津軽の髭殿 岩井三四二 2026.7.13.
2026.7.13. 津軽の髭殿 著者 岩井三四二 [イワイミヨジ] 1958年岐阜県生まれ。一橋大学卒業。 ’ 96年『一所懸命』で第64回小説現代新人賞受賞。「岩井三四二に外れ無し」と言われ、2003年『月ノ浦惣庄公事置書』で第10回松本清張賞、 ’ 04年『村を助くは誰ぞ』で第28回歴史文学賞、 ’ 08年『清佑、ただいま在庄』で第14回中山義秀文学賞、 ’ 14年『異国合戦 蒙古襲来異聞』で第4回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞 発行日 2023.6.30. 初版第 1 刷発行 発行所 光文社 初出 『小説宝石』 2021 年 11 月号~ 2022 年 12 月号『津軽のひげ』を改題 第1章 狸の婿入り 17 歳の弥四郎は大男・精力漢に見える。津軽を手に入れ、それを足掛かりに奥羽の地を奪い、天下に覇を唱えるとの野望を抱く 津軽は陸奥の国のはずだが、隣の出羽の国の一部だと言う人もいる 「北は津軽、外 ( そと ) ヶ浜、宇曽利郷 ( うそりごう ) まで」というのが日本の北限とされた 元々蝦夷 ( えみし ) の住んでいたところを「津苅 ( つがる ) 」「東日流 ( つがる ) 」と称したのが始まり。八甲田山より西、白神の山々より北にある平賀など 3 郡と海岸べりの外ヶ浜などを合わせて津軽というようだが、土地の者は岩木山の見えるところはみな津軽だという 津軽は北の十三湖 ( 津軽半島北部 ) に向かって流れる岩木川の周辺に肥沃な野が広がり、北奥 ( ほくおう ) では有数の米どころ 弥四郎は、津軽制覇の手始めに大浦城を乗っ取るべく、野伏に城主の次女おうらを襲わせ、助けて恩を売る。弥四郎は大浦城主の親類の後妻の子、母は久慈郡 ( 岩手 ) の領主久慈備前守の側室だったが、嫡子 ( 弥...