広田弘毅 井上寿一 2022.1.17.
2022.1.17. 広田弘毅 常に平和主義者だった 著者 井上寿一 1956 年生まれ。一橋大大学院法学研究科博士課程単位取得退学。法学博士 ( 一橋大 ) 。学習院大法教授 発行日 2021.10.10. 初版第 1 刷発行 発行所 ミネルヴァ書房 「日本評伝選」 序章 さまざまな広田弘毅像 1. フィクションとノンフィクションの間 今も広く共有されている広田像を確立したのは、 1974 年の城山三郎の『落日燃ゆ』で、「福岡の石屋の長男として生まれ、家は貧しく、藺草 ( いぐさ ) を売り歩き学用品を買う足しにした。字が上手く学業成績優秀、周囲の勧めで修猷館に進学。当時勃発した三国干渉で外交で負けたことが悔しくて外交官を目指す。一高、帝大法を経て外交官試験に首席で合格。外務省ではエリートコースから外れがちだったが、 30 年代の危機になると外相から首相と上り詰める。平和を求める努力は軍部の専横によって妨げられ、広田の意思とは異なって戦争が拡大、国家的破局を迎える。敗戦後、意外にも戦犯となるが、法廷では一言も自己弁護をすることなく運命を受け入れ、唯一の文官として極刑に」と、悲劇の人物像が浮かび上がる。 3 年で 45 万部のベストセラーで、毎日出版文化賞と吉川英治文学賞を受賞 新潮社では否定的な見方もあって当初 7000 部とされたが、力作を勘案して 1 万部に。題名も作者は広田の無私の人生に惹かれたとして『自ら計らわず』『風車、風の吹くまで』だったが、編集者の判断で変更された ベストセラーになったのはテレビドラマ化が寄与―― NET( 現テレビ朝日 ) が松山善三の脚本、滝沢修・高峰秀子主演で 2 時間ドラマとし、「政治家は弁明せず、責任を取る」という倫理的テーマを見事に再現したとして絶賛 城山は、ベストセラーの相乗効果で既刊本も売れ、押しも押されもせぬ流行作家となる 刊行さ...