徹底検証『森友・加計事件』 小川 榮太郎 2019.10.21.
2019.10.21. 徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪
発行日 2017.10.22. 第1刷発行 17.11.15. 第4刷発行
発行所 飛鳥新社
はじめに
安倍晋三は「報道犯罪」の被害者。森友・加計問題は安倍とは何ら全く関係のない事案
森友問題は、豊中市の零細な幼稚園経営者と地方の役所の間で生じた、交渉や駆け引きに纏わる不明朗処理の問題
加計問題は「問題」すら存在しない。獣医学部新設を牽引してきたのは全愛媛県知事加戸であって加計ではない。52年もの間文科省の非合理な規制で認可されなかった問題
安倍に関連付けたのはマスコミの印象操作
総理といえど人権を保障されるべきで、権力批判として許容される範囲を超えている
国を巻き込んでの「冤罪事件」であり、その主犯は朝日新聞
衝撃的なのは、仕掛けた朝日が安倍の関与などないことを知りながらひたすら「安倍叩き」のみを目的として、疑惑を「創作」したこと
北朝鮮有事にも拘らず、モリ・カケ劇場に終始し、戦後最大の国民への背信行為
読者に切実に問いたい。主権者たる国民の1人として、新はこの秋の国会でもそれを放置するのか。そして「虚報」で政治をぶち壊し続ける「報道機関」の存在を、指をくわえて見ているというのか。一読後ぜひ真剣に考えていただきたい
第一章
報道犯罪としての森友学園騒動
l 蠢動
2012年昭恵が神田に酒肴の店出店。そこへ籠池が昭恵からもらった100万円を返却しようと来店したのが事の発端。以後マスコミは玩具の札束を追い続ける
l 発端
17年2月客観を装った朝日の報道に始まる ⇒ 国有地が近隣の1割で学校法人に売却
私はかつて『約束の日
安倍晋三試論』で第1次安倍政権が挫折した背景を書き、朝日主導の「安倍叩き」によって退陣に追い込まれたことを検証。朝日の主筆若宮が「安倍叩きは朝日の社是」と語ったとされる言葉を政治評論家・三宅久之から聞いて紹介
森友問題は情報の仕込み元からして胡散臭い。豊中市議の木村は過激な極左活動団体の役員で、朝日の記事は大阪社会部で豊中市を担当する記者による署名記事
l 火をつけた質疑は何か
朝日の記事が発端となって国会の質疑が始まったが、国有地払い下げの事実関係を明らかにする真っ当な質問で、国政レベルの疑惑や安倍の情実などありえないことが分かるにもかかわらず朝日はそのことを報道せず
安倍が答弁で首相辞任迄も断言するということは、身の潔白を証しだてる日本人流の強意発言だったが、マスコミはそうした美学は持ち合わせていなかった
l 籠池劇場第一幕 昭恵夫人叩き
朝日とテレビ各局は、国有地払い下げ問題をそっちのけにして、右派幼稚園としての森友誹謗の強い意図で共通
l 国有地売却 知らぬ総理、答えぬ財務省
野党議員の多くは、安倍の道義的責任を問いながらも、土地取引と安倍夫妻とは切り分けていたにもかかわらず、朝日が主導するマスコミ報道は、野党の自制的側面は伝えず
l 塚本幼稚園、虚像と実像
過去数十年、この幼稚園を誇りに思い、尊い思い出とともに大切にしてきた無数の卒園生や父兄や先生たちを踏みにじる虚像を垂れ流し続けた
l 籠池劇場番外―鴻池浪速劇場
l 口利きと陳情と贈収賄、どう違うのか
l 籠池、補助金不正受給疑惑が発覚・忖度の追及
第二章
籠池劇場――喜劇と悲劇
l 稲田朋美バッシング
籠池との関係を聞かれた稲田が、森友の代理人として裁判に出廷していたにもかかわらず、面識がないと答弁ミス
l 寝返った籠池
籠池が安倍からの寄付を暴露、安倍は即否定
l 籠池諄子―安倍昭恵の往復メール
l 籠池泰典、証人喚問さる
朝日は、昭恵夫人付き職員が関与していたとして、証人喚問を大々的に記事にした
l 辻元疑惑
籠池夫人が幼稚園侵入事件への辻元の関与を木村市議の関連を匂わせて暴露
l 谷査恵子のファックス騒動――一部始終
l 破滅
籠池については、補助金不正疑惑の告発を特捜部が受理
第三章
森友問題の核心――九億六千万はなぜ一億三千万になったのか
l 土地売却の経緯
豊中市に売却されたのは事実だが、同時に各省から補助金として同額近くが支給され、市の実質負担は20百万のみであり、籠池の土地が極端に安いわけではない
l 私学審の認可適当、そして土地契約の成立
l 神風
l 「朝日スキャンダル」
朝日は籠池と財務省のやり取りを歪曲して、特例扱いとか昭恵の関与を匂わす報道に終始するが、首相の高支持率は下がらず、更なる決定打を模索し続ける
第四章
加計学園――朝日新聞はいかなる謀略を展開したか
l 朝日とNHK社会部の共闘
森友騒動が収束しつつあるかに見えた5月、NHKが深夜のニュースで、「文科省の審議会が新設獣医学部に「課題あり」と報告」と報じ、その後の加計問題の発端となる
翌朝朝日が1面トップで取り上げ、「総理の意向」を暴露
一方で加計を機に森友の記事は激減、疑惑が実在するのであれば記事数の激減は不自然
l すべては朝日の隠蔽に始まった
前川1人の証言を前面に出し、他の関係者にほとんど取材もせず、報道もしていない
l 仕掛け、次々と炸裂
「はじめに加計ありき」という朝日のキャッチフレーズには広範な誤解 ⇒ 特区指定は広島県と今治市の共同提案に対して認可されたもので、既に14事業が推進されていて、加計はその1つに過ぎない。参入枠を1校に絞ろうとしたのは官邸ではなく獣医師会
l 政府の対応後手に――ほくそ笑む朝日
安倍叩きに対し当初官邸は「怪文書」と無視、かえって前川登場の効果を高めてしまう
l 前川喜平登場
2年前の安保法制反対の国会デモに参加
l 前川喜平という男
天下り斡旋の咎で次官を中途退職させられたが、官邸の恩情で退職金は満額貰い、妹が中曽根弘文夫人にも拘らず官邸批判の先鋒に立ったのは、安倍政権への怨恨
l 出会い系バー通いという「闇」
違法天下り斡旋に出会い系バーとくれば、懲戒免職の上マスコミに袋叩きされるのが普通の社会的処遇だったが、マスコミを挙げて前川擁護が猛烈な勢いで始まる ⇒ 牽引役が独自の保守的な論陣を張って在野ジャーナリズムの雄とされてきた文藝春秋で、加計問題では安倍叩きの急先鋒として朝日と競い合うまでに至り、「極右の塊である現政権をこれ以上暴走させてはならない」とまで公言
l 朝日は火をつけ、火は燃え広がる
同じ戦略特区でも、42年ぶりに医学部として開学した国際医療福祉大学の方は、マスコミ自身が役所と結託するかのように、多勢のマスコミ出身者が役員や理事などで入り込んでいた(朝日の木村元社長が特任教授、大熊由紀子は教授、讀賣の医療情報部長が教授で医療福祉学部長など)ので報道できなかったのに対し、加計問題では利権に与っていない件なるがゆえに徹底的に政権を叩いてきたということ
l 朝日、見出しだけで勝負し続ける
朝日の紙面は、イタリアでのG7の報道そっちのけで、国会質疑の実態とも大きく乖離した加計問題関連の見出しで埋まる
マスコミと野党が組んでの、これほど大規模な国民に対する情報謀略は戦後史上、さすがに例を見ない
第五章
加計問題の真相に迫る
l 隠蔽された問題の全体像
前川の1人芝居と萩生田の「総理のご意向」を基にした指示があったとする誤報だけで、2か月もの間スキャンダルを作り続けた
国会は閉会中審査で、獣医学部新設を10年間推進し続けた加戸元愛媛県知事と、広島・今治の共同提案を機関決定した国家戦略特区ワーキンググループの八田座長、前川に圧力をかけたとされる和泉首相補佐官を招致して、初めて直接の当事者の証言による加計問題の構造全体を明らかにし、前川の虚言の殆どを暴きスキャンダルとしての加計問題の息の根を止める。にも拘らずマスコミはこの暴かれた真相を全く報道せず
朝日が急先鋒だが、テレビも常軌を逸している ⇒ 集中審議の放映時間8.5時間のうち、参考人を直接引用した時間は2.5時間余りで、その大半を前川の発言に割いている
内閣支持率は、支持33%、不支持47%と遂に逆転。支持率も最低を記録
l 新設へ――獣医師会との長い闘い
今治市の獣医学部新設の要望は、07年以来15回出され、いずれも文科省の規制に阻まれている ⇒ 皮肉なことに、今回加計潰しに回った民進党=民主党鳩山政権時の枝野担当大臣が検討対象として取り上げ、第2次安倍政権で元の木阿弥になっているのは麻生・石破ら実力者が獣医師会と近かったこと
l 「文科省文書」はこう読むのが正しい
文科省と農水省が9か月サボタージュしたあとでも、義家文科省副大臣は、「18年開学といわれても手続きは踏まないといけない」と明確に指示しているが、これこそ安倍子飼いの義家に安倍の指示が届いていなかった何よりの証拠
l なぜ三十年開学に決まったのか
今治市の強い希望で尻が切られたのが事実
国会閉会中にNHKがクローズアップ現代で、18年開学を前提に問題点を書き出せと文科省に発破をかけたという萩生田の発言概要をスクープしたが、本人が強く否定しているように、NHKのスクープとしては責任問題の発生するほど拙劣な偽文書
l さて、前川は何をしていたのか?
前川と和泉は国会の参考人質疑で言った言わないの水掛け論を展開するが、証言からは前川が勝手に安倍と加計の友人関係を慮っての思い込みで和泉の要請を聞いていたことが判明。その上で面従腹背を決め込んで自ら動こうとしなかったために、義家が動いたもの
おわりに
日本ジャーナリスト会議は、最も優れたジャーナリズム活動に贈る今年の大賞に朝日のもり・かけ関連のスクープと一連の報道を選んだが、検証システムまで「嘘」で構造化されてしまっている闇の根深さに慄然とする
2017-11-21
「徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」の著者・小川榮太郎氏と飛鳥新社への申入書 2017年11月21日
小川 榮太郎
殿
株式会社飛鳥新社
代表取締役 土井 尚道 殿
株式会社飛鳥新社
代表取締役 土井 尚道 殿
株式会社 朝日新聞社
広報部長 後田 竜衛
広報部長 後田 竜衛
申 入 書
小川榮太郎著・株式会社飛鳥新社発行の書籍「徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(本書という)は、弊社による「森友学園」「加計学園」に関する一連の報道を「戦後最大級の報道犯罪」「虚報」「捏造」などと決めつけています。
本書は、弊社が取材で入手した文書について紙面で報じているにもかかわらず、「安倍の関与を想像させる部分以外は、文書内容をほとんど読者に紹介せず」「『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽して報道し続けた」としています。また、実際には紙面で報じている当事者の発言等を「殆ど取材せず、報道もしていない」としています。さらに「加計学園」報道に関して、弊社がNHK幹部と「密議」や「共謀」して「組織的な情報操作」を行ったと記載するなど、荒唐無稽な持論を展開しています。
弊社の一連の報道は、森友学園に国有地が大幅に値引きされて売却された不透明性・不自然さを指摘するとともに、約50年ぶりとなる加計学園による獣医学部の新設をめぐり、公平で適正であるべき手続きに疑念を抱かせる複数の文書の存在を明らかにしたものです。国民が当然抱くであろう疑問に答えるのは報道機関の使命であり、そのために現場の記者たちは内部文書を掘り起こすとともに、さまざまな関係者の証言を集め、事実に基づいて報じています。
それを弊社に一切の取材もないまま、根拠もなく、「虚報」「捏造」などと決めつけるのは、弊社の名誉・信用を著しく傷付ける不法行為であり、到底見過ごすことはできません。
貴殿及び貴社に厳重に抗議するとともに、すみやかに弊社に謝罪し、事実に反する部分を訂正し、弊社が被った損害を賠償するよう強く求めます。
以下に、事実に反する主な箇所を示します。
本書面受領後2週間以内に、書面にて真摯にお答えください。
なお、本書面は弊社コーポレートサイト(http://www.asahi.com/corporate/)で公表いたします。
本書は、弊社が取材で入手した文書について紙面で報じているにもかかわらず、「安倍の関与を想像させる部分以外は、文書内容をほとんど読者に紹介せず」「『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽して報道し続けた」としています。また、実際には紙面で報じている当事者の発言等を「殆ど取材せず、報道もしていない」としています。さらに「加計学園」報道に関して、弊社がNHK幹部と「密議」や「共謀」して「組織的な情報操作」を行ったと記載するなど、荒唐無稽な持論を展開しています。
弊社の一連の報道は、森友学園に国有地が大幅に値引きされて売却された不透明性・不自然さを指摘するとともに、約50年ぶりとなる加計学園による獣医学部の新設をめぐり、公平で適正であるべき手続きに疑念を抱かせる複数の文書の存在を明らかにしたものです。国民が当然抱くであろう疑問に答えるのは報道機関の使命であり、そのために現場の記者たちは内部文書を掘り起こすとともに、さまざまな関係者の証言を集め、事実に基づいて報じています。
それを弊社に一切の取材もないまま、根拠もなく、「虚報」「捏造」などと決めつけるのは、弊社の名誉・信用を著しく傷付ける不法行為であり、到底見過ごすことはできません。
貴殿及び貴社に厳重に抗議するとともに、すみやかに弊社に謝罪し、事実に反する部分を訂正し、弊社が被った損害を賠償するよう強く求めます。
以下に、事実に反する主な箇所を示します。
本書面受領後2週間以内に、書面にて真摯にお答えください。
なお、本書面は弊社コーポレートサイト(http://www.asahi.com/corporate/)で公表いたします。
【事実に反し名誉・信用を毀損する主な箇所】
①「朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(本書題名)及び「無双の情報ギャング
朝日新聞に敬意を込めて捧ぐ」(本書2頁)との記載。
上記の記載は、事実に基づかない、弊社に対する著しい誹謗中傷であり、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
②「〝スクープ〟はこうしてねつ造された」(本書の帯)との記載。
弊社の「森友学園」「加計学園」に関する一連の報道にねつ造はありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
③「仕掛けた朝日新聞自身が、どちらも安倍の関与などないことを知りながらひたすら『安倍叩き』のみを目的として、疑惑を『創作』した」(5頁)との記載。
上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
④「『安倍叩き』は今なお『朝日の社是』なのだ」(19頁)との記載。
弊社は「安倍叩き」を社是としたことは一度もありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑤「朝日の記者側から、何らかの訴訟を構成すれば記事にできるとの助言があった末でのこの記事だという」(22頁)との記載。
豊中市議会議員の木村真氏に対し、弊社の記者が訴訟を促すような助言をしたことはありません。上記の記載は、事実に反し、弊社及び記者の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑥共産党や民進党の議員による国会質問や答弁について「初報をスクープした朝日新聞は、これらの質疑や会見内容を全く伝えていない」(26頁)との記載。
弊紙はこれらの質疑や会見を少なくとも2回、紙面で報じています。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。なぜこのような間違いが生じたのか理由をお示し下さい。紙面で報じた2本の記事は以下の通りです。
●2017年2月14日付 朝刊社会面「学園『ごみ撤去1億円』」
●同月18日付 朝刊社会面「国有地売却巡り国会で答弁」
⑦「見出しは上から順に、『籠池氏「昭恵夫人から、口止めとも取れるメール」』『お人払いをされ、100万円を頂き金庫に』『夫人から財務省に、動きをかけて頂いた』」と昭恵叩きの虚報三連発」(99頁)との記載。
記事は、虚偽の証言をすれば偽証罪に問われる可能性がある参議院予算委員会の証人喚問における籠池泰典証人の発言の要旨を記載したもので、上記見出しは発言内容の重要な部分を見出しとしたものです。籠池氏が上記のとおり発言したことは真実であり、「虚報」には該当しません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑧「『総理のご意向』が書かれた同じ文書のすぐ下に、『総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか』と書かれている。もし『総理の指示』があったらこういう言い方にはなるまい。指示がなかったからこそ『総理からの指示に見える』ような操作が必要だ――この文書はそう読める」「この日、朝日は後に政府が調査・公開した文書八枚(一部ずれがある)を既に入手していたが、『総理の意向』『官邸の最高レベル』という、安倍の関与を想像させる部分以外は、文書内容をほとんど読者に紹介せず、未公開のまま、今日に至っているのである」「朝日新聞は、最初から世論の誤導を狙って、『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽して報道し続けた」(151~152頁)との記載。
弊社は、上記8枚の文書について、その内容を本年5月17日、18日、19日の紙面で紹介しており、「安倍の関与を想像させる部分以外は、文書内容をほとんど読者に紹介せず」という指摘は事実に反します。
また、上記8枚の文書のうちの「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題する文書には、今治市での大学設置の時期について「総理のご意向」で最短距離でプロセスを踏んでいると聞いているとの記載があり、次いで「大学設置審査のところで不測の事態(平成30年開学が間に合わない)ことはあり得る話」との懸念が記載され、そのすぐ後に、「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上中旬には本件を諮問会議にかける必要あり」と記載されています。一連の記載に沿って、普通の読み方をすれば、「総理のご意向」を実現するために、国家戦略特区諮問会議決定とし、総理からの指示に見えるようにするのがよいとの趣旨であることが明らかです。弊社が、入手した文書について「『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽」した事実はありません。また、世論の誤導を狙って報道したこともありません。
本書の上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
なお、獣医学部新設の時期に関しては、文科省が公表した「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」と題する文書で「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど時間はかけられない。これは官邸の最高レベルが言っていること」との記載もあります。
⑨「ある人物が朝日新聞とNHKの人間と一堂に会し、相談の結果、NHKが文書Aを夜のニュースで、朝日新聞が翌朝文書群Bを報道することを共謀したとみる他ないのではあるまいか」(154頁)との記載。
弊社の記者や幹部が、加計学園の問題について「ある人物」や「NHKの人間」と一堂に会したことはありませんし、報道について共謀したこともありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑩「朝日が裏取りもせずにスクープを決断」(156頁)との記載。
弊社は複数の取材源に確認したうえで当該記事を掲載しています。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑪「実は、朝日新聞は、加計学園問題を三月十四日の第一報からこの日まで二ケ月もの間、小さな記事三点でしか報じていない」(158頁)との記載。
弊紙はこの間に少なくとも10本の記事を全国版(東京本社発行)に掲載しています。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
10本の記事は以下の通りです。
●2017年3月23日付 朝刊3面「『国家戦略特区』選定 野党が批判」
●同月28日付 朝刊4面 「『二つの学園』論戦の的」
●同年4月1日付 朝刊4面 「加計学園の獣医学部設置 地理的条件、昨年11月浮上」
●同月6日付 朝刊4面 「『特区』調査へPT」
●同月8日付 朝刊4面 「昭恵氏言動にやまぬ追及」
●同月11日付 朝刊社会面 「特区の獣医学部など諮問」
●同月15日付 朝刊4面 「加計学園問題 論点は」
●同日付 夕刊1面 素粒子
●同月19日付 朝刊4面 「特区に加計学園 首相の影響否定」
●同月29日付 朝刊4面 「元加計学園監事の最高裁判事任命は『異例』 慣例通り日弁連が推薦」
⑫「以下は、私の推理である。加計問題をスキャンダル化できる特ダネを探していた朝日新聞、NHK幹部らは三月以来、密議を繰り返してきた。その中で、文科事務次官を天下り斡旋で事実上更迭された直後だった前川喜平との接触が始まる」(159頁)及び「加計スキャンダルは朝日新聞とNHKとの幹部職員が絡む組織的な情報操作である可能性が高い」(160頁)との記載。
弊社が加計学園の問題についてNHKの幹部と密議をしたことはありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑬「現時点では取材拒否が多く」(160頁)との記載。
弊社の取材窓口にはもちろん、弊社の取材班にも、貴殿からの取材申し入れはこれまで一度もありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
なお、弊社は加計学園問題について、直接取材いただいた複数のメディアに対し、弊社としての見解や事実関係をお答えしております。
⑭「加計学園問題は更にひどい。全編仕掛けと捏造で意図的に作り出された虚報である。(中略)今回は朝日新聞が明確に司令塔の役割を演じ、全てを手の内に入れながら、確信をもって誤報、虚報の山を築き続けてゆく。何よりも驚くべきは、前川喜平たった一人の証言で二カ月半、加計問題を炎上させ続けたことだ」(164頁)との記載。
上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
「全編仕掛けと捏造で意図的に作り出された虚報」「確信を持って誤報、虚報の山」「前川喜平たった一人の証言で」とは何を指すのか及びその根拠をお示しください。
また、「朝日新聞とそれに追随するマスコミは、大騒ぎを演じた二カ月半、これらの当事者に殆ど取材せず、報道もしていない。前川一人の証言だけで加計問題を報じ続けた」(165頁)との記載。
弊社は文部科学省関係者や当事者、関係者に幅広く取材をし、報道しております。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑮「『官房副長官が指示』メール」ともあったが、それは加計学園の獣医学部新設を決定する過程に副長官萩生田の指示があったと見える文書が新たに見つかったことを指す。萩生田は、この文書内容をただちに全面否定したが、朝日新聞は逆に、萩生田と文科省が文書の内容を巡って対立しているとして、萩生田の言い分を全く度外視した紙面を作り続けた。この文書内容は後に文科省自身も誤りを認め萩生田に謝罪している。もはや、朝日は偽文書を元に政治家を叩くことにさえ躊躇がないのである」(217頁)との記載。
弊社は萩生田氏の言い分を度外視しておらず、本年6月16日から17日にかけての朝夕刊で3回にわたり見出しを付して萩生田氏の言い分を報じています。また、萩生田氏を叩く意図は弊社にはありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
3本の記事は以下の通りです。
●2017年6月16日付 朝刊1面 「『官房副長官が指示』メール」
●同日付 夕刊1面 「『ご意向発言 認識ない』」
●同月17日付 朝刊1面 「内閣府説明、文科省と対立」
⑯「時系列で読み解くと、朝日がなぜこの文書をひた隠してきたかがよくわかるはずだ」(256頁)及び「こうして八枚いずれの文書も、徹底的にサボタージュしてきた関係省庁を、藤原、義家、松野、萩生田らがそれぞれの立場から解きほぐし、圧力団体や麻生副総理の意向に配慮しながら、行政手続きと規制突破を両立させるべく腐心している様を伝えている。朝日新聞をはじめマスコミが『総理の意向』以外の部分を徹底的に隠したのはその為だったのだ」(267~268頁)との記載。
弊社は、本年5月17日、18日、19日の紙面において上記の8枚の文書の内容を紹介しており、その中で、藤原、義家、松野、萩生田各氏の行動や発言について触れています。「総理の意向」以外の内容についても報じていることは前記⑧の通りです。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
上記の記載は、事実に基づかない、弊社に対する著しい誹謗中傷であり、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
②「〝スクープ〟はこうしてねつ造された」(本書の帯)との記載。
弊社の「森友学園」「加計学園」に関する一連の報道にねつ造はありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
③「仕掛けた朝日新聞自身が、どちらも安倍の関与などないことを知りながらひたすら『安倍叩き』のみを目的として、疑惑を『創作』した」(5頁)との記載。
上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
④「『安倍叩き』は今なお『朝日の社是』なのだ」(19頁)との記載。
弊社は「安倍叩き」を社是としたことは一度もありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑤「朝日の記者側から、何らかの訴訟を構成すれば記事にできるとの助言があった末でのこの記事だという」(22頁)との記載。
豊中市議会議員の木村真氏に対し、弊社の記者が訴訟を促すような助言をしたことはありません。上記の記載は、事実に反し、弊社及び記者の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑥共産党や民進党の議員による国会質問や答弁について「初報をスクープした朝日新聞は、これらの質疑や会見内容を全く伝えていない」(26頁)との記載。
弊紙はこれらの質疑や会見を少なくとも2回、紙面で報じています。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。なぜこのような間違いが生じたのか理由をお示し下さい。紙面で報じた2本の記事は以下の通りです。
●2017年2月14日付 朝刊社会面「学園『ごみ撤去1億円』」
●同月18日付 朝刊社会面「国有地売却巡り国会で答弁」
⑦「見出しは上から順に、『籠池氏「昭恵夫人から、口止めとも取れるメール」』『お人払いをされ、100万円を頂き金庫に』『夫人から財務省に、動きをかけて頂いた』」と昭恵叩きの虚報三連発」(99頁)との記載。
記事は、虚偽の証言をすれば偽証罪に問われる可能性がある参議院予算委員会の証人喚問における籠池泰典証人の発言の要旨を記載したもので、上記見出しは発言内容の重要な部分を見出しとしたものです。籠池氏が上記のとおり発言したことは真実であり、「虚報」には該当しません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑧「『総理のご意向』が書かれた同じ文書のすぐ下に、『総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか』と書かれている。もし『総理の指示』があったらこういう言い方にはなるまい。指示がなかったからこそ『総理からの指示に見える』ような操作が必要だ――この文書はそう読める」「この日、朝日は後に政府が調査・公開した文書八枚(一部ずれがある)を既に入手していたが、『総理の意向』『官邸の最高レベル』という、安倍の関与を想像させる部分以外は、文書内容をほとんど読者に紹介せず、未公開のまま、今日に至っているのである」「朝日新聞は、最初から世論の誤導を狙って、『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽して報道し続けた」(151~152頁)との記載。
弊社は、上記8枚の文書について、その内容を本年5月17日、18日、19日の紙面で紹介しており、「安倍の関与を想像させる部分以外は、文書内容をほとんど読者に紹介せず」という指摘は事実に反します。
また、上記8枚の文書のうちの「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題する文書には、今治市での大学設置の時期について「総理のご意向」で最短距離でプロセスを踏んでいると聞いているとの記載があり、次いで「大学設置審査のところで不測の事態(平成30年開学が間に合わない)ことはあり得る話」との懸念が記載され、そのすぐ後に、「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上中旬には本件を諮問会議にかける必要あり」と記載されています。一連の記載に沿って、普通の読み方をすれば、「総理のご意向」を実現するために、国家戦略特区諮問会議決定とし、総理からの指示に見えるようにするのがよいとの趣旨であることが明らかです。弊社が、入手した文書について「『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽」した事実はありません。また、世論の誤導を狙って報道したこともありません。
本書の上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
なお、獣医学部新設の時期に関しては、文科省が公表した「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」と題する文書で「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど時間はかけられない。これは官邸の最高レベルが言っていること」との記載もあります。
⑨「ある人物が朝日新聞とNHKの人間と一堂に会し、相談の結果、NHKが文書Aを夜のニュースで、朝日新聞が翌朝文書群Bを報道することを共謀したとみる他ないのではあるまいか」(154頁)との記載。
弊社の記者や幹部が、加計学園の問題について「ある人物」や「NHKの人間」と一堂に会したことはありませんし、報道について共謀したこともありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑩「朝日が裏取りもせずにスクープを決断」(156頁)との記載。
弊社は複数の取材源に確認したうえで当該記事を掲載しています。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑪「実は、朝日新聞は、加計学園問題を三月十四日の第一報からこの日まで二ケ月もの間、小さな記事三点でしか報じていない」(158頁)との記載。
弊紙はこの間に少なくとも10本の記事を全国版(東京本社発行)に掲載しています。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
10本の記事は以下の通りです。
●2017年3月23日付 朝刊3面「『国家戦略特区』選定 野党が批判」
●同月28日付 朝刊4面 「『二つの学園』論戦の的」
●同年4月1日付 朝刊4面 「加計学園の獣医学部設置 地理的条件、昨年11月浮上」
●同月6日付 朝刊4面 「『特区』調査へPT」
●同月8日付 朝刊4面 「昭恵氏言動にやまぬ追及」
●同月11日付 朝刊社会面 「特区の獣医学部など諮問」
●同月15日付 朝刊4面 「加計学園問題 論点は」
●同日付 夕刊1面 素粒子
●同月19日付 朝刊4面 「特区に加計学園 首相の影響否定」
●同月29日付 朝刊4面 「元加計学園監事の最高裁判事任命は『異例』 慣例通り日弁連が推薦」
⑫「以下は、私の推理である。加計問題をスキャンダル化できる特ダネを探していた朝日新聞、NHK幹部らは三月以来、密議を繰り返してきた。その中で、文科事務次官を天下り斡旋で事実上更迭された直後だった前川喜平との接触が始まる」(159頁)及び「加計スキャンダルは朝日新聞とNHKとの幹部職員が絡む組織的な情報操作である可能性が高い」(160頁)との記載。
弊社が加計学園の問題についてNHKの幹部と密議をしたことはありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑬「現時点では取材拒否が多く」(160頁)との記載。
弊社の取材窓口にはもちろん、弊社の取材班にも、貴殿からの取材申し入れはこれまで一度もありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
なお、弊社は加計学園問題について、直接取材いただいた複数のメディアに対し、弊社としての見解や事実関係をお答えしております。
⑭「加計学園問題は更にひどい。全編仕掛けと捏造で意図的に作り出された虚報である。(中略)今回は朝日新聞が明確に司令塔の役割を演じ、全てを手の内に入れながら、確信をもって誤報、虚報の山を築き続けてゆく。何よりも驚くべきは、前川喜平たった一人の証言で二カ月半、加計問題を炎上させ続けたことだ」(164頁)との記載。
上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
「全編仕掛けと捏造で意図的に作り出された虚報」「確信を持って誤報、虚報の山」「前川喜平たった一人の証言で」とは何を指すのか及びその根拠をお示しください。
また、「朝日新聞とそれに追随するマスコミは、大騒ぎを演じた二カ月半、これらの当事者に殆ど取材せず、報道もしていない。前川一人の証言だけで加計問題を報じ続けた」(165頁)との記載。
弊社は文部科学省関係者や当事者、関係者に幅広く取材をし、報道しております。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
⑮「『官房副長官が指示』メール」ともあったが、それは加計学園の獣医学部新設を決定する過程に副長官萩生田の指示があったと見える文書が新たに見つかったことを指す。萩生田は、この文書内容をただちに全面否定したが、朝日新聞は逆に、萩生田と文科省が文書の内容を巡って対立しているとして、萩生田の言い分を全く度外視した紙面を作り続けた。この文書内容は後に文科省自身も誤りを認め萩生田に謝罪している。もはや、朝日は偽文書を元に政治家を叩くことにさえ躊躇がないのである」(217頁)との記載。
弊社は萩生田氏の言い分を度外視しておらず、本年6月16日から17日にかけての朝夕刊で3回にわたり見出しを付して萩生田氏の言い分を報じています。また、萩生田氏を叩く意図は弊社にはありません。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
3本の記事は以下の通りです。
●2017年6月16日付 朝刊1面 「『官房副長官が指示』メール」
●同日付 夕刊1面 「『ご意向発言 認識ない』」
●同月17日付 朝刊1面 「内閣府説明、文科省と対立」
⑯「時系列で読み解くと、朝日がなぜこの文書をひた隠してきたかがよくわかるはずだ」(256頁)及び「こうして八枚いずれの文書も、徹底的にサボタージュしてきた関係省庁を、藤原、義家、松野、萩生田らがそれぞれの立場から解きほぐし、圧力団体や麻生副総理の意向に配慮しながら、行政手続きと規制突破を両立させるべく腐心している様を伝えている。朝日新聞をはじめマスコミが『総理の意向』以外の部分を徹底的に隠したのはその為だったのだ」(267~268頁)との記載。
弊社は、本年5月17日、18日、19日の紙面において上記の8枚の文書の内容を紹介しており、その中で、藤原、義家、松野、萩生田各氏の行動や発言について触れています。「総理の意向」以外の内容についても報じていることは前記⑧の通りです。上記の記載は、事実に反し、弊社の名誉・信用を著しく毀損するものです。
以上
産経ニュース 2017.12.2.
反響続々、朝日から抗議文も 『徹底検証「森友・加計事件」 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』小川榮太郎著
衆院選に続き、特別国会でも続く野党の「モリカケ」追及。9カ月騒いでも、首相の不正な関与の証拠は出ませんでしたが、内閣支持率は急落、政権は何か悪いことをしているとのイメージが国民に広がりました。
著者はこの事態を「安倍晋三は、報道犯罪の被害者である。…森友学園、加計学園問題は、いずれも安倍とは何ら全く関係ない事案だった」と断じます。報道が描き出す「事件」のストーリーと現実にギャップがありすぎる印象操作は、犯罪的だというのです。
本書前半は森友問題、「右翼幼稚園」批判が人民裁判めいた昭恵夫人たたきに転じ、土地売却や小学校認可をめぐる地元の役所の不明朗処理が安倍政権の罪とされた経緯を検証します。
後半は加計問題、50年以上も新学部設置を阻止してきた獣医師会に歩調を合わせる官僚や与野党政治家と、規制緩和を進める内閣府とのあつれきを生んだ、加戸守行前愛媛県知事の努力を、首相の個人疑惑に変えた手法を批判します。
著者は朝日新聞などの記事や資料を800点以上集め、「総理の関与」だけを連呼する報道姿勢に客観的な疑問を呈しました。読者の反響は大きく、8万部を突破すると、安倍たたきを社是としたことは一度もないなど、朝日新聞社から謝罪と賠償を求める抗議文が届いたのです。異論を表明した個人の表現を封じかねない第四の権力のありように、著者は「言論には言論で答える」よう訴えています。(飛鳥新社・1389円+税)
(飛鳥新社出版部 工藤博海)
Wikipedia
当該土地は1974年、伊丹空港周辺の騒音対策区域に指定され、住民から土地を順次買収、大阪航空局の行政財産となった[4]。1989年、区域解除され、1993年、普通財産化[5]。2009年度の大阪航空局の試掘調査でごみが見つかり[6]、2012年までに砒素・鉛の土壌汚染、コンクリートガラが見つかった[4]。2011年、別の学校法人大阪音楽大学が約7億円で売買交渉したが、入札価格が鑑定価格約9億円に満たず、近畿財務局と折り合わなかったとされている[6][7]。
2013年3月、林信光が財務省理財局長に就任。6月、国から土地売却の公募が出される。9月に森友学園から財務省近畿財務局に対し、土地の取得要望書が出され、その後賃貸借契約締結に向けた交渉が開始された。当時の枝廣直幹近畿財務局長は、学園については聞いたことはないとし、担当者レベルでのやり取りがなされていたのではないかと証言している[8][9][10]。
財務省「「新成長戦略」における国有財産の有効活用」指針に則り、2015年5月29日、学園と国との間で売買契約ではなく10年間の定期借地契約が締結され、学園により土壌改良及び地中のごみ撤去工事が行われた[11][9]。
2016年3月1日、森友学園理事長の籠池泰典と財務省理財局国有財産業務課国有財産審理室長が面会し、籠池理事長から、新たにごみが見つかったとしてごみ撤去要請がなされ、24日には学園代理人弁護士から土地売買契約の申込がなされた[9]。
国土交通省大阪航空局から近畿財務局に対し、予算確保が難しいことから、ごみ撤去費用を土地代金から値引きして売買契約を締結する提案がなされた。これを受け、2016年3月30日、買い主側から見積の提示ないし撤去工事がなされる通常の手続きから外れる異例の手続きがとられ、近畿財務局から大阪航空局に対し、ごみ撤去費用の見積り要請がなされた[11][9][13]。
2016年4月6日、大阪航空局から学園に対し、既成分ごみ撤去工事費用等として1億3176万円が支払われた。4月14日、大阪航空局から近畿財務局に対し、新たなごみ撤去費用が約8億2000万円と報告された。6月17日、佐川宣寿が理財局長に就任。6月20日、国と学園の間で、代金1億3400万円とする売買契約が締結された[9]。
2016年6月、近畿財務局は小学校の開設を計画した学校法人森友学園に当該国有地を随意契約で売却した[15]。連帯ユニオン議員ネットワーク副代表の木村真大阪府豊中市議[16]は、同年9月に近畿財務局に売却価格の情報公開法による開示請求を求めたが、近畿財務局は「法人側の事業に影響がある」との理由で非開示とした[15]。これを不服として、2017年2月8日、国に対して決定の取り消しを求め大阪地方裁判所に提訴した[15][17]。2月9日、毎日新聞は朝刊でこの事実関係を簡潔に報道した[15]。
2017年2月9日、朝日新聞は財務省近畿財務局が学校法人森友学園に払い下げた国有地の売却価格が例外的に非公表となっており、朝日新聞の調査では豊中市に売却された国有地(14億2300万円)の1割程度で、他の学校法人が7億円前後で交渉するも近畿財務局が「価格が低い」として断念した経緯のある土地であり、また、学園の理事長籠池泰典は日本会議大阪の役員で、安倍昭恵が同校の名誉校長となっていると報じた[18]。ただし、日本会議は「籠池の日本会議大阪代表・運営委員」は虚偽の報告であり、籠池は2011年1月に日本会議からも退会していると反論している[19]。
2月17日、衆議院予算委員会で、安倍晋三は私学設置認可や国有地払い下げに「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と述べ、「安倍晋三記念小学校」の名目で寄付が募られていたと指摘には、「初めて知った」「私の考え方に共鳴している人から『安倍晋三小学校』にしたいとの話があったがお断りした。現役の政治家である以上、私の名前を冠にするのはふさわしくない」と答弁した[20]。一方「妻から先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」とも語っていたが[21]、塚本幼稚園の教育方針に批判が集まると2月24日には「教育者としていかがなものか」と批判するようになった[21]。
2月27日、衆議院予算委員会で、民進党は森友学園による国有地取得や、運営する塚本幼稚園で園児に「安倍首相頑張れ」「安保法制国会通過良かったです」「日本を悪者として扱う中国、韓国が心を改め、歴史でうそを教えないようお願いします」などといわせる教育は教育基本法違反の疑いがあると指摘、安倍は「園児に言ってもらいたいとは考えていないし、適切ではない」「教育の詳細は承知していない。所管の大阪府が監督するものだ」と答弁した[22][23]。
3月16日、参議院予算委員会の現地調査で民進党の舟山康江が記者団に「(籠池氏が)安倍(晋三)首相から、(昭恵)夫人を通して100万円をもらった、と語った。時期は2015年9月ごろ」と説明を行った。この発言に対して、菅義偉官房長官は同日午後の記者会見で「(安倍総理大臣は)自分では寄付していない。昭恵夫人、事務所等、第三者を通じても寄付していない」と籠池泰典の発言を否定した[36][37]。野党が求めていた籠池の参考人招致について、3月17日、衆参両院の予算委員会は全会一致で籠池の証人喚問を可決した[38][39]。3月18日、文筆家の菅野完が安倍晋三総理大臣が森友学園に100万円を入金した記録と説明する受領証があると発表し記者会見を行った。菅野は記者たちの前で籠池氏の長女にも電話をして経緯を説明させ、入金の時期を2015年9月5日に安倍昭恵が幼稚園の講演会に参加した後、その日は土曜日で、現金は金庫で保管し、月曜日の7日に幼稚園の別の職員が郵便局で入金手続きを取ったと話した[40]。同日、菅義偉官房長官は午前の記者会見で「安倍事務所を通じて夫人に確認したところ、領収書等の記録もなく、夫人個人としても寄付は行っていないということだった。」と発表した。[41]
籠池泰典の証人喚問は、2017年3月23日午前10時から参議院予算委員会で[42]14時50分から衆議院予算委員会で行われた[43][44][45]。西田昌司に促され、籠池は「はい。そうですね。もう九分九厘でき上がっていて、高げたを外された、はしご段を外されたという思いですね。」、はしごを外したのは「大阪府松井知事というふうに思っています。」と証言[46]、浅田均に対して(はしごを)「掛けたのは私ですが。」と答えた[42][46]。下地幹郎は「松井さんがはしごを外したというんじゃなくて、松井さんはあなたが学校ができるようにはしごをかけて、はしごから落ちたのはあなた自身なんですよ。はしごを外したんじゃないんですよ。あなたが自分で、みずからがはしごから落ちたんです。そこの認識をしっかり持たなきゃだめだということを一点申し上げたい。」と非難した[43][47]。この下地の発言について、翌日の予算委員会で西田昌司は「下地議員が『松井さんははしごをかけてあげた』と言われたが、ここは(はしごを)かけたら駄目。いたずらに認可(適当の判断に)されてしまったために、こういう騒動になってきた」「この(私学審議会が認可適当とした)問題は大阪の方でしっかりと議論していただきたい。」とコメントし、大阪府の対応についても疑問視した[48]。
証人喚問後、日本外国特派員協会に対して記者会見を開いた[49]。この際、「忖度」という言葉は適切な訳語が無いとして「sontaku」と伝えられた[50]。海外メディアは「安倍首相、極右学校に秘密の寄付」などと報道した[51][52][53][54]。
学校法人森友学園への国有地売却の件で、近畿財務局は2013年から2015年にかけて、大阪府私学・大学課(現:教育庁私学課)を計5回訪れ、設置認可の審議状況等を確認していた。2015年1月8日には大阪府の担当者の「いつ答申が得られるかわからない」との報告に対し、「審議会の結論を出す時期など、ある程度事務局でコントロールできるのではないか」と言明したとされている[55][56]。
籠池泰典向けに、2014年12月17日時点でA4版3ページの「今後の手続きについて(説明資料)」を作成し、「10年間の定期借地契約を結んでから売買契約に移行するまでに必要な申請書類や手順」、「後に鑑定額から約8億円値引きして売買契約を結ぶ根拠となる地下埋設物の取り扱い」、「財務局長あての要望書案」を手解きしていたと報じられている[57]。2017年4月25日、衆議院財務金融委員会で宮本岳志は「不動産屋並みのサービスだ。財務省が積極的に売却手続きを進めていると理解するのは当たり前だ」と非難、理財局長の佐川宣寿は「通常の国有地処分と比べてかなり複雑だったので、取得要望が出てからのやり取りも踏まえて先方に説明した」と答弁した[57]。
財務省近畿財務局は、国有地内に埋まっていたごみの除去費を、国土交通省大阪航空局と調整し、対象面積5190m2、深さ:杭を打つ場所が9.9mまで、その他は3.8mまで、ごみの混入率を47.1%、ごみの量を19500tと推計、8億1900万円と算定した[58]。国土交通省航空局長の佐藤善信は、大阪航空局に過去にごみの「撤去費を算定した経験はない」が「大阪航空局の職員は公共事業の仕事を通して、国交省全体の知見を蓄積している」と国会答弁した[59]。なお籠池泰典は、2017年5月16日民進党によるヒアリングに対し、弁護士や設計業者のやり取りの電子メールを提示、「約3m以深には廃棄物がない」とする情報もあった[60]。
2016年4月、学校法人森友学園への国有地売却に関し、不動産鑑定士に対し、ごみ撤去費8億1900万円に加え、深さ30mから40m程度の杭打ちを必要とするような、高層建築物を想定した軟弱な地盤改良費約5億円も差し引くよう求めていたが、この不動産鑑定士は「低層の建物しか建てるつもりがないのに、そこまでは引けません」と断ったという[61][62][63]。
2016年6月の学校法人森友学園との売買契約を巡る交渉や面会の記録について、理財局長の佐川宣寿は2017年2月24日、衆議院予算委員会で「売買契約の締結をもって、事案は終了した。記録は速やかに廃棄した」と答弁した[64]。文書廃棄をめぐっては、2017年5月15日、弁護士らの市民団体が、公用文書等毀棄罪に抵触するとして財務省幹部7名を東京地方裁判所に刑事告訴[65]、また6月、神戸の大学教授がコンピュータ内のデータ復元を求める仮処分を大阪地方裁判所に申し立てた[66]。
2018年3月2日、朝日新聞は、財務省が作成した土地取引に関わる決裁文書が契約当時の文書と国会議員らに開示した文書とで内容が異なることを一面トップで伝え、「学園側との交渉についての記載や、「特例」などの文言が複数箇所でなくなったり、変わったりしている」とし、文書が「(森友学園)問題発覚後に書き換えられた疑い」があると報じた[67]。
5日、田端浩国土交通審議官から杉田和博内閣官房副長官に対し[68]、森友学園問題に関する公文書が改竄された疑いがあると報告がなされ、改竄前の文書の写しが財務省に提出された。これを受け、杉田官房副長官から矢野康治財務省官房長に対し、徹底的な調査を行うように指示がなされ、矢野官房長から理財局に指示が伝達された[69]。
9日、佐川宣寿国税庁長官に対し減給20%3ヶ月の懲戒処分がなされ、同日依願退官。矢野官房長の財務金融委における答弁によると、退職金額は約4999万円となるが、これから減給20%3ヶ月分の約66万円が減額される[70]。
12日まで財務省内で調査が行われ、同日国会に対し改竄の事実が報告された[69]。また、麻生財相がメディアの取材において、「理財局の一部の職員が書き換えた」ものであり、最終責任者は当時の理財局長だった佐川前国税庁長官であるとの説明がなされた[71]。
2018年3月16日、自由民主党内に財務省公文書書き換え調査プロジェクトチーム(PT)が発足し、柴山昌彦、金田勝年、武見敬三、西田昌司、萩生田光一、青山繁晴ら11名がメンバーに就任。同日富山一成理財局次長から聴取を行った[72]。
予算委員会で太田充理財局長から、佐川前局長の改竄への関与が大きかった旨の答弁がなされたことなどを受け、20日、二階俊博自由民主党幹事長、森山裕自由民主党国会対策委員長、井上義久公明党幹事長、大口善徳公明党国会対策委員長の間で会談が持たれ、井上幹事長の提案に賛同が集まる形で佐川前局長の証人喚問を行うことや、迫田英典前々理財局長の招致を行わないこと等が決定された。安倍昭恵夫人、夫人付であった政府職員の証人喚問については「必要ない」(公明党・大口善徳)と拒否する姿勢を示した。また、この自公会談では野党が求める麻生財相の辞任については話題にもならなかったという[73]。
2017年3月6日、参議院は会計検査院に対し、国会法第105条に基づいて森友学園への国有地売却に関する会計検査を要請[75]。同年11月22日、値引き額算定にあたって国側が慎重な調査検討を欠いていた、などとする検査結果が報告された[76]。2018年3月20日、会計検査院は、財務省から提出された14文書すべてが改竄後のものであったことを認め、提出資料の信憑性の確認をしなかったことを謝罪した[77]。改竄理由は国会審議において森友学園案件が大きく取り上げられる中で、更なる質問につながり得る材料を極力少なくすることであり、財務省の職員たちが連日の国会審議への対応のほか、説明要求や資料要求への対応により疲弊していたことが背景にあった[78]。
2018年4月4日、無所属の会の衆議院議員江田憲司が自身のTwitter上にて、NHKが報じた「財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い」との報道に絡み、『大阪地検の女性特捜部長のリークがどんどん出てくる』と大阪地方検察庁の人間が情報をリークしたともとれる発言を投稿し、物議を醸した[80][81]。「大阪地検の女性特捜部長」とは、2015年10月に同庁特捜部において初の女性部長に着任した山本真千子とされている[82]。山本は昨年から森友学園問題の捜査を担当し、籠池夫妻の逮捕にも関わっていた[83][84]。
2018年5月31日、大阪地検特捜部は佐川宣寿および財務省職員ら計38人を不起訴処分にした。いずれも、容疑不十分か容疑なし。特捜部は上脇博之神戸学院大教授たちから、決裁文書を改ざんした虚偽公文書作成や、国有地を不当に安く売却したとする背任など6容疑で告発を受理したが、佐川らの刑事責任は問えないと判断した[85]。
2019年8月9日、大阪地検特捜部は財務省職員10人について改めて不起訴処分とした[87]。前の検察審査会の議決は「起訴相当」ではないため検察審査会による再審査や強制起訴の可能性はなく捜査は終結した[87]。
2018年6月4日、財務省は財務省大臣官房秘書課及び同課首席監察官室を中心に行われた調査で、「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」をとりまとめ公表し[88]、麻生太郎財務相、矢野康治官房長兼財務事務次官事務代理、太田充理財局長及び官房総務課長が会見を行った[89]。
財務省理財局(当時)
理財局次長:中尾睦 - 懲戒処分(戒告)
総務課長:中村稔 - 懲戒処分(停職1か月)
総務課職員(課長補佐級) - 口頭厳重注意
国有財産企画課長:冨安泰一郎 - 懲戒処分(減給20%・3か月)
国有財産企画課職員(課長補佐級)2名 - 口頭厳重注意
国有財産審理室長:田村嘉啓 - 懲戒処分(減給20%・2か月)
国有財産審理室職員(課長補佐級) - 懲戒処分(戒告)
国有財産審理室職員(係長級) - 文書厳重注意
近畿財務局(当時)
近畿財務局長:美並義人 - 懲戒処分(戒告)
管財部長
- 懲戒処分(戒告)
管財部次長 - 懲戒処分(戒告)
統括国有財産管理官 - 口頭厳重注意
その他職員2名 - 職務上の注意
その他
調査報告書発表時の理財局次長 - 口頭厳重注意
1984年(昭和59年)以降、既存の16大学以外が獣医学部を新設することを認めず、社会的需要の観点から文部科学省が定員拡大を抑制した[3]。2007年から今治市は15回にわたって構造改革特区を利用した獣医学部の新設を求めたが[3]、文科省は、高度専門職業人たる獣医師養成には、従前の高度専門職と同様、全国的見地から対応することが適切だとして、特区活用による獣医学部の新設は認めなかった[8]。
2013年、第2次安倍内閣の下で国家戦略特別区域が制度化され、2015年6月に内閣府が「現在の提案主体による既存の獣医師養成ではない構想が具体化し、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつそれらの需要について、既存の大学学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師の需要の動向を考慮しつつ全国的な見地から検討する」ことを閣議決定、獣医学部新設を募集した[3]。2016年1月に今治市が国家戦略特別区域の指定を受けた[3]。10月7日、政府ヒアリングに対し、京都府と京都産業大学が獣医学部設置構想を提示したが[9][PR 2]、11月9日、国家戦略特区諮問会議が「広域的に獣医師系学部が存在しない地域に限り」獣医学部の新設を可能とする法改正の実施を決定した[3][注 1]。
2017年1月4日、内閣府が今治市で2018年4月に獣医学部を開設可能な1校を募集し[3]、1月20日、事業者として加計学園を選定した[3][10]。加計学園(岡山理科大学)は3月31日に文部科学省に設置認可を申請した[11]。文部科学省の大学設置審議会の審査においては、過大な定員数や閣議決定時の認可条件(上述)との齟齬部分、実習計画の不透明さ並びに教員配置等、計7件の是正意見が付き、学園側の改善を経た答申の段階においても8件の留意事項[12]が付された[13][14]が、11月10日、学部新設を認可され、翌年4月に開学した(日本国内では52年ぶりの獣医学部新設大学)[15]。
2017年5月17日、朝日新聞が「総理のご意向」等と記された文部科学省の文書の存在を報道した[16]。内閣官房長官の菅義偉は「全く、怪文書みたいな文書じゃないか。出どころも明確になっていない」と述べた[17]。
5月23日、東京新聞は2016年11月9日の国家戦略特別区域諮問会議(議長:安倍晋三)は獣医学部設置の地理的条件の「獣医師系養成大学等の存在しない地域」との素案に「広域的に」と「限り」を加え、文部科学省の「既存の大学・学部では対応が困難な獣医師養成の構想が具体化」という修正案は通らなかったと報じた[2]。
5月25日、前文部科学省事務次官の前川喜平が記者会見を行い、「あったことをなかったことにはできない」「在籍中に共有していた文書で確実に存在していた」とし、「平成30年4月開学を大前提に逆算して、最短のスケジュールを作成し、共有していただきたい。これは官邸の最高レベルが言っていること」「総理のご意向だと聞いている」とされる文書の存在について「獣医学部の新設について、自分が昨年秋に、担当の専門教育課から説明を受けた際、示された」と証言、2016年9月28日の打ち合わせで「『獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項』との文書を示されたと記憶している」と述べた[20][21]。これらの文言に対し、「誰だって気にする。圧力を感じなかったといえば、うそになる」と述べ、最高レベルとは「トップは総理、次なら官房長官、2人のことかなと思った」と語った。「内閣府の言い分は『トップダウンで決めるから文科省は心配するな』ということだと受け止めた」「踏むべきステップを踏めず、筋を通せなかった。『こんなことは認められない』と私が内閣府に対して強く主張して筋を通すべきだった。反省している」と述べ、証人喚問があれば応じる意向を示した[22][23][24]。
5月31日、前川は和泉洋人首相補佐官から獣医学部新設を急ぐよう直接要請されていたことを明かし、「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」との発言もあったとしたが、和泉側は内容を否定し、前川との面識はあるものの、面会時期については記録がなく確認できない、とした[25]。
6月2日、民進党の加計学園疑惑調査チームは内閣府が文科省に対して「官邸の最高レベルが言っていること」と圧力を仄めかしたメール文書と添付ファイルの写しを公開した[26]。メールをやり取りしたのは文科省専門教育課の職員と、内閣府の行政改革推進室の管理係長とされており、「280926藤原内閣府審議官との打合」との名前で添付されたファイルの文面に官邸の圧力が掛けたと示唆される、一文が発見された[26]。
6月14日、追加調査を行わないとしてきた内閣府が内部調査を行うと発表した[30]。6月15日、文部科学大臣の松野博一は「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だ」などと記され、民進党が調査を求めていた19の文書について、文部科学省の専門教育課のコンピューター内の共有フォルダ内に、同内容または酷似した内容の文書が14、確認できないものが2とし、3つの文書については「学校法人の利益に関わる内容」として「現時点では存否を含め明らかにできない」と発表、「前回確認できなかった文書の存在が明らかになったことは大変申し訳なく、真摯に受け止めている」と述べた[31][32][33]。
同日、文部科学省は、2016年11月9日の国家戦略特区諮問会議に提出された「国家戦略特区における追加の規制改革事項について(案)」に、「広域的に」と「限り」の文言を付け加えるよう、「指示は藤原審議官いわく、官邸の萩生田副長官からあったようです」とした内閣府から文科省に送信されたメールの存在を公表した[34][35]。萩生田は「修正の指示を出したことはなく、文科省が公表したメールの内容は事実に反する」と否定した[36]。
2018年4月10日、獣医学部を新設する計画について、2015年4月、愛媛県や今治市の職員、学園幹部が柳瀬唯夫首相秘書官(当時)らと面会した際に愛媛県が作成したとされる記録文書が存在し、その文書に柳瀬氏が面会で「本件は、首相案件」と述べたと記されていることが、明らかになった[37]。
野党及び前川喜平前文科次官は安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計学園に便宜を図った結果、加計が選ばれたという主張に対する根拠の一つとして「広域的に獣医師養成系大学等の存在しない地域」及び「一校に限り」という条件を設けることで獣医学部新設を行うとしていた京都産業大学を対象から排除したと主張する問題。
2016年11月9日、国家戦略特別区域諮問会議にて「先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など、新たなニ ーズに対応する獣医学部の設置」の対応として「獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応するため、現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とするための関係制度の改正を、直ちに行う。」と決定した。[38]
2016年11月18日、改正(案)として「上記趣旨を満たす平成30年度に開設する獣医学部の設置を定めた国家戦 略特別区域計画について内閣総理大臣の認定を受けたときには、当該獣医
学部の設置認可申請の審査については、大学、大学院、短期大学及び高等
専門学校の設置等に係る認可の基準(平成15年文部科学省告示第45号)第 1条第4号の規定は、適用しないこととする。」を作成。2016年11月18日~2016年12月17日の間パブリックコメントを募集した。[39]
2016年11月22日、会⻑短信「春夏秋冬(40)」にて日本獣医師会の会長である藏内勇夫は「このような国家戦略特区による獣医学部の新設は、文部科学省、獣医系大学等多くの関係者による半世紀にもわたる獣医学教育の国際水準達成に向けた努力と教育改革に全く逆行するものです。」と批判し「地方獣医師会及び構成獣医師をはじめ関係の皆様方には、今回の国際会議を成功させ、日本全国に”One Health”の連携体制を確立した力を結集し、必ずや将来に禍根を残すであろう無責任な決定に対し、総力を挙げて反対して行きましょう。」と反対した。[40]
2016年12月8日、 日本獣医師会は28日獣発第230号「国家 戦略特別区域による獣医学部の新設に関する要 請」をもって,山本内閣府特命担当大臣に今回決定された「広域的に獣医師養成系大学等 の存在しない地域」を 1 カ所かつ 1 校のみとすることの明記を要請。[41]
2017年1月4日、平成二十七年内閣府・文部科学省告示第一号にて「1校に限り」という条件とし「文部科学省関係国家戦略特別区域法第二十六条に規定する政令等規制事業に係る告示の特例に関する措置を定める件の一部を改正する件」を作成。
2017年1月30日、会⻑短信「春夏秋冬(42)」にて日本獣医師会の会長である藏内勇夫はパブリックコメントに対し「この意見募集に対しては、皆様方から多数の怒りのコメントを提出いただき、総数976件の意見のうち83%が反対意見という結果でした。」とし、また「この間、私や日本獣医師政治連盟の北村委員長を始めとした本会の役職員は、できれば獣医学部新設決定の撤回、これが不可能な場合でもせめて1校のみとするよう、山本幸三地方創生担当大臣、松野博一文部科学大臣、山本有二農林水産大臣、麻生太郎自民党獣医師問題議員連盟会長、森英介同議員連盟幹事長など多くの国会議員の先生方に、本会の考え方にご理解をいただくよう奔走いたしました。」とした。
「1校に限り」という条件が盛り込まれたことに対しては「このような皆様方からの多数の反対意見、大臣及び国会議員の先生方への粘り強い要請活動が実り、関係大臣等のご理解を得て、何とか「1校に限り」と修正された改正告示が、本年1月4日付けで官報に公布・施行されました。」とした。[42]
2017年6月24日、安倍晋三首相は神戸「正論」懇話会にて「獣医学部の新設も半世紀以上守られてきた堅い岩盤に風穴をあけることを優先し、獣医師界からの強い要望をふまえ、まずは1校だけに限定して特区を認めました。」と獣医師会側からの要請によるものとし「しかし、こうした中途半端な妥協が、結果として、国民的な疑念を招く一因となりました。改革推進の立場からは、今治市だけに限定する必要はまったくありません。すみやかに全国展開を目指したい。」とした。[43]
2017年6月27日、山本内閣府特命担当大臣は記者会見にて記者の質問に対し「パブリックコメント等をやる中で、獣医師会から是非1校にしてくれという話があって、その点については、岩盤規制突破を早く、スピーディに進めることと、それから慎重な意見に配慮するということで、今回はまず1校に限ろうということで私から提案し、3大臣で合意に至って、政府としての決定に至ったわけであります。」と1校に限りは獣医師会側からの要請と返答した[44]。一方、日本獣医師会北村直人顧問は同日放送の報道ステーションにて、獣医師会が内閣府に対し「4条件を満たすことを審査したうえで、1校限り」との要請をおこなう1か月前の2016年11月時点で「広域的に獣医学部がない地域に限る」との方針が既に決まっていたと述べた[45]。
2017年7月20日、朝日新聞は「獣医学部新設を認められる約2カ月前に、山本幸三地方創生担当相が、愛媛県今治市や加計学園の名前をあげて新設方針を日本獣医師会の役員らに伝えたとする同会の内部文書を20日、本紙は入手しました。」とした。内容に関して北村は「記録に書いてあることは事実だ」と認めた。山本は「11月17日に日本獣医師会を訪問し、11月9日に獣医学部新設が決まった経緯について説明したが、四国で決めたとは言っていない。京都もあり得るという話もした。今治市の財政状況については、北村氏の要請により調べたところを概略説明したが、加計学園という特定は一切していない。」とした。[46]
2017年7月20日、産経新聞掲載の記者会見全文では、「私から「『広域的に獣医学部が存在しない地域に限り新設を認めることになり、パブリックコメントを始めることになった。申し訳ないがご理解いただきたい』と発言いたしました。これに対して獣医師会側はそれは当然、四国の今治と決めつけた言いぶりで対応しておりました。」と獣医会側の思い込みを指摘。「記事で会合の概要というのが出ていますが、この獣医師会側の思い込みと、私の発言を混同したものでありまして、正確ではありません」と内部文書の内容の正確性を否定した。
京都については「四国に決まったという発言は全くしていません。向こう側が当然そうだろうという風に思い込んで、いろいろ発言していましたが、私はじっと聞いていて、それで最後に京都産業大からも提案があるのでその可能性もありますよといったところ、そりゃ困るということで、進めるなら今治市だけと明記してほしいという発言が向こうからありました」、1校要望に対しては「これは11月17日ですから。それ以降、京都もあり得るということを、私も言ったこともありまして、それに危機感を覚えたのか、『1校に是非してくれ』というように、強くまた要請してきたということだと思います」と獣医師会側が獣医学部新設の制限を求めたとした。[47]
2017年7月14日、京都産業大学はHPにて「2017年1月4日の内閣府および文部科学省告示を受けて、学校法人加計学園が獣医学部の設置を申請するに至りました。このことにより、我が国の獣医学教育を担う教員が少ない現状の中で、今後さらに申請しようとする大学にとっては、国際水準に資する教育を実施できる優秀な教員を確保することが極めて難しくなりました。」とし獣医学部構想については断念した。[48]
同日、記者会見では「開設の時期が「京産大外し」につながった認識はあるか。」という記者の質問に対し「それはありません。告示を見て判断した。それだけであります。」と返答した。
2015年6月22日、理事会にて北村日本獣医師政治連盟委員長は加計学園の設置申請を受けたことに対し「藏内会長は麻生大臣、下村大臣に、私は石破大臣と折衝をし、一つ大きな壁を作っていただいている状況である。」とした。[51]
2015年7月10日、全国獣医師会事務・事業推進会議にて北村日本獣医師政治連盟委員長は「日本再興戦略」の内容を読み上げた上で「この獣医師養成の大学・学部の新設の可能性はこの3つの条件によりほとんどゼロです、16 獣医学系大学で対応できない獣医師はいない訳ですから、現存の獣医学系大学でこれらができるということは当然です。」とした。また「石破担当大臣と相談をした結果、最終的に、「既存の大学・学部で対応が困難な場合」という文言を入れていただきました。」とした。
日本再興戦略の文章に対して「今回の獣医師養成大学・学部の新設については、どこを読んでもこれを覆すような状況は一つも見当たらない、つまり、新しい獣医学系大学・学部の設置はできないということが今回の骨太方針、成長戦略の文言に書いてあると考えております。これをクリアする新たな獣医師の資格を作るのであれば別だと思われますが、現状では設置できないということが日本獣医師政治連盟としての見解です。」と新資格でも作らない限り新設不可能を示すものと見解を出した。[53]
2015年9月10日、理事会にて北村日本獣医師政治連盟委員長は「昨日、藏内会長とともに石破茂地方創生大臣と2 時間にわたり意見交換をする機会を得た。その際、大臣から今回の成長戦略における大学、学部の新設の条件については大変苦慮したが、練りに練って誰がどのような形でも現実的に参入は困難という文言にした旨お聞きした。」と石破氏が発言したとした。[54]
2017年7月18日、産経新聞は石破茂氏に取材、文書回答にて「獣医師会からの4条件盛り込み要請について「そのような要請はなかった」、平成27年9月9日の発言についても「そのような事実はなかった」といずれも全面否定した。」と報じた。[55]
2017年08月21日、玉木雄一郎衆議院議員は加計学園におけるネットのデマに答えるとして石破4条件に対し「2015年6月30日の閣議決定の要件は、「石破4条件」と呼ばれてはいますが、これは安倍内閣の閣議決定で決められたものであり、むしろ「安倍4条件」というべきものです。」と答えた。[57] しかし、この主張以前はツイッターにて石破4条件としている。 [58] [59]
2018年5月10日、石破衆院議員は衆院予算委員会でのやり取りで「石破4条件を随分強調していたが、閣議決定だから安倍内閣の決定であり、その点もかなり違和感を持った。」とした。[60]また、2018年8月26日、言論!クロスファイアにて石破衆院議員は石破4条件に対して「石破4条件という人が居るけど内閣で決まったことだから安倍内閣4条件ですよ」と主張した。[61] しかし、2017年7月4日に自らツイッター上でイシバチャンネルにて「国家戦略特区に関するいわゆる「石破四条件」について解説します。」としている。 [62] [63]
山本幸三地方創生相が2016年11月、日本獣医師会に「四国で新設」と伝えたとされる問題で、2017年7月21日、この発言に関する秘書官のメモ、及び自身が作成した学部新設費用の積算メモについて、既に廃棄済みと説明した[64]。
2015年6月5日に国家戦略特区ワーキンググループが獣医学部新設を巡って愛媛県に行ったヒアリングのなかで、愛媛県側が抵抗勢力があるとの理由で、議事録を非公開とするよう求め、座長の八田達夫が了承していたことが明らかとなった。このやり取りは、2017年8月25日に公開された議事録の中で明らかとなっており、内閣府が3月に公開した議事要旨は該当部分を省略し、「公開でいいか」との質問に対し、愛媛県が応じたことになっていた[65]。
2017年3月13日、参議院予算委員会で社民党の福島瑞穂が「首相は理事長と長年の友人だ。政策がゆがめられているのではないか」と質問、安倍晋三は「理事長から頼まれたことはないし、働き掛けていない」「もし働き掛けて決めたならば責任を取る」「特定の名前を出すのは確証がなければ極めて失礼だ」「安倍政権のイメージを落とそう、安倍晋三をおとしめようと質問するのはやめた方がいい」と述べ、「鳥インフルエンザなどの人獣共通感染症が拡大する中、需要が高まっていることから獣医学部設置を特区のメニューとして追加した」と説明、今治市が用地を無償提供したとの一部報道に対し「無償譲渡の例は20年間で25例ある。今治市が決めたことで、私は影響の及ぼしようがない」と述べた[66][67]。
5月22日、参議院決算委員会にて、日本共産党の小池晃が「加計学園ありきで特区の決定が行われたことは明らか」と追及、地方創生担当大臣の山本幸三は、「地域を限定することが適当だと私が判断した。加計学園ありきではない」と答弁した[2]。
2017年6月19日には内閣総理大臣の安倍晋三は第193回国会を終えた際、加計学園問題について、「対応が二転三転し、国民の政府に対する不信を招いたことは率直に反省しなければならない。信なくば立たずだ」「真摯に説明責任を果たしていく」と述べ、「必ずしも国民的な理解を得ることはできていない」としつつ、「国会の開会、閉会にかかわらず、今後も分かりやすく説明していく努力を積み重ねていく」「印象操作のような議論に対し、つい強い口調で反論してしまう私の姿勢が、結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」「改革を後退させる発想であり、誠に残念でならない」「人材を積極的に登用し、党でも政府でもしっかりした体制をつくることが必要だ。これからじっくりと考えていきたい」と述べた[75]。
2017年7月24日には衆議院議員の小野寺五典(自由民主党所属)が国会の閉会中審査において、「一番中立である、例えば、ワーキングチームの座長の八田さんから一点の曇りもないという話があった。そして、加計学園と競合した京産大は『不透明な決定とは思わない。納得できない部分も特にない』。京都府知事も『われわれとしては努力が足りなかった』などといっている。競争相手も適正だと言っている。なぜか国会の中の議論で、役所の中からいろんな文書が出ているのがこの問題の本質だと思っている。」と発言している[76]。
前愛媛県知事の加戸守行は、同閉会中審査における加戸の前川への批判をいくつかのメディアが報道しなかったとして、「報道しない自由があるのも有力な手段、印象操作も有力な手段。マスコミ自体が謙虚に受け止めていただくしかない」と述べた[77]。10月8日、安倍首相も「証言された次の日に全くしておられない」「新聞をよくファクトチェックしていただきたい」と同調したが、日本報道検証機構は検証の結果、この認識は不正確であると指摘した[78]。なお批判を受けた朝日新聞社自身も、見出しつきで報じていると反論している[79]。
今治市の市民団体「今治加計獣医学部問題を考える会」は、加計学園が建築費を実際より高めに見積もり市に補助金を申請した疑いがあると主張しているが、加計学園側は否定している[81][82][83][84][85]。
日本獣医師会は、特区活用による獣医師学部の新設について反対している。その理由として、特区活用の目的の一つである卒業者の職域及び特定地域への就労の義務づけは困難であり、農林水産省が示した就労地域や職域偏在の是正に資さないこと、また教育の質の維持向上という現状の根本課題の改善に資さないことを挙げ、特区活用とは異なる方策を提示している[86]。2017年1月30日の会長短信では設置基準等に照らした厳密な審査が行われるよう、文部科学省等に要請を行っていく予定であることを公表している[PR 1]。
獣医師養成課程をもつ大学で組織する全国大学獣医学関係代表者協議会も獣医師会と同様否定的な立場で、獣医師会との共同声明では規制改革は妥当性があって効果を発揮するとした上で「取り組むべき課題の検証とその解決に向けた方策の妥当性の検討が明らかに不充分」[87]と指摘した。その後岡山理大に獣医学部設置が決定した後の声明では「私たちが不可欠とした事項の検討が全く行われぬままに新設認可に至ったことは極めて遺憾と言わざるを得ない。」とする一方、学生の獣医学教育については「その教育の質の向上に一体となって取り組む」とした[88]。しかし2019年4月現在も「全国16の獣医系国公私立大学の協議会」とあり、岡山理大が加盟しているかどうかは不明である。
文部科学省の調査では、2015年4月2日に内閣府からの発送メールで愛媛県職員・今治市職員が藤原豊地方創生推進室次長(現・経済産業省貿易経済協力局審議官)と面会した内容が書かれている件を2018年4月19日に報道された[89]。翌4月20日には文部科学省記者会見がなされた際は、オリジナルメールは削除されていたが紙媒体の文章として2018年4月17日に確認したと述べており、必要に応じた政府関係者の調査・対応を続けるとのことである[90]。
2017年11月に加計学園獣医学部は140人の定員の内、20人を海外留学生の留学枠として、韓国現地で留学生を募っていたことが報道された。ソウルで行われた説明会では加計学園の関係者も参加していた。誘致のパンフレットには「日本の獣医師は高収入」「韓国内の獣医師免許も取得できる」とPRしていた[91]。
読売新聞は社説で「既得権益を持つ業界の意向を重視しがちな所管省庁と、首相主導で規制改革を進める内閣府の対立は避けがたい」とし、「政府が、加計学園を優遇したとの疑いを否定するには、規制緩和の一連の経緯や、今治市や四国の地域事情などについて、掘り下げた説明を尽くさねばならない」と論じた[92]。
朝日新聞は社説で「問われているのは首相自身と、首相側近で、学園系列大学の名誉客員教授を務める萩生田氏の関与の有無だ。国民が納得できるまで説明を尽くす重い責任があることを、首相は自覚すべきだ。」と論じた[93]。また、「文部科学省の内部告発者は、守秘義務違反に問われる可能性があるのか。公益のための通報者として保護されるべきではないのか。議論が起きている。」とし、「文科省をはじめ政府がなすべきは、告発者の口をふさぐことではなく、異論や批判に耳を傾けることだ」と論じた[94]。
毎日新聞は社説で「文書の存在がはっきりした以上、実際に「総理の意向」があったのか、内閣府側の「そんたく」だったのかが焦点になる。」とし、「国会の場で、前川氏に証言してもらい、真相をはっきりさせなければ、疑問は解決しないだろう。」と論じた[95]。また、読売新聞の前川喜平のスキャンダル報道への批判に対して読売新聞東京本社社会部長原口隆則が「不公正な報道であるかのような批判が出ている。こうした批判は全く当たらない」「一般読者の感覚に照らしても、疑念を生じさせる不適切な行為であることは明らかである」「次官在職中の不適切な行動についての報道は、公共の関心事であり、公益目的にもかなうものだと考える」などと反論する展開は「異様」だと評した[4]。
2018年1月30日には、同紙・統合デジタル取材センターのTwitterが岡山理科大学獣医学部の志願者数が1000人超とする自社ニュースに「これでいいのか」とコメントして引用、批判が殺到し謝罪に追い込まれた[96]。
産経新聞は、「加計学園問題」の特集ページで「学園の理事長が安倍首相の友人である個人的関係が学部新設の許認可に影響を与えたとの疑惑を生み、野党の政権追及材料となっている。」と解説している[97]。また、朝日新聞などが加戸の発言を報じないことについて、“報道しない自由”ではないかとインターネット上で物議を醸しているとし、メディア不信を生じさせていると報じている[98]。
東京新聞は社説で「首相と学園との親密な関係が学部新設に影響しなかったのか、国会が追及するのは当然だ。野党側は首相に「印象操作」などと言われてもひるむことなく、国政の調査という国会の責務を国民の代表として誠実に果たしてほしい。」と論じた[100]。
愛媛県が公表した文書では2015年2月25日に首相の安倍晋三が加計孝太郎と約15分面会し獣医学部の計画について説明を受けたと記載されていた[102]。しかし加計学園はこの記載された面会について「実際にはなかった。誤った情報を与えた」とのコメントを発表したほか、安倍晋三首相も面会を否定しこの文書について「伝聞の伝聞だ」と述べた[102]。
2018年5月26日、加計学園は報道各社に対して「実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出した」とファックスで釈明[103]。同月31日に加計学園事務局長が愛媛県庁と今治市役所をそれぞれ訪問し、愛媛県と今治市に誤った情報を与えていたと謝罪した[103][104]。
2018年6月19日、加計学園理事長の加計孝太郎が学園本部で記者会見し、愛媛県の文書に記載された2015年2月の首相との面会について否定する一方、学園側が県に誤った情報を伝えたとして謝罪を行った[105]。
加計学園の獣医学部新設問題を巡っては、愛媛県今治市などに内閣府地方創生推進室次長(当時)が随行職員2人とともに出張した際、移動手段の一部に加計学園の車を利用したにもかかわらず、内閣府の出張記録に「官用車利用」と記すなど公文書への虚偽記載の疑いが指摘されていた[106]。国家公務員倫理審査会は「社会通念上、相当と認められる程度を超えている」と通知し、内閣府は内閣府地方創生推進室次長(当時)を文書による厳重注意処分とした[106]。残り2人(当時の事務次官及び地方創生推進室長)についても文書による厳重注意処分の対象とされたが既に退官しており処分されなかった[106]。
阪大文美学科(音楽学専攻)、埼玉大大学院修士課程修了。大学院の指導教官は長谷川三千子。専門は近代日本文学、19世紀ドイツ音楽。阪大在学中に文芸同人誌『一粒の麥』を発刊・主宰し、文芸批評や社会批評を多数発表。同誌の寄贈を通じて福田恒存、音楽評論家の遠山一行の知遇を得、両者に私淑。1998年下期、文藝春秋の文芸雑誌『文學界』の新人小説月評を担当。2003年、『川端康成の『古都』』が遠山一行の推薦により第35回新潮新人賞評論部門の最終候補。私塾「創誠天志塾」(旧・「青年真志塾」[13])では塾長。2015年日本平和学研究所を設立し理事長。2017年フジサンケイグループが主催する第18回正論新風賞を受賞。2018年『天皇の平和 九条の平和 ―安倍時代の論点―』(産経新聞社刊)で第1回アパ日本再興大賞特別賞を受賞。株式会社髙榮(千葉県八千代市)代表責任者。
「正しい日本語を残すという意味で大事だと考えているから」として、歴史的仮名遣(正仮名遣い)を用いている[20]。正仮名遣いは800年以上も前(2015年現在)に確立している国語の「論理」であるとして、放置しておくと正仮名遣いは完全に消滅すると予測している[20]。GHQによる占領期に表音主義が導入された事については、用言の活用が表記から消えるとして、最終的には政治的な判断で元に戻す必要があると主張している[20]。ただし、寄稿において現代仮名遣いを用いる場合もあり(月刊Hanada等)、書籍においては『小林秀雄の後の二十一章』『フルトヴェングラーとカラヤン』等が正仮名遣いである他は、現代仮名遣いを採用している。
日本国憲法は制定過程に根本的な問題があるとしており、GHQによる被占領期に制定されたことを踏まえ「当時の主権者はGHQで、その中身もGHQが英文で起草した」、「憲法は国民が主権者として制定したと宣言している。これは嘘のストーリー」、「本当の主権者が憲法の中身を書いていない事実は重い」として自主憲法制定の必要性を主張している[21]。
その一方で、「現実的には自主憲法制定は難しい」、「逐条改正するほかないが、最優先すべきは9条だ」と指摘。9条については、「不安定な国際社会の中で、国家一番の責務は自衛できるかどうか」、「陸海空軍がなければ自衛はできないのに、憲法には自衛隊の規定すらない」として、「9条2項で『自衛隊を保有する』と明記し、自衛権を行使できるようにしなければならない」と主張[21]。
2015年10月4日に開催された「憲法改正を実現する九州大会」におけるシンポジウムでは、「政治日程に憲法改正が上がるのは画期的なことで、この好機を逃してはならない」、「平和について、わめいている人たちこそが一番平和にふまじめな人たちであり、堂々と国民に本当の話を浸透させる必要がある」と話した[22]。櫻井よしこによる「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の代表発起人の1人。
1998年3月に発表された江藤淳の『南洲残影』を読み、その内容に「痛く失望」したことから、同書を「平成の衰弱と重ねて」、江藤自身の衰弱を晒した仕事であると論じた書評を同人誌に発表し、江藤にその批評を送った。江藤との個人的な面識はなかったが、意外にも江藤から返事が届いた。その文面は次のようなものだったという。「(略)拙著についての御高評は一々もっともと存じます。只今病妻をかかえ、その看病のために病院通いをしております。そのために時間なく、意を盡くせぬことをおわび申上げます。敬具」このやり取りがあって間もなく、1998年暮れに江藤の妻・慶子夫人が死去。翌1999年7月21日、江藤は自宅浴室で手首を切って自殺した。後年の著作の中で、小川は『南洲残影』を「今讀み直せば、深い悲しみの響く、簡潔で實に美しい史書」と評し、かつての評価について「若氣の至り」と回想している。[31]
第45回衆議院議員総選挙の結果、民主党の鳩山由紀夫を中心とする政権が発足したことに「このままでは日本がとんでもないことになる」と感じ、三宅久之と共に「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」を結成。この運動では、安倍を総理に復帰させる戦略を大局から細目へと立案した20ページほどの戦略プランを立て、下村博文を通じて安倍に渡ったと話している。
2015年11月11日、東京プリンスホテルの宴会場「マグノリアホール」で書き下ろし文芸評論集『小林秀雄の後の二十一章』の出版を祝う会が開催された際には、首相に再任された安倍が出席し、あいさつをおこなった。
2015年、「放送法遵守を求める視聴者の会」の呼びかけ人の一人として同会の記者会見に出席し、NHKと民放計6局の平和安全法制の審議に関するテレビ報道のあり方などを批判した。同年同会発足時から初代事務局長を兼務。2017年事務局長を退任、呼びかけ人は留任。
2018年同会事務局は、初代代表呼びかけ人で会に多額の資金提供をしたすぎやまこういちと小川との間に金銭トラブルがあった、小川は事務局長退任以降会とのかかわりがない、などとの見解を表明した。翌10月4日発売の『週刊文春』は、すぎやまと小川両者のコメントを掲載し、紛議は事実だが解決に向けて交渉中であると報じた。
2017年森友学園問題と加計学園問題を記載した小川の著書「徹底検証『森友・加計事件』――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」について、朝日新聞は、小川と出版元である飛鳥新社に対して、謝罪と損害賠償を求める申入書を送った。朝日新聞の主な主張は、以下の通り。
「朝日新聞の報道は『虚報』『捏造』『戦後最大級の報道犯罪』」と、同社に対する取材や、根拠もなく、決め付けたことは名誉棄損である。
取材で入手した文書を紙面で報じているにも関わらず、同書では「安倍の関与を想像させる部分以外は、文書内容をほとんど読者に紹介せず」「『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽して報道し続けた」としている。
実際には紙面で報じている当事者の発言等を、同書では「殆ど取材せず、報道もしていない」としている。
上記主張を主として、具体的箇所に16項目を挙げ、同書に対する反論を述べる。
2017年12月5日、小川は、朝日新聞の申入書に対して、回答書を送った。小川の主な主張は、以下の通り。
朝日新聞は日本を代表する言論機関であり、法的構成が不可能な言いがかりで一個人を恫喝するのではなく、言論には言論で勝負するべきである。以降の議論は公開討論とし、朝日新聞の紙面において、自分の意見を歪曲することなく、双方の見解と双方の立場の有識者を公平に配分して、充分な質量の検証記事を載せることを求める。
朝日新聞の公式窓口や、取材班への公式な取材は、本書の性質上、意味をなさないと考え、取材を行っていない。
「捏造」「報道犯罪」とした個別の根拠はなく、「本書全体を通じての証明事項」「自分の意見の要約的表現」である。訂正を要求するならば、本書全部の論理構造の過ちを逆証明することを求める。
朝日新聞において、文科省文書は、「総理のご意向」及び「官邸の最高レベルが言っている」の部分を極度にクローズアップし、それ以外の殆どを報じていないことは、記事量比較をすれば容易に証明できる。
朝日新聞がNHK幹部と「密議」や「共謀」して「組織的な情報操作」を行ったと、持論を述べている点については、自分の推測であり、そう明記している。
上記主張を主として、朝日新聞の16項目の申入れに対して、反論を述べる。
朝日新聞は、小川の回答内容に対して「具体的に問題点を指摘し訂正を求めたが、小川は大半を「自分の『表現』か『意見言明』への苦情に過ぎない」などとして応じず、承服できない」「飛鳥新社も小川任せで、訂正に期待できない」「裁判という公開の場で、同書の誤りを明らかにするしかない」として、2017年12月25日、謝罪広告掲載と5千万円の損害賠償を求めて、小川と飛鳥新社を東京地裁に提訴した。小川は、この提訴について「大企業が恫喝的意図で行う『スラップ訴訟』だ」「大言論機関が裁判に逃げた。言論弾圧であり、自殺行為だ」と非難した。
元朝日新聞記者のジャーナリスト烏賀陽弘道は、「定義で言えばこれは堂々たる、教科書に載りそうなSLAPP提訴です。」「私が小川榮太郎氏の書いた内容に同意するかはまったく別次元の問題として、朝日新聞による提訴はスラップ提訴にぴったり合致します」「そもそも、裁判所に言論の判断を委ねるという行為は、読者の判断能力を信用していない。そして、裁判官に検閲官をやらせるという意味で、きわめて危険な『言論の自由への介入のドア』を開く」などと述べている。
橋下徹は「言論で挑発しておいて、相手の『訴える権利』を奪うのもおかしい」「裁判、裁判外で徹底的に朝日新聞とやり合い、小川の主張を裁判所に認めさせ、朝日新聞に勝訴したらいいだけ」「スラップ訴訟という概念を用いることこそが、訴える自由を委縮させる圧力になっていることには頭が及ばないようだ」と述べた。
2018年4月11日、東京地裁において、第一回公判が開かれた。2019年9月末現在も公判は続いている。
『新潮45』2018年10月号の特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」に、「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」と題した文章を寄稿した。この特集は、杉田水脈が同雑誌の2018年8月号の寄稿で「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです。」などと述べたことへの批判に反論するものであったが、その中で小川は、「同性愛は全くの性的嗜好ではないか」LGBTの権利を保障するのであれば、「痴漢が女性を触る権利も社会は保障するべきではないのか」などと記述した。
この小川の寄稿文を含む特集には批判が相次ぎ、批判を受けた発行元の新潮社は9月21日に佐藤隆信社長名義で特集の内容に問題があったことを認めるコメントを発表、続けて9月25日に『新潮45』の休刊を発表した。
この事態を受けて小川は、寄稿文中の「痴漢の権利」に言及した部分については、「私が問題にしたのはLGBT個々の人ではなく、LGBTというカテゴライズの恣意性であり、杉田論文炎上で明らかになったように、LGBTがすでにイデオロギー圧力になっている事態である。該当箇所は、こうした恣意的なイデオロギー圧力を安易に追認すれば、それはついに社会が痴漢やSMを公的に擁護する事態をも否定できなくなるという文脈で語られている。」などと述べている。
「性的嗜好」という表記を用いたことについては、「性的シコウを、指の『指向』と好みの『嗜好』とに分ける議論」には「基本的に反対です」と述べて、その理由として「脳の在り方」等で「物理的にそれを診断することはできない」ことや、「一人の中でも性の意識というものは揺らぐ」との認識等を示している。
『新潮45』の休刊に至る経緯については、「尋常ではない圧力を想定しない限り説明がつかない。早すぎ、一方的すぎ、臆面なさすぎる」として、「全く異常な話ではないか」などと批判し、「日本は平成30年9月25日をもって、『言論ファッショ社会』に突入したという事にならぬかどうか―。実に厳しい局面に日本の自由は立たされている。」と述べている。
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