野心のすすめ 林真理子 2014.2.20.
2014.2.20. 野心のすすめ
コピーライターとして活動の後、82年に出版したエッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が、処女作にしてベストセラーとなった。さらに86年には、『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞し、小説家としての地位を確立した。林の功績は、 1980年代以降において、「ねたみ・そねみ・しっとを解放」したことであるとも評される。現在、直木賞の選考委員のほか、講談社エッセイ賞、吉川英治文学賞、中央公論文芸賞、毎日出版文化賞選考委員。
大学卒業後、アルバイトをしながら宣伝会議のコピーライター養成講座を受講。1979年、秋山道男が編集していた西友ストアのPR雑誌『熱中なんでもブック』(のちに『青春評判ブック』)の編集スタッフとなる。1981年、西友ストア向け広告コピー「つくりながら、つくろいながら、くつろいでいる。」でTCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞を受賞。
1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を発表して、エッセイストとしてデビュー。同書はベストセラーになる。1986年、前年に発表した『最終便に間に合えば』『京都まで』で第94回直木賞を受賞、作家として認められる。翌1987年には、日米の交流を目的としたインターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラムに参加した。
1993年から、初めて文芸雑誌『文學界』に連作を書いた(『文学少女』)。1995年、『白蓮れんれん』で第8回柴田錬三郎賞を受賞、1998年、『みんなの秘密』で第32回吉川英治文学賞を受賞、2013年、『アスクレピオスの愛人』で第20回島清恋愛文学賞を受賞。
発行日 2013.4.20. 第1刷発行 13.5.8. 第2刷発行
発行所 講談社現代新書
はじめに
自分の野心が開花したのは、1982年処女作『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーになり、翌年フジテレビのキャンペーンガールを務めたとき
私が本書で提唱したい「野心」は、クラーク博士の言うような「もっと価値ある人間になりたい」と願う、健全で真っ当な心のこと
人は自覚的に「上」を目指していないと、より充足感のある人生を生きていくことは出来ない。身の程を知ると同時に、ちょっとでもいいから「上」を目指すと、初めて選択肢が増え、人生が上に広がっていく
第1章
野心が足りない
健全な野心を持つための第1歩は「現状認識」 ⇒ 屈辱感こそ野心の入口
現状がイヤだと思ったら、とことん自分と向き合う。「無知の知」を自覚する
健全な野心は、それに伴う努力との絶妙なバランスによって成り立つ
野心を持つことのできる人とは、自分に与えられた時間はこれだけしかないという考えが常に身に染みついている人、自分の将来を具体的に思い描く想像力のある人
このまま一生ユニクロを着て松屋で食べてればオッケー、という考えではダメ
限りある一生をどのように生きるかということを真剣に考えるのは、充実した人生を送るために不可欠なこと
第2章
野心のモチベーション
社会の格差が拡大し、世の中には歴然たるヒエラルキーが存在 ⇒ タイタニック格差
「ここぞという機会」を自分で作り出すのが、野心 ⇒ 次々といろいろなことに挑戦し続けるのも「機会」をより多く作るため
第3章
野心の履歴書
どん底時代を耐え抜いたのは、たとえ根拠が薄い自信でも、自分を信じる気持ち
特別な人間だという自信と、普通の人間だという謙虚さを同時に持つこと
第4章
野心と女の一生
人生の充実感や幸福のために、女性は仕事を持って働くべき
1988年の「アグネス論争」 ⇒ 子連れ出勤を肯定したアグネスに「いい加減にしてよアグネス」と反論したもの。読者が年間で最も感銘を受けた記事を選ぶ「文藝春秋読者賞」を受賞したが、アグネスの肩ばかり持った朝日の媒体とはしばらく絶縁
仕事や結婚、子供を持つことの意味を含めた優先順位を若いうちから考え続けなければならないのが、女性にとっての野心のあり方
第5章
野心の幸福論
どんな小さいことでもいいので、人に認められる快感を味わい、勝った記憶を積み上げていくと人格も変わる
妄想は自分を引き上げてくれる力になり、野心のバネになる
「走っている不幸」は、端から見ていても明るい爽快感があるが、「止まっている不幸」は恐ろしい
☆
時間は2倍に使う ⇒ 隙間の時間を有効に活用
☆
ぐっすり眠ってから考える ⇒ 一晩寝てリセットする能力は大事
☆
運の強い、楽しい友人たちと付き合う
野心を持って努力し続けるのは、本を読むことにも似ている。本を読み始めると、自分の無知がわかるし、この分野を知らないのはまずいとか、この先また別の本を読んでみたいなと思う。努力をする人にはいろいろなページが開いてくる。反対に本を全く読まない人は、何を読めばいいかわからないし、そもそも本の存在すら意識下に入って来ない
自分はこういう人生を送りたいという目標を決めたら、歯を食いしばってでも頑張ってみること
野心という山を登ろうとする心の持ちようで、人生は必ず大きく変わってくる
コメント
コメントを投稿