは、自分自身の嘘に騙(だま)されてしまう人間であるという。
 この一年間というもの、一人の不正を発端とするSTAP狂騒曲に日本中が振り回された。日本を代表する一つの研究機関の信頼性が失墜し、将来を嘱望された一つの研究部門が解体され、検証のために莫大(ばくだい)な予算が空費され、有能な一人の科学者が自殺した。嘘つきへの告発など一言も記されていない本書を素直に読んで、まず浮かぶのはこういうストーリーだ。
 須田記者は、この事件を巡る記者会見で、ひときわ鋭い質問をすることで知られた科学記者だった。人間関係のゴシップなどには目もくれず、ひたすら「捏造(ねつぞう)の真相」に迫ろうとするその態度は謙虚かつ公正で、本書に登場するほとんどの科学者以上に科学的に見える。
 本書に引用されている理研の竹市雅俊氏の発言は象徴的だ。「須田さんは真相究明派ですよね」。そう、この国には真相に関心のない科学者が存在する。不正の真相究明よりもSTAP細胞の検証実験が優先されるという珍妙な事態の背景には、こうした組織の病理があった。
 結果、嘘が嘘を呼ぶ嘘の自己組織化を誰も制止できないまま「世界の三大研究不正」の一つが成立してしまった。201412月、理研は検証実験の失敗と不正の存在を公表したが、真の責任の所在はうやむやなままだ。
 真理を世に出すためには、少々の嘘は許される。科学者を惑わす悪魔の囁(ささや)きだ。研究者の端くれとして、僕もその囁きを聞いたことがないとは言わない。しかし嘘は、他者を巻き込んで自己増殖する。だからこそ僕は、本書の先にある「真相」を知りたい。それがわからないうちは、軽々しい「自戒」など口にすらできない。
    
 文芸春秋、1728円=4刷8万部



[書評]『捏造の科学者』
須田桃子
小木田順子
20150313
 STAP細胞事件については、毎日新聞の記事がいい、毎日新聞が頑張っている――この問題が渦中だったころ、ツイッターのタイムラインで、たびたびそんな投稿を見かけた。
 本書はその毎日新聞で、STAP細胞事件取材を中心的に担った科学環境部の記者によるノンフィクションだ。
 小保方晴子さんが、細胞に弱酸性の刺激を与えるだけで新たな万能細胞ができるという衝撃的な記者会見を開いたのは、2014128日。
 ヴィヴィアン・ウエストウッドのお洋服と割烹着が花を添え、日本中が小保方フィーバーになるが、半月も経つか経たないうちに、論文に掲載された複数の画像に不正があると指摘される。
 「それはあくまで単純ミスで、STAP細胞本体とは関係ないんじゃないか」と、おそらく多くの一般人が半信半疑でいるうちに論文は撤回され、理研の調査で「〈改ざん〉と〈捏造〉」が認定され、検証実験が始まって、結局STAP細胞は見つからず、「すべてES細胞の混入で説明できる」という報告書が出されたのが年末の1225日である。
 一連の経緯をまとめた本が、まだ事件の記憶が生々しい今年の年初に出た、という点がまずすばらしいし、同業者として言祝ぐべきことだと思う。
 こういった事件ものノンフィクションは、刊行までの時間が長くなればなるほど、それに反比例して売り上げが落ちる……というのが、最近の出版業界ではとくに顕著だからだ。
 著者たちの取材が他紙と比べてどう優れていたのかは、正直、私には分からない。だが、その判断は措くとしても、小保方さんの論文にどんな問題があって、それはたんに手続き的なミスでなく、いかにSTAP細胞の存否そのものに関わる本質的な問題であったかということが、本書を読んで初めて腑に落ちて理解できた。
 また、「須田さんの場合は絶対に来るべきです」といった、新聞広告などで惹句として使われた、故・笹井芳樹氏との親密なメールのやりとりも、そこだけ拾い読みしても、十分におもしろい。
 が、私にとって望外に興味深かったのは、新聞の科学部記者の仕事を垣間見られたことだった。
 社会部記者のサツ回りや、政治部の番記者については、たびたび見聞きしてきたけれど、科学部の記事がどうつくられるかについては、ほとんど知らなかったし、意識したこともなかった。
 もちろん新聞であるから、「取材して書く」が基本だ。だけれど、STAP現象のような科学的事象は、社会の現場でなく、研究室の実験装置の中で起きている。
 だから、記者はそれをダイレクトに取材できるわけではない。論文を読み、関連文献を読み、研究発表の場に出向き、書き手にインタビューし、それについて解説・論評するためにまた別の専門家にコメントを求め、ということが繰り返される。
 本書でも、笹井氏のほか、同じく論文共著者である若山照彦氏・丹羽仁史氏ら、この問題のキーマンと密にメールをやりとりし、電話をし、ときに他社を出し抜いてインタビューする様子が描かれる。
 若山氏は、著者の取材依頼に応じるメールで、「今まで来た記者さんの中で一番、本気でSTAPについて考えてくださったので、僕もお話しできたらうれしいです」と書いている。専門知識をきちんと身につけ、かつ、研究者と人間関係を築けるのが、優れた科学部記者なのだろうということがうかがえる。
 もちろん、いくら専門知識があるといっても、記者は研究者ではない。言い方は悪いが、ときに付け焼刃的に勉強しながら取材する、ということになる。
 STAP細胞事件の初期、論文の不正画像問題が発覚した直後に著者が出演した「ニコニコ生放送」で、とある研究者が、最終的にSTAP細胞の存否を決定づけるような重大な問題を指摘していた。だが、著者はそのときはそこに食いつくことができず、「残念ながら当時の私には、このことを深く追及するだけの知識や余裕がなかった」と述懐する。
 本書は、2014128日の記者会見に、私たち一般人と同じように、いやそれ以上に興奮した一記者が、取材しながら学び、学びながら取材することで、「科学史に残るスキャンダル」の追究者へと変貌していく記録でもあるのだ。
 そして本書の最後で著者は、「再び一月下旬に時が戻ったとしても、数日の間にSTAP論文の不正や主張の根拠となるデータのあいまいさを見抜き、記事を書かない、もしくはごく小さな記事に留めるようデスクに進言できる自信はない」と書く。
 だが、そのような、「走りながら考える」営みがまずあるからこそ、「歴史」がつくられるのだと思う。
 ジャーナリストの青木理さんは、ある本のなかで、「歴史のデッサンを描くことがジャーナリストの仕事」という、『ワシントン・ポスト』の編集主幹の言葉を紹介していた。
 起きたばかりの出来事をいち早く記録するから、当然、間違いはある。だけれど、取材を重ねるうちに、最初はばらばらな情報の断片が整理され、輪郭が浮かび上がり、全体像が明らかになる。その記録に、のちの人が論評や検証を加え、「歴史」がつくられていくのだという。
 本書が伝える著者の仕事は、まさにこの「歴史のデッサンを描く」仕事そのものである。そしてそれは、「未完成」という意味でもデッサンである。
 帯に記された、「誰が、何を、いつ、なぜ、どのように捏造したのか?」という問いの答えは、実は本書に書かれていない。著者には、ぜひ今後もこの問題を追いかけ、何といっても小保方さんのインタビューをとって、この絵の全体像を見せてほしいと切に願う。


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理化学研究所20141月に発表し命名。「STAP」とは初期化現象を示す「刺激惹起性多能性獲得(stimulus triggered acquisition of pluripotency)」を意味する。これは遺伝子導入により多能性を獲得する「iPS細胞」の樹立経路とは全く異質のものである。
それまで動物細胞の自発的な初期化は起きないとされていたが、酸性溶液による細胞への刺激や、細いガラス管に細胞を多数回通すなどの物理的な刺激、細胞膜に穴をあける化学的刺激といった、細胞外刺激による細胞ストレス初期化を引き起こすことが実証された。今後は再生医学や、老化・がん・免疫など研究への応用が研究される。
201436日、作製に関する実験手技解説を「Nature protocol exchange」で発表*1
細胞外から刺激を与えるだけで動物細胞初期化を起こすことはできないとされていた常識を覆した。
体細胞に人工的な処理を施して得られる多能性細胞iPS細胞があるが、これと比べてSTAP細胞はより簡単な作業で作成可能。
STAP細胞そのものはあまり増殖しない。しかし、副腎皮質刺激ホルモンを含む培養液中で育てるとES細胞と同じ程度の高い増殖能を持つ「STAP幹細胞」が得られることが明らかになっている。
STAP細胞マウスの胎仔部分だけでなく、胎盤や卵黄膜などの胚体外組織にも分化可能である(ES細胞iPS細胞は胚体外組織には分化できない)。

概要
STAP細胞に関する論文では、さまざまな組織になる万能細胞を簡単な手法で作れると発表されたが、論文が発表された後、世界中の研究者がその再現を試みたにもかかわらず、小保方晴子研究ユニットリーダーのチーム以外に誰も再現できなかったこと、論文で別々の実験結果とする画像が酷似していること、画像データの加工疑惑、文章の無断引用の疑いが相次いで指摘されたことなどを受けて、理化学研究所調査委員会を立ち上げ、事実関係についての調査を行った。
2014314日、理化学研究所野依良治理事長らが都内で記者会見し、論文の画像は小保方晴子研究ユニットリーダーの3年前の博士論文と同じと言わざるを得ないとする中間報告をまとめ、公表した。このなかで、調査委員会論文6点を調査、うち2点はデータの取り扱いに不適切な点はあったが不正に当たらないとし、残り4点は継続して調査が必要とした。ただし、研究チームの複数のメンバーは、STAP細胞そのものについては、作製できたとする主張を変えていない。
また、併せて研究の中心となった小保方晴子研究ユニットリーダーと理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長ら共著者は、論文取り下げの意向と「心からおわびする」との謝罪を記した文書を発表した。これにより、STAP細胞の成果は、白紙に戻る可能性が高くなった。
201472日、英科学誌ネイチャーにより、STAP細胞論文2本を撤回したと発表*2
STAP現象に関する私共の論文の不備について多方面から様々なご指摘を頂いていることを真摯に受け止め、そのことが混乱をもたらしていることについて心よりお詫び申し上げます。本件に関して、理化学研究所で行われている調査に、今後とも迅速に応じて参る所存です。また、論文内に確認した複数の不適切または不正確な点に関しては、速やかにNatureへ報告して参りましたが論文にこうした不備が見つかったことはその信頼性を損ねるものと著者として重く受け止め、今回の論文を取り下げる可能性についても所外の共著者と連絡をとり検討しております。
今回は、経過中の調査の中間報告がなされる場であることから、書面でのコメントになりますが、適切な時期に改めて説明する機会を設け、誠意をもって対応してまいります。
2014314
独立行政法人理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター

小保方晴子側の反論
201449日に小保方晴子が実施した記者会見に関して、2014414日、代理人の三木秀夫弁護士を通じて報道陣に文書を配布した。その内容は以下の通り。
1 STAP細胞の存在について
(1)200回以上成功したと述べた点
私は、STAP細胞作製の実験を毎日のように行い、しかも1日に複数回行うこともありました。STAP細胞の作製手順は、<1>マウスから細胞を取り出して、<2>いろいろなストレスを与え(酸や物理的刺激など)<3>1週間程度培養します。この作業のうち、<1><2>の作業は、それ自体にそれほどの時間はかからず、毎日のように行って並行して培養をしていました。培養後に、多能性マーカーが陽性であることを確認してSTAP細胞が作製できたことを確認していました。このようにして作製されたSTAP細胞幹細胞性については、培養系での分化実験、テラトーマ(腫瘍)実験やキメラマウス(複数の個体細胞がまだらに混じったマウス)の実験などにより複数回再現性を確認しています。
STAP細胞の研究が開始されたのは5年ほど前ですが、20114月には、論文に中心となる方法として記載した酸を用いてSTAP細胞ができることを確認していました。その後、20116月から9月ごろには、リンパ球のみならず皮膚や筋肉や肺や脳や脂肪などいろいろな細胞について、酸性溶液を含むさまざまなストレス条件を用いてSTAP細胞の作製を試みました。この間だけで100回以上は作製していました。
そして、20119月以降は、脾臓由来のリンパ球細胞(CD45+)酸性溶液で刺激を与えて、STAP細胞を作製する実験を繰り返していました。このSTAP細胞を用いて、遺伝子の解析や分化実験やテラトーマの実験などを行うので、たくさんのSTAP細胞が必要になります。この方法で作ったものだけでも100回以上は、STAP細胞を作製しています。また、今回発表した論文には合わせて80種類以上の図表が掲載されており、それぞれに複数回の予備実験が必要であったことから、STAP細胞は日々培養され解析されていました。このことから、会見の場で200回と述べました。
(2)第三者によって成功している点
迷惑がかかってはいけないので、私の判断だけで、名前を公表することはできません。成功した人の存在は、理研も認識しておられるはずです。
2 STAP細胞作製レシピの公表について
STAP細胞を作る各ステップに細かな技術的な注意事項があるので一言でこつのようなものを表現することは難しいのですが、再現実験を試みてくださっている方が、失敗しているステップについて、具体的にポイントをお教えすることは、私の体調が回復し環境さえ整えば、積極的に協力したいと考えております。状況が許されるならば他の方がどのステップで問題が生じているかの情報を整理して、現在発表されている実験手順に具体的なポイントを順次加筆していくことにも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
また、現在開発中の効率の良いSTAP細胞作製の酸処理溶液のレシピや実験手順につきましては、所属機関の知的財産であることや特許等の事情もあり、現時点では私個人からすべてを公表できないことをご理解いただきたく存じます。今の私の置かれている立場では難しい状況ですが、状況が許されるならば実験を早く再開して、言葉では伝えにくいこつ等がわかりやすいように、映像や画像等を盛り込んだ実験手順としてできるだけ近い将来に公開していくことに努力していきたいと考えております。
3 412日朝刊での新聞記事について
同日、一部新聞の朝刊において「STAP論文新疑惑」と題する記事が掲載されましたが、事実確認を怠った誤った記事であり、大きな誤解を招くものであって、許容できるものではありません。この説明は同日中に代理人を通じて同新聞社にお伝えしています。
(1)雌のSTAP幹細胞が作製されており、現在、理研に保存されております。したがって、雄の幹細胞しかないというのは、事実と異なります。
(2)STAP幹細胞は、少なくとも10株は現存しております。それらはすでに理研に提出しており、理研で保管されています。そのうち、若山先生(若山照彦山梨大教授)が雄か雌かを確かめたのは8株だけです。それらは、すべて雄でした。若山先生が調べなかったSTAP幹細胞について、第三者機関に解析を依頼し染色体を調べたところ、そこには、雌のSTAP幹細胞の株も含まれていました。記事に書かれている実験は、この雌のSTAP幹細胞を使って行われたものです。
4 STAP幹細胞マウス系統の記事について
20133月までは、私は、神戸理研の若山研究室に所属していました。ですから、マウスの受け渡しというのも、隔地者間でやりとりをしたのではなく、一つの研究室内での話です。この点、誤解のないようお願いします。
STAP幹細胞は、STAP細胞を長期培養した後に得られるものです。
長期培養を行ったのも保存を行ったのも若山先生ですので、その間に何が起こったのかは、私にはわかりません。現在あるSTAP幹細胞は、すべて若山先生が樹立されたものです。若山先生のご理解と異なる結果を得たことの原因が、どうしてか、私の作為的な行為によるもののように報道されていることは残念でなりません。
追記
49日の会見は「不服申し立て」に関する記者会見であり、準備期間も不十分で、しかも公開で時間も限られた場であったことから、STAP細胞の存在や科学的な意義についての説明を十分にすることができませんでした。しかしこのような事情をご理解いただけず、説明がなかったとして批判をされる方がおられることを悲しく思っております。理研調査委員会のご指示や進行具合にもよりますし、私の体調の問題もあるので確かなお約束はできませんが、真摯(しんし)な姿勢で詳しく聞いて理解してくださる方がいらっしゃるなら、体調が戻り次第、できるだけ具体的なサンプルや写真などを提示しながらの科学的な説明や質問にじっくりお答えする機会があればありがたく存じます。(会見形式では到底無理ですので、たぶん数名限定での説明になると思いますが)



Wikipedia
STAP細胞-刺激惹起性多能性獲得細胞[1][2]: Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cells[1][3])とは、動物の分化した細胞に弱酸性溶液に浸すなどの外的刺激(ストレス)を与えて再び分化する能力[ 1]を獲得させたとされる細胞。その英語名から一般にはSTAP細胞(スタップさいぼう、STAP cells)と呼ばれる[ 2]。この細胞をもたらす現象をSTAP現象STAP細胞に増殖能を持たせたものをSTAP幹細胞、胎盤形成へ寄与できるものをFI幹細胞と呼ぶ[7][8]
20141月に小保方晴子理化学研究所)らが、チャールズ・バカンティハーバード・メディカルスクール)や若山照彦山梨大学)と共同で発見したとして、論文2本をネイチャー130付)に発表した[9][10]。発表直後には、生物学の常識をくつがえす大発見とされ[3][11]、小保方が若い女性研究者であることに注目した大々的な報道もあって世間から大いに注目された。
しかし、論文発表直後から様々な疑義が指摘され、同年72に著者らはネイチャーの2本の論文を撤回した[12][13]。その後も検証実験を続けていた理化学研究所は、同年1219に「STAP現象の確認に至らなかった」と報告し、実験打ち切りを発表[14][15]。同25日に「研究論文に関する調査委員会」によって提出された調査報告書は、STAP細胞・STAP幹細胞・FI幹細胞とされるサンプルはすべてES細胞の混入によって説明できるとし、STAP論文はほぼ全て否定されたと結論した[16]
理研は小保方氏に約2年間で約4600万円の研究費を支給。さらに、不正調査などに約8360万円をかけたが、小保方氏の研究全体が不正だったわけではないなどとして、返還請求の対象は論文掲載費だけにとどめた。

目次
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研究の特徴[編集]

研究の着想[編集]

研究の着想は「植物のほか、動物の中でもイモリは傷つくなど外からの刺激をきっかけに、万能細胞化して再生する。ヒトを含めた哺乳類でも同様のことが考えられないか」という素朴な疑問にあるとされた[17]。小保方が大学院時代に留学したハーバード大学医学大学院のブリガムアンドウィメンズ病院麻酔科教授のチャールズ・バカンティらは、成体内に小型の細胞が極少数存在し、これが休眠状態の多機能細胞ではないかとの仮説を唱えていた(胞子様細胞[1]。小保方はこの研究室で組織細胞をガラスの細管に通して小型細胞を選別する実験を行った。この実験で小型の幹細胞は取り出せるが、元の組織には幹細胞が観察されないこと、繰り返し細管に通すと少しずつ小型の幹細胞が出現することなどを知った。小保方は「小さい細胞を取り出す操作をすると幹細胞が現れるのに、操作しないと見られない。幹細胞を『取り出している』のではなく、操作によって、『できている』という考えに至った」と話している[18]

主張された意義[編集]

従来、遺伝子の導入などによらず、外的刺激を与えることのみで、動物細胞の分化した状態を無効にして初期化(リプログラミング)し、万能細胞にすることはできないとされていたため、STAP細胞の発見は生命科学の常識を覆す大発見とされ[3][11]細胞初期化原理の解明や医療への応用が期待された[19][20]。ここで外的刺激とは細胞を弱酸性溶液(pH5.7)に短時間浸すというような簡単な処理であるとされた[9]
論文で主張されているSTAP細胞・STAP幹細胞の特徴をiPS細胞の特徴と比較したもの。
また、発表当初はiPS細胞と比較したSTAP幹細胞の優位性についても強調された[21]。しかし、iPS細胞の発見者である山中伸弥により反論され[22]、理化学研究所も「誤解を招く表現があった」として、318には当初の主張を撤回している[23][24]
STAP細胞はiPS細胞とは異なり、体内での臓器再生等、別の可能性があることが期待されていた[19][25]。また、小保方は細胞初期化を制御する原理が解明できれば、細胞の状態を自在に操作可能な技術につながると語り[26]、山中も初期化のメカニズムに迫るにあたって有用だとしていた[19]
また、共著者の一人である東京女子医科大学教授大和雅之は、外的刺激による初期化は生物が生存のために環境に適応する進化的意味合いを持つとし、未知の生命現象が解決する可能性[ 3]や生物学におけるインパクト、波及効果を指摘していた[20]

懸念された問題点[編集]

STAP細胞は胎児にも胎盤にもなれることから、多能性細胞を越える「全能性細胞」であるかもしれないと言われていた[27]。もし人間でも作成できることができ、それが全能性を持っていた場合、子宮に移植することにより人間そのものができてしまう可能性があり、それに伴う倫理的問題が指摘された[28]チャールズ・バカンティはマウスの胎盤にSTAP細胞と主張する細胞の細胞塊を注入する実験を行い、胎児に育つことを期待したと言われている[29]。現在はマウスでの研究段階であるが、もし人でも全能性を持つSTAP細胞が作れるとすれば完全なクローン人間を作れることになり、中絶反対派などとの論争が懸念された[27]。また、生存中の人間と同じ遺伝子情報を持つ別の人間が存在してしまうことになるが、これは体細胞由来のiPS細胞やクローンES細胞でも同様に起こり得る問題である[30]。このような問題はイギリスの科学雑誌「NewScientist[31][32]を中心に取り上げられた[33]
研究の詳細[編集]

撤回された論文の要旨[編集]

刺激によるSTAP細胞の生成[編集]

小保方らは、まず未分化細胞で特異的に発現するOct4遺伝子の挙動を観察した。Oct4プロモーターの下流にGFP遺伝子配列を繋いだコンストラクトをマウスに導入し、Oct4の挙動を可視化した。このOct4::GFPマウスのリンパを使用し、細胞外環境を変えることによる細胞の初期化の状況を解析した[8]細いガラス管に通すという物理刺激を与えたり[ 4](細胞毒素ストレプトリジンO)で細胞膜に穴をあけたり、飢餓状態にしたり、熱刺激を与えたりなどさまざまな方法を試した結果、酸性溶液による細胞刺激が最も有効であることを発見した[18]。小保方らの試行では、生後1週のマウス脾臓のリンパ球をpH 5.737性溶液に25分浸して刺激を与え[34][ 5]B27と多能性細胞の維持・増殖に必要な増殖因子である白血病阻止因子LIF)を含むDMEM/F12培地に移して培養する方法が、最も効率的にSTAP細胞を作製できた[8][36]

STAP細胞における多能性の検証[編集]

次に、小保方らは、生きた細胞を長時間培養しながら顕微鏡で観察するライブイメージング法英語版7日間にわたって解析を行った。その結果、得られる未分化の細胞は、分化したリンパ球が初期化されたものであり、試料に含まれていた未分化の細胞が酸処理を経て選択されたものではないことを示唆した[1][8][37][38]遺伝子解析英語版を実施してOct4陽性細胞を検証した結果、Oct4陽性細胞のT細胞受容体遺伝子に、リンパ球T細胞が分化した時に生じる特徴的な遺伝子再構成であるTCR再構成が検出された[8][39][ 6][ 7]。このことから、Oct4陽性細胞は、T細胞に一度分化したリンパ球由来の細胞を酸性溶液処理で初期化して得られたものであり、Muse細胞のような既存の多能性幹細胞が酸性溶液処理によって選択されたものではないことを検証した[8]。また、このOct4陽性細胞は、Oct4以外にも多能性細胞に特有のSox2 SSEA1Nanogといった遺伝子マーカーを発現していた[8][41]。さらにOct4陽性細胞は3胚葉組織への分化能を持っていた[8][42][ 8]。その後、小保方らは、皮膚骨格筋脂肪組織骨髄肝臓心筋などの組織の細胞についても同様に処理し、いずれの組織の細胞からもSTAP細胞が産生されることを確認した[43]

STAP幹細胞・FI幹細胞の培養[編集]

また、LIF副腎皮質刺激ホルモンACTH)を含む培地を用いることにより[43]、多能性と自己複製能を併せ持つ細胞株を得る方法が確立された[8]。これがSTAP幹細胞と呼ばれるものである[19]STAP幹細胞は胎盤組織への分化能を持たないが[8][44]STAP細胞の培養条件を変え、栄養膜幹細胞の作製法と同様にFgf4を含む培地で長期間の接着培養することにより得られた幹細胞(FI幹細胞またはFGF4誘導幹細胞[ 9])からは胎盤を誘導することができた[46][47]

論理の破綻と矛盾[編集]

STAP幹細胞にはTCR遺伝子再構成が認められなかった問題[編集]

2014130日発表のアーティクル論文[9]では分取できたリンパ球系のSTAP細胞にTCR遺伝子再構成が認められ[ 10]、培養条件を変えることによりそのSTAP細胞からSTAP幹細胞を樹立できたと報告し[48]、『体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見』したとしていた[8]。しかし、プロトコル・エクスチェンジの中で、8クローンのSTAP幹細胞を調査したところ、いずれにおいてもTCR遺伝子再構成が認められなかった[ 11]ことが公表されたことにより[35][49]STAP幹細胞が分化した体細胞に由来したと主張する証拠が無いことが判明した[50][51][52]
若山照彦はこのことについて、「STAP細胞が出来た重要な証拠の1つである特定の遺伝子の変化について、論文発表前、研究チーム内では『変化がある』と報告され、信じていたが、先週、理化学研究所が発表した文書の中では、変化はなかったと変わっていた」とし「STAP細胞の存在に確信がなくなった」と述べた[53]310、若山はこの矛盾を始めとして、STAP細胞が3胚葉組織への分化能を持つことを示す画像が博士論文と酷似していた事実を受けて、論文の撤回を呼び掛けた[54][55]
2014610日、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの自己点検検証委員会(CDB 自己点検検証委員会)は、小保方晴子丹羽仁史笹井芳樹が、2014130日のアーティクル論文[9]発表の1年前の20131月時点で、STAP幹細胞にTCR遺伝子再構成がなくなっていたという結果を共有していたが、STAP幹細胞にTCR遺伝子再構成がないことを記載せずネイチャーに発表していたことを報告した[56][ 12][ 13]

公開遺伝子データ解析により明らかにされた矛盾[編集]

理化学研究所統合生命医科学研究センター上級研究員の遠藤高帆は、小保方らのレター論文の発表に付随してWEB上で公開されていたmRNAの配列データの一塩基多型(SNP)を解析することにより以下の結論を得[7][62][63]921、日本分子生物学会の英文誌 Genes to Cells 上で発表した[64][65]
FI幹細胞
FI幹細胞(FGF4誘導幹細胞)のものとされるmRNAデータが、ES細胞が9割、胎盤になる能力のある幹細胞であるTS細胞が1割が混ざった特徴を持っていた[63][65]
STAP細胞
STAP細胞のmRNAの発現量をSMARTerを使用して解析したデータにおいて、これを分析した結果、ほぼすべての細胞に8番染色体が通常の2本より1本多くなる「トリソミー」と呼ばれる異常のあることが示された[7][65]。この異常を起こしたマウスは、通常は胎児の段階で死亡することから、生後1週間ほどのマウスからリンパ球を採取してSTAP細胞を作ったとする小保方らの主張と合致しない[7]
なお、8番染色体のトリソミーは、すでに研究で広く使われているマウスのES細胞を長期間培養するとしばしば起きる異常としても知られている[7]
多能性を示す指標遺伝子
STAP細胞のmRNAの発現量をTruSeqを使用して解析したデータにおいて、多能性を示す指標遺伝子がまったく転写されていなかった。従前よりSTAP細胞作成の根拠の一つとされる蛍光が、指標遺伝子の発現によるものではなく、死にかけた細胞がよく発する自家蛍光ではないかと指摘されていたが、それを補強する結果であった。また、SMARTerで解析した結果と一致せず、STAP細胞とされるものが2種類存在したことになる[7]

ドナーマウスとSTAP幹細胞の間の重大な矛盾[編集]

論文撤回理由として以下の説明のつかない重大な矛盾があることが報告された。ドナーマウスとSTAP幹細胞では違う染色体にGFP遺伝子が挿入されていた。また、そのGFP遺伝子はドナーマウスはホモ接合であるのに、STAP幹細胞はヘテロ接合であった[66]

研究不正の認定と研究の実態[編集]

理化学研究所調査委員会最終報告[編集]

201441日、理化学研究所は研究論文の疑義に関する調査最終報告を公表し、2項目について不正と認定した[67][68][69][70][ 14]
  1. アーティクル論文 Figure 1i[39]TCR再構成を示すDNAゲル電気泳動の画像)に認められた切り貼り(改竄[70]
  2. アーティクル論文 Figure 2d, 2e[42]STAP細胞が3胚葉組織への分化能をもつことを示すものとして掲載された組織の蛍光顕微鏡画像)と小保方の博士論文に使用された画像との間に認められた一致(捏造[70]

論文の撤回とその理由[編集]

画像や解析結果の誤りなどにより、72日にネイチャーに投稿された論文は撤回に追い込まれ[71][66][72][73][74]、「STAP現象全体の整合性を疑念なく語ることは現在困難」[75]などの著者らのコメントも発表された[76][77] [78][79]
撤回理由は調査委員会が調査した疑義や不正認定した2枚の画像に加え、1) レター論文のキメラ胚の写真において、ES細胞由来とSTAP細胞由来の写真がともにSTAP細胞由来のものであったこと、2) アーティクル論文の2倍体キメラ胚の写真に、4倍体キメラ胚の別の写真が使用されていたこと、3) デジタル画像処理によるものを「長時間露光」と誤って記載していたこと、4) レター論文のSTAP細胞とES細胞の図において、ラベルが逆になってしまっていたこと、5) 『ドナーマウスと報告された STAP幹細胞では遺伝背景と遺伝子挿入部位に説明のつかない齟齬がある。』、の5点があげられている[80][81]

理化学研究所 研究論文に関する調査報告書[編集]

20141225日、理化学研究所は研究論文に関する調査報告書を公表し、以下のように結論した。
  1. STAP幹細胞およびFI幹細胞は、ES細胞由来である[82]
  2. STAP細胞やSTAP幹細胞由来のキメラは ES細胞由来である可能性が高い[83]
  3. STAP細胞から作製されたテラトーマは、ES細胞に由来する可能性が高い[84]
  4. アーティクル論文Fig.5c(細胞増殖曲線)[34]およびFig.2cDNAメチル化解析)[42]のデータの捏造を認定[85]
実験手技と追試結果[編集]

公表されていた実験手技解説[編集]

理化学研究所によるプロトコル[編集]

実験手技要旨[34]に加え、理化学研究所201435に、より詳細な実験手技解説[35]を公開した[49]。なお、アーティクル論文とレター論文の取り下げに伴い、この実験手技解説も72付けで取り下げられている。
このプロトコル・エクスチェンジには、「単純に見えるが、細胞の処理と培養条件、さらに細胞個体群の選択に、とりわけ慎重さを要する」という「注意書」があり、カリフォルニア大学デービス校准教授のポール・ノフラーは、これは「STAP細胞は作るのがきわめて難しい」と同義だと指摘した[86]。また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙も、プロトコル・エクスチェンジが、元の論文と矛盾するとした[87]

チャールズ・バカンティらによるプロトコル[編集]

更に同年320には、細いガラス管に通した後で弱酸性液に浸す改善版実験手技[88]を、チャールズ・バカンティらが公表した[89]。これについて、ノフラーは「作製効率や検証方法が書かれておらず、筆者が誰かの明示がない。実際に作製できるかは疑問」と指摘した[90]。同年49には、米国の幹細胞学者でマサチューセッツ工科大学教授であるルドルフ・イエーニッシュが、STAP細胞の作製法を今すぐ公開すべきだとし、既報の作製法が既に4種類も存在するのは異常だと指摘した[91]
なお、この実験手技についてチャールズ・バカンティ小島宏司は、同年93に連名でさらなる修正版[92]を発表した[93]。簡単に作成できるという発言を撤回し、ATPを加えることに言及している[94][95][96]

酸刺激による実験主技の追試[編集]

論文が公開されるまでに、論文共著者の若山照彦は再現実験を山梨大学で数十回実施したが一度も成功しなかった[97][57]理化学研究所発生・再生科学総合研究センター内で、小保方以外の人物が独立に成功したことはなかったという[57]
また、ポール・ノフラーはウェブサイトにて世界の研究者たちに呼びかけてSTAP細胞作製の追試のデータを集め、2014214から219に間に様々な細胞で試行された10件の報告が寄せられた[98]。その中には追試に成功したという報告は無い[98]。マウス胎児線維芽細胞で追試を試み、多くの自家蛍光が見られたと報告した関西学院大学の関由行は[98]、「いくら詳細な手順が示されているといっても、論文のデータの信頼性が失われた中では再現に取り組みようがない」と述べた[99]
近畿大ではリンパ球ではなく線維芽細胞を対象として約30回、細胞を酸に浸す実験に取り組んだ。細胞塊が出現し、万能細胞特有の遺伝子が微弱に反応して発光も見られたものの、発光には緑色だけでなく赤色の光も含まれていた。発光は死細胞の自家蛍光で、遺伝子の反応は極めて微弱で不十分なものであり、STAP細胞の再現には至っていない。また、9月に発表されたバカンティ・プロトコルで言及されたATPを酸に追加することも試したが、失敗している[96]

酸と機械的刺激を組み合わせた実験手技の追試[編集]

201441香港中文大学教授の李嘉豪は、チャールズ・バカンティ発表の実験手技に基づく追試において、対照実験として研和のみを与えた細胞で予期しなかった多能性マーカー(Oct4Nanog)の発現を確認したが、多くの細胞が死んだことや、多能性マーカーの発現量が多能性細胞に比べて10分の1以下だったことから、細胞死に伴う無秩序な遺伝子発現による副産物であろうと論じ、STAP細胞の一部の過程の再現との解釈に否定的な見解を示した[100][101]。李は「研和のみの操作は難しくないので他の研究室でも試せないだろうか」「個人的にはSTAP細胞は実在しないと考える。労力財力の無駄なので、これ以上の追試はしない」と述べ[101]、同グループは追試の結果を論文にまとめてオンライン誌で発表した[102]

理化学研究所における検証実験[編集]

20144月以降、理化学研究所はSTAP現象の検証チームを立ち上げた。チームは相沢慎一・丹羽仁史を中心として小保方は除外した形で構成され、翌年3月を期限として論文に報じられていたプロトコルでのSTAP現象の再現を試みた。また、7月からはこれとは別に小保方にも11月末を期限とした単独での検証実験を実施させた[103][104]。同年827の中間発表の段階では、論文に記載されているプロトコルでのSTAP細胞の出現を確認することはできなかった[105][96]。同年1219日、理化学研究所は、検証チーム・小保方のいずれもSTAP現象を再現できなかったとし、以下の検証結果を発表し、実験打ち切りを発表した[14][15]
検証実験に用いたマウスの遺伝子系統、リンパ球を採取する部位、弱酸性溶液の種類
検証実験では、生後510日目の、Oct-GFPを導入した2種類の遺伝系統のマウス:C57BL/6〔以下、B6〕とF1(C57BL/6×129)〔以下、F1〕の、脾臓肝臓心臓3部位から採取したリンパ球を用い(小保方実験では脾臓)、HClATP2種類の弱酸性溶液で処理する、の組み合わせSTAP現象の再現を試みた[14]。また、対照実験として弱酸性処理なしの試料でも実験した[14]
STAP細胞様細胞塊の出現数の検証
HCl処理、ATP処理いずれも多くの細胞塊でGFP遺伝子発現による緑色蛍光が確認されたが(以下、STAP細胞様細胞塊)、個々の細胞レベルでは10/106播種細胞ほどしか光っておらず(小保方実験)、撤回論文報告の数百/106とは異なっていた[14]
また、STAP細胞様細胞塊の出現率がマウス系統の違いにより異なるかを検証したが、出現率は、B678%(8/28)F144%(4/9)と、有意な差ではなかった(小保方実験)[14]
別途、フローサイトメーターでも解析したが、19回の酸処理のうち17回はCD45-GFP+の有意な遺伝子発現が認められなかった(小保方実験)[14]
多能性細胞特異的分子マーカーによる検証
緑色蛍光および赤色蛍光の分離検出、DAPIE-カドヘリンOct3/Oct4多能性細胞特異的分子マーカー遺伝子発現の確認を行った[14]
しかし、小保方実験、検証チーム実験とも成果は乏しく、理化学研究所として「細胞塊が有する緑色蛍光を自家蛍光と区別することも困難で、その由来を判定することは出来なかった。」と帰結する結果だった[14]
キメラ形成能の検証
キメラ形成能の確認(マウス実験)については、小保方実験、検証チーム実験共に、検証チームの同じ研究員が実験を担当した[14]
小保方実験では、48回の独立の実験で得られた1,615の移植細胞塊のうち、845着床を得たが、リプログラミングを有意に示す(GFP陽性細胞を含む)キメラを形成した胚は0だった[14]
検証チーム実験では、8回の独立の実験で得られた244の移植細胞塊のうち、117の着床後胚を得たが、リプログラミングを有意に示すキメラを形成した胚は0だった[14]
幹細胞株の樹立
検証チーム実験では、14回の独立の実験で得られた492STAP細胞様細胞塊のLIF/ACTH含有培地での培養を試み、3が増殖したが、継代培養に成功したものは0だった[14]
FI幹細胞を再現できるかについては、検証チームのみが8回試みたが、得られた細胞株は0だった[14]
学術界の反応[編集]
  • 理化学研究所が設置した外部有識者による「研究不正再発防止のための改革委員会」は、2014612日、理研CDBの構造的問題を指摘し、早急に解体すべきとしつつ、再現実験と研究不正の追及の双方を提言した[106][107]
  • 日本分子生物学会は、201474日、声明の中で、再現実験を優先して「論文不正に対して適切な対応をしないこと」は「国民に対する背信行為」であると非難し、「今回の研究不正問題が科学者コミュニティーを超えて広く国民の関心を惹くことに至ったのは、論文発表当初に不適切な記者発表や過剰な報道誘致が為されたことに原因があり、それらは生命科学研究の商業化や産業化とも関係していると考えられ」ると言明した[108]
  • 日本学術会議は、2014725日、声明の中で「研究全体が虚構であったのではないかという疑念を禁じ得ない段階に達してい」ると述べ、小保方晴子を加えた再現実験が開始と、懲戒の先送りに対し「この再現実験の帰趨にかかわらず、理研は保存されている関係試料を速やかに調査し、取り下げられた2つの論文にどれだけの不正が含まれていたかを明らかにするべき」、「そこで認定された研究不正に応じて、関係者に対する処分を下すことは、この事案における関係者の責任を曖昧にしないという意味で重要」とし、「関係試料の速やかな調査による不正の解明と、関係者の責任を明確にすることを要望」した[109]
  • 山中伸弥は、20141222日、「この騒動から学んだことは、生データの保存の大切さだ」と述べ、「個人に任せるのではなく、組織として未然に防ぐ体制を敷いていくしかない。理想論では無理だ」と話した[110]
  • アメリカの科学雑誌The Scientist英語版の「2014年の論文撤回トップ10」においてSTAP論文が挙げられており、2014年の論文撤回を語る上で外せないものとしている[111]
公表文献・公開情報[編集]

撤回論文[編集]

特許出願文献[編集]

検証論文[編集]

公開情報[編集]

報告書[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

1.   ^ 分化は一般には不可逆な過程とされ、一度分化すると細胞は元の未分化な状態に戻れないとされている(iPS細胞関連を除外)。「分化多能性」は「様々な細胞に分化できること」。「分化全能性」はそれよりも狭義であり、「胎盤も含むすべての細胞に分化できること」。STAP細胞は分化全能性を持つ可能性が示唆されていた。201472日付けて論文は撤回された[4]
2.   ^ 当初は植物のカルスになぞらえて、Animal Callus Cells と呼ばれた[5]。最初の仮特許出願でもこの名前が使用され、略称はACCsであった[6]
3.   ^ 具体的にはがん幹細胞が突然変異と外的刺激の組み合わせによりできているのかもしれない等[20]
4.   ^ 項目「研和」も参照のこと
5.   ^ 撤回されたプロトコル・エクスチェンジでは、予め4に冷やしたHBSSに細胞を懸濁させ、希塩酸(HBSS希釈)でpH 5.7に調整した後、3725分待つなどとなっている[35]
6.   ^ TCR再構成を示すPCR解析の画像に切り貼りがあった[40]
7.   ^ 著者の一部はこのときすでにSTAP幹細胞ではTCR再構成は無いことを知っていたと報告されている(#STAP幹細胞にはTCR遺伝子再構成が認められなかった問題)。
8.   ^ 証拠となる画像が小保方の博士論文に使用された画像と一致していた[40]
9.   ^ FI幹細胞[7]またはFGF4誘導幹細胞[45]は、撤回されたプロトコル・エクスチェンジ[35]ではFI stem cells、レター論文[10]ではFgf4-induced stem cellsと記述されている。
10.                ^ TCRT細胞受容体のこと。分化したリンパ球(体細胞)はTCR遺伝子の再構成がおきていることがあり、それが体細胞へ分化していることの指標となる。原文では以下の叙述がある。genomic rearrangements of Tcrb (T-cell receptor gene) were observed in Oct4-GFP+ cells derived from FACS-purified CD45+ cells and CD90+CD45+ T cells (Fig. 1i, lanes 4, 5, and Extended Data Fig. 2e-g) ...[39]
11.                ^ プロトコル・エクスチェンジの叙述は以下の通り。 We have established multiple STAP stem cell lines from STAP cells derived from CD45+ haematopoietic cells. Of eight clones examined, none contained the rearranged TCR allele, suggesting the possibility of nagative cell-type-dependent bias (including maturation of the cell of origin) for STAP cells to give rise to STAP stem cells in conversion process. This may be relevant to the fact that STAP cell conversion was less efficient when non-neonatal cells were used as somatic cells of origin in the current protocol.[35]
12.                ^ CDB 自己点検検証委員会が「(5)T細胞受容体(TCR)遺伝子再構成実験に関する経緯」にまとめている(CDB 自己点検検証委員会 2014, pp. 5-6)
13.                ^ なお、STAP幹細胞に一度はTCR遺伝子再構成が確認されていたこと[57][58]TCR遺伝子再構成だけで未分化の細胞ではないことの証明にはならないと考えていたこと[59]から、STAP幹細胞にTCR遺伝子再構成が認められたデータは論証に必須ではないと笹井芳樹は主張していた[60][61]

出典[編集]

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