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献灯使  多和田葉子  2019.2.18.

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2019.2.18.   献灯使 著者 多和田葉子  1960 年東京生まれ。小説家、詩人。早大文一文学部卒。 82 年ハンブルク大大学院修士課程修了。チューリッヒ大大学院博士課程修了。 91 年『かかとを失くして』で群像新人賞。 93 年『犬婿入り』で芥川賞。 00 年『ヒナギクのお茶の場合』で泉鏡花賞。 02 年『球形時間』でドゥマゴ文学賞。 03 年『容疑者の夜行列車』で谷崎潤一郎賞、伊藤整文学賞。 11 年『尼僧とキューピッドの弓』で紫式部文学賞。『雪の練習生』で野間文芸賞。 13 年『雲をつかむ話』で読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞 ( 文学部門 ) 。日独 2 か国語で作品を発表しており、 96 年にドイツ語での作家活動によりシャミッソー文学賞、 16 年にはドイツで最も権威ある文学賞の 1 つクライスト賞受賞。 82 年よりドイツ在住、 00 年ドイツの永住権取得、 06 年よりベルリン在住 『 17-07  百年の散歩』『 07-02  アメリカ - 非道の大陸』参照 発行日            2014.10.30.  第 1 刷発行                2014.12.8.  第 2 刷発行 発行所            講談社 初出 献灯使                      『群像』 2014 年 8 月号 韋駄天どこまでも        『群像』 2014 年 2 月号 不死の鳥                    『それでも 3 月は、また』講談社  2012 年 彼岸                         『早稲田文学』 2014 年秋号 動物たちのバベル        『すばる』 2013 年 8 月号 震災後のいつかの日本。デストピア文学の傑作 !  鎖国を続ける「日本」では老人は 100 歳を過ぎても健康で、子どもたちは学校まで歩く体力もない―――子どもたちに託された " 希望の灯 ” とは ? 大厄災に見舞われた後、外来語も自動車もインターネットも無くなった鎖国状態の日本で、死を奪われた世代の老人義郎には、体が弱く美しい曽孫、無名を巡る心配事が尽きない。やがて少年となった無名は「献灯使」として海外へ旅立つ運命に―――

珈琲が呼ぶ  片岡義男  2019.2.15.

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2019.2.15.  珈琲が呼ぶ 著者 片岡義男  1939 年東京都生まれ。作家、写真家、翻訳家。 74 年に『白い波の荒野へ』で作家としてデビュー 発行日            2018.1.20.  初版 1 刷発行 発行所            光文社 Ø   一杯のコーヒーが 100 円になるまで およそ考えられること全てを考えて 100 円になったコンビニの淹れたて珈琲と、従業員の誰もが何一つ考えていない ( ホテルのティーラウンジ ) のコーヒーとの間に、 1000 円を超える格差のあるコーヒーが、東京には存在 Ø   「珈琲でいいや」と言う人がいる Ø   Titanium Double Wall 220mg アウトドア用品のブランドにスノーピークというのがあり、そこのマグカップは、真空の 2 重構造で熱が伝わりにくい Ø   喫茶店のコーヒーについて語るとき、大事なのは椅子だ Ø   4 つの署名、 1967 年 12 月 ビートルズ Ø   去年の夏もお見かけしたわね Ø   ミロンガとラドリオを、ほんの数歩ではしごする Ø   なにか冷たいものでも、という言いかた Ø   白いコケインから黒いカフェインの日々へ Ø   いいアイディアだと思ったんだけどなあ Ø   さてそこでウェイトレスが言うには Ø   ただ黙ってうつむいていた Ø   小鳥さえずる春も来る Ø   ボブ・ディランがコーヒーをもう 1 杯 Ø   マグとマグの差し向かいだから Ø   ほんとに一杯のコーヒーだけ Ø   ブラック・コーヒー 3 杯で、彼女は立ち直れたのか Ø   知的な判断の正しさと、絶対的な安心観 Ø   アル・クーパーがブラック珈琲を淹れた Ø   モリエンド・カフェ Ø   Coffee Blues と、なぜだか、コーヒーブルースと Ø   なんとも申し上げかねます Ø   5 時間で 40 杯のコーヒーを飲んだ私 Ø   ある時期のスザンヌはこの店の常連だった Ø   午前 3 時のコーヒーは呑気で幸せなものだった Ø   さらば、愛しきディマジオよ Ø   ほとんど常にくわえた煙草だ

壁の向こうの住人たち  Arlie Russell Hochschild  2019.2.18.

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2019.2.18.  壁の向こうの住人たち アメリカの右派を覆う怒りと嘆き Strangers in their Own Land ― Anger and Mourning on the American Right   2016 著者  Arlie Russell Hochschild  ボストン生まれの社会学者。カリフォルニア大バークレー校名誉教授。フェミニスト社会学の第一人者として、過去 30 年に亘り、ジェンダー、家庭生活、ケア労働をめぐる諸問題に様々な角度から光を当て、多くの研究者に影響を与えてきた。早くから感情の社会性に着目し、 1983 年には本国で著書『管理する心』を発表、感情社会学という新しい研究分野を切り開く。単著として 9 冊目の本書では、南部ルイジアナ州に暮らす共和党支持派の白人中間層の心情に向き合い、アメリカを分断する ” 共感の壁 ” を越える手掛かりを探った 訳者 布施由紀子 翻訳家。大阪外大英語学科卒 発行日            2018.10.25.  第 1 刷発行 発行所            岩波書店 アメリカは自分の国なのに、社会が急速に変わってしまい、まるで「自国に暮らす異邦人」の気分だ――南部ルイジアナ州に暮らす共和党支持派の白人中間層の心情に向き合い、アメリカを分断する ” 共感の壁 ” を越える手掛かりを探ったノンフィクションの傑作 (2016 年度全米図書賞ノンフィクション部門ノミネート作 ) まえがき 5 年前にこの調査に着手した頃、アメリカでは 2 つの政治陣営が互いに溝を深め合っていく様を見て、驚きを感じ始めた 左派の多くは、右派の共和党と FOX ニュースが連邦政府の介入を大幅に排除しようと目論んでいると考えていた。貧困層支援の打ち切りを画策し、権力と富を握る所得上位 1% 層の力と財産を増やそうとしていると感じていた 右派の多くは、政府自体が権力と富を蓄積したエリート集団であるとみていた。支配を強化するためまやかしの大義名分をでっちあげ、安易にカネをばらまいて忠実な民主党支持者の票を集めようとしていると感じていた 社会学者としては、右派の人々が人生をどのように感じているのかということに強く興味を惹かれた 1960 年代後半には、ア