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モノから学ぶナチ・ドイツ事典  Roger Moorhouse  2019.7.22.

2019.7.22.  図説 モノから学ぶナチ・ドイツ事典 The Third Reich in 100 Objects 著者  Roger Moorhouse   1968 年英国生まれ。ロンドン大ほかで学ぶ。中欧史と現代ドイツ史、とりわけナチ党と第三帝国を専門とする歴史家。著書多く、翻訳に『ヒトラー暗殺』『戦時下のベルリン――空襲と窮乏の生活 1939 ~ 45 』 序文  Richard Overy   1947 年英国生まれ。著名な歴史家。第 2 次大戦及びナチ・ドイツ研究の権威。著書多数。『ヒトラーと第三帝国――地図で読む世界の歴史』 訳者 千葉喜久枝  1969 年生東京生まれ。都立大卒。京大大学院人間・環境学研究科博士課程中退。訳書に『死の帝国』『航海の歴史』『医療の歴史』」 発行日            2019.5.20.  第 1 版第 1 刷 発行 発行所            創元社 序 イメージは、ヒトラーとナチ党にとって極めて重要 視覚イメージの活用は、 30 年代初頭にヒトラーたちが選挙で勝利を収めた要因の 1 つ 映像表現そのものが参加と帰属を促す ナチ政権はより一層邪悪な象徴を生み出した 都合よく利用されたシンボルの中には最終的に死を運命づけられたものもあった ⇒ 中世のヨーロッパでユダヤ教徒を区別するために用いられた黄色い星が、 41 年秋には国内のユダヤ人全員に服につけるよう強制され、人種排斥の政策のために採用された 選ばれたものは、ヒトラーの来歴、権力掌握とその後のナチス政権について、様々な側面を語る ⇒ 第 3 帝国期の複雑な歴史を理解するための手がかりであり、歴史をしっかりと具体的に捉えるイメージをもたらす 第 3 帝国は平凡であったし、特別でもあった。日常であったし、不吉な事件でもあった。 100 の品はそうした対照と、指導者たちと服従者たちが体験した事柄を感じさせてくれる 1.     ヒトラーの絵の具箱 芸術的野心を物語る証拠 『わが闘争』によれば、 12 歳の時芸術家になることを決意し、 05 年退学して 2 年後には国立芸術アカデミー美術学校受験のためウィーンに旅立つ。自信はあったが、受験に 2 年続けて失敗、この挫折