Spotify Spotify inifran 2020.7.18.

 2020.7.18. Spotify 新しいコンテンツ王国の誕生

Spotify inifran          2019

 

著者 

Sven Carlsson 1986年生まれ。高校時代をモスクワで過ごし、ジャーナリストを目指す。09年イギリスのノッティンガム大で北米学と歴史を学ぶ。14年アメリカのコロンビア大でジャーナリズムの修士課程修了後、AFP通信や経済新聞『SVDビジネス』で勤務。16年ストックホルムの日刊経済紙『ダーゲンス・インダストリ』でアメリカのスポティファイ株式公開を取材。テクノロジー企業を中心に取材

Jonas Leijonhufvudヨーナス・レイヨンフーフブッド 1974年生まれ。98年より金融ジャーナリスト。00年にジェフ・ベソス、08年にスポティファイ共同創業者マルティン・ロレンツォンをインタビュー。経済新聞『SVDビジネス』、日刊紙『ダーゲンス・ニーヘーテル』、テレビ局「TV4/8」での勤務経験もあり、そこでは受賞歴のある人気番組も担当

現在2人は記者として日刊経済紙『ダーゲンス・インダストリ』と同紙デジタル版で活躍中。又、2人は同紙のポッドキャスト番組「Digitalpodden」にも出演 

 

訳者 池上明子 スウェーデン語・英語翻訳。阪大文卒

 

発行日           2020.6.17. 第1刷発行

発行所           ダイヤモンド社

 

 

軽井沢図書館の新刊本棚で見つけて読む

 

 

2010年末。スポティファイのアメリカ進出は、大幅に遅れていた。ダニエル・エクはその理由が分からず首を傾げていた。

「そういえば、彼から電話があったけど、荒い息遣いをしていただけだったな」と彼は同僚に言った。

「誰から?

「スティーブ・ジョブズ」

同僚は耳を疑った

「でも、何も話さなかったんだろ? どうして、彼だとわかる?

「僕にはわかったんだよ」

 

 

2006   はやく、無料で          スポティファイ設立

                                        スウェーデンでサービス開始

                                        ユーザー100万人

                                        パイレート・ベイ訴訟

2010   社会化                     企業評価額 230億円

                                        アメリカでサービス開始

                                        iTunes雲の上に行く

                                        プロジェクト「デイジー」開始

2013   成長                        スマホアプリ無料化

                                        スティーブ・ジョブズ死亡

                                        チューニゴー社を買収

                                        ユーザー 20百万人

2014   ラジオ                     企業評価額 7700億円

                                        スポティファイTV失敗

                                        アップル、ビーツ社買収

                                        アップルミュージック開始

2016   ウォール街                サウンドクラウド社買収失敗

                                        ユーザー 1億人

                                        「ディスカバー・ウィークリー」開始

                                        新オフィス:4WTC

2019   流行を作り出す          ポッドキャスト企業ギムレットとアンカーを買収

                                        企業評価額 28000億円

                                        スポティファイ上場

                                        ユーザー 2700万人

 

 

はじめに

たった10年で、レコード会社を違法コピーの嵐から救出し、音楽業界の未来図を描き、アップルに事業モデルの変更を迫る存在となった

iTunesは、楽曲のCDセット販売の常識を覆し、バラ売りできるようにしたが、スポティファイはストリーミングにより先行、ユーザーの好みを予測する新技術を確立

スポティファイのユーザーがよく聴いているのは同社が作成したプレイリスト。ユーザーが好みの曲を選んでいくと、同社のアルゴリズムと「ヒューマン・エディター」が瞬時に世界で唯一の音楽体験を提供する

ヨーロッパ最大のIT企業スポティファイは2006年ストックホルムの南、ローグスベードで設立、19年音楽ストリーミング分野で世界最大の企業に。利用者は79か国、23000万人。ウォールストリートでは3兆円の値が付くが、13年間利益は出ていない

本書は非公式ノンフィクション。知られざるヒーローの足跡をたどる。同社を目のあk多岐にしたレコード会社から強敵スティーブ・ジョブズまでが、なぜ最終的に無料で音楽聴き放題という同社のビジョンにタダ乗りしたのかを追う

創業者にインタビューしたことはない。経済ジャーナリストとして本書執筆中に何度か会った。18年同社が経済関係プレスにオフィスを開放した際、ダニエルにここまで大きくなった最大の要因は何かを質問

要因は2つ。1つはまだ他の誰もしていない無料サービスに賭けたこと。もう1つはスウェーデンで起業し、ヨーロッパで展開したうえで、段階を踏んで海外組織を成長させていったこと

本書は、スウェーデンの1人の若者が、世界最大の音楽ストリーミングサービスを構築した感動のノンフィクション。確固たる信念,類まれな意志、壮大な夢を持つ1人の人間が、世界最大のIT企業に挑んだ波乱万丈のストーリー

 

プロローグ ジョブズからの無言電話

06年の創業以来、スポティファイに暗い影を落としているのはアップルで、すでにネットショップiTunesMP3形式で操作するiPodなど、デジタル音楽販売で世界最大のプラットフォームを築き上げていた

ジョブズから電話のあった10年末、ジョブズはiPhoneでアンドロイドを圧倒、盤石な音楽サービスを武器にグーグルのモバイルシステムとの「聖なる戦い」を展開。バラ売りされた曲をファイルとしてダウンロードするというのが彼の手法で、楽曲にロックをかけてアンドロイド端末では聴けないようにしていた。その対極にいたのがダニエルで、それが功を奏した。スポティファイは、どのプラットフォームでも音楽を一瞬でストリーミングでき、更に広告を我慢すれば無料。ジョブズはこのモデルが優れたものであると見抜いていた

ダニエルにとって、アメリカ市場は重要。何年も悪戦苦闘したのち、進出の道筋をつけた。ザッカーバーグとは個人的な友情関係を築いたが、スティーブ・ジョブズとは一度も顔を合わせたことがない

 

第1章     秘密のアイデア

2005年、22歳のダニエルは秘密の起業アイデアを抱えながら、アバターを中心にした少女向けゲームサイトの企業の技術部門のコンサルティングを引き受ける

ダニエルのアイデアに融資を申し出たのがマルティン・ロレンツォン、36歳の起業家。アイディアとは、どの広告をどこに入れるのかを適切に判断するシステムで、マルティンの立ち上げたアフィリエイト・マーケティング会社に売り込み、そこで2人は意気投合

ダニエルのアイデアは、中央サーバーを経由せずに利用者のハードディスクに直接ファイルが配信されるP2Pテクノロジーとコンテンツを利用したビジネス

ダニエルは、少女向けの最大のインターネットゲームアプリの会社スタードールで働き、最先端を行くスタートアップ企業に押し上げたが、プログラマーだったアンドレアス・イーンを連れて独立

マルティンは起業した会社を上場させて11億円を手にし、その1割をダニエルのアイデアに投資。聞き間違いから会社名Spotifyと入力すると該当がなかったところから、世界中でこのドメインを買い占める ⇒ 後にSpot(何かを見つける場所)と「特定する」という意味の「アイデンティファイ」という単語を組み合わせた造語だと説明している

P2Pを用いて開発されたBitTorrentは、アメリカのブラム・コーエンが開発した技術で、ファイルを大量の小さなビットに分割して利用者の端末に送るという発想に基づくもの。これにより時間の短縮が可能になり、メモリをネットワーク上のハードディスク間で振り分けることが可能となる。ビットトレントを広めたのはスウェーデンのインデックスサイト「パイレート・ベイThe Pirate Pay

この技術を使って、ビデオや音楽その他メディアで広告収入を財源としたストリーミングサービスの構築が可能なはずだと考えた

グラフィックプロフィール(ロゴや製品のデザインを解説することで会社を紹介するプレゼンテーションの1手法)をまとめグーグルに自社製品を紹介

同時にダニエルは自分の会社も売却して1億円余りの資金を手にする

ダニエルのアイディアを基に、2人は06年会社スポティファイを設立、それぞれがキプロスに設立した会社を通して共同で所有

 

第2章     リーダル通りのエンジニアが実現したとてつもない技術

ビットとレントをベースにした音楽や動画などの合法的な配信用プラットフォームを構築、違法コピー撲滅が目的なので基本無料のサービスで、製品開発後に販売ライセンス取得を目指す

レコード会社が大衆にデジタル配信すること、特にP2P技術を使用することに対して強い抵抗があったのに対し、スポティファイの強味は、①ロレンツォンの莫大な資産、②ダニエルの製品に対する明確なビジョン、③スウェーデンの優秀なエンジニアたちを惹きつけるイーンの吸引力

先ずスカウトしたのが、ビットトレント技術のスウェーデン随一の技術者ルードヴィッグ・ストリーゲーウス(ルッデ)25歳で、幼少で脊髄性筋萎縮症になるが、10代でハッカーとなり、コンピュータゲーム製作で人気の主力言語Scummを解析してソースコードをオープンにして自分の作ったクローンを無料公開する。05年ファイル配信プログラムμTorrent(マイクロトレント)を独力で構築。パーレート・ペイのようなサイトを通じてファイルを短時間でダウンロードするために使用される

ルッデの合流後、スポティファイはμTorrentをビットトレント()に売却し資金調達

高速での音楽再生が至上命題。音楽再生はトレント技術で構築。リスナーはネットワーク上で近くにある端末から、1曲づつそれぞれの小さなビットを集める手助けをする。それはスポティファイのブロードバンドコストの1部をリスナーに肩代わりさせることになる。パイレート・ベイと異なるのは、スポティファイが広告収入をアーティストやレコード会社と分け合うことで、ユーザーに利用料支払いは発生しない

音楽を体系化 ⇒ 図書館で本をデータベース化する作業と似ている。音楽データを買い集めて、音楽百科事典の様相を呈すと同時に、予測変換のアルゴリズムを開発し、リスナーの好みを定型化

聴きたいと思った曲を瞬時にヒットさせ、遅れ無しで再生をスタート。その間0.2

ユーザーが最初にどの曲を選ぶかは予測困難だが、若しその曲がプレイリストに上がっていれば、残りの曲は候補曲として先に読み込んでおき、端末のキャッシュメモリに待機させておくことが可能

予測不可能な選曲に対して、自社の高速サーバーから即時にストリーミングすることを可能にした。最初に曲を聴こうとすると、P2Pモデルに変換され(?)、ネット上の他のリスナー経由でダウンロードされる。もう1つのトリックは、ユーザーがお気に入りの曲をダウンロードし、端末のメモリに記憶させることで、これもまた遅れ対策の保険となる

開発したプロトコルは一種のハイブリッド方式。トレント・ネットワークを強化しているのは中央のサーバーだけでなく、スマートな工夫の積み重ね

07年、初回デモ実施。最高の音楽配信システムだったが、音楽配信のために合法的な権利を得る動きは未だなし ⇒ レコード業界は音楽配信サービスに対し嫌悪感を募らせる

スウェーデンでは、自宅用にパソコンを購入すると政府の補助金が出たことや、ブロードバンド網の整備が進んでいたことも、音楽配信が普及した背景にある

 

第3章     労働者階級の街に生まれた野心家

1983年に生まれ、シングルマザーに育てられたダニエルは、5歳からパソコンをいじり始め、9歳でプログラミングを始めていた。99年中卒と同時にIT専門学校へ

1年の時設立されたナップスターがダニエルの人生を劇的に変える

16歳で、1年前に設立されたばかりのグーグルにジョブ・アプリケーションを送るが、卒業後に再度申し込めと言われ、自らサーチ・エンジンを作ろうと決意、数年後ヤフーに吸収される

2年生ではほぼフルタイムで働いていた

 

第4章     スポティファイ前史――ドットコムバブル崩壊から、ジョブズが音楽業界を牛耳るまで

69年生まれのロレンツォンは、99年既にストックホルムIT業界のスター的存在

03年にサービスを開始したスカイプの大成功はあるが、IT業界は浮沈を繰り返す

ベンチャー・キャピタル会社に勤務し、eコマースのプラットフォーム事業に没頭。その後ネット広告の世界を切り開く

ナップスターからスポティファイ創設前の7年間、音楽業界には地殻変動が起きていて、レコード業界は音楽配信サービスを追い払うことに躍起

デジタルミュージック界でタクトを振っていたのはアップルのジョブズで、01iTunesを立ち上げ、自ら「リップして(パソコンに取り込み)」、自分のプレイリストを作成するが、違法コピーの拡散に対しては対応せず

同年、ジョブズがポータブルMP3プレイヤーを発売すると、ユーザーはディスクすら必要なくなり、iTunesストアでどんな楽曲でも入手して、好きなプレイリストを作成、iPodで持ち運び可能に。事実上レコード会社を音楽業界から締め出す結果に

ユニバーサル・ミュージックとソニー・ミュージック・エンターテインメントはストリーミングサイト「プレス・プレイ」を運営し、EMIBMGAOLタイムワーナーは「ミュージックネット」を後援していたので、アップルと対抗路線をとる

0203年にかけてジョブズは音楽業界との秘密契約締結に動き、ワーナーミュージックを皮切りに5大レーベルの全てと合意。199セントですべての楽曲をばら売りし、売り上げの70%を音楽業界に支払う。レコード会社としては、利用者がアルバムをばらしてお気に入りの曲だけを選ぶというのは避けたかったことと、自らの取り分がCD売上より利幅が大きかったことから妥協

音楽配信については、ナップスターが先鞭を付け、01年には姿を消したが、インターネットで音楽配信が可能なことを教えてくれた。次いでサブスクリプション方式が始まるが、1曲だけのダウンロードは出来なかった。そこにジョブズのiTunesストアが登場。1曲単位で購入し、コピー回数の制限もつけることで違法コピーを防ごうとした

 

第5章     違法コピーサイトよりもいい製品が作れたら

スポティファイは立ち上げ後の2年間、プレイヤー構築に注力。レコード会社の状況がますます悪化するなか、ダニエルはメジャー会社からの販売ライセンス取得に動く。アップルは創業以来20億曲を売り上げたが、音楽業界全体では年10億ドルの減少が続き、CD売り上げの落ち込みをカバーするに至らず。その上違法コピーの撲滅は終わりが見えない

ダニエルの方針は、違法コピーサイトよりも良いものを作ることで、スポティファイの可能性にいち早く気付いたのがニューヨーク出身の音楽業界の弁護士フレッド・デイヴィス

フレッドの父は有名な音楽プロデューサーでコロンビアレコードの社長も務めた人

フレッドの紹介でユニバーサルミュージックと面談

ネット配信の業務が広告ベースでペイする道筋がつき始めていた時期、06年ワーナーミュージックは新しくスタートしたYouTubeとの契約にサインして、広告収入の一部を支払うことを条件にミュージックビデオ視聴ライセンスを与えた。その数週間後、グーグルがYouTube17億ドルで買収

ダニエルの殺し文句は、インターネットの世界は無視で見ないということと、音楽配信者を訴えても業界で勝ち残ることは出来ないという2

インターネット業界の大物シャキル・カーンは、麻薬王の運転手をしていた元犯罪者だったが、見事に更正してグーグルの検索システムに穴があることを発見、その穴を利用して個人情報を集め、金融会社に売り渡して巨利を得ていた。自ら設立した会社「ライトステート」を立ち上げ、ダニエルに売り込み、売却代金をスポティファイへの投資に充てた

スウェーデン系の元工科大学生2人が07年「サウンドクラウド」社を立ち上げ、ミュージシャンがネット上で自分の曲を披露できる場所を提供していたが、ダニエルは興味をもって接触

07年、イーンがスポティファイとして初めて公式の場で音楽配信サービスについて語る。全楽曲を1カ所に集め、クライアントは僅か700kbで全楽曲にアクセス可能というもの

 

第6章     富裕層マネーが流れ込む

07年のIT起業カンファレンスで資金調達のために売り込むが、プレイヤーのデモがなかったために失敗。まだベータ版のみ、しかもデスクトップ上だけの存在でしかなかった

リーマンショックの1年前でITバブルの興奮の中ではあったが、販売ライセンスも取得していない音楽サービスの価値を認める投資家は殆どいなかった

手元資金が逼迫するなか、漸く大手レコード会社4社中2社との同意を取り付け、08年ノースゾーン社が9億円投資して第3番目の株主となる(最初の株式公開で、企業価値は63億円)。数週間後にリーマン倒産

シャキル・カーンは、携帯電話の販売をしたり、ネット上でバイアグラのジェネリックを販売したりしていたが、08年初頭、大株主の1人だったBuy.atAOLに買収されて大金持ちになり、ダニエルに接近、スポティファイに資産の1/2を投資、ダニエルの「目と耳」になる。スポティファイがナップスターの創設者ショーン・パーカーの目に留まったのもシャキルを通じてだった

 

第7章     すべての音楽を無料で――爆発する人気とボブ・ディランのボイコット

08年スポティファイと大手レコード会社とのライセンス販売条件決定。売上の55%が販売権を持つレコード会社へ、15%が音楽著作権を管理する音楽出版社へ、残る30%がスポティファイの取り分。加えてストリーミング1回につき最低保証と、一部前払いの要求もあって、利用者が予想を下回った初年度は、売上より支払いのほうが多かった

0810月サービス開始 ⇒ ある通信事業者の顧客向けの限定サービスで、1カ月99クローナ(1100)の定額。記者会見では無料サービスが原則だと宣言、スウェーデンを皮切りに翌年はイギリスでもサービス開始、レコード会社の大半が加わり、フィンランド、ノルウェー、フランス、スペインでもサービスを開始。地元日刊紙には、「スウェーデン人、アップルに悪夢を見せる」との見出しが躍った

09年イギリスで開始したサービスの売込みは、アーティストを新しい市場にデビューさせるための「ツール」というもので、世界中どこでも音楽を無料で聴けるような場を用意して、そこでこれはと思う音楽をピックアップすればいいという

09年、海賊版との法廷闘争は、違法コピーを放置していたパイレート・ベイの被告人は敗訴し、最高裁でも敗訴。09年欧州議会の選挙では、多くの人が海賊党に投票、自分たちの不満を表明したが、14年海賊党が欧州議会の議席を失うとこの問題はほぼ忘れ去られた

ダニエルの次のステップ派モバイルアプリ ⇒ ノキアやエリクソンなどのライバルはすでにモバイルサイトでストリーミングサービスを提供していたが、ダニエルの目標はアップル。ネット環境のない所でも再生できるようにするためにはレコード会社から「オフラインモード」という販売ライセンスが必要

09年、iPhoneでスポティファイのアプリが使えるようにし、プレイリストをダウンロードして置けばオフラインでも聴くことが出来るようにして、アップストアでのアプリの販売許可を申請

ナップスターのショーン・パーカーは、24歳でフェイスブックの初代CEOに就任、後にコカイン所持の疑いでポストを去るが、この頃の彼の関心事は専らスポティファイ

同年、金融恐慌の最中に投資家3社から2億クローナ以上の融資を受け、資本金は19億クローナ(220億円)になり、利用者は毎日1万人を超え、累計で200万人に達する

レコード会社のみならずアーティストもストリーミングサービスには懐疑的で、ボブ・ディランの伝説的なマネージャーでコロンビアレコードの「打ち出の小槌」と言われたのジェフ・ローゼンが、スポティファイからの支払いの何%がボブ・ディランに入っているかをチェック、余りの少なさにすべての楽曲を引き上げる

違法コピーの存在が、アーティストたちの不満を募らせ、スポティファイでの有料会員限定配信にするよう要求するアーティストも現れたが、ダニエルは有料会員も無料会員も同じようにミュージックアーカイブに参加できるとして譲らず

ボブ・ディラン騒動は1年ほど続き、アーティスト間では同調者が出たが利用者のストリーミングは減らなかったし、アーティストの多くはレコード会社が長い目で見ればスポティファイのビジネスモデルを支持すべきだと説得して呼び戻した

ボブ・ディランも12年には戻ってきたが、アーティストの権利については未解決のままで、結局9年後の上場を前に漸く新しい展開を見せる

098月、スポティファイのアプリがアップストアで販売開始。この先1年、アップルのひっきりなしのガイドライン変更にあって、アップストアでの度重なるアプリ更新作業に苦戦を強いられる

 

第8章     フェイスブック経由でアメリカ進出

規模の拡大が事業成功の最大の課題。アメリカでの成功がキー

ジョブズは、ヨーロッパ諸国のアップストアでスポティファイが参入することを認めたが、アメリカでの販売ライセンス取得には、無料配信を主張する限り反対

099月、ダニエルトマルティンはニューヨークでショーン・パーカーとペイパル創設者の1人ピーター・ティールと面談、2人はスポティファイへの投資に同意。ティールのファウンダーズ・ファンドが90百万クローナ融資、パーカーはスポティファイの取締役会に参加し、同社のアメリカ特派員となる

進出に立ちはだかったのはかつてナップスターを潰したレコード会社

ダニエルは、その前に国内での足場固めを行うため、国内最大手の通信事業者テリアと2年の事業提携契約を締結、携帯電話での定額サービスを開始。若干高額な月額使用料を払うと広告なしで使用可能。テリアは大幅な割引を受けてはいたが、この定額サービスのために50百万クローナを支払い、スポティファイの最初の大口顧客となる。同様の提携をヨーロッパの他の国でも展開

商業ベースでの拡大が始まると、マーケティング部門が会社の舵を取る事が多くなり、創設当初からのエンジニアたちの不満が昂じて、イーン等のエンジニアが退職

103月、テキサスでの音楽とテクノロジーの祭典SxSWのキーノート・スピーカーとして招かれたダニエルは、ユーザーが他人と一緒にプレイリストを作成できる機能を示しただけで、アメリカ進出についてはレコード会社との交渉に全く進展が見られず、何も期待されたことを公表できず。これを機にソーシャル・ネットワークに急接近

iTunesの側も態度を軟化させ始め、ストリーミングサービス「ララ」を認可。認可に要した費用は80百万ドルともいわれ、本格的なストリーミングサービス認可の最初のステップ

成長とともに資金需要も増し、時価総額10億ドルが目標となる

1010月、マイクロソフトのCEOスティーブ・バルマーと事業提携に合意、スポティファイの音楽サービスがウィンドウズフォンに搭載される

バルマーは10億ドルでの売却を打診したが、ダニエルは既存のソフトウェアに埋もれるのをよしとせず。バルマーは、フェイスブックへの投資には成功したものの、IT業界の変化のスピードにはついてゆけず、グーグルのサーチエンジンの重要性を読み誤り、07iPhone発売時にもその可能性を見通せず、スカイプを買収した時は同社の発展を妨げたと非難されていた

代わりにダニエルが接近したのはロシア人ベンチャー・キャピタリストのユーリ・ミルナーで、既にフェイスブックの企業価値を100億ドルにまで引き上げていた。ミルナーのファンド会社はプーチンを崇拝している大株主や、中国のテンセントも株主だったため、マルティンはそこからの投資を嫌ったが背に腹は代えられず。但し、投資の条件として、14年までにIPOを議題に挙げること、ヨーロッパ市場向け音楽ライセンスの更新、フェイスブックとの事業提携を通じた事業拡大、レコード会社にアメリカ進出を認めさせることをダニエルに要求

 

第9章     スティーブ・ジョブズ、いよいよ立ちはだかる

ダニエルは EMIを皮切りに大手レコード会社の説得に動き出すが、反応は厳しい

デジタル配信は全世界で収入の30%にまで成長していたが、CD売上は毎月減少、最盛期99年の1/2位まで落ち込む。ソニーのトップもアップルの独占に風穴を開けるためにスポティファイの参入に前向きだったが、ジョブズの、「なぜタダでくれてやろうとするのか分からん」とのコメントは重く、スポティファイの無料サービスがどうやってユーザーあたり収益に反映するのかがカギ

ヨーロッパのライセンス更新には成功していたが、「無料サービス」の使用制限を余儀なくされ、1曲につき再生は5時間まで、1カ月20時間限度となりユーザーにとって大打撃であり、よけいアメリカ市場の早期参入が必要となる

111月、ソニー・ミュージックとの契約締結がブレイクスルーになるが、代償も大きく、向こう4年間大幅な割引価格でスポティファイ株2.5%を取得可能としたため、15年には76百万クローナで同社株を取得、数カ月後20億クローナに跳ね上がった

スポティファイはソニーのカタログをストリーミングする権利を取得するために3年間42.5百万ドルを前払い。総収入の70%および広告収入の15%をレコード会社や音楽出版社に支払う。無料ユーザーの利用分についてはストリーミング1回あたり0.2セント最低支払額が発生する

一方、ヨーロッパでは無料バージョンの制限が始まり、アクティブユーザーが大幅に減少

ユニバーサルとの契約もサインするだけまで来ていたが、なぜか突然沈黙。背景には長年親しかったアップルのジョブズからの牽制があり、アップルによるユニバーサルの買収迄ちらつかせていた

116月、病気が進行中のジョブズは、アップルの新製品iCloudを発表。iTunesで購入した曲の全てが、他のアップルの全てのデバイスでアクセスできるようになるというが、ストリーミングの真似事に過ぎなかった。演説の4日後、スポティファイとユニバーサルが契約締結。多額の前払い金と分割された株を受け取る

最後の関門がワーナーミュージックで、ヨーロッパ以上に無料サービスへの制限を要求していたが、最後はスポティファイ側の条件で押し切る

ヨーロッパとアメリカでのライセンスが揃い、無事投資家から80百万ドルが振込まれる

7がつ米国進出を公表。『ニューヨーク・タイムズ』には、「音楽を1曲単位ではなく、膨大な曲を有するカタログ単位で」との見出しが躍る。広告フリーとパソコンでの使用制限なくするためには月5ドル、2倍の月額使用料を払うと楽曲をオフラインで保存して携帯電話で聴くことも可能に

ブリトニー・スピアーズも、「エキサイティングなスポティファイがついに明日、米国上陸!」とツイート

アメリカでは、音楽ストリーミングサービスは既に存在したが、何れも有料会員向け。スポティファイは有料会員160万、無料ユーザー800

 

第10章 ザッカーバーグとの駆け引きと、密かに生まれた最大のライバル

ザッカーバーグは、「音楽を友人とシェアしたいと本気で考えている」という

スポティファイのプロダクトマネジャーは、「友達がどんな音楽を演奏するか関心を持つ人はそんなに多くない。むしろ、趣味趣向の同じ人が何を聴いているのかに関心を持つものだ」と言い、両社の提携が始まる

早い時期からザッカーバーグは音楽配信に関心を持ち、ファイル共有サービス「ワイヤホグWirehog」を運営し、写真やドキュメントとともにMP3ファイルを送受信していたが、06年完全にクローズ。当時会長だったショーン・パーカーと音楽業界との間の軋轢が原因

11年、ダニエルとザッカーバーグは友人となり、この頃ザッカーバーグが作成した「オープングラフ」で外部企業によるフェイスブックのプラットフォームの活用が可能になったことから、ソーシャルネットワークが個人以外にも広がる

あるアーティストと曲にタグをつけると、同じネットワークにいる人々がどの音楽を聴いているのか一目瞭然となり、リンクをクリックすると、スポティファイのアカウント登録画面に移行し、パソコンにアプリをインストールすればすぐに音楽を聴くことが出来る

ザッカーバーグは、スポティファイに登録する時、フェイスブックのアカウントを通すことを条件に出し、スウェーデンではインターネット人口の半分ほどしかフェイスブックに登録していないので、新規ユーザーを締め出しかねないリスクがあったが、ダニエルは妥協する

経営陣の1人になったショーン・パーカーは、ストックホルムに引っ越してきてフェイスブックプロジェクトを見守ることになったが、余計な口も出し始める、その1つが音楽ファイルをダウンロードしてiPodと同期できるショップの開設で、スポティファイの基本方針に反するものだが強行し、結局ユーザーが使用しない機能のまま終わる。やがてパーカーのスポティファイへの過剰な忠誠心をザッカーバーグが問題視する

119月、ザッカーバーグはログインしたユーザーが15億に達したと告げ、同時にネットフリックス、フール―、スポティファイとの事業提携を発表。フェイスブックに音楽機能が追加され、スポティファイが音楽情報の提供者となる

翌年ザッカーバーグはインスタグラムを10億ドルで、14年にはワッツアップを160億ドルで買収

他人のレコードコレクションをスクロールできるようになったが、フェイスブックはスポティファイ以外にも15種類の音楽アプリを一堂に集結させている

スポティファイもフェイスブックのお陰で、米国での知名度が急上昇、有料会員は100万から250万に急増。企業価値も1年で3倍に

ユニバーサルのCEOジミー・アイオヴィンは、ビーツ・エレクトロニクスでのヘッドフォンの大成功をバックに、短期間でスポティファイの強豪相手を作ろうとストックホルムに殴り込みをかけるが、ジョブズの急逝で立ち消え

 

第11章 規模を追い求めて――ダニエルの本音と結婚

スポティファイにとっては、爆発的な成長だけが同社の生き残りを保証するとわかっていたので、巨大IT企業による競合事業を注視 ⇒ アップルはiTunesをクラウドに移行、アマゾンは自社のミュージックショップ、アマゾン・クラウド・プレイヤーにサービスを追加、グーグルも自社のミュージックストアで新規事業を計画中

提携から間もなく、ユーザーは自分が選択した音楽が突然ソーシャル・ネットワーク上にシェアされることに驚き、批判が殺到、スポティファイはプライベートモードで選択曲を他人に知られないようにできるよう仕様を変更

ダニエルは、フェイスブックを通じてユーザーの拡散を期待したが、十分なスピードで進んではいなかったため、1億人の目標を掲げ発破をかける

2日後保持比率」 ⇒ 2日後もこのサイトにアクセスするユーザ―は熱心な支持者になる確率が高い。広くフェイスブックの利用者データにアクセスしたが、後に批判を受ける

新規契約を求めて海外展開を企図、必ずしもフェイスブック経由が有効ではないため、フェイスブックのアカウント開設条件を全市場から撤廃。オーストリア・ベルギー・スイス・ドイツでもサービス開始。オセアニアにも広げ、12年半ばには12か国で展開

ジャーナリストでダニエルにインタビューを申し込んできたスウェーデンの上流階級出身の2歳上の女性に一目惚れ、すぐに結婚して女児を作る

マルティンの方は、次第にスポティファイ以外の仕事もするようになり、テリアの取締役会に加わるが、就任と同時に人生波乱含みに。最初がスウェーデンの課税逃れ疑惑

 

第12章 幻のプロジェクト「スポティファイTV

ダニエルは「マグニートー」という名の社内ベンチャーを立ち上げ ⇒ 新たな動画のストリーミングサイトで、狙いはレコード会社への依存度の引き下げ

スポティファイのデジタルテレビ事業は、ライブ放送の番組表と視聴者が自分で番組を選択できる「オンデマンド」の両方の提供を狙う。テレビチャンネルの「ザッピング」

「スポティファイTV」と名付けられた新サービスは、スウェーデンの標準的なテレビ局から約30チャンネルをストリーミングできる。オープンソースのソフトウェア「TVヘッドエンド」がテレビチャンネルをコード化し、それをストリーミング動画に変換してiPadに送る。まだライセンス契約前なので違法コピーであり、スウェーデン・米国双方でテレビ会社との交渉を開始

同時に、アップルTVのようなハードウェアの開発にも着手したが、コストの割に差別化が出せず、結局撤退に終わる

 

第13章 アップルとビーツ、ライバル2社が手を組んだ

パソコンを利用しないユーザーのためにウェブ・ラジオ機能を刷新したサービスが必要

119月開発に着手。アメリカ市場の競合相手は36百万のユーザーを擁する「パンドラ」で、リスナーが好きな曲を入れると、似たような音楽を選び出す技術があった

最初に作成したソフトは、スポティファイのユーザーが作ったプレイリストのタイトルと曲選択の関連性を分析するコードで、関連付ける音楽を見つけていく ⇒ このソフトがスポティファイのラジオ機能の土台となり、米国で特許を取得

年末には新機能を「スポティファイ・ラジオ」と名付けて発表。ユーザーが曲を選ぶと、似た雰囲気の音楽を次から次へと選定できるようになった。「パンドラ」の株価は5%下落し、ウェブ・ラジオにおけるパンドラ支配の終わりの始まりとなる

そのころ、ジミー・アイオヴィンは、ビーツ・グループによる新しいストリーミング会社を設立。狙ったのは「ザ・センテンス」という機能で、リスナーがどんな気分なのかをプレイヤーが理解して、その場に相応しい音楽を再生するというもの。シスコのストリーミングサービス企業MOG14百万ドルで買収したが、ジミーが狙っていたのは、ビーツ社の売却で、相手は音楽ストリーミングサービス参入を狙っているネットフリックスやグーグル、マイクロソフトだが、本命はアップル

ダニエルは、サードパーティ製アプリとの事業提携を模索 ⇒ 主要な音楽雑誌は、スポティファイのレビューや人気のリストを作成していたし、音楽レーベルが自社の音楽でプレイリストを作成するアプリを開発したり、コンサートの日付から、音楽の好みをベースにした出会い系サイトまで、あらゆるサードパーティに提供していた。サードパーティの1社チューニゴー社を60百万クローナで買収、スポティファイが20百万曲を分類するために貢献

グーグルから、YouTubeとスポティファイを一緒にしないかとの誘いもあり、ダニエルも興味を示したが、30億ドルの提示額に不満

新たに6%の自社株を250百万ドルでテクノロジー・クロスオーバー・ベンチャーズに売却、元ネットフリックスCFOのバリー・マッカーシーを取締役に迎える

141月、ビーツ・ミュージックがサービスのデモに成功したが、余りの過労にCTOが突然辞職、スポティファイに避難してくる

143月、ダイエルは更なる事業拡大を狙ってレコメンデーションの自動化を構想、MITから始まったスタートアップのエコー・ネストを4億クローナで買収。数十年分の録音された音楽を分析し、小ジャンルに分類していたが、活用方法が見つからないまま無駄な投資に終わる

145月、アップルがビーツを30億ドルで買収。ストリーミングサービス利用者はせいぜい10万人にも拘らず、アップル史上最高額での買収で、ヘッドフォンを入れても驚きの価格。ジミー・アイオヴィンの持つ音楽業界での知名度獲得が狙いだという

 

第14章 スポティファイ史上最大の危機

12年頃からモバイル革命が始まり、スマホ操作だけの画期的なサービスが生まれ、モバイル戦略を欠くIT企業は市場から消えていった。スポティファイもモバイル革命では負け組

フェイスブックも、モバイル広告で十分な利益を得られなかったために株価が後退

スポティファイでも、デスクトップの無料サービスが売り物で、無料期間が終了しても継続して有料会員になり、モバイルでも音楽にアクセスするようになるが、モバイルの48時間限定サービスが時間が短すぎてネックに

レコード会社は有料のモバイルサービスで年間数十億クローナを稼いでいたので、スポティファイが無料期間を延長しようと言っても簡単には乗ってこない

夏場にはデスクトップからモバイルに移行するのは自明だったが、13年秋はデスクトップへのリターンが激減、大多数が「モバイル・オンリー」になった

レコード会社との無料期間延長交渉に際し、スポティファイで利用者の行動分析をしたところ、無料サービスではシャッフル機能が強みだと判明したところから、無料版アプリの音楽再生はシャッフル機能のみとし、かつオフラインでは聴くことが出来ないということで妥協し、漸くレコード会社との契約延長に成功し、モバイル危機を乗り切る

 

第15章 テイラー・スウィフトがボイコットし、ジェイ・Zが競合を立ち上げる

141月、サンタモニカでのユニバーサル・ミュージックの年次リーダー会議でスポティファイの「モバイルフリー契約」がiTunesの売上を減少させるリスクがあるとして批判が続出したが、ヨーロッパでは確実に成長していることが理解され、翌年にはアメリカでもスポティファイのようなサービスが衰退傾向のあった音楽業界を再び成長軌道に乗せることになり、ダニエルもビルボード誌の有力者リストの順位を着実に上げていく

14年上半期、スポティファイは新規無料会員を1100万獲得。50か国にサービスを拡大していたが、有料会員へのシフトが進まず

1410月、テイラー・スウィフトがアルバム《1989》をリリースしたが、スポティファイの無料サービスを音楽違法コピーと似たようなものだと考えていたこのポップスターは過去の曲も含めスポティファイへの提供を拒否。ボブ・ディラン以後も何人ものアーティストがスポティファイを去っていった。曲が再生されれば、アーティストに直接支払いが発生するのみならず、レコード会社や音楽会社にも莫大な使用料が振り込まれていることがなかなか理解してもらえず、テイラーの脱退に触発され、大勢のアーティストがストリーミング経済での自分たちの立場を再交渉しようと動き出す

14年末にはジェイ・Zを代表としたグループからスポティファイに対し、10億ドルで自分たちの楽曲のライセンスを買い戻したいとの申し出

スポティファイでは、テイラーの脱退が利用者に及ぼす影響を調査した結果、数百人が脱退する程度とされ、ジェイ・Zの申し出も拒否

ジェイ・Z(本名ショーン・カーター)は、ストリーミングサービス会社の買収に動き出し、対象の企業の株価が急騰。ジェイ・Z90年代半ばにデビュー以来幅広い事業に投資して、世界3位の資産を持つヒップホップアーティストにランクイン。買収した会社「タイダル」には、ビヨンセやマドンナ、カニエ・ウェストなど錚々たるアーティストが参加

 

第16章 ビッグデータでアップルミュージックに対抗せよ

15年春、アマゾンとグーグルがストリーミングサービスを開始

最大の脅威はアップルで、iTunesに次ぐ新サービスを発表することになっており、ユーザーは8億人で、大多数が支払いのためにクレジットカードを登録済み。スポティファイの有料会員は20百万

この頃アップルには、レコード会社と契約して無料配信を妨害したとの疑いがかかり、米国司法省とスウェーデンのFTCが調査に入る

ダニエルはビーツ・ミュージックに対抗して、リスナーの気分に合わせて音楽を選択するサービスを実現させるために、より多くのユーザー情報を得ようと、ビッグデータを利用するプロジェクト「モーメンツ」をスタートさせ、そのための資金80億ドルの調達に走る

新サービスとして考えられたのが、ユーザーと同様の履歴を持つ別のユーザーをマッチングさせることや、リスナーのプレイリストで実証済みのものを一般のリスナーに提供。更には個人仕様のプレイリストを毎週自動更新するサービス「ディスカバー・ウィークリー」の構想も出来上がる

156月、アップルミュージック始動。月額10ドル。完璧なカタログ、独占配信の楽曲プレイリスト、お勧めリストを提供。新しいラジオチャンネルもサービスの1つ。心臓部は「コネクト」と呼ばれるアーティストとの交流サイトで、アップルが自社のソーシャルチャンネルを持ったことになる

テイラー・スウィフトはアップルからも《1989》を引き上げると抗議したが、公式発売直前に和解

アップルのサービスは、ノイズが多く、読み込み速度が遅いと不評

アップルの新サービスを追うように、ダニエルは「ディスカバー・ウィークリー」を自社の新プレイリストとして発表すると大好評。このプレイリストだけで10億回ストリーミングされ、アクティブユーザー数でパンドラに追いつき、その技術はスポティファイの新時代の幕開けとなる。16年夏には、毎週金曜日にリスナーの好みに合った新曲を集めるプレイリスト「リリース・レーダー」を発表。リスナーが、スポティファイは自分たちのことを理解していると感じ、同社の提供するプレイリストに満足し、スポティファイが音楽業界で世界最大の流行を作り出すアプリとなる

「ディスカバー・ウィークリー」を通じてプレイリストに偏りがみられることを発見。小規模レコード会社の音楽をレコメンドする傾向があり、大手レコード会社はスポティファイのカタログ全体の中では少数派だということが判明。「ディスカバー・ウィークリー」がマイナーアーティストにとってデビューするきっかけになり得る一方、レコード会社がタレントをスカウトする場にもなり得ることがはっきりした

8月には、新しいプライバシーポリシーを発表、ユーザーの写真やGPS位置情報、連絡先へのアクセスを求めたため、批判が巻き起こり、「邪悪な道に入るな」との警告もあって、影響力の少ない限定的なポリシーへと変更

「モーメンツ」は失敗

 

第17章 スウェーデンが生んだ「成功物語」として

創立10周年の164月、ストリーミング配信はアメリカの音楽産業最大の収入源となり、再び成長軌道に乗る。スポティファイの有料会員は30百万で、アップルミュージックのほぼ3

16年、財務部門はニューヨーク移転を決定 ⇒ 人材確保に必須のストックオプションへの課税が他国に比しスウェーデンでは高いため。前年からNYSEでの上場準備に入る

ネットフリックスを上場させた新CFOマッカーシーがスポティファイの会計制度を一新

 

第18章 ストリーミング戦争をいかに生き延びるか

16年、10億ドルの資金調達を目指すと同時に、その資金を使ってサウンドクラウドやタイダルの買収を検討。タイダルは世界のトップスターと関係が深く、サウンドクラウドは大小のミュージシャン数百万人が曲をアップロードし、大手企業に挑戦するプラットフォーム

アップルに対する批判を強化。アップルの決済システムから撤退すると同時に、アップルを痛烈に批判する上院議員と組む

ダニエルは、TV4のインタビューで、スポティファイはリスナーが音楽を聴くためにお金を払い、アーティストが音楽を発表するためにお金を支払う場になることを明言

16年、世界のトップアーティストたちが次々に豪華アルバムを出し、いずれもビルボードのトップを飾り、後にレビュアーたちが1年の総括する際話題を独占するようになったが、何れもスポティファイには無料配信がネックとなって背を向けていた。独占リリース獲得競争の観を呈し、アップルがドレイク1人の数週間の独占契約のために1億クロ-ナ以上を払った例まで出現 ⇒ ダニエルは、アーティストたちがレコード会社のようにストリーミングサービスを選ぶというシナリオに抵抗、ポップカルチャーの地位を高め、そのカタログがこれ以上分散しないようにしたいと考え、タイダル買収さえ検討

タイダルは巨額の損失を抱え、ジェイ・Zの投資額の54億ドルを提示してきたが、スポティファイにとってタイダルの共同経営者である大物アーティストとの接触は魅力だったものの、劣悪な技術と少ないユーザーに対する投資としては過大となって見送り

そのほかにもいくつもの買収を検討、最大のものはサウンドクラウド。未熟なヒップホップでラッパーが自ら書いた文章をつぶやく「ラップ」が広がって月間リスナー数175百万を擁し魅力的だったが、カタログの大部分がライセンス契約を欠き、レコード会社や出版社への賠償金の支払いにが屡々滞っていた。ツイッターもアップルも興味を示し、16年には音楽ライセンスも獲得したが、赤字体質は変わらず、スポティファイは350百万ドルを提示したが、ライセンス契約が穴だらけで、自らの上場を前にレコード会社と揉めることを懸念してオファーを撤回。その後サウンドクラウドの企業評価が地に落ちる

ダニエルは買収を断念する代わりに、アーティストが自分の楽曲を直接スポティファイにアップできるプラットフォームを自前で構築

スポティファイはアップストアで7年近くやり、その間ストアを通じた売り上げの30%をアップル税として納めてきたが、度重なるアップデートへの対応に限界を感じ、スポティファイをブロックしようとするアップルに対抗して、アップストア経由でスポティファイに月額13ドルを支払った全会員宛に、スポティファイに直接支払えば9.99ドルで全く同等のサービスが受けられると通知。アップルは手数料の30%を15%に引き下げてきたが、アップルのスポティファイ妨害は続き、スポティファイはアップルが自分たちの力を「競合他社を傷つけるための武器」として行使していると非難

 

第19章 いざウォールストリート――特殊な方法でIPOを果たす

市場状況が変化する前に配当すべきという投資家からの要求の前に、ダニエルは上場に追い込まれるが課題は山積 ⇒ 借入金が支払利息年10億にまで膨らみ収益性改善が急務

スポティファイの株取引は上場以前から大規模に行われてきており、購入希望者リストには金融界の実力者の名前が並ぶ

収益性改善の第1歩として、レコード会社とのライセンス契約で同社の取り分を引き上げを狙って交渉するが、無料配信がネック。17年のユニバーサルとの交渉では、人気アーティストの新曲配信を2週間有料会員限定にするという譲歩をしたのが成功、他のレコード会社も追随して取り分は25%にアップ。大手レコード会社がスポティファイの10%以上の株主で、IPOによって巨額の利益が得られるという立場にあったことも背景に

契約交渉を担ったのはニューヨーク在住の戦略兼コンテンツ責任者ステファン・ブロムで、大手柄を上げたが、ダニエルはLinkedInの創業者リード・ホフマンに感化されて、自社の最高幹部に対し、1つのミッションに2年の期限を設けており、幹部たちは仕事のポートフォリオの変更を迫られ、ブロムも18年にはスポティファイを去る

スポティファイの上場は、マイクロソフトやグーグルがナスダックでIPOしたのに対し、最近のツイッターやアリババ、スナップなどが直接NYSEを選択していたのを見て、利害関係のない社外取締役を増やすことで直接上場を目指す。投資銀行からの高額の支援があれば、直接公開市場とつながることは可能だと考える。レコード業界内でのプライベート売買ゆえに、新規資産も新規株の発行も不必要、株価値下がり時の買い支えをする銀行家も不要

上場目前にして、プライベート市場での評価が急上昇、グレーマーケットでの取引が過熱、企業価値は優に100億ドルを超えた(12700ドル)

17年初めにスポティファイの社員に対しストックオプションが与えられ、グレーマーケットで拾い集める投資家が出る。そのトップがヘッジファンドの「タイガー・グローバル・マネジメント」で、ダニエルが社員に売却する際の相手先として推奨したこともあり、あっという間に6%の大株主として浮上したが、議決権はダニエルに委任する取り決めがあった

テンセントが接近。WeChatのアクティブユーザー10億人を対象に、音楽のストリーミングサービスにも参入。当初テンセントはスポティファイに200億ドルを提示したが、独立企業としての上場を考えていたスポティファイは拒否、代わりに17年末事業提携と株式持ち合いが実現、ダニエルが不要と考えていたアンカー投資家を得たことになる

この提携により、15300ドル、時価総額は250億ドルと、1年で3倍に跳ね上がる

17年末、最高額の買収実現 ⇒ スウェーデンの音楽アプリ会社「サウンドトラップ」で、12年設立のアマチュア・ミュージシャン向けの作曲・録音のツール。レコード会社とライセンス契約する必要のないアーティストの原石獲得を狙って買収。総額約5億クローナ

183月、上場申請を公表

スポティファイは、ファンとミュージシャンの間にあるIT技術主導のストックルームを目指す。リスナーに最適な音楽を提供し、同時にミュージシャンが自分のファンを開拓する手助けもする。データを常時ストリーミングすることで、消費者が家で聴く曲はどれなのかがわかり、利用者の1/3が利用するスポティファイがプログラムしたプレイリストがどこでよく聴かれているのかも明らかになるので、これによりスポティファイは音楽業界の需要をコントロールすることが出来る

音楽業界を「破壊」しているとの非難に対しては、スポティファイは音楽業界の革命の一翼を担うと反論 ⇒ 自社で人気のプレイリストを通して、注意深くリスナーを大手レコード会社の楽曲から、それ以外の楽曲へとシフトさせる「消費シフト」が可能、利幅拡大へ

上場当日、NYSEの正面をスポティファイのロゴの付いた10mの垂れ幕が多い、その下の合衆国国旗3枚のうち1枚がスウェーデン国旗に変えられるべきところ、スイス国旗が挙げられてしまう。この顛末は「The Swiss Miss」と名付けられて世界中に拡散、取引所の広報が以下のジョークを披露して締めくくられた。「今朝、価格開示のプロセスにおいて、私たちの中立的な役割を歌い上げた束の間のオード(頌歌)を皆さんに楽しんでもらえたのなら幸いです」と証券取引所がツイッターに投稿

ダニエルは、根気よくテイラー・スウィフトとの和解に努め、遂に上場直前彼女の新しいビデオ《Delicate》がスポティファイ限定でリリースされることになる

公開当日、560万株の売り主に買い手がつく。企業評価額は2480億クローナ。開始値165.9ドル、終値149ドル。直接上場が1つのモデルとなる

 

第20章 次なるステップへ

18年夏、既存のプラットフォーム「スポティファイ・フォー・アーティスト」で、マネジャーや小規模レコード会社に前払金を払って、彼等の楽曲を仲介なしで直接販売するライセンスを入手、7万人のアーティストが自分の楽曲を直接スポティファイにアップし、うち1万人以上がプレイリスト「ディスカバー・ウィークリー」に初めて入ったが、大手レコード会社の怒りを買い、ワーナーからはインドでの楽曲提供を拒否され、サービス提供を断念

次いで参入をしたのがポッドキャストで、ポッドキャストの番組製作会社や10億人に対してポッドキャストを配信できるプラットフォーム企業を買収するが、巨額の赤字計上

ダニエルは、スポティファイに透明性を導入。積極的にメディアを取り込み始める

ユーザーは230百万人、うち1/2以上は無料プラン

スポティファイ上場で巨額の利益を手に入れた大手レコード会社は、利益の一部をアーティストに分配すると約束

最大の敵はアップルで、両者とも音楽アプリでは利益を上げられていない

競争相手は、ストリーミングサービス会社だけでなく、双方向のビデオと音楽アプリTikTok19年にはダウンロードが10億を超えた

 

 

 

 

Wikipedia

Spotify(スポティファイ)とは、スウェーデンの企業スポティファイ・テクノロジーによって運営されている音楽ストリーミングサービス2019現在、23,200万人(うち有料会員数1800万人)のユーザーを抱えており[2]、音楽配信サービスとしては世界最大手である。パソコン・スマートフォン・タブレット型端末・ゲーム機などの電子端末に対応している。日本では20169月にサービスが開始された[9]

スポティファイ・テクノロジーSpotify Technology SA

公開会社 NYSE SPOT

本社所在地 スウェーデン ストックホルム

設立 2006423

事業内容 音楽ストリーミング

代表者 ダニエル・エク(CEO

売上高 409000万ユーロ(2017年)

営業利益 37800万ユーロ(2017年)

純利益 124000万ユーロ(2017年)

純資産 118200万ユーロ(2017年)

総資産 31700万ユーロ(2017年)

従業員数 3000

主要株主(20183月時点) ダニエル・エク(23.8%Martin Lorentzon12.4%ソニー・ミュージック5.7%ユニバーサル・ミュージック5.7%ワーナー・ミュージック5.7%

 

l  概要[編集]

運営会社のスポティファイ・テクノロジーは2006夏にスウェーデンで創業され、200810月にサービスを開始した。背景には、当時スウェーデンの音楽業界が海賊版や違法音楽データの横行による音楽セールスの激減に悩まされていたという事情があり、その問題を解決しアーティストらに十分な利益を還元することが当初の目的であった[10]。同社は創業から1年半で、800万人を超える顧客をヨーロッパで獲得し、2011にはアメリカ進出を果たした。2018年現在、65の国と地域でサービスを展開している[ 1][11][12]

4レコードレーベルソニー・ミュージックエンタテインメントEMIワーナー・ミュージック・グループユニバーサルミュージック、および独立系のマーリン・ネットワーク英語版)、オーチャード英語版)、コスモス・ミュージック・グループ英語版)と契約を結び、合法的な音楽配信ビジネスを行なっている。経営理念として海賊版の撲滅を掲げるSpotifyは、優れたサービスの構築により、発足から5年間で海賊版の利用者を著しく減少させたとしている。

Facebookとの連携も行なっており[13]、以前まで配信にはP2P技術を利用していた[14](現在はP2Pは採用していない[15])。

2013時点では年間10億ドル(1000億円)以上の収益をあげており、そこからアーティストへのロイヤルティー印税)として5億ドル(約513億円)を支払っている[16]。これが重荷となってSpotifyは赤字が続いており、権利者への印税の減額交渉を開始するなど、収益改善に取り組んでいる[17]

20153月に、ソニーとの提携によりPlayStation Musicを世界41カ国で開始[18]し、ソニー・コンピュータエンタテインメント製のゲーム機PlayStation 3及びPlayStation 4でのサービス利用を可能にした。

20169月に、日本でのサービス開始を発表[19]。招待制を経て、同年119日から正式サービスを開始した。

20173月には、全世界での有料会員数が5,000万人を突破し[20]、同年8月には6,000万人を超えたことを発表した[21]。その後も有料会員数は年々増え続け、2019年には上記の1800万人に至っている。

20178月、マイクロソフトのゲーム機Xbox Oneでのサービスを開始した[22]。また同月、人種差別的な白人至上主義の「ヘイト・バンド」の楽曲を配信楽曲中から削除したことを発表した[23]

20182月に、ニューヨーク証券取引所へ上場申請し、同年4月に初値165.90ドルで上場した[24][25][26]

l  サービス[編集]

現在提供されているサービスには、無料のSpotify Free(以下、Free)と月額制のSpotify Premium(以下、Premium)の2種類があり[ 2][27]、いずれも5000万を超える楽曲を提供している[28]。ただし、Freeでは広告の挿入や機能制限がある。[28][29]Premiumのみで利用できる機能としては、再生する曲の自由選択や曲順の変更に加え、端末に楽曲を落としてオフラインで再生する機能や、対応するワイヤレス機器やネットワーク機器から直接ログインして再生するSpotify Connectが挙げられる[28][30]

日本での展開[編集]

2013年に日本法人が設立。設立当初の代表取締役はハネス・グレー[33]2016929日に日本でのサービスを開始した。メールアドレスを登録し、招待コードを受けた者からサービス利用可能。Freeでもはじめの30日間はPremium(月額980)を体験できる。
同年101日、玉木一郎(前・アマゾンジャパンKindle事業本部長)が社長に就任。20161110日には一般公開が開始され、招待コードなしで誰でも利用できるようになった[35]

沿革[編集]

2013 - 日本法人を設立[33]

2015329 - Music Unlimitedが終了し、PlayStation Musicへの移行発表[36]

2016

929 - 招待制によるサービス開始。

101 - 玉木一郎が代表取締役に就任。

107 - 歌詞表示機能導入[37]

1110 - 一般公開によるサービス開始。

2017

419 - 学割プランを開始[38]

512 - 利用者の好みに合わせた新曲を探す機能「Release Radar」提供開始[39]

61 - 利用者の好みに合わせた再生リストを作成する機能「Daily Mix」提供開始[40]

613 - お気に入りの音楽を自動的に選曲してくれるラジオステーション「Spotify Radio」提供開始[41]

1110 - 日本上陸1周年を記念し、Premium3か月間、月額100円で試せるキャンペーン展開[29]

2018

227 - ファミリープラン開始[42]

521 - 視聴履歴に基づいたおすすめの未視聴曲でプレイリストを自動生成する機能「Discover Weekly」提供開始[43]

2019

816 - SUMMER SONIC 2019にて「Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC」開催[44]

1023 - プレミアムプランを1カ月利用できる「Spotify Premium ギフトカード」をファミリーマートで販売開始[45]

1126 - ボーカルの音量を下げて一緒に歌える機能「シンガロング」提供開始[46]

2020

11 - 黒川剣が代表取締役に就任。

CM[編集]

20183月に、俳優の清水尋也三吉彩花が出演するTV広告が関東地区東海地区関西地区で放送された[47]

同年4月には、俳優のが出演するCM3篇が関東地区で放送された[48]

批判[]

Spotifyをはじめとした定額制音楽配信サービスは、従来のCDレコードによる音楽販売や、先行する音楽配信サービスであるiTunesビジネスモデルを脅かすサービスとして注目を集めている。一方で、これらのサービスの普及によるアーティストの収入低下が懸念されている[49]

例えば、アメリカの人気ロックバンドであるメタリカは、Spotifyに楽曲を提供してからアルバムの売上が35パーセント落ちたと主張している[50]トム・ヨークはソロ作品とアトムス・フォー・ピースの作品をSpotifyから引き上げており、「このシステムでは弱小レーベルや新人アーティストに十分な報酬が入らない」とSpotifyを批判している[51]テイラー・スウィフトも自身のアルバム『1989』を含む全楽曲をSpotifyから引き上げ、「音楽は芸術であり、価値がある。音楽は無料であるべきではない」と主張した[52](なお、20176月には再び配信を開始し[53]20184月にはSpotify限定曲も発表した[54])。キング・クリムゾンSpotifyのストリーミング・サービスへの音源提供を拒んでいた[51][ 3]

その他にも、人気でありながらSpotifyでの楽曲リリースをしていないアーティストたちは数多く存在する。

l  貢献[編集]

世界規模の利用者の広がりにより、人気の高い音楽家の作品は1曲だけで10億回を超える再生回数を記録することもある。2017年の間で14億回再生された『シェイプ・オブ・ユー』をはじめとしたエド・シーランの楽曲は合計で累計63億回の再生回数を記録し、2017Spotifyで最もよく聴かれたアーティストとなった[57]。日本でも、英米歌手の規模には及ばないにせよ、新人にもかかわらずAmPm[58]のように世界でヒットする新人が出始めている。

l  サービス対象地域[編集]

20183月現在、Spotifyのサービスを利用できる国および地域は、以下のとおり[59][60]

ヨーロッパ[編集]

 アンドラ  オーストリア  ベルギー(オランダ語)(フランス語)、  ブルガリア  キプロス  チェコ  デンマーク  エストニア  フィンランド  フランス  ギリシャ  ハンガリー  ドイツ  アイスランド  アイルランド  イタリア  ラトビア  リヒテンシュタイン  リトアニア  ルクセンブルク(フランス語)(ドイツ語)、  マルタ  モナコ  オランダ  ノルウェー  ポーランド  ポルトガル  ルーマニア  スロバキア  トルコ  スペイン  スウェーデン  スイス(フランス語)(ドイツ語)、  イギリス

アフリカ[編集]

 南アフリカ共和国

アジア・オセアニア[編集]

 オーストラリア  香港(中国語)(英語)、  インドネシア  イスラエル  マレーシア(英語)、  ニュージーランド  インド  フィリピン  シンガポール(英語)、  タイ  中華民国台湾)、  ベトナム  日本

中南米[編集]

 アルゼンチン  ボリビア  ブラジル  チリ  コロンビア  コスタリカ  ドミニカ共和国  エクアドル  エルサルバドル  グアテマラ  ホンジュラス  メキシコ  ニカラグア  パナマ  ペルー  パラグアイ  ウルグアイ

北米[編集]

 カナダ  アメリカ合衆国

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

1.    ^ かつてはロシアでもサービスが稼働していたが、20152月に起きた経済危機を理由に停止された。

2.    ^ 2011年時にアメリカで提供されていた月額性サービスでは、4.99ドルと9.99ドルの2種類の料金メニューが存在していた。

3.    ^ なおその後、拒否する妥当性が無くなったとしてストリーミングを解禁することを発表し[55]2019610日に配信が開始された[56]

出典[編集]

1.    ^ “spotify.com Site Overview”. Alexa. 201983日閲覧。

2.    a b “Spotify決算、31%増収、有料会員数は31%増の1800万人”.ITmedia (201981). 201983日閲覧。

3.    ^ https://www.marketwatch.com/story/spotify-technology-files-for-direct-listing-says-revenue-grew-39-last-year-2018-02-28

4.    ^https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1639920/000119312518063434/d494294df1.htm

5.    ^https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1639920/000119312518063434/d494294df1.htm

6.    ^https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1639920/000119312518063434/d494294df1.htm

7.    ^https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1639920/000119312518063434/d494294df1.htm

8.    ^https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1639920/000119312518063434/d494294df1.htm

9.    ^ 無料で4000万曲が聴ける「Spotify」が日本でサービス開始

10. ^ “定額制サービス成長の鍵は パーソナライゼーション”. MarkeZine (2018228). 2018526日閲覧。

11. ^ “定額制音楽配信のSpotify、ロシアでのサーヴィス開始を中止。原因は加速する経済危機。”. ミュージックマンネット. 201524日閲覧。

12. ^ “Spotifyで新生活を!お気に入りの映画音楽と共に過ごそう。”. FILMAGA (2018427). 2018526日閲覧。

13. ^ 音楽配信、聴き放題サービス続出のワケ 3/3 東洋経済オンライン 201333

14. ^ “How exactly does Spotify utilise my internet connection? (Spotify Customer Support)” (英語). 200979日閲覧。

15. ^ Spotifyの日本インフラ  

16. ^ 音楽ストリーミング「Spotify」はどうやって音楽業界に貢献しているのか? GIGAZINE 2013125

17. ^ Inside Spotify's Financials: Is There a Path to Profitability Or an IPO? Billboard 2017622

18. ^ “PlayStation Musicが世界41カ国で30日開始。日本は未定 SpotifyPSがタッグを組んだ定額制音楽配信”. Impress AV Watch. 2015615日閲覧。

19. ^ 無料で4000万曲が聴ける「Spotify」が日本でサービス開始

20. ^ “Spotifyの有料会員数が5000万人を突破”. ITmedia (201733). 2018526日閲覧。

21. ^ “Spotify」有料会員数が6000万人突破、「Apple Music」の2倍以上に”. CNET Japan (201781). 2018526日閲覧。

22. ^ Spotify makes its Xbox One debut CNN Money 201788

23. ^ Spotify Removes Hate Music as Streaming Companies Struggle to Police Their Tunes Billboard 2017816

24. ^ “Spotify Files to Go Public on the New York Stock Exchange”.The New York Times (2018228). 2018526日閲覧。

25. ^ “Spotifyが上場申請。CEOが語る夢と現実”. ギズモード・ジャパン(201835). 2018526日閲覧。

26. ^ “音楽ストリーミング配信のSpotifyが上場! 初値165.90ドル”. ギズモード・ジャパン (201844). 2018526日閲覧。

27. ^ 月契約で音楽聴き放題! アップルの前に現れた伏兵スポティファイが目指す デジタル音楽市場の創造的破壊 1/2 ダイヤモンド・オンライン 2011729

28. a b c “新製品レビュー:日本に上陸したSpotifySpotify Connect対応機で聴く”. Stereo Sound ONLINE (2017114). 2018526日閲覧。

29. a b “無料でも聴き放題の「Spotify」、プレミアムプランが月額100円になるキャンペーン”. ケータイWatch (20171110). 2018526日閲覧。

30. ^ “スマホだけじゃない! Spotifyが快適に楽しめるAV機器はコレだ”. ITmedia (2017610). 2018526日閲覧。

31. ^ TDB企業サーチ - 帝国データバンク(20161113日)

32. ^ “お住まいの国のSpotify - Spotify”. 20161113日時点のオリジナルよりアーカイブ。20161211日閲覧。

33. a b c Spotify、ついに日本でサービス開始 歌詞付き機能初導入 - ORICON STYLE20161123日)

34. ^ スポティファイジャパン株式会社のプレスリリース一覧 - PR TIMES20161123日)

35. ^ “Spotify、誰でも利用可に 日本で本格展開始まる”. ITmedia (20161110). 2018526日閲覧。

36. ^ ソニー、Music Unlimitedを終了し、日本ではまだ使えないSpotify提携の新サービスへ - ITmedia LifeStyle20161123日)

37. ^ 世界最大の音楽ストリーミングサービス「Spotify」へ同期歌詞データの提供を開始いたしました - シンクパワー(2016107日)

38. ^ Spotify Premium 学割プラン、本日より世界33カ国で提供開始 - PR TIMES2017422日)

39. ^ Spotifyが「Release Radar」を日本のユーザーに提供開始 - PR TIMES2017513日)

40. ^ Spotifyが「Daily Mix」を日本のユーザーに提供開始 - PR TIMES 201762日)

41. ^ Spotifyが「Spotify Radio」を本日より日本で提供開始 - PR TIMES 2017618日)

42. ^ Spotifyが「プレミアム ファミリープラン」をスタート - PR TIMES 201856日)

43. ^ Spotifyが「Discover Weekly」を日本のユーザーに提供開始 - PR TIMES 2018521日)

44. ^ Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC - SUMMER SONIC 2019 2019812日)

45. ^ Spotify有料プランを1カ月使えるギフトカード、ファミマで販売開始 - AV Watch 2019122日)

46. ^ Spotify、ボーカル音量を下げて一緒に歌える新機能「シンガロング」 - AV Watch 2019812日)

47. ^ “三吉彩花・清水尋也が新CM共演! サカナクション「新宝島」で描く青春”. マイナビニュース (2018323). 2018526日閲覧。

48. ^ “杏、家族は「みんな音楽好き」 愛用していたSpotifyの新CMに出演”. マイナビニュース (2018411). 2018526日閲覧。

49. ^ 音楽配信サービスの進化とアーティストの苦境 2/3 日経トレンディネット 2013214

50. ^ メタリカ、ストリーミング・サーヴィスに楽曲を提供したら、アルバム・セールスが35パーセントも減少 ro69.jp 201321

51. a b トム・ヨーク、「これでは新人アーティストが食っていけない」とSpotifyから音源を引き上げる ro69.jp 2013716

52. ^ Spotify、レーベルには20億ドル以上支払った──テイラー・スウィフトの楽曲引き上げにコメント ITmedia NEWS 20141112

53. ^ テイラー・スウィフトとSpotifyが復縁――全楽曲が主要サービスで聞けるように TechCrunch Japan 2017610

54. ^ テイラー・スウィフトの「Spotify Singles」は、「Delicate」アコースティック再録 AV Watch 201862

55. ^ キング・クリムゾンのロバート・フリップ、バンド・メンバーのミスを歓迎していると語る

56. ^ キング・クリムゾンのスタジオ&ライヴ・アルバムがSpotifyで配信スタート

57. ^ Spotify’s most-streamed artist of 2017 is: Ed SheeranSpotify News 2017127

58. ^ 覆面の日本人アーティストAmPmにインタビュー。デビューシングルが530万回再生、リスナーの90%以上が海外の理由とは? - ギズモード・ジャパン (20177)

59. ^ “Spotifyはどの国で使えますか?”. Spotify. Spotify Ltd. 2017916日閲覧。

60. ^ “Spotify、イスラエル、ルーマニア、南アフリカ、ベトナムの4ヶ国で新たにサービス開始”. musicman-net (2018313). 2018323日閲覧。

 

 

 

無料で使えるSpotify!有料版との違いは?メリット、使い方、登録方法まで徹底解説

話題の定額制音楽ストリーミングサービスの一つであるSpotifyの特徴や基本機能、プレミアムプランの紹介します。Apple Musicと並ぶ人気サービスであるその理由はどこにあるのか、どのように音楽を楽しめるのかをぜひ確認してみてください。

目次

1.    Spotifyは音楽ストリーミングサービス

2.    Spotifyの主な機能は?

3.    世界中の人が作ったプレイリストが使える

4.    車の中でも楽しめるCarPlay対応

5.    自分の好きな曲をAIが学習してプレイリストを作ってくれる

6.    カテゴリー分け(切り口)が豊富

7.    アプリ、Webブラウザ、PCアプリ、ゲーム機に対応

8.    Spotify無料プランでできること一覧

9.    無料プランと有料プレミアムプランの比較

10. Spotify無料プランと有料プレミアムプランの機能の違い

11. プレミアムプランの種類

12. 支払い方法

13. Spotifyの始め方って?

14. 無料プランの登録方法

15. プレミアムプランの種類、支払いと登録方法

16. Spotifyのプレイリストの作り方

17. Spotifyの通信量はどのくらいかかる?通信量を節約する方法は?

18. Spotifyは一曲再生あたりこのくらいかかる

19. 通信料を節約する方法

20. まとめ

 

 

1.    Spotifyは音楽ストリーミングサービス

さまざまな音楽ストリーミングサービスがありますが、よく聞くサービスのひとつに「Spotify」を挙げる人は多いのではないでしょうか。Spotifyは世界23000万人以上の音楽ファンに支持されているストリーミングサービス。5000万曲の配信曲と30億以上あるプレイリストをずっと無料で楽しめます。また、スマホやタブレット、PCのアプリ、ブラウザ、そしてPS4のようなゲーム機など、幅広い環境で楽しむことができ、アップルによる定額制ストリーミングサービスであるApple Musicと並ぶシェアを誇ります。

2.    Spotifyの主な機能は?

どのストリーミングサービスに加入するか迷った場合、「そのサービスでなにができるのか」「自分がこれだけは譲れないと思うポイントはなにか」……そういったころをあらかじめ知っておくことが、見極めるポイントとなります。ここではSpotifyの主な機能を紹介します。

l  世界中の人が作ったプレイリストが使える

SpotifyはライバルであるApple Musicと並ぶ豊富な楽曲数を誇りますが、他の定額制音楽ストリーミングサービスと比較しても、自分で好きな音楽をまとめて聴くプレイリスト機能は大きな優位を誇っています。

Spotifyでは楽曲やアルバム単位で音楽を聴くだけではなく、他のユーザーが作ったプレイリスト単位で音楽を聴くことができます。Spotify公式プレイリストから、メディアが作ったプレイリスト、他のユーザーが作ったプレイリストなどが公開されており、これらのプレイリストをきっかけにヒット曲が生まれることも珍しくありません。

もちろん、プレイリストは自分でも作ることができます。作ったプレイリストは自分だけで楽しむこともできますが、公開してSNSで広めることもできます。

l  車の中でも楽しめるCarPlay対応

アップルが提供する自動車とiPhoneの連携システムである「CarPlay」にSpotifyは対応しています。これによりCarPlay対応自動車のノブ、ボタン、タッチパッド、タッチスクリーンといったコントロール機能から音楽を楽しむことができます。

l  自分の好きな曲をAIが学習してプレイリストを作ってくれる

Spotifyの特徴がプレイリストの自動生成です。自分が再生した楽曲や評価した楽曲データを元に、おすすめ楽曲を集めたプレイリストや、気にいるであろう最新リリースを集めたプレイリストなどを提供してくれます。これによって新しいお気に入りに出会える可能性が高まります。

l  カテゴリー分け(切り口)が豊富

Spotifyはポップやヒップホップ、ロックといった音楽ジャンルのほか、ワークアウトやスリープ、チルアウトといったシーンや気分でカテゴリーが作られています。具体的にアーティストや楽曲が思い浮かばなくても、シーンや気分に合った音楽をすぐに楽しめます。

l  アプリ、Webブラウザ、PCアプリ、ゲーム機に対応

Spotifyはスマホやタブレット、PCのアプリ、ブラウザ、そしてPS4のようなゲーム機からも楽しむことができます。この幅広さはApple Musicなど他のサービスにはない特徴です。

3.    Spotify無料プランでできること一覧

Spotifyには無料プランと有料プレミアムプランがあります。まずは無料プランでできることを紹介します。

「検索」機能で曲やアーティストを探す

任意のワードで楽曲やアーティスト、アルバムなどを探すことができる。

Browse」でヒットソングやジャンル別で探す

ジャンルや気分、チャート、ニューリリースなどの切り口から、自分が聴きたい音楽を見つけることが可能。

Radio」で好みを絞り込める!

よく聴いている楽曲を軸に自分が好きそうな楽曲をレコメンドしてくれる機能で、好みを絞り込める。

My Daily Mix」であなたにオススメの曲を紹介

Spotifyがこれまでの視聴履歴から自動で作る、オススメ楽曲を集めたプレイリスト。

「リピート再生」

楽曲単位、アルバム単位でリピート再生の設定が可能。

「バックグラウンド再生」

Spotifyで音楽を再生しながら、Twitterなどの他のアプリの操作できる。

「クロスフェード」で曲間をつなげる

再生設定でクロスフェードをオンにすることで、楽曲の最後と次の楽曲の最初がスムーズに繋がる効果を得られる。

「歌詞」表示

歌詞が設定されている楽曲に関しては、再生画面で歌詞を表示できる。

My Library」で曲を管理

Spotifyからダウンロードした楽曲のほか、自分で読み込んだ音楽データを管理でき、最近再生した曲やお気に入りの曲もここから見つけることが可能。。

15個の「オンデマンドプレイリスト」

Spotifyが誇る15本の人気プレイリストから、楽曲をオンデマンドで再生できる。

ユーザー好みの曲をアプリが「学習」する

Spotify には、アプリがユーザーの好みの傾向をつかみ、その傾向にあった曲を自動的におすすめしてくれる機能が搭載。

アーティストやプレイリストを「フォロー」

アーティストやプレイリストをフォローする機能によって最新リリース情報や、プレイリストの更新情報をチェックできる。

「フィルター」でリストを絞り込む

Spotifyの検索には、キーワードの前に特定の文字を入力するとフィルタリングできる機能が用意されている。入力できるワードと効果は次の通り。
genre:ジャンルでフィルター
label:レーベルでフィルター
year:年代でフィルター

オーディオの「音質」設定

Spotifyの無料版では、次のように音質設定が可能。
自動ネットワークの接続状況に合わせて自動で音質を調整します。
低音質 24kbit/秒。
標準音質 96kbit/秒。
高音質 160kbit/秒。

スマホ内の曲をSpotifyに「インポート」

Spotifyではスマホ内の楽曲をSpotifyにインポートする機能も。これによってパソコンを経由することなくSpotifyの「My Library」で楽曲を聴くことが可能に。

Spotify ConnectBluetoothChromecastでデバイスと接続できる

Spotifyは「Spotify Connect」「Bluetooth」「Chromecast」など、さまざまな方式でオーディオ機器やテレビなどのデバイスと連携可能。

「ウィジェット」で音楽プレイヤーを表示(Android版)

SpotifyAndroidウィジェットに対応しており、Spotifyを開くことなく再生コントロールを行うことができる。

3D Touch」で履歴を表示(iPhone6s以降のiOS端末)

一部のiOS端末が対応している3D Touchを利用して、ホーム画面上のSpotifyアイコンを操作することで直近の再生履歴を表示。

4.    無料プランと有料プレミアムプランの比較

Spotifyには有料のプレミアムプランがあります。無料プランとどう違うのか、機能と料金について解説します。

l  Spotify無料プランと有料プレミアムプランの機能の違い

無料プランと有料プレミアムプランと比較すると、いくつかの機能制限があります。無料プランでは以下の点に注意しましょう。

シャッフル再生のみで、曲を自由に選べない
無料版のSpotifyではシャッフル再生しかできません。そのためアルバムを曲順に聴いたり、プレイリストを1曲目から順番に聴いたりすることはできません。ラジオのような感覚に近い利用感といえます。プレミアムプランの場合は、好きな曲を再生でき、順番通りの再生も可能です。

数曲再生すると強制的に広告が入る
無料版のSpotifyでは数曲を再生すると15秒〜30秒程度の音声広告が挿入されてしまいます。プレミアムプランの場合は、音声広告が入りません。

曲のスキップ回数に制限がある
1
時間に6回までしかスキップすることができません。プレミアムプランでは、無制限スキップが可能です。

曲をダウンロードできず、オフラインでは再生できない
曲をダウンロードできないため、圏外や機内モードでは音楽を再生することができません。プレミアムプランではオフライン再生が可能です。

無料プランでの音質は高音質(160kbps)まで
無料プランでの音質は高音質(160kbps)までですが、プレミアムプランでは最高音質(320kbps)で聴くことが可能です。

5.    Spotifyの始め方って?

スマートフォンでSpotifyを始めるときの手順を解説します。

l  無料プランの登録方法

OSに合わせてスマートフォンにアプリをダウンロードする。

インストールが終わったら、ホーム画面の「Spotify」のアイコンをタップし、アプリを起動する。「無料サインアップ」もしくは「Facebookでログイン」のどちらかを選択する。

メールアドレス、パスワード、生年月日、性別、プロフィール用の名前(ニックネーム)を入力。

自分が好きなアーティストを選ぶ。これはSpotifyでどんなアーティスト、曲調が好きかを分析される要素となる。

以上で、使うための準備は終了し、無料プランが使えるようになる。

プレミアムプランの種類、支払いと登録方法

l  プレミアムプランの種類

Spotifyには3種類のプレミアムプランが用意されています。

個人向け

月額 980

1つのアカウントで利用可能

ファミリー

月額 1480

最大 6 つのプレミアムアカウントが利用可能

学割プラン

月額 480

1つのアカウントで利用可能

Spotifyのプレミアムプランページから任意のプランを選択し、アップグレードすることでプレミアムプランに登録することができます。

l  プレミアムプランの登録方法

(1) SpotifyアプリからSpotifyプレミアムにはアップグレードできないので、PCサイトかモバイルサイトからアップグレードを行う。ヘッダーメニュー内のログインをクリックし、メールアドレスとパスワードを入力してログインし、PREMIUMにアップグレードをクリックする。

(2) 次に、支払い方法を入力。Spotifyのプレミアムプランの支払い方法は大きく2種類あり、決済方法それぞれ異なるので注意が必要。

月払い

クレジットカード、あるいはVisaMasterCardAmerican Express、およびJCB 発行のプリペイドカードをアカウントに支払い登録しての支払い

利用時払い

銀行、コンビニ、ATM で、1 ヶ月、3 ヶ月、または 6 ヶ月分のプレミアム料金を支払う方法

(3)30日間のお試しを今すぐ開始」をクリックすると、Spotifyプレミアムへのアップグレードは完了。また、Spotifyプレミアム画面には、「次の請求は20XX/XX/XXで請求額は¥980になります」と記載があるので確認を。

6.    Spotifyのプレイリストの作り方

1.My Library」から「プレイリストを作成」を選択します。

2.プレイリストに名前をつけ、プレイリストを作成します。

3.プレイリストを作成したら「曲を追加」を選択します。

4.楽曲を検索し、楽曲の右側にある「+」を選択すれば、楽曲の追加が完了します。この繰り返しでプレイリストを作りましょう。

7.    Spotifyの通信量はどのくらいかかる?通信量を節約する方法は?

ストリーミングサービスであるSpotifyは利用に通信量を消費します。いつの間にか大量に通信料がかかってしまい、月末に通信制限にならないために、以下の点に注意しましょう。

l  Spotifyは一曲再生あたりこのくらいかかる

5分程度の楽曲の場合、次のような通信量を消費されると言われています。

低音質(24kbps):約1MB
標準音質(96kbps):約4MB
高音質(160kbps):約7MB
最高音質(320kbps):約15MB

l  通信量を節約する方法

・音質を下げる

上記の通信量を目安にSpotifyの設定>「ストリーミングの音質」から音質を下げることで通信量を減らすことができます。

・ダウンロードしてから聴く

WiFi環境で利用すること、そしてWi-Fi環境下でダウンロードしてから再生することも可能です。アルバムやプレイリストの楽曲一覧から「ダウンロード」をオンにすることで楽曲のダウンロードが行えます。

8.    まとめ

以上、Spotifyの基本情報から機能の紹介をしました。Apple Musicと並ぶシェアを誇る人気サービスであるSpotifyですが、豊富な楽曲数と使いやすいインターフェース、自分専用に自動で複数作成してくれるプレイリスト機能等が充実しており、初心者にもおすすめできるストリーミングサービスとなっています。特に無料プランはApple Musicにはない特徴です。無料で全曲フル再生やバックグラウンド再生といった機能が使えるのも、他のサービスにはない魅力でしょう。

また、Spotify海賊版撲滅をスローガンにかかげ、海賊版データの違法ダウンロードよりも手軽に音楽を聴くことができるサービスを目指しスタートしました。楽曲が再生されるごとに権利者へ利益が分配されます。応援したいアーティストへ還元できる仕組みが整っていることが、多くのユーザーから支持されている理由であり、豊富な楽曲数を実現できている理由といえるでしょう。

有料のプレミアムプランも最大3ヶ月の無料期間が用意されていますので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント

このブログの人気の投稿

近代数寄者の茶会記  谷晃  2021.5.1.

新 東京いい店やれる店  ホイチョイ・プロダクションズ  2013.5.26.

自由学園物語  羽仁進  2021.5.21.