少数株主  牛島信  2021.8.20.

 

2021.8.20. 少数株主

 

著者 牛島信 1949年生まれ。東大法卒後、検事を経て弁護士に。牛島総合法律事務所代表として多くのM&Aやコーポレートガバナンス関連の案件を手掛け、「M&Aの守護神」と呼ばれる。97年『株主総会』で作家デビュー。日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(CGネット)理事長。上場会社など4社の社外役員を務める

 

発行日           2017.12.15. 第1刷発行               2018.2.15. 第3刷発行

発行所           幻冬舎

 

株式会社の99.8%は、非上場である

非上場企業の株が動き出した時、日本経済は瞬く間に復活する

 

同族会社の少数株主は凍りつき、放置されている

「俺がそいつを解凍してやる」

伝説のバブルの英雄が叫び、友人の弁護士が手を組んだ。そして、日本解凍が始まった!

株を自由に売り買いされない法律をいいことに、やりたい放題のオーナー経営者

圧倒的な理不尽に追いやられる、少数株主を救済する――

 

 

Ø  同族・非上場会社の少数株 その1

祖母所有の大日本除虫菊の株0.49%相当の9300株を相続、配当は年46.5万円に対し、相続評価が1.6億円とされ、1億の相続税が賦課

 

Ø  同族・非上場会社の少数株 その2

一般的に、非上場株の評価は配当還元から配当の10

経営者と同族(6親等内の血族が3親等内の姻族)と見做されると、資産や利益を加味して会社を評価する

 

Ø  同族・非上場会社の少数株 その3

相続人は同族の1人で元々4.99%の株主だったため、所有比率が5%を超え、経営に影響を持つと見做された

 

Ø  墨田のおばちゃん その1

おばちゃんの亭主が始めた鉄工所の株を買ってほしいとの申し出。現在の経営者は甥で、買取の株は3万株(7%相当)、配当が1株当たり年8円を総額500万円でという内容

 

Ø  譲渡承認請求 その1

おばちゃんには500万円渡した後で、鉄工所に対し株式の譲渡承認請求を出す

鉄工所は、ダミー会社を作って、買い手として指定

譲渡を承認しない場合は、会社の簿価純資産に譲渡対象の株の割合の金額を供託する

金額が折り合わなければ、非訟事件として裁判所が価格を決定

 

Ø  社団法人 その1

全国の非上場会社のガバナンスを確立し蔑ろにされている少数株主を救済するための

社団法人を設立

 

Ø  価格決定のための非訟事件

裁判所の決定は、双方から出された評価額を参考に、裁判官の心証を加えて下される

今回は2.5億円の決定。鉄工所とは名ばかりで、現在は資産管理会社のようなもの。DCFによる将来の収益力と純資産評価を5050で足し合わせた結果、会社の評価が53.7億とされ、その7%で3.7億、経営を支配しない少数株にとどまるので2/3に減額した結果

 

Ø  向島運輸 その1

おばちゃんの噂を聞きつけて多くの少数株主から同じような株式譲渡の申し出が社団法人に持ち込まれる

次の案件は、定時株主総会への議案提案権を行使して社長の公私混同を理由として取締役の解任を提案、役員だった妻に愛人の存在がばれて社長は総会を放棄して辞任し離婚

 

Ø  議員立法

少数株主が会社に対して買取の請求権を有するとし、買取価格決定のための仲裁機関を設置

 

 

 

 

2021.8.11.日経新聞図書広告:少数株で悩む多くの読者から大反響。文庫本4!

同族会社の少数株は凍り付き、放置されている

500万円の少数株が裁判で250百万円になった!

少数株は放っておくと疫病神になる。46.5万円配当しかない株の相続に1億の税金がかかった実例がある――

一方で、会社が買い取ろうとしない株でも、やりようによっては遥かに高い値段で売れる。裁判所が強い味方なのだ

オーナー経営者も少数株主も同じ株主なのだ。少数株主がアンフェアに扱われる理由はない

 

(著者) 非上場会社では、支配株主が会社の利益を独り占めにしている。少数株主は株を売却出来ない。出来ても安くしか売れない。このアンフェアな状況に一石を投じることができた。小説を読まれて相談をされる方が続出し、現実に裁判所で救済される方が多数出てきている

 

少数株主が目覚めるとき 日本が動き出すと確信した――田原総一朗

 

Wikipedia

Contents

1 少数株主権の一覧

2 単独株主権と少数株主権とは

3 少数株主権の内容

31 単独株主が行使できる権利

32 議決権の100分の1以上または300個以上

33 議決権の1%以上

34 議決権の3%以上または発行済株式総数の3%以上

35 議決権の3%以上

36 議決権の10%以上または発行済株式総数の10%以上

4 まとめ株主、会社が少数株主権について知ることの意義

記事協力

株式会社の株主になった投資家は、所有している株式数の割合に応じてその会社の経営に参加できる権利を有します。会社の経営方針は、原則、株主総会に出席した株主の議決権の過半数の決議によって決められるため、決議に影響を及ぼさない少数株主は、会社の経営方針の決定に参加できない可能性があります。

そのため、会社法上、大株主の意向を優先した経営方針や経営陣の行き過ぎを防止し、少数株主の権利を守るため、様々な権利が株主あるいは一定の要件をクリアする株主に対して認められています。

1 少数株主権の一覧

株主が行使できる権利は、持ち株比率によって変わります。持株比率と行使できる権利については、下表の通りです。

議決権保有割合

株主の権利の内容

権利行使前6カ月以上保有している必要(非公開会社ではこの要件は不要)

根拠法令・規則

単独株主権:1株以上の株式を保有する場合に行使できる権利

定款閲覧謄写請求権

不要

会社法31

剰余金配当請求権、残余財産分配請求権、株主総会議決権

不要

会社法105

株主名簿閲覧謄写請求権

不要

会社法125

募集株式発行差止請求権・自己株式の処分差止請求権

不要

会社法210

新株予約権発行差止請求権

不要

会社法247

株主総会議事録閲覧謄写請求権

不要

会社法318

累積投票請求権

不要

会社法342

取締役の違法行為差止請求権

必要

会社法360

取締役会招集請求権

不要

会社法367

取締役会議事録閲覧謄写請求権

不要

会社法371

執行役の違法行為差止請求権

必要

会社法422

計算書類閲覧謄写請求権

不要

会社法422

特別清算開始申立権

不要

会社法511

吸収合併契約等の閲覧謄写請求権

不要

会社法782条、会社法794

新設合併契約等の閲覧謄写請求権

不要

会社法803条、会社法815

会社の組織に関する行為の無効の訴え

不要

会社法828

株主総会決議取消の訴え

不要

会社法831

株主代表訴訟提起権

必要

会社法847

総株主の議決権の100分の1以上
または
300個以上

株主総会の議題提案権

必要

会社法303

総株主の議決権の100分の1以上
または
300個以上

株主総会の議案通知請求権

必要

会社法305

議決権の1%以上

株主総会の招集手続等に関する検査役選任請求権

必要

会社法306

議決権の3%以上
または
発行済株式総数の3%以上

業務執行に関する検査役選任請求権

不要

会社法358

議決権の3%以上
または
発行済株式総数の3%以上

会計帳簿閲覧謄写請求権

不要

会社法433

議決権の3%以上
または
発行済株式総数の3%以上

清算人の解任請求権

必要

会社法479

議決権の3%以上
または
発行済株式総数の3%以上

役員(取締役、会計参与及び監査役)の解任請求権

必要

会社法854

議決権の3%以上

役員等の責任軽減への異議権

不要

会社法426

議決権の3%以上

株主総会招集請求権

必要

会社法297

議決権の10%以上
または
発行済株式総数の10%以上

会社解散請求権

不要

会社法833

2 単独株主権と少数株主権とは

上記の表に記してある通り、会社の経営に参加する共益権には、1株でも株を保有していれば行使できる「単独株主権」と、一定数以上の株を保有する株主だけが行使できる「少数株主権」があります。

ここでいう少数株主とは、一定以上の株式を持っている株主を指し、必ずしも少数派株主を指すわけではありません。少数株主権は株主平等原則の例外で、株式を一定以上保有する株主に認められる特別な権利です。

3 少数株主権の内容

4 まとめ株主、会社が少数株主権について知ることの意義

非上場企業の少数株主となることにはデメリットもありますが、さまざま権利知っておくことで、会社から不当な扱いを受けたり、利益を損なわれるような行為を防ぐことができます。一方、近年はアクティビストなどの活動も活発化しているため、企業には、これまで以上に、株主が有する権利をしっかりと把握し、株主と良好な関係を築きつつ、健全な会社運営を行う必要があります。少数株主持分、譲渡制限株式、同族会社株式の処分など、非上場株式の流動化は、保有比率に関わらず、NGSパートナーズまでご相談ください。

記事協力

幸田博人

1982年一橋大学経済学部卒。日本興業銀行(現みずほ銀行)入行、みずほ証券総合企画部長等を経て、2009年より執行役員、常務執行役員企画グループ長、国内営業部門長を経て、2016年より代表取締役副社長、20186月みずほ証券退任。現在は、株式会社イノベーション・インテリジェンス研究所代表取締役社長、リーディング・スキル・テスト株式会社代表取締役社長、一橋大学大学院経営管理研究科客員教授、京都大学経営管理大学院特別教授、SBI大学院大学経営管理研究科教授、株式会社産業革新投資機構社外取締役等を務めている。

主な著書

『プライベート・エクイティ投資の実践』中央経済社(幸田博人 編著)
『日本企業変革のためのコーポレートファイナンス講義』金融財政事情研究会(幸田博人 編著)
『オーナー経営はなぜ強いのか?』中央経済社(藤田勉/幸田博人 著)
『日本経済再生 25年の計』日本経済新聞出版社(池尾和人/幸田博人 編著)

 

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