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左利きの歴史  Pierre-Michel Bertrand  2024.12.27.

  2024.12.27.   左利きの歴史 ヨーロッパ世界における迫害と称賛 Historie des Gauchers         2008   著者  Pierre-Michel Bertrand   1962 年生まれ。左利き。パリ第一大学パンテオン・ソルボンヌ校で博士号取得。専門は中世から近世にかけての文化史、美術史。主な著書は、『ファン・エイクの肖像画』『左利き事典』など。フランスでは在野の歴史家として知られ、左利きの歴史・エピソードをテレビやラジオなどで解説することもある   訳者  久保田剛史  青山学院大教授。左利き。   発行日            2024.6.15.  印刷        7.10.  発行 発行所            白水社     第二版の序文 どんな歴史家にも、自分たちの専門分野を過大評価し、そうした歪んだ視点を通してしか物事を捉えないという罠が仕掛けられている。私としては、左利きの歴史が小さな歴史に過ぎないことを自覚しているが、何らかの大きさを持つ歴史であることは認めてほしい 左利きの人々は、決して例外的な人種ではなく、ただひとつ、彼等に「邪悪な手」を使う傾向があるという点を除けば、ごく普通の人間たちの代表例 今日、左利きの人々の境遇に関心を抱くということは、恐らく彼らを正当に評価すること、とりわけ、我々の精神的遺産の知られざる側面を問うことを意味する。それは、現在の自分をよりよく理解するために、かつての自分を知ろうとすることである。これこそが、私が思うに、大いなる歴史であれ小さな歴史であれ、歴史の唯一の正当性なのだ   序論  年々左利きの人々が増えている。少数派としては莫大な数。こうした現象の背景には、社会が左利きに対する寛容さを増したことがある ...