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大関和物語  田中ひかる  2026.7.20.

  2026.7.20.  明治のナイチンゲール 大関和 ( ちか ) 物語   著者 田中ひかる    1970 年東京都生まれ。学習院大法卒、専修大大学院文学研究科修士課程にて歴史学を、横国大大学院環境情報学府博士課程にて社会学を専攻。博士(学術)。女性に関するテーマを中心に、執筆・講演活動を行う。著書『明治を生きた男装の女医 高橋瑞物語』など   発行日             2023.5.10.  初版発行 発行所             中央公論新社   プロローグ 看護師も、かつては「金のために汚い仕事も厭わず、時には命まで差し出す賤業」とみなされていた これは、近代日本において、看護婦という職業の礎を築いた 2 人のシングルマザーの物語   第一章      故郷黒羽 l   家老の娘 大関和は、黒羽 ( くろばね ) 藩の国家老の次女に生まれる。藩主大関増裕 ( ますひろ ) とも縁戚。増裕は蘭学を学び、洋式兵術にも精通、初代陸・海軍奉行、幕府終焉の年には 29 歳で若年寄。外様の小藩主としては異例。部下で親交のあった勝海舟は「幕末の偉人」と評す 妻にも学問をさせ、江戸でも夫婦そろって馬に乗り狂歌になった 黒羽は火山灰地で温泉に恵まれたため、硫黄鉱山を開発、幕府の炮薬 ( ほうやく ) 製造所に売り、その金で軍備を増強、北関東随一の軍事力を保有 増裕は王政復古の前日、藩としては朝廷側につくが、会津とは兄弟にも等しい交誼があり鉾を向けるに忍びないとして、自らの身を供して臣節を全うしようと言って自害 国家老だった和の父弾右衛門は、家屋敷を返上し上京、商売に手を出すが失敗 和は弟妹達とともに学問に励む   l   「嫁田」の友 1876 年、弾右衛門は和の縁談をまとめると間もなく流行り病で急逝 縁談の相手は、故郷の士族柴田豊之進福綱。...