ピーター・ティール  Thomas Rappold  2019.3.29.


2019.3.29. ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望
Peter Thiel ; Facebook, PayPal, Palantir - Wie Peter Thiel die Welt Revolutioniert - Die Biografie 2017

著者    Thomas Rappold 1971年ドイツ生まれ。ジャーナリスト。世界有数の保険会社アリアンツにてオンライン金融ポータルの立ち上げに携わったのち、複数のインターネット企業の創業者となる。シリコンバレー通として知られ、同地で様々なスタートアップに投資。シリコンバレーの金融及びテクノロジーの専門家として、ドイツのニュース専門チャンネルn-tvおよびN24などで活躍中

訳者              赤坂桃子 東京生まれ。翻訳家。上智大文ドイツ文学科及び慶應大文卒。ノンフィクションから文芸まで幅広いジャンルを手掛ける

発行日           2018.5.6. 第1刷発行                  18.6.3. 第4刷発行
発行所  飛鳥新社

l  なぜ彼は革命的決済サービス「ペイパル」を成功させることができたのか?
l  なぜ「ユーチューブ」「テスラ」「リンクトイン」などの名だたる創業者を輩出できたのか?
l  なぜ「フェイスブック」の可能性をいち早く見抜けたのか?
l  CIAFBIを顧客に持つ謎のデータ企業「パランティア」を創業した理由とは?
l  トランプを支持し、政権移行チームに加わった真の狙いとは?
l  なぜ世界に「自由」と「テクノロジー」が必要なのか?
l  なぜシリコンバレーの頂点をきわめながら、シリコンバレーにイラ立ち続けるのか?

はじめに--なぜ世界は「この男」に注目するのか?
シリコンバレーでは、ティールは偉大なテクノロジーのパイオニアで、しかも卓越した知性とビジョンを備えた人物とみなされている
3つの世界的企業に決定的な影響を及ぼす
世界最大のオンライン決済サービス会社ペイパルの共同経営者  ペイパル・マフィアと呼ばれるイーロン・マスク、リード・ホフマン(リンクトイン)、ジェレミー・ストッペルマン(イェルプ)などを輩出
世界最大のSNS企業フェイスブック初の外部投資家
ビッグデータ解析企業パランティアの共同創業者
シリコンバレーの頂点を極めながらながら、誰よりもシリコンバレーにイラ立ち続けている  まだまやかしの繁栄で、世界の深刻な停滞を打ち破るのはイノベーションとテクノロジーで、テクノロジーの果たすべき社会的責任があるという
2016年の大統領選でトランプを支持し、125万ドルを寄付し、周囲を驚かせるとともに、政権移行チームに入り、政策顧問を務める  その真意は?
アメリカンドリームを体現する人物
独占主義がモットー  新しい市場を開拓して独占する企業を高く評価
「独占」をどう捉え、自らの行動と投資によってそこからどのように莫大な利益を引き出してきたのか

第1章      はじまりの地、スタンフォード大学
アメリカンドリームを実現した移民の子だからこそ、家族の歴史を刻んだクリーブランドが没落の象徴となった現状を何とかしようとしたのが、政治に関わるモチベーション
68年フランクフルトから移住
120歳まで生きるために、画期的なテクノロジーのブレイクスルーが必要だとして、社会を「次のレベル」に引き上げるためにバイオテクノロジー企業に多額の投資をしている
自由至上主義者(リバタリアン)になったのは、幼少のころのアフリカでの学校生活が影響
77年スタンフォード大の北にあるフォスターシティに移り住み、シリコンバレーの革命の目撃者に
チェスの選手として13歳未満の全米7位となるが、競争が不健全であることを学ぶ
サン・マテオ高校をオールAで卒業、スタンフォードへ  ハーバードは誤った競争主義の象徴として選ばず。その後の金融業界、投資銀行の動向を見れば一目瞭然
スタンフォードでの専攻は哲学。そこで出会ったのがリード・ホフマン
ティールの世界観と、ビジネスや投資判断の流儀に決定的な影響を与えたのは、スタンフォード大教授のフランス人哲学者ルネ・ジラールで、その思想の根底は模倣理論と競争。人間の行動は「模倣」に基づき、人間には他人が欲しがるものを欲しがる傾向があり、その模倣が競争を生み、競争はさらなる模倣を生む
大学での最初のスタートアップが、学内新聞『スタンフォード・レビュー』の創刊
8920世紀哲学で学部を、92年にはロースクールを卒業
四半世紀後、振り返って自らの「模範的」な学歴を悪しざまに語る  誤った答えに執着

第2章      「競争する負け犬」になるな--挫折からのペイパル創業
92年アトランタの連邦控訴審で1年間事務官として働き、連邦最高裁判事に誘われて事務官に応募したが不採用となり、ニューヨークでサリバン&クロムウェルに就職するがすぐに競争に嫌気して7か月で飛び出し、さらにクレディ・スイスでディーラーを3年やるがものにならないまま96年シリコンバレーに戻る
家族や友人から資金を募って自らのヘッジファンドを100万ドルで立ち上げ  最初の投資はウェブカレンダーだが失敗
パーム・パイロット間のデータ通信の暗号化技術の開発に携わる中から、電子決済市場に目をつけ98年コンフィニティとして創業  電子メールアドレスを利用して送金する方法を開発、99年「ペイパル」という名前で正式スタート、バイラル(口コミ)マーケティングによるキャッシュバック制度でユーザーを増やしたことで瞬く間にユーザーが100万人を突破。翌年には総額230億ドル(ママ)の資金調達に成功
ライバルとして現れたのが南ア出身、17歳でアメリカに移住してきたイーロン・マスクで、最初の起業で成功して手にした大金を投資して、究極の金融ポータルを目指してXドットコムを立ち上げ、ペイパルと似たようなサービスも提供していた
競争を嫌うティールは、すぐに合併を発表、グリーンスパンが「根拠なき熱狂」と警鐘を鳴らす中、大規模な資金調達を強行、Xドットコムがシステムで躓く中、ペイパルで統一に成功、CEOもマスクからティールに代わる
eコマース市場の成長に伴いイーベイが市場を独走、ペイパルはイーベイの利用者に支払い手段としてペイパルを提供することに成功。さらにオンラインゲームやオンラインカジノの決済手段としても利用させることでマーケットを拡大
02年ナスダック上場にも成功、企業価値は8億ドルと評価され、初値は50%アップの20ドル  追加の資金とともに、信頼性と認知度をもたらし、ユーザー数も増加
直後にイーベイがペイパルを15億ドルで買収
eBayの体質に合わないティール他PayPalの仲間は皆会社を去った
6080年代の業界リーダーはフェアチャイルドセミコンダクターの創業者たち8反逆者」という異名で知られるようになりその中のロバートノイスとゴードンムーアが後にインテルを創業現在のPayPalの創業者6もそっくりでPayPalマフィアと言うよりディアスポラ(元の居住地を離れて暮らす人々のコミュニティー)と言われた
ディアスポラは主としてスタンフォードの関係をつうじた親しい友人だけの集まりで様々なスタートアップの問題を乗り越えるために個人的な絆が必要だった
PayPalサービスのeBayへの埋め込み技術は後のYouTubeの基礎となりYouTubeは後に160億ドル(ママ)Googleに売却YouTubeの創業者はPayPalの元社員
0204年にかけてはドットコムバブル崩壊直後で一般消費者を対象とした事業を行うスタートアップは資金調達ができずPayPalマフィアだけが専門面と資金面でサポートし合い、シリコンバレーで最強とも言える成功物語の培養土を準備
eBay買収後にPayPalを去った220人の中からユニコーン企業7社が新たに立ち上がるユニコーンとは企業評価額10億ドル規模のスタートアップのことで、その動物並みにレアだと言う意味
今でもPayPalチームはお互いに相談し合うほど固い絆を誇る

第3章     常識はずれの起業・経営戦略
数々の試練を超えたテクノロジスタートアップの創業者の1人がホロウィッツで、シリコンバレーで最も成功しているベンチャーキャピタリスト00年に最初のクラウド企業ラドクラウドを創業160億ドル(ママ)でヒューレットパッカードに売却その後世界初の業務用インターネットブラウザを開発したアンドリーセンとともにアンドリーセンホロウィッツを創業名だたるスタートアップを多数保有するシリコンバレー屈指のベンチャーキャピタルとなる
ティールの役員報酬についての持論は他人資本の新企業のCEO15万ドルを上回る年間報酬を受け取るべきではない、というもの。年収が30万ドルを超えると創業者も現状維持に固執するようになりそれは革新的スタートアップの終焉を意味する
PayPal創業者6人のうち4人は高校時代に爆弾を作っていた、5人は23歳未満、4人は外国生まれ、うち3人は共産圏
達成した成果:①モチベーションを高める大きなビジョンとして持ったのが通貨を政府から解放し、国家の影響が及ばないインターネット通貨を作ること
②成長を刺激し、ユーザー数をクリティカルマスに届かせるにはスピードが決定的要因で、ネットワーク効果によってユーザー獲得に係るコストは最小限にとどめ、独占業者eBayの背中に乗って市場を独占し急成長を遂げる
③社内文化とコミュニケーション ⇒ 結束した共同体によるチームワークの精神が重要であり、ディスカッションに持ち込むことによって直面する難題に対して速攻で打開策を見出す。「超迅速(アジャイル)」なビジネス展開と製品開発
いい企業には、ある人がやらなかったら、他の誰も代わりにやることはできないという特殊な任務がある。君がそれをしなかったら、それは実現しない――それがペイパルのビジョン
ティールが経営者としてやった最良の仕事は、社員全員にそれぞれ1つの仕事の責任を任せたこと。この仕事だけによってその人物を評価した
スタートアップの基礎になっているペイパルの先駆性:
    バイラル・アプリを提供した最初の企業 ⇒ アカウントを持たない人にも送金できたので、受け取るためにアカウントを登録した
    プラットフォーム戦略を実行した初の企業 ⇒ ペイパルはeBayのプラットフォーム上で動くアプリ
    埋め込みウィジェットを提供した初の企業 ⇒ eBay上で物を売るユーザーは自分の商品ページに「ペイパルで支払う」ボタンを置くことが出来た
    アジャイル型開発を導入した初の企業 ⇒ 製品寿命に関係なく、新機能はつねに完成次第すぐに公開
優れた企業は、創業のきっかけとなったイノベーションに対してオープンな姿勢を貫く
ペイパルを売却して55百万ドルを手にしたティールは、テロ阻止に向け04年パランティア・テクノロジーズを創業 ⇒ ペイパルで開発した決済時の詐欺を防ぎ不審なカネの流れを検知する優れた独自のアルゴリズムが役立つ
04Facebookへの投資家を探していたザッカーバーグとの出会い ⇒ 初の外部投資家として50万ドル投資し、後に株式10.2%に換え、05年には取締役に就任
近年ティールはトランプを支持するなど批判を浴びているが、ザッカーバーグは政治信条で半数近くもの人を排除していたら多様性を語ることはできないとして、気にしていない

第4章     持論を発信する――『ゼロ・トゥ・ワン』と『多様性の神話』スキャンダル
ティールは、古典的な教育制度をあまり評価していない ⇒ もっと個性的に育て、多種多様な学生が自分に合ったペースで学習出来るような方法を見つけるべきと主張
2012年ティール・フェローシップ立ち上げ ⇒ 大学を辞めて起業する若い学生に110万ドルの資金を提供
2013年スタンフォードで行ったティールの講義録が『ゼロ・トゥ・ワン』となって発刊され、イノベーションとは何かについて新たな議論を巻き起こしている ⇒ 発刊の狙いは、「現実の課題を解決するにあたり、ライバル社が月並みな道を通るのに対し、世界で最も価値ある企業は独自の新しい道を行くのはなぜなのか」、をシリコンバレーから学ぶこと
01の二進法は、何か新しいことをする、これまで誰も作らなかった何かを作ることを意味する ⇒ 新しい発見をした場合にのみ社会を次のレベルへと押し上げることが可能
ティールの考えの基本は、①創業者は君の家族だということを思い出せ。②優れた社員には厳密に定義した仕事を与えよ。③ニッチ市場を支配するような野心的ではあるが小さな製品から始めよ。④マーケティングの人間を憎むのをやめ、ライバルに差をつける原則或いは秘密を的確に言葉にすることに集中せよ
競争が価値を生むというのは経済学者の多くが抱く誤解で、法外な利益を生むのは独占だけで、それによって持続的な価値が生まれる
トランプの選挙資金を提供した際、ティールがスタンフォードを出て間もない1995年に発刊した『多様性の神話』の中で、スタンフォードで起こったデートレイプ事件を取り上げ、アルコールやドラッグの影響下でのレイプを受け入れ難いとしながら、いつも非難が男にばかり向けられるのは理解できないとし、性暴力撲滅運動の本当の被害者は男と結論付けたが、この主張がトランプの女性観と関連づける格好の材料となった ⇒ もちろんティールは無神経で卑劣な意見を書いたと後悔を表明、共著者のデイビッド・サックスも謝罪して、クリントン陣営に7万ドル寄付をした
ただ、同時に『多様性の神話』は多様性を論じるときには現実から目を背けてはならないとも主張、特に人種的多様性では、コーネル、バークリー、スタンフォードなどでは人種別に学生寮に住み、キャンパスでも多数派の学生が少数派を遠ざけ、多様性と交流が制限されていたし、テクノロジー企業でも多様性とはほど遠い体質を引きずっている
多様性問題に真剣に取り組んでいる企業ほど多数のイノベーティブな製品を生み出し、顧客満足度が高く、より良い財務成績を達成 ⇒ ジョンソン&ジョンソン、プロクター&キャンベル、マイクロソフト、シスコなどが上位にいるが、グーグルやFacebookは圏外
グーグルの2014年の米国内46千の社員の71%が男性、57%が白人、経営陣八ほとんど男性、アジア系は1/3いるが黒人は2.4%のみ。Facebookはもっとひどく、女性は17%、黒人は1%のみ

第5章     成功のカギは「逆張り思考」――スタートアップの10ルール
賛成する人がいない、大切な真実とは何か? ⇒ 知的チャレンジな問いかけ
逆張りが成功の秘訣だが、重要なことは、並外れた結果を狙うなら、道なき道を選ぶこと
何かに左右されない考え方でなければならないが、独自のリサーチに裏付けられた考えでなければならない
バフェットも逆張りの典型 ⇒ 09年経済危機のどん底期にバーリントン・ノーザンを260億ドルで買収。1企業への単一投資で最大だが、米国経済への賭けでもあった
成功するスタートアップのカギは、①唯一無二であること、②(企業固有の)秘密、③デジタル市場で独占的ポジションを確保していること
スタートアップの10ルール
1.    自分の人生の起業家 ⇒ 自分の人生をどう始めるのかという根本的な決定を下す自由は君の手中にある
2.    1つのことを、他の人を寄せ付けないほどうまくやろう ⇒ 優れたテクノロジー企業には、世界中の他のどんな企業より優れた力を発揮できる何らかの強味がある
3.    自分と結び付きのある人を的確に配置し、互いに補い合える相手と組む ⇒ 創業者と社員は互いに調和の取れた関係で同じ目標を追う
4.    競争・競合を避け、独占を目指す ⇒ 競合他社との差別化。資本主語と競争は水と油の関係
5.    フェイク起業家になるな ⇒ 未知の世界へのチャレンジ
6.    ステータスや評判だけを基準に評価するな ⇒ 面目や規範ではなく、中身をとる
7.    競争に夢中になると、より価値あるものを求める長期的な視野が失われる
8.    「トレンド」は過大評価されがち ⇒ トレンディなバズワードに注意
9.    過去に執着せず、失敗の原因を分析した後は前を向いて方向を修正 ⇒ 失敗によって賢くなると言われたが、傷つくだけで大きな教訓は生まれない
10. 成功に通じる独自の秘密の道を探す
ティールの成功の方程式:「当たり前を疑い、新しい視点で徹底的に考え直す」

第6章     ティールの投資術――なぜ彼の投資は成功するのか?
1.    徹底的に絞り込む ⇒ 投資先の選定は、創業者とビジネスモデルを厳選評価した少数のスタートアップに、集中的に高額を投入
2.    守備範囲を固める ⇒ 本当に理解できるもの、目の届く範囲のものに限定、シリコンバレーの半径20マイルに絞る
3.    長期的視野 ⇒ 目先の模倣商品は追わない
4.    隠されているドアから入れ ⇒ トレンドとは逆に投資、優れたイノベーションを認め、適切なタイミングを見計らう
5.    バズワードを回避 ⇒ トレンドは過大評価されているので避ける
6.    自分の足で立て ⇒ 経済的に自立していることが重要
7.    固い友情 ⇒ ビジネスと友情は切っても切れない関係
ティールが優先的に投資する企業とは? ⇒ 何に価値があるのか? 自分には何が出来るのか? 他の誰もしないことは何だろう?
価値を創造し、長く市場に留まり、創造する剰余価値の一部を資本に転嫁できる状態にあること
評価法 ⇒ 株価収益率PERPEGレシオ(PER÷利益成長率)、成長率が割引率より高いこと、長期性と恒常性
企業が市場を支配するために必要なもの ⇒ プロプライエタリ・テクノロジー(独自開発の専有テクノロジー)、ネットワーク効果、規模の経済、ブランディング

第7章     テクノロジーを権力から解放せよ――ティールのリバタリアン思想
個人の自由こそ最高の善であり、政治とそのルールを、自由と進歩を愛する人々の監視役と見做す
資本主義体制と民主主義の矛盾が生じた理由は、1920年以降に婦人参政権と対になった形で福祉国家が根付いたこと
l  権力からの自由なインターネット空間 ⇒ 政府の監視と水増しから自由な国際通貨を創造したのがペイパル。国家主導の金融構造を変える破壊的変革をもたらした
l  権力から自由な宇宙空間 ⇒ 宇宙には政治と国境から逃れる可能性がある
l  権力から自由な海洋自治都市(シーステディング)

第8章     影のアメリカ大統領?――トランプ政権を操る
トランプに賭けた究極の「逆張り」 ⇒ ティールにとってトランプは、破壊的変化の担い手であり、古いビジネスモデルを剥ぎ取るスタートアップに見える。クリティカルマスが古い体制の変化と崩壊を支持するタイミングが来ているのをいち早く察知
トランプが選挙戦でアメリカの崩壊を中心テーマとして訴えていたことを高く評価
デジタル化とグローバル化によって疎外されたと感じている米国中西部の人々は、従来の政治への不信感を募らせ、自分たちの苦しい生活の原因となった支配者層が問題を解決してくれないことに不満を爆発させんばかりだった
「政治的無神論者」として政治に介入する ⇒ 自分たちは常に政治システムの中で行動していて、その政治システムには正当性があると考え、だからこそそこに「介入する」ことに意味があるという
分断された米国には2つの権力の中心地がある。ニューヨークとシリコンバレーで、全社はグローバル化の勝ち組地域であり、後者はテクノロジー企業によるイノベーションの勝利者の場で、その間の各州は「上空を通過するだけの州Fly-over States」と呼ばれる。2つの中心地は、世界が認める独自の立ち位置を獲得し、大勢の成功者を輩出する一方、国土の大半は衰退の一途。ティールは富の偏った分布に警鐘を鳴らすが、この偏在がデジタル化とグローバル化の圧力と相俟って、著しい社会的緊張を招いている
2016年故郷の1つであるクリーブランドでの共和党大会でのスピーカーとして招かれ、「ゲイであることを誇りに思う。共和党員であることを誇りに思う。一番誇りに思うのはアメリカ人であること」と言って喝采を浴び、「USA」コールが巻き起こった。今のアメリカには夢がない、「アメリカを再び偉大な国に」というトランプのメッセージは未来に向けたヒントだとして支援を呼びかけたが、同時に共和党が無意識に犯してきた失敗にも言及、「伝統的に、根拠のない楽観主義が支配的で、物事をポジティブに見ようとする傾向がある」と批判
トランプを支持する最大の理由は、この国の指導者が失敗したという結論に達したからであり、再びノーマルな国にしようとしているからで、重要な論点は、新しい政治が来るのが遅すぎたかどうか
著書『ゼロ・トゥ・ワン』は選挙期間中トランプ陣営のバイブルとなり「武器」となった
16年末大統領就任移行期にテクノロジー・アドバイザーとなり、シリコンバレーの大物たちとトランプの溝を埋め、トランプによる協力を確約させた
オンライン政治メディアはティールを「影の大統領」と呼び、配下の何人もが政権に参加
テクノロジーの発展にとって、最大の敵は国による規制強化であると同時に、新しいことを始めるのには政府のカネが必要。大きな事業は、政治的ビジョンと、リスクを恐れない民間サイドの気概との間のコンセンサスがないと実現は難しい
ティールは教育についても一家言持っているし、ヘルスケアにも関心、行政機関の変革にも意欲、エネルギー関連では原子力の信奉者

第9章     ティールの未来戦略――教育、宇宙、長寿に賭ける
ティールは慈善家として、新しいテクノロジーのブレイクスルーに寄与するテーマを支援
テクノロジーの分野で関心を寄せるのは、AIとアンチエイジング
2011年ティール・フェローシップ創設、起業を志す1820歳の若者に110万ドルを提供しているが、大学中退を条件としたために、ハーバードの学長の激怒を買う
従来型の大学教育制度に懐疑的であり、教育制度を問題視する
社会を「次のレベル」へ、を目指したブレイクアウト・ラボでは、初期段階にある野心的な学術研究に資金を提供 ⇒ ミッションは「できることの限界を押し広げよう」


おわりに――テクノロジーが開く自由な未来へ 「基本的に、僕は「死」に逆らう人間です」
トランプは、米国への無条件の忠誠こそが自分たちの政治の基本だといったが、ティールはニュージーランドの国籍を持っていることが最近判明
ティールはそこにユートピアを見た
シリコンバレーの成功者たちは、この世を「ディストピア」と見做し、万一に備えて助けとなるのは原始的なこの世の価値のみとして、シェルターを作ったり燃料や食料品をため込んだりして態勢を整えている
力強い経済成長を推し進め、より多くの国民が労働によって豊かな果実にあずかれるようにするためには、国と企業の間の新しいイノベーション協定が必要
戦略家ティールの「次の一手」から目が離せない

訳者あとがき――ティールがシリコンバレーを離れる日
本書は、ティールのみに焦点を当てた初の書籍。彼のルーツのドイツで出版されたのは興味深い
逆張りのティールは、日々「進化」を遂げ、私たちを驚かせ続ける
1711Facebookの株をすべて売却。取締役会に今後ともとどまるのか注目
トランプとの関係もどうなるのか
20182月仕事の拠点をシリコンバレーからロサンゼルスに移すとの報道
同年3月ニューヨークの拠点はトランプタワーを見下ろす位置にあり、トランプとの間のホットラインはそのままと言明
大統領選後シリコンバレーで多くの批判を浴び、モノカルチャーで不寛容なシリコンバレーの空気に一層不満を感じ、「テック・バブル」のシリコンバレーから距離を置くことで、自分の投資活動をよりクリアに展望できるのではないかと考えている


書評 日経 2018.6.9.付け
ピーター・ティール トーマス・ラッポルト著 友情通じ独占目指す投資家
2018/6/9付 日本経済新聞
ピーター・ティールの名を知る人は多いだろう。フィンテック企業の元祖ともいえるペイパルの創業者、初期のフェイスブックを支えた投資家、シリコンバレー有数のベンチャーキャピタルの経営者といった複数の顔を持ち、トランプ政権の政策顧問に就任したことで、世界でも注目された。本書は、ティール氏の考え方や哲学を、スタンフォード大学で哲学を専攻した学生時代や、連邦最高裁判所の事務官に不採用となった時代、ペイパルマフィアとも呼ばれる、ペイパル創業時の仲間との関係などに触れながら解説する。
(赤坂桃子訳、飛鳥新社・1574円)
▼著者は71年ドイツ生まれ。起業家、投資家、ジャーナリスト。複数のネット企業を創業した。
※書籍の価格は税抜きで表記しています
(赤坂桃子訳、飛鳥新社・1574円)
著者は71年ドイツ生まれ。起業家、投資家、ジャーナリスト。複数のネット企業を創業した。
書籍の価格は税抜きで表記しています
ティール氏の考えは独特である。「毎日を人生最後の日であるかのように生きる」のではなく、「毎日を自分が永遠に生きるかのように生きる」ことを勧める。これは周囲の人間を長く付き合うつもりで扱うべきだとの考えに根差す。不変の友情や長期的な関係構築に時間を投資することは、人生最高の利益を生むというもので、複利効果の考えの応用ともいえる。
また、競争からは得られるものがないとして、独占を目指すことを勧める。経済学では市場における完全競争は一般的とされ、独占は例外でしかない。ティール氏にとって独占は目標であり、独占企業を生み出す方法論をもつ。
更に、彼にとってグローバル化は「コピーアンドペースト」と同義。ある地域の事業をコピーして他の地域で再現することで、テクノロジーの観点からみると何ももたらさない。テクノロジーの本当の進歩は0から1への飛躍である。テクノロジーの進歩は人類の抱える問題全てを解決はしないが、進歩なしには私たちは問題を何も解決できないという考えの下、あくまでもテクノロジーの進歩を優先すべきだと主張する。
本書は、起業家に0から1を生み出す独占企業を目指すことを指南したティール氏の著書『ゼロ・トゥ・ワン』の解釈にも役立つだろう。ペイパルをはじめとする彼が関わった企業は、ティール流の方法で成功している。信頼する仲間を集めて組織を作り、激変する環境の中、急成長企業を生み出したことや、常に壮大なビジョンを描いてテクノロジーと関わり続けていることを考えれば、彼独自の考え方に学ぶことは多い。
《評》昭和女子大学教授 湯川 抗






Wikipedia
ピーター・アンドレアス・ティール(Peter Andreas Thiel19671011 - )は、アメリカ合衆国起業家投資家PayPal(ペイパル)の創業者。シリコンバレーで大きな影響力を持つ「ペイパル・マフィア」の中では、「ドン」と呼ばれている[2]。アメリカのリバタリアン[3]ドナルド・トランプ支持者。

概要[編集]

西ドイツのフランクフルトに生まれる。1歳のときに家族とともにアメリカに移住。少年時代はアフリカで過ごしていたこともある。スタンフォード大学哲学を学び、B.A.学位を取得。その後スタンフォード・ロー・スクールに進学し、1992法務博士の学位を取得する。卒業後、合衆国控訴裁判所で法務事務官、ニューヨークの法律事務所サリヴァン&クロムウェルで証券弁護士、元教育長官ウィリアム・ジョン・ベネットのスピーチライター、クレディ・スイスで通貨オプショントレー​​ダーとして働く。1996にティール・キャピタル・マネジメントを設立。1998にはコンフィニティ(後のPayPal)を共同設立し、200215億ドルでeBayに売却するまで最高経営責任者を務めた。
eBayPayPalを買収した後、ヘッジファンドのクラリウム・キャピタル(Clarium Capital)を設立。2004、データ分析ソフトウェア企業パランティア(Palantir[4]を立ち上げ、現在までその会長を務める。同年、Facebook初の外部投資家になった。2012に保有する株式の大半を売却したものの、現在でも同社の取締役として名を連ねている。複数のベンチャーキャピタルも立ち上げており、2005にはPayPalの創業メンバーだったケン・ハウェリー、ルーク・ノゼックとファウンダーズ・ファンド(Founders Fund)を、2010にはバラー・ベンチャーズ(Valar Ventures)を、2012年にはミスリル・キャピタル(Mithril Capital[5]を共同設立している。バラー・ベンチャーズでは会長を務め、ミスリル・キャピタルでは投資委員会委員長を務めている。また、2015からYコンビネータのパートナーとして勤務している[6]
慈善活動や政治的活動にも携わっている。ティール財団(Thiel Foundation)を通じてブレイクアウト・ラボ(Breakout Labs)とティール・フェローシップThiel Fellowship)を運営し、エリーザー・ユドコウスキーが創設したMIRIMachine Intelligence Research Institute)、寿命の延長や老化防止を目的とするメトセラ財団やSENS研究財団、海上国家建設を構想するシーステディング研究所、およびその他の投機的な研究をサポートしている。政治的にはリバタリアンとして知られ、スタンフォード大学時代にリバタリアニズムを主張する学生新聞『スタンフォード・レビュー(The Stanford Review)』を創刊したこともある。『ゴーカー』によるハルク・ホーガンのゴシップ記事を巡る裁判では、ホーガンに資金援助を行った[7]201611月には、ドナルド・トランプの政権移行チームのメンバーとなった。

経歴[編集]

生い立ち[編集]

19671011日に西ドイツのフランクフルト・アム・マインで父クラウスと母スザンヌとの間に生まれる[8][9]1歳の時に家族とともにアメリカのオハイオ州クリーブランドに移住。クラウスは最初その地で化学技術者として働いた。その後クラウスは複数の鉱山会社で働き、それに伴い転勤を繰り返したため、ピーターは7度にわたる小学校の転校を余儀なくされる。ピーターとその家族は南アフリカやその委任統治領である南西アフリカ(現ナミビア)で暮らした後、1977カリフォルニア州サンマテオ郡フォスターシティに定住する。
少年時代、ティールはチェスに熱中する。6歳でプレーを始め、1980には13歳未満のアメリカ人チェス選手の7位にランクインした[10]。ゲームでは他にも「ダンジョンズ&ドラゴンズ」をプレイした。また、サイエンス・フィクションを愛読する。好きな作家はアイザック・アシモフロバート・A・ハインラインだった。JRR・トールキン作品のファンでもあり、『指輪物語』は10回以上読んだという[8][11]

教育[編集]

中学時代、ティールは数学に秀でており、カリフォルニア州全域の数学テストで1位を獲得したこともある[10]。高校でも優秀な成績を収め、卒業式では総代を務めた[12]。政治的傾向はすでに保守的で、当時のロナルド・レーガン政権の楽観主義と反共主義を支持していた[10]
高校卒業後、スタンフォード大学で哲学を学ぶ。中でもルネ・ジラールミメーシス理論はティールに大きな影響を与えた[13]。ジラールによると、人間の欲望は他者の欲望を模倣(ミメーシス)するという性格を持っており、こうした模倣は無意味な競争を引き起こす。また、競争はいったんそれ自体が目的となると進歩を抑制してしまうとジラールは主張した。このようなジラールの考えをティールは自身のビジネスと私生活に応用している。競争すること自体に気を取られてしまう結果、我々は世界で重要な、超越的な、あるいは本当に意味のあるものを見失ってしまうとティールは述べている[14]
ティール在学時のスタンフォードではアイデンティティ政治ポリティカル・コレクトネスに関する議論が活発だった。「西洋文化」プログラムは、過度に西洋中心主義的であるとの批判を受けて、多様性と多文化主義を押し進める「文化・思想・価値」コースに取って代えられた。この取り組みはキャンパスでの論争を引き起こし、アイン・ランドの作品を愛読する[11]など保守的でリバタリアン的な思想を強めていたティールが保守系の学生新聞『スタンフォード・レビュー』を1987に創刊するきっかけとなった。
ティールは1989学士号を取得してスタンフォード大学を卒業する。その後スタンフォード・ロー・スクールに進学し、1992年に法務博士号を取得した。

初期の職歴[編集]

スタンフォード・ロー・スクールを卒業した後、ティールは合衆国控訴裁判所第11巡回区で裁判官ジェームス・ラリー・エドモンソンのもとの法務事務官として働く。1年間務めた後、合衆国最高裁判所の法務事務官となるためにアントニン・スカリアアンソニー・ケネディの面接を受けたが、採用とはならなかった[15]。それからニューヨークに移り、法律事務所サリヴァン&クロムウェルの証券弁護士として働くが、仕事に超越的な価値を見出せないとして7ヶ月で離職する[8]。その後クレディ・スイスの通貨オプショントレー​​ダーとして働いた。その傍ら、元教育長官ウィリアム・ベネットのスピーチ・ライターを務めた。
1996年にベイエリアに戻ったティールは、インターネットパーソナルコンピュータが目覚しい勢いで発展し、経済を変化させていることに気付く。そして友人や家族から100万ドルの資金を調達し、ティール・キャピタル・マネジメントを設立。ベンチャーキャピタリストとしてのキャリアをスタートさせた。発足当初に友人ルーク・ノゼックのプロジェクトに10万ドルの投資をしたが失敗。挫折を経験する。しかし1998年、そのノゼックの友人であるマックス・レヴチンと共にコンフィニティ(Confinity)を創業したことがティールのキャリアを好転させるきっかけとなる。

PayPal[編集]

1999、コンフィニティが電子決済サービスPayPalを立ち上げる。その後、PayPalイーロン・マスクの金融サービス会社であるX.comとの合併やモバイル商取引を専門とするPixoとの合併を通じて成長を続けた。2001までに、PayPal650万人以上の顧客にサービスを提供し、そのサービスを26か国の消費者と企業に拡大した。20022月に新規株式公開IPO)したPayPalは、その年の10月に15億ドルでeBayに売却された。ティールが保有していた3.7%の株式は買収時に5500万ドルの価値となった[16]

政治的見解・活動[編集]

ティールは、右派リバタリアンとして知られている。20165月に、彼はアメリカ大統領候補ドナルド・トランプを支持する代議員リストに名前が登載されていることが明らかになった。ティールは元々はトランプと対立していたテッド・クルーズ(ティー・パーティやキリスト教原理主義者が支持)候補を支持していたが、トランプの娘婿で側近のジャレッド・クシュナーと知己を得てからはトランプ支持に変わったとされる[17]。その当時トランプ支持を公言するテクノロジー業界の大物は他に皆無だったが、ティールは批判も恐れず支援した。その甲斐あって11月には政権移行チームのメンバーに選任された。科学技術分野の他、財務省、商務省、国防省の人事に一定の影響力を及ぼすものとマス・メディアからは見られた。トランプ支持の動機としては、これまでのオバマ政権の機能不全と、イラク戦争、シリアへの攻撃など間違った戦争を支持したヒラリー・クリントンには大統領の資格がないということを挙げていた。経済的には、同じ土俵で競争しないという良い意味での「独占」を目指すべきだと主張している。分権化をもたらすリバタリアニズム的な暗号通貨に対して人工知能の技術は共産主義的な中央集権をもたらすと評している[18]

脚注[編集]

  1. ^ Christine Mai-Duc, Silicon Valley tech mogul Peter Thiel to make history as he declares he's proud to be gay on the RNC stage, Los Angeles Times (July 22, 2016)
  2. ^ O'Brien, Jeffrey M. (20071113). “The PayPal Mafia”. Fortune. 20161211日閲覧。
  3. ^ http://www.businessinsider.com/peter-thiel-seastead-dream-floating-...
  4. ^ トールキン作品に登場する水晶パランティーアに由来する。
  5. ^ トールキン作品に登場する金属ミスリルに由来する。
  6. ^ Jordan Novet, Peter Thiel becomes a part-time partner at Silicon Valley’s Y Combinator, VentureBeat (March 10, 2015)
  7. ^ 後のメッセージ──全米最凶の「噂の真相」サイトはなぜ破綻したか? すべての有名人が恐れたゴシップメディア「ゴーカー」創業者の激白
  8. ^ a b c Meghan O'Dea, "Peter Thiel.", Immigrant Entrepreneurship: German-American Business Biographies, 1720 to the Present, vol. 5, edited by R. Daniel Wadhwani. German Historical Institute. Last modified July 24, 2015.
  9. ^ “Peter Thiel”. NNDB. http://www.nndb.com/people/030/000124655/ 2016129日閲覧。 
  10. ^ a b c Parloff, Roger (201494). “Peter Thiel disagrees with you”. Fortune. 2016129日閲覧。
  11. ^ a b Brown, Mick (2014919). “Peter Thiel: the billionaire tech entrepreneur on a mission to cheat death”. The Daily Telegraph. http://www.telegraph.co.uk/technology/11098971/Peter-Thiel-the-billionaire-tech-entrepreneur-on-a-mission-to-cheat-death.html 2016129日閲覧。 
  12. ^ Bustillos, Maria (2016527). “Peter Thiel Isn’t a Supervillain”. Business Insider. 20161211日閲覧。
  13. ^ Feloni, Richard (20141110). “Peter Thiel explains how an esoteric philosophy book shaped his worldview”. Business Insider. 20161211日閲覧。
  14. ^ Baer, Drake (201524). “Here's the advice billionaire investor Peter Thiel wishes he could've given his younger self”. Business Insider. 20161211日閲覧。
  15. ^ ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ(関美和・訳)『ゼロ・トゥ・ワン君はゼロから何を生み出せるか』 NHK出版201460ページ。
  16. ^ Charlton, Alistair (20161111). “Who is Peter Thiel? PayPal founder shunned by Silicon Valley to advise Trump on technology”. International Business Times. 20161222日閲覧。
  17. ^ 坂和敏 (201731). “トランプ政権で高まるピーター・ティールの影響力”. gqjapan. 201731日閲覧。
  18. ^ 「人工知能は共産主義的」ピーター・ティールの見解”. MITテクノロジーレビュー (2018215). 201924日閲覧。


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