翆雨の人-猿橋勝子 伊予原新 2025.10.5.
2025.10.5. 翆雨の人 著者 伊与原新 1972 年、大阪生れ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。 2010 年、『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞。 2019 年、『月まで三キロ』で新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞。 2024 年、『宙(そら)わたる教室』が第 70 回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(高等学校の部)に選出、 NHK でドラマ化され話題となる。 2025 年、『藍を継ぐ海』で第 172 回直木三十五賞を受賞。他の著書に『八月の銀の雪』『オオルリ流星群』『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』『磁極反転の日』『ルカの方舟』『博物館のファントム 箕作博士の事件簿』『蝶が舞ったら、謎のち晴れ 気象予報士・蝶子の推理』『ブルーネス』『コンタミ 科学汚染』などがある。 発行日 2025.7.30. 発行 発行所 新潮社 初出 『波』 2022 年 1 月~ 23 年 4 月号、 6 月~ 24 年 1 月号 史実を基にしたフィクション 序章 第1章 翆雨の頃 第2章 霧氷の頃 第3章 飄風の頃 第4章 虹橋 ( こうきょう ) の頃 序章 奈良岡は、小平霊園の猿橋のお墓参りに行く。紫陽花は自分と気が合う、雨が好きなのと言っていた勝子のために、普通はお墓には供えないが、あえて供える 勝子は、長く心臓を患っていたが、最後の数年は高齢者施設で平穏に過ごし、 2007 年没、享年 87 。生涯独身。面倒くさい人だった 第1章 ...