その痛み、手術しなくても治ります!  清水泰雄  2019.12.30.


2019.12.30. その痛み、手術しなくても治ります!
整形外科医が実践する「筋肉ゆるゆる療法」
椎間板ヘルニア、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛

著者 清水泰雄 整形外科医。1979年昭和大医学部卒、同時に同大病院整形外科学教室入局。東京共済病院、日本鋼管病院、社会保険相模野病院(現・相模野病院)整形外科部長を経て、90年に清水整形外科醫院を開業。西洋医学だけでなく、漢方などの東洋医学、トリガーポイント治療、プランセンタ治療などの併用により、効果を得ている
清水整形外科醫院 〒158-0083 世田谷区奥沢 5-14-11 03-5701-2801

発行日           2018.3.1. 初版第1
発行所           現代書林

絶対に手術をしたくない人必読!

第1章        なぜ日本の医療は「痛み」を治せないのか?
l  間違いだらけの「痛み」の治療
応急措置の「安静Rest」「冷やすIce」「固める/圧迫Compression」「挙上する/患部を心臓より高く上げるElevation」は全て間違い
痛みの許す範囲で日常生活を送る方が効果的。痛みの程度に応じて運動量を増やす

l  すべては患者さんから教えてもらった
l  痛みの原因の9割は「筋肉」にあり
長時間にわたって同じ個所に負担がかかることによって筋肉が硬直し、痛みが発生する ⇒ トリガーポイント=押すと鋭い痛みを感じる非常に過敏で限局した点で、筋組織の触診可能な索状硬結上の結節に存在する。押すと飛び上がるほど痛い箇所のこと
経穴(ツボ)と全く同一ではないが71%は一致
トリガーポイントができる原因は多岐にわたり、正確に特定できる説はない
石川県で開業する加茂淳先生がトリガーポイントの専門家
全身どこでも出現し、手足のしびれなどの原因になる
腰痛は腰の筋肉にできたトリガーポイントが原因で起こるケースがほとんどであり、足のしびれや疼痛は中殿筋、小殿筋にできたトリガーポイント、膝の痛みも多くの場合内側広筋にあるトリガーポイントが原因
神経根ブロックの功罪 ⇒ 神経根に直接注射する。神経に触れた瞬間が分からないといけないので麻酔はなし。椎間板に原因がある場合は治るが、2日しか効果がもたないこともある
トリガーポイント注射やトリガーポイントテーピングが有効 ⇒ ぎっくり腰の95%もテーピングだけで治る

l  痛みの常識を疑ってみよう
過度の運動は筋肉を痛めるので、膝や関節痛を引き起こす要因になるばかりでなく、激しい運動は活性酸素が発生して、細胞の老化を早める
腰の筋肉を鍛えるというのも間違い。腰痛と筋肉量は関係ないが、膝の痛みの場合は足の筋肉を鍛えることが痛みの軽減につながるケースもある。問題は鍛え方
肩凝りもトリガーポイントで、筋肉の質の問題であり、トリガーポイント注射で解決

l  痛みを取り除く世界の現状
トリガーポイント注射は、重度の腰痛持のケネディの主治医が実施して症状が一気に改善したというエピソードがある
人間はみな自然治癒力を持っており、トリガーポイント注射はテーピングはその手助けをしているに過ぎない

第2章        「まずは痛みを取り除く」が私の信念
l  「痛みを取り除く」事が医者の仕事
痛みを取り除く3つの方法が①トリガーポイント注射と②テーピング、③プラセンタ注射

l  トリガーポイント注射
痛みの原因のほとんどは、日常生活や疲労からできるトリガーポイントが原因。トリガーポイントとなった部分の筋肉が固まり、炎症が起きている状態
トリガーポイントに局所麻酔を注射して、固まった筋肉を緩めることで痛みを取り去る
薬剤は、メピバカイン塩酸塩注射液(カルボカイン)0.5%、ジプカイン塩酸塩、サリチル酸ナトリウム、臭化カルシウム等を配合したネオビタカインなどの麻酔薬
2020.1.4.の処方はネオビタカイン5ml 1

l  トリガーポイントテーピング
カイロの専門家加瀬健三氏考案のキネシオテーピング理論を基に私が考案
キネシオとは、人間の体を研究する学問「キネシオロジー」(人体運動機能学)の略
筋肉の動きに合わせて伸縮するテープを使用
ある特定の筋肉が緊張するとトリガーポイントが出来て腰痛などの原因となるが、筋肉の緊張によって血液やリンパ液の流れが悪くなり、リンパ液が細胞から余分な水分や老廃物を運ぶ役割があるので、流れが悪くなると筋肉が攣縮(れんしゅく:スパズム)を起こして硬直し、その状態が続くとトリガーポイントとなる
するとさらに血流やリンパ液の流れが悪くなり、筋肉内の発痛物質が1か所にどんどんたまり、しびれや痛みを引き起こす原因となる
トリガーポイントテーピングの最大の特徴は、痛みのある所に貼ることにより、その部分の皮膚を持ち上げ、皮膚の下の組織全体を緩めることにある
腰痛なら腰を少しかがめた姿勢でテープを貼り、腰を伸ばすとテープが寄ってしわしわになる。皺が寄ることで皮膚を持ち上げ、その下の筋膜や筋肉などの組織が緩む
3つの効果:
   血流促進効果 ⇒ 発痛物質が継続的に排出される
   筋力アップ効果 ⇒ 伸縮性のテープの助けで、効率よく動かせば負担なく筋肉を鍛えられる
   ゲートコントロール効果 ⇒ 手足をぶつけたりするときに無意識に痛いところを手で撫でるが、これは強い痛みの通り道(ゲート)を塞ぐ仕組みを利用した体の無条件反応。テーピングによってその部分に同じ効果が働くので痛みが和らぐ
腱鞘炎や毛根管症候群にも効果絶大 ⇒ 親指や手首の親指側に腱鞘炎の症状が起こるものを「ドケルバン病」と呼ぶ。毛根管症候群は手首にある毛根管で炎症が起こり、親指から薬指にかけてしびれや痛みが現れる病気などにも効果がある
注射とテーピングを併用すれば、早く痛みから解放される

l  痛み別のトリガーポイントと治療例
腰痛・下肢痛(坐骨神経痛) ⇒ 腰痛は、仙棘筋の圧痛部や腰椎椎間関節部位、上殿神経部位、腎兪(じんゆ)、気海兪(きかいゆ)、大腸兪などのツボに注射した後、体幹部を出来る限り前屈させてテーピングする
臀部から大腿後面、ふくらはぎにかけての坐骨神経痛 ⇒ 腰椎が原因ではなく、生活習慣からくる一時的なトリガーポイントが原因。小殿筋、中殿筋、大殿筋、ふくらはぎの承筋などのツボに注射し、中殿筋のテーピング併用が効果的
変形性股関節痛、臼蓋形成不全からくる股関節痛 ⇒ 小殿筋、秩辺(ちっぺん)のツボなどに注射。注射で股関節痛が改善するのは23割程度なので、数回注射しても良くならない場合は人工関節の手術を進める
変形性膝関節症 ⇒ 関節軟骨とは関係ない内側広筋の筋硬結やトリガーポイントが原因となっていることが多いので、その場合は内側広筋や血海(けっかい)、外膝眼(がいしつがん)、内膝眼などのツボに注射し、テーピングを併用
小殿筋のトリガーポイント効果 ⇒ 臀部から大腿部、膝関節の一連の痛みは、腰痛と言われるが、小殿筋のトリガーポイントが原因となっていることが多い。長時間の座位作業や運動をし過ぎたことなどが小殿筋に筋硬結をもたらして痛みやしびれが出る。小殿筋のトリガーポイントを取り除くためにストレッチやボールで圧迫することも有効だが注射の方が手っ取り早い。まずは股関節外側にある出っ張った骨(大転子)の上部をマッサージしたり、ボールで圧迫することを奨める
肩、上肢から、手指にかけての痛みやしびれ ⇒ 肩甲骨内側(背骨側)にある菱形筋群と棘上(きょくじょう)筋、棘下(きょくか)筋のトリガーポイントが原因であることが多い
肩凝り ⇒ 僧帽筋のトリガーポイントが主な原因なので、僧帽筋にある肩井(けんせい)と棘上筋、棘下筋にも注射。肩凝りがひどく、頭痛まで引き起こしているときは、後頚部の「池」のような窪みの風池(ふうち)というツボに注射

l  プラセンタ療法
プラセンタとは胎盤のこと。胎児を守り育てるための一時的な臓器で、胎児は胎盤を通して母親から血液や栄養を受け取る。老廃物も胎盤を通して母胎の血液中へ排出。肺や肝臓などの臓器が十分に機能していない胎児のために、各種の臓器の代行もする
胎盤から抽出されたプラセンタエキスを、注射薬、一般医薬品(内服薬)、サプリなどにしたものを治療に用いることをプラセンタ療法と呼ぶ
胎盤には、ミネラルやビタミンなど、胎児の成長に必要な栄養素の供給源となるだけでなく、様々な薬理作用を持っている
主な薬理効果だけでも、自律神経調整作用、肝臓の強化、基礎代謝向上と細胞の活性化、免疫賦活作用、抗炎症作用、内分泌調整作用、抗酸化作用、血行促進など多岐にわたる
様々な有効成分が複合的に働きかけるため、効果の因果関係は不詳
自然由来の生物製剤ゆえに、医薬品にはない効果を発揮する
保険適用。注射液としては「メルスモン」と「ラエンネック」が厚労省の認可取得 ⇒ 前者は更年期障碍と乳汁分泌不全に、後者は肝機能改善への適用が認められている
プラセンタ療法のうち効果が確認された主な治療法は、「皮下・筋肉注射」「ツボ注射」「トリガーポイント注射」「組織療法(埋没療法)」の4
プラセンタ療法で使われる注射液は日本人の発明
ここ10年で広く認知されたが、安全性や副作用に不安を持つ医師も ⇒ 感染症とホルモンの懸念が指摘されるが、副腎皮質ホルモンは含まれず、塩酸加熱処理や高圧蒸気減菌もするのでまず心配はない。唯一、狂牛病の懸念から輸血が出来なくなるデメリットあり
これまで効果があった実績 ⇒ 肩こり、腰痛、リウマチ、アトピー性皮膚炎、脱毛、更年期症候群、めまい、臭覚障碍など

第3章        症例で見る痛みの取り方
l  治療に向かった様々なケース
両足のしびれと腰痛がテーピングで解消 ⇒ 脊柱管狭窄症の診断で神経根ブロック注射を11回やっても治らなかった
むち打ちによる首と肩の痛みが消失
腰の痛みと間欠性跛行で車いす生活だったがプラセンタ注射で痛みが激減
起床時の激痛がテーピングで解消
眠れないほど痛かった臀部からふくらはぎの痛みが仕事復帰できるまでに改善 ⇒ 椎間板ヘルニアの診断だったが、両側の大腿後面の大腿二頭筋とふくらはぎの腓腹筋に圧痛と複数のトリガーポイントがあり、大殿筋と中殿筋にもトリガーポイントがあり、通院で5回ほどの注射で解消。全身の筋肉、特に下半身に硬結が起こりやすく、体質的にトリガーポイントができやすい状態。坐骨神経痛やトリガーポイントが原因のことが多い

第4章        自分でできるトリガーポイントテーピング
l  症状・疾患別のトリガーポイントテーピング
腰痛 ⇒ 背骨菱形筋の両脇にある脊柱起立筋にトリガーポイントが生じていることが多いので、脊柱起立筋に幅5cm、長さ30cmのテープ2本を用意、上体を前に倒した姿勢で、腰骨より5cm下で痛みのある所から真っ直ぐ下の位置にテープの一端を貼り、テープを軽く伸ばしながら(2030%伸ばす)背骨と平行に肩甲骨の約5cm下まで貼る。2本目のテープを背骨の反対側に同様に貼っていく。上体を起こしたときにテープに皺が寄るのが理想
坐骨神経痛 ⇒ お尻に戸トリガーポイントが生じていることが多いので、中殿筋にテーピングする。幅5cm長さ20cmのテープに15cmの切り込みを入れ、傷む方の足を上にして横向きに寝て腰と膝を軽く曲げる。切込みと反対側の基部を大転子(太ももの付け根の外側面にある骨のでっぱり)に貼り、体の後ろ側に来るテープを軽く伸ばしながらお尻のカーブに沿って腰の中央部に向けて貼る。体の前に来るテープを軽く伸ばしながらお尻の脇を包み込むように腰の中央部に向けて貼る
首や肩、腕にしびれや痛みを感じ頚椎症の診断 ⇒ 肩甲骨の内側にある菱形筋や肩関節を支える棘上筋にトリガーポイントが潜むので、前記同様20cmのテープに15cmの切り込みを入れ、肩をすぼめて肩先にテープの基部を貼り、上側のテープを肩甲骨の上部に沿って貼る。下部のテープを斜め下に向かって貼る
膝の痛み ⇒ 幅5cm長さ18cmのテープに13cmの切り込みを入れ、膝を直角より一足分前に出し、基部を膝の皿の下にある骨の出っ張った部分に貼り、斬り込みを入れた部分で膝の皿を囲むようにして貼る。テープを引っ張り過ぎないよう注意。貼った直後から痛みが和らぐので、効果がなければ、25cmのテープに20cmの切り込みを入れて上から二重に貼る
腱鞘炎や毛根管症候群 ⇒ 前腕部の屈筋群(手のひらを上に向けたときに上になり、手首を曲げるのに必要な筋肉群)にトリガーポイントが出来ている場合が多いので、毛根管症候群の場合は幅5cmで、前腕用20cm、手首用15cmを使い、手のひらを上に向けて手を外側に回転させ、ひじの内側から手首の外側に向けて前腕用のテープを引き伸ばさずにそのまま貼り、手を戻した後、手のひらを上に向けて手首をそらせ、手首の上を覆うように手首用のテープを横にして引き伸ばさずに貼る。腱鞘炎の場合は、前腕用幅5cm長さ20cm、親指用幅2.5cm、長さ15cmを使い、手のひらを上に向けて、痛みを我慢できる範囲で親指を外側に反らせ、親指の腹に親指用のテープを貼ったら、親指の付け根から手首の下あたりまでテープを引き伸ばさずに貼る。手のひらを上に向け痛みを我慢できる範囲で手首を下に向かって反らせ、手のひらの下半分(親指の付け根あたり)に前腕用のテープを貼ってそのまま手首から臂の裏側に向かって引き伸ばさずに貼る。前腕のトリガーポイントを指圧でほぐすとさらに効果が高まる
いずれも、筋肉を伸ばした状態で、テープを軽く伸ばしながら貼ること。貼った後痛みやしびれに全く変化が見られない場合は、貼る位置がずれているか、テープを伸ばし過ぎている可能性がある。肌の状態を確認しながら行うこと
患部をアイスパックなどで痛みのある部分を5分冷やして5分休み、2,3回繰り返したあとテーピングすると、血管が収縮するので、テーピングにより一気に血流量が増し、発痛物質をより早く洗い流すことに繋がる
テーピングしたままでストレッチをすることも、効果をアップさせる
坐骨神経痛の場合は、お尻の中殿筋を伸ばすイメージで側屈して、中殿筋が伸びている方の足をゆっくり前後左右に動かす
腰痛の場合は、前屈と後屈を交互に行い、脊柱起立筋を伸ばしたり縮めたりする
首、肩痛の場合は、腕を体の前で交差した状態で、背中を丸めるようにして肩甲骨内側の菱形筋を伸ばしたり縮めたりする
使用するテープは伸縮性のあるテープで、肌に直接貼る

l  その他の症状のトリガーポイントテーピング
患部の皮膚を伸ばした状態で貼る。肌にテープを乗せていくイメージで、自然な状態に戻したときにテープに皺が寄っているのが理想
脚のつり ⇒ 4050cmのテープを5cm残して切り込みを入れ。踵に基部を貼り、引き上げるようにしてふくらはぎを包むように筋肉の両側に貼る。うつ伏せになって膝と足首を直角に曲げて貼るか、低い台に下肢を乗せて膝と足首を曲げて貼る
ふくらはぎの肉離れ ⇒ 上記のテーピングをした上から、横にテープを重ねて貼る
足首の捻挫 ⇒ 30cm15cm2本のテープを5cm残して切り込みを入れ、長い方のテープの基部を足裏のくるぶしの下に貼ったあと上に向かって貼り、短い方のテープの基部をアキレス腱の内側に貼りアキレス腱を囲むようにくるぶしの上下に向けて貼る
腰痛、ぎっくり腰(背骨の痛みからくる場合) ⇒ 5cm残して切り込みを入れた30cmと切込みのない15cmのテープを使い、真っ直ぐに立って長いテープの基部を尾骨の数センチ上、腰骨の上に貼り、上体を前に曲げ、背骨の横にY字になるように貼る。上体を前屈したまま、短いテープを長いテープの上から横に腰の痛む部分に当て、中心から左右に向かって貼る

l  トリガーポイントテーピングQ&A
風呂に入っても、テープの上から軽く水気を拭き取るだけで、粘着力がある限りはそのまま使える
テープ自体に薬効成分は含まれていないので、副作用はない
暫くしても痛みやしびれに変化がない場合は、位置をずらして効果のある場所を探る




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