未還の名簿 青島顕 2026.8.12.
2026.8.12. 未還の名簿 シベリア最下層捕虜・村山常雄の祈り 著者 青島顕 1966 年静岡市生まれ。 91 年に早稲田大学法学部を卒業し、毎日新聞社に入社。西部本社整理部、佐賀、福岡、八王子、東京社会部、水戸、内部監査室委員、東京社会部編集委員、多摩総局長などを経て、 2026 年 3 月現在は新聞研究本部に勤務。中央大学、専修大学で兼任講師。『 MOCT( モスト ) 「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』で第 21 回開高健ノンフィクション賞を受賞。共著書に『徹底検証 安倍政治』『記者のための裁判記録閲覧ハンドブック』。 発行日 2026.3.31. 第 1 刷発行 発行所 集英社 序章 2 人の「常雄」 終戦の 3 年前に新京で生まれ、 ’44 年父が徴兵され、母死亡後、親戚に引き取られ帰国。 ’46 年父がシベリアで戦病死との公報。学芸大を出て小学校の教員をしながら、 2008 年シベリアで亡くなった人の名簿が出版されたとの新聞記事を見て入手。肌身離さず持ち歩いていた出生届にあった父の名を見つける。名簿を作った筆者と同じ「常雄」だった 第1章 原稿になかった言葉 l 取材してほしいことがある 新聞記者の私が村山を知ったのは 2005 年。「シベリア抑留」をテーマに記事を書きたいと思って、手が空くと「捕虜体験を記録する会」の江口十四一を訪ねていた。江口は帰還者延べ 326 人の手記を集めた『捕虜体験記』全 8 巻を編み、 ’98 年菊池寛賞受賞 江口から、会の会報『オーロラ』に寄稿した村山の「いま、なぜ抑留死亡者名簿か」を見せられ取材してほしいと頼まれる 村山は、「戦争の犠牲者を悼み、その名を正しく歴史に刻む作業は、生き残った者の当然の義務であり、戦争犠...