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書物の航海へ  石井洋二郎   2026.6.23.

  2026.6.23.   書物の航海へ いまを生きるための古典   著者 石井洋二郎  1951 年生.東京大学法学部卒,同大学院人文科学研究科仏語仏文学専攻修士課程修了.東京大学大学院総合文化研究科長・教養学部長,同大学理事・副学長などを歴任.東京大学・中部大学名誉教授.博士 ( 学術 ) .専門はフランス文学・思想. 主な著書:『ロートレアモン 越境と創造』 ( 筑摩書房,芸術選奨文部科学大臣賞 ), 『フランス的思考 ―― 野生の思考者たちの系譜』 ( 中公新書 ), 『時代を「写した」男 ナダール 1820-1910 』 ( 藤原書店 ) ,『大学の使命を問う』 ( 藤原書店 ) ,『ピエール・ブルデュー』 ( 水声社 ) など. 主な訳書:ブルデュー『ディスタンクシオン Ⅰ ・ Ⅱ 』 ( 藤原書店,渋沢・クローデル賞 ) ,『ロートレアモン イジドール・デュカス全集』 ( 筑摩書房,日本翻訳出版文化賞・日仏翻訳文学賞 ) ,ジュリアン・グリーン『モイラ』 ( 岩波文庫 ) など.   発行日             2026.2.25.  第 1 刷発行 発行所             岩波書店     序 章 言葉の河 書物の海 l   いざ、錨を!  ( マラルメ「海のそよ風」 ) 人間の営みの多くは、時代や地域を問わず基本的には変わらないが、その共通の経験を撚り合わせた色とりどりの糸を用いて、人類は集合的な歴史という巨大な織物を織り上げてきた。物理的な時間を人間的な時間へと変換させるこの気の遠くなるようなプロセスの、全容とは言わないまでも少なくともいくつかの断片を、私たちは先人の残した書物を通して知ることができる 難解で知られる 19 世紀フランスの詩人ステファヌ・マルラメ (1842 ~ 98) の詩集の冒頭に、「肉体は悲しい、ああ、読んだぞ、私は、万巻の書を」。 23 歳に過ぎなかった詩人の凛然たる言明を前に、 70 ...