夫を亡くして 門井慶喜 24-11
北村透谷の妻、現代と重なる生き方 門井慶喜さん連載小説「夫を亡くして」来月1日から 2024 年 10 月 27 日 朝日新聞 門井慶喜さんの連載小説「夫を亡くして」が11月1日から始まる。明治期の詩人、北村透谷(とうこく)の妻・ミナを主人公にした歴史小説だ。 タイトルが予告する通り、透谷が25歳で自死した後を丁寧に描いてゆく。若くして夫を亡くしたミナは、子がありながらも米国留学を果たし、帰国後は教員として老年まで勤め上げる。 門井さんはこれまで、徳川家康や豊臣秀吉といった歴史の表舞台で活躍する著名人を多く描いてきた。ミナはその名前を大きくは残していない。なぜ彼女に注目したのか。 「この時代に、こんな生き方をしている女性は見たことがなかった。でも、戦後の我々の代表者であるかのような感じがしたんです。光を当てるべき存在だと思いました」 ミナを星に例えるなら、「3等星」。連載では、ありふれた悩みや喜びをそのまま描きたいと話す。「ミナさんの生き方を通じて、人間が普遍的に持っている価値や魅力を書きたい。結果的には女性の社会進出を描くことにもなるでしょう。読者の皆さんが現代の課題と重ねて感じとることもあるかもしれませんね」 物語の前半には、夫の死という特大の壁が待ち受けるが、史料を読み調べていくと明るい気持ちで執筆に取り組めるという。「ミナさんが前へ前へと進むので、思わず背中を追いかけてしまうんです」。読者のことも置いていかない。「歴史に詳しくなくても大丈夫。前向きなミナさんが、きっと皆さんのことも引っ張っていってくれますから」(真田香菜子) ふたりの求婚者 第1回 明治 20 年前後、 2 人の男から求婚。 1 人は許嫁。東大医学部卒で開業医。もう 1 人は貧乏士族ので、東京専門学校政経に入学するも卒業せず、無職、小説家志望の北村門太郎 ( 号・透谷 ) 第2回 本を読んでいたミナとは話が合った 第3回 ミナは 23 歳、相談しても結論は明らかなので、一人で決めるしかなかった。ミナは母...