天皇機関説タイフーン 平山周吉 2026.2.17.
2026.2.17. 天皇機関説タイフーン 著者 平山周吉 1952 年東京都生まれ。雑文家。慶応義塾大学文学部卒。雑誌、書籍の編集に携わってきた。昭和史に関する資料、回想、雑本の類を収集して雑読、積ん読している。著書に『昭和天皇「よもの海」の謎』(新潮選書)、『戦争画リターンズ―― 藤田嗣治とアッツ島の花々』(芸術新聞社、雑学大賞出版社賞)、『江藤淳は甦える』(新潮社、小林秀雄賞)、『満洲国グランドホテル』(芸術新聞社、司馬遼太郎賞)がある。 boid / VOICE OF GHOST より刊行中の Kindle 版『江藤淳全集』責任編集者。近刊として『昭和史百冊(仮題)』(草思社)がある。 発行日 2025.11.18. 第 1 刷発行 発行所 講談社 初出 『群像』 2024 年 2 月号~ 2025 年 7 月号 第一章 憲法と東大法学部 「硬」の美濃部達吉、「軟」の宮沢俊義 1959 年、東大法学部「憲法」講座担当の宮沢俊儀が退官にあたり、機関説事件当時の様子を語る。就任時に末弘法学部長から、瀧川事件の二の舞とならぬよう、自身の身に問題が及ぶ場合は、他の同僚に迷惑をかけるなとの勧告があり、法学部存続のためにはできるだけ小さくなって辛抱するのが最善の策だと考えたという。法学部の同僚に迷惑をかけるのをある限度食い止める効果があった半面、そうした態度は見方によっては卑屈と評されるだろう。大学の自治や学問の自由を守る見地からいえば望ましいものであったとは言えないのではと恐れる。私の態度が先輩同僚諸君が闘ってきた東大法学部の伝統を少しでも傷つけたことになったのではと反省するたびに古傷が痛む。古傷に触れずに別れるのは忍び得ないので、あえてかえらぬ繰り言を申してお詫びを申し述べる いつもはユーモアを交えた座談を飄々とこなす宮沢の厳粛な告白に、教授会の場はある種の感動に...