権力犯罪 黒田清/大谷昭宏 2017.7.2.
2017.7.2. 権力犯罪
著者
黒田清 1931年東京生まれ。ジャーナリスト。51年、読売新聞大阪本社に入社。77年より社会部長として「戦争展」の開催、人気コラム「窓」の執筆など、独自の記者活動を行う。83年『警官汚職』(角川書店)で日本ノンフィクション賞、85年には読売新聞連載「戦争」と「戦争展」で菊池寛賞を受賞。87年、読売新聞社を退社、「黒田ジャーナル」を設立。「窓友会」を主宰し、月刊『窓友新聞』を発行するとともに、テレビ、ラジオ、講演と幅広いジャーナリスト活動を展開。
2000年7月23日、すい臓ガンのため死去、享年69歳。本書が絶筆。
大谷昭宏 1945年東京生まれ。68年、読売新聞大阪本社入社。徳島支局を皮切りに大阪本社社会部・大阪府警捜査一課、朝刊社会面コラム『窓』欄などを担当。87年、読売新聞社を退社し、黒田清氏とともに「黒田ジャーナル」設立。黒田氏没後は個人事務所を設けてテレビ、ラジオ等でジャーナリズム活動を展開。
主な著書(共著を含む)として、『警察幹部を逮捕せよ!』『関西電力の誤算』(旬報社)、『日本警察の正体』(日本文芸社)、『グリコ・森永事件――最重要参考人M』(幻冬舎)、『新聞記者が危ない』(朝日ソノラマ)、『警察が危ない』(朝日ソノラマ)ほか多数。
主な著書(共著を含む)として、『警察幹部を逮捕せよ!』『関西電力の誤算』(旬報社)、『日本警察の正体』(日本文芸社)、『グリコ・森永事件――最重要参考人M』(幻冬舎)、『新聞記者が危ない』(朝日ソノラマ)、『警察が危ない』(朝日ソノラマ)ほか多数。
発行日 2000.12.23. 初版第1刷発行
発行所 旬報社
はじめに 権力犯罪の「系譜」から見えてくるもの 大谷昭宏
「権力犯罪の構造」ではなく「権力犯罪の系譜」とする理由 ⇒ 構造を解明してもその種の犯罪を断ち切ることはできない。戦後日本の権力の基盤は、民主主義によって築かれたものではなく、犯罪によって作られた
権力犯罪とは、権力が犯す犯罪というより、権力そのものが犯罪によって作り上げられた
戦後日本の最大の不幸は、その権力が保守本流という形で脈々と続いてきたことにある
序 権力犯罪の読み方 黒田清
l 新しい権力者たちの跳梁
日本の権力犯罪の系譜をたどるのが本書の目的
戦後の新しい権力は、戦争で源を断たれた物資の調達のための権利を独占しようとして、権力犯罪が発生
1948年、権力者の地位争奪戦として、戦後初めての大掛かりな疑獄事件「昭電疑獄」が摘発されるが、それより以前にまず隠退蔵物資を巡る動きとそれに関わる2人の人物、児玉誉士夫と辻嘉六に注目
l 終戦処理内閣の奇妙な人事
終戦処理内閣だった東久邇内閣誕生の際、内閣参与事務嘱託として、賀川豊彦や大佛次郎に交じって児玉誉士夫がいた ⇒ 内閣が権力者の資金として、隠退蔵物資を必要としたからで、この任命が戦後数十年の日本の権力犯罪に大きな影響を与えた
l 闇から闇へ流出した隠退蔵物資
隠退蔵物資を巡って、GHQ、旧軍人、民間人が分捕り合戦を展開、共産党による不正摘発運動もあったが、実際に摘発されたのは僅かで、事実究明には程遠かった
l フィクサー辻嘉六と児玉誉士夫
自由党系の中曽根幾太郎が軍服払い下げやその他の隠退蔵物資によって儲けた莫大な金が、彼に繋がる政界の黒幕辻嘉六を経て政界に流れる ⇒ 供応を受け、選挙資金を与えられた政治家は26人に上り、鳩山の日本自由党結成には児玉とともに結党資金を提供
辻は48年臨床尋問を受け病死したが、児玉はその後も次々と発覚する権力犯罪に必ず顔を出す (未完)
第1部 権力犯罪の系譜
1.
政・官・財癒着のはじまり
戦後の日本で、軍需物資が横領された「隠退蔵物資事件」に絡んで生まれたのが保守政党と、地検特捜の前身とも言える「隠退蔵事件捜査部」
45年、鳩山一郎の日本自由党結党にあたって資金を提供したのは右翼の大物児玉
児玉は、戦時中旧日本軍の物資調達機関である「児玉機関」の黒幕として大陸で暗躍、終戦時軍需物資の横領により財を築く
鳩山と児玉の仲を取り持ったのが辻嘉六 ⇒ 台湾総督から日露戦争時の陸軍総参謀長だった児玉源太郎の私設秘書として政界に近づき、有力政治家との交流を続ける黒幕として暗躍、日本に亡命中の孫文らの財政的援助もしていた
辻を通じて、隠退蔵物資を横領した闇金が政界にばら撒かれたのが「辻嘉六事件」だったが、捜査の手は大物政治家には伸びなかった
右翼のフィクサーからのどす黒い資金で誕生した保守政党は石炭や肥料、造船などの基幹産業に対する復興融資を食い物にした結果、後に首相となる3人がかかわった事件が、「昭電疑獄」、「炭鉱国管汚職」、「造船疑獄」
企業はより多くの権益の獲得に走り、「財」が資金を集めて政界にばらまき、「政」はその見返りとして「財」の利権を増幅させる――「政」と「財」の癒着が出来上がる
地検の捜査能力が公職追放で劣化、斡旋収賄罪がなかったことなどから、政界汚職の無罪が続き、フィクサーの暗躍が増幅される
地検特捜による「戦後日本の3巨悪」 ⇒ 児玉、森脇将光、田中彰治代議士(恐喝詐欺師)
² 隠退蔵物資事件(辻嘉六事件)
l 旧日本軍の貯蔵物資を山分けにした男たち
隠退蔵物資とは、旧日本軍が国内各所に貯蔵していた軍需物資で、約2,400億円相当、日本経済を1年半支えられる分量だったという
終戦前日、鈴木内閣は、これらの国家資産を民間に払い下げる閣議決定をしたが、忽然と姿を消す
敗戦直後、ひと際異彩を放っていたのが辻嘉六 ⇒ 児玉源太郎が台湾総督に就任した際の私設秘書として台湾に渡り、以来政友会系政界巨頭と親密な関係を持ち続け、敗戦後の自由党結成に際し巨額の資金を投げ出したことから絶大な権力を握るようになり、政界の古老として政治家間に神秘的な影響力を持った
保守系の政治家にカネを配って得た利権を業者に与えて献金を受け、それをまた政治資金に使うことで陰から政界を操ってきた
l 日銀の地下倉庫にダイヤモンドがあるとの爆弾発言
46年、吉田内閣は経済安定本部に「隠退蔵物資等処理委員会」を設け、副委員長に日大教授の世耕弘一を任命 ⇒ 世耕が遠山の金さん張りの動きで、日銀の地下金庫にダイヤモンドが約5升(100億相当)、他に500億相当の物資が温存されているとの爆弾発言
GHQが否定の声明まで出す事態になったが、世耕が内務政務次官当時に出した各府県警務部長宛ての紹介状が悪徳ブローカーらによって悪用され、隠退蔵物資を巡る恐喝や詐欺事件が続発(世耕事件)
l 軍の隠退蔵物資による不当利得が政界へ
世耕事件を糾明する過程で、自由党系の中曽根幾太郎という実業家が軍服の払い下げなどで大もうけした金を辻に献金、辻が政界の各方面に流していたことが判明
病気で逃げる辻を臨床尋問したり、公職追放中の鳩山を証人喚問したが、疑惑は解けず
隠退蔵物資を横流しして濡れ手に泡の如く掴んだ金を政界に贈った辻も、贈られた大物政治家たちも訴追を免れ悠々と生き延びる
日本の保守政党は、敗戦直後に右翼が国家資産をかすめ取った資金や隠退蔵物資のヤミ金で誕生し、基幹産業への復興融資を食い物にすることで肥大化していく
² 昭和電工疑獄事件
l 社会党参加内閣を倒壊させた汚職事件
48年、復興金融公庫の融資を巡る不正事件を契機に、芦田前首相、西尾末広前副総理、大野伴睦民自党顧問、来栖赳夫経済安定本部長官、福田赳夫大蔵省主計局長ら44人が起訴
芦田が国務大臣当時土建屋から賄賂を受け取ったことが斡旋収賄に当たるが、現行刑法にその規定がないため無罪、その他の金銭の授受も政治献金とされ無罪
l ワイロという認識なく金をもらったから無罪という奇妙な判決
昭電グループの控訴審でも、金銭の授受を贈収賄と認識していなかったという理由で、西尾と福田は無罪
l 戦後の産業復興政策にたかった政官財
46年、政府は石炭増産による生産拡大を企図して、炭鉱用鋼材を補うため、GHQに要請して輸入した僅かな重油を鉄鋼生産に注ぎ込み、出来た鉄鋼を石炭生産に向ける、掘り出した石炭を鉄鋼、火力発電、鉄道、化学肥料に回すという作戦
47年、資金の供給者として復興金融金庫を発足させるが、裏付けは「復興債券」
財閥解体のどさくさの中で、日本水素という中小企業の社長に過ぎなかった日野原が政界大物と言われる義兄の菅原通災やその友人の芦田、来栖らと共謀して昭和電工の経営権を握り、肥料生産へ転換、復興金融金庫から融資を受け、その一部を贈収賄に流用した
贈賄側の克明なメモから、政・官・財界の有力者の名前が判明
検察の捜査が内閣を倒したのは、戦前の「シーメンス事件」「帝銀事件」に次いで3件目
開会中の国会に芦田の逮捕許諾請求が出され、議会が可決。芦田は民主党総裁も辞任
GHQ内部のタカ派(参謀2部GII)とハト派(民生局GS)の抗争もあった
l 炭鉱復興にからんで逮捕された田中角栄
GIIが仕掛けたのが昭電疑獄なら、GSが後押ししたのが「炭鉱国管汚職」
47年、重点産業と位置付けられた石炭で、片山内閣が炭鉱を国家管理にしようとしたのに対し、全国の炭鉱業者が阻止しようと政治家などに賄賂を贈った事件
4人の政治家を含む12人が逮捕 ⇒ 田中角栄は芦田内閣の法務政務次官として昭電疑獄追及の急先鋒に建っていたが、一転逮捕されたものの、受け取った金が工事の前渡金と見做され無罪、政治家は全員無罪
政・財界癒着の典型的な疑獄事件にお墨付きを与えるような判決
昭電疑獄は、芦田内閣を倒し長期の吉田内閣を生む契機となった ⇒ 警察予備隊という名の「再軍備」に踏み切ったのは昭電疑獄のわずか2年後のこと
² 造船疑獄事件
l 法相、「指揮権発動」で現職幹事長の逮捕を阻止
「臆病者の義理知らず」とは、大事を託すことのできない人物のことであり、「指揮権」を発動した犬養健法相などは、さしずめその最たるもの。政府の圧力と検察陣の猛烈な攻勢の間に挟まれ、結果的には吉田首相への忠義を選び、国民の付託という義理を欠いた。「屁たれ」
海運・造船業界の不況救済のため「外航船舶建造融資利子補給法」成立の謝礼として、自由党幹事長佐藤栄作は、造船工業会や船主協会から党に各10百万、飯野海運俣野社長らから佐藤と池田個人に各2百万が贈られたことが判明、検察は政府の要請を押し切って両者の逮捕に踏み切るが、犬養法相が検察にストップをかけ、逮捕された71人が全員釈放
l 会社の損失を国家に補償させる今も変わらぬ汚職
戦争で崩壊した基幹産業復興のための国家資金に寄生し、着眼した政官財の汚職事件
47年、「計画造船」スタート、外航船の建造資金は70%が政府全額出資の船舶公団から、残りが銀行融資という”過保護”となったため、海運界は如何に多くの船舶建造割り当てを受けるかで、政・官への賄賂攻勢を仕掛ける
49年の朝鮮戦争勃発以降は、復金融資に代わってアメリカの「見返り資金」(日本が支払った配給小麦粉などの積立代金)を年利7.5%で使えるという厚遇を受ける
休戦とともに不況に喘ぐと、銀行融資の利子補給法成立を働き掛け、50年に遡って復金に代わる開銀融資の利子を3.5%に、市銀の利子を11%→5%に引き下げるというもの
血税による国民負担は167億円に上る ⇒ しかも、その利権法案は、吉田自由党と鳩山自由党、改進党の保守3派共同提案で、僅か10日ほどで可決、成立
l 暗躍する森脇将光と田中彰治
造船疑獄は高利貸し・森脇の出した1通の告訴状が発覚の契機
裏金融界のトラブルに関連して捜査に入った山下汽船から「横田メモ」が発見され、造船会社から海運会社に莫大なリベートが上納されその裏金が政界に流れている構図が浮かび上がり、河井信太郎率いる東京地検特捜部が逮捕したのは28社80人に及ぶ
森脇が詳細を記した「森脇メモ」を決算委員長の田中彰治に渡したと証言、田中は「メモが発表されると内閣が潰れかねない」と発言、一挙に政治問題化。政治献金か第3者収賄かで揉め、最終的には検事総長が「逮捕すべし」と決断
l 「指揮権発動」犬養法相のあわれな末路
犬養はこの時代には珍しい2世議員。昭電疑獄で逮捕された芦田の後任で民主党総裁に就任したが、吉田茂の甘言に釣られて自由党へ走り、その”功績”により法相となる
起訴された37人のうち政治家は僅か4人、いずれも無罪か執行猶予付き
佐藤は、54年に政治資金規制法で起訴されたが、国連加盟で恩赦
吉田内閣は、財界や与党内部からの反対もあって総辞職。新たに自民党が発足し半永久政権となって構造汚職も安定期に入る
犬養は、哀れ政界の孤児となって失意のうちに亡くなる
² 吹原産業事件
l 官房長官の念書で銀行から金を引き出そうとした奇怪な事件
戦後の権力犯罪の中で最も奇怪な事件
他の詐欺事件で逮捕された森脇は、もともと戦後の「トイチ」で稼ぎまくった高利貸しで、自民党議員との関係も取り沙汰されたが、結局単独の詐欺事件として判決が確定したのは80年、後ろ盾だった河野一郎も亡くなり本人も80歳になっていた
その「森脇メモ」を悪用したのが田中彰治。正義の味方を演じることに味をしめたか、その後の汚職事件でも政界を揺るがす爆弾男として登場、自ら発行する週刊誌で、政官財会のスキャンダルをすっぱ抜いたかと思うと、金や情報と引き換えにして矛先を収めるなど、マッチ・ポンプ的な要素もあった
65年、三菱銀行の30億円の通知預金証書詐欺で逮捕されたのが吹原弘宣。池田派べったりの政商。ビル管理やボーリング場経営の会社で株主には大平正芳や池田内閣の官房長官黒金泰美らが名を連ねる
l 自民党総裁選がらみの資金という疑惑
64年の自民党総裁選は稀に見る金権腐敗選挙となり池田が佐藤・藤山を抑えて勝ったが、「ニッカ」「サントリー」「オールドパー」などの隠語が囁かれる ⇒ 池田は僅か4か月で癌に倒れ、佐藤が後継に。さらにライバルの河野一郎が急病死、池田も亡くなり、佐藤の長期政権となった
選挙で池田・佐藤が頼ったのが森脇で、森脇と吹原が仕組んだ詐欺事件 ⇒ 黒金と親しかった吹原に官房長官名の念書を偽造させ、三菱銀行から大金を詐取しようとしたもの
検察が、それまで情報源として使っていた森脇を切り捨てた瞬間
l 戦後の悪・森脇将光と田中彰治の追放
66年には、田中角栄が絡んだ旧虎ノ門公園の国有地払い下げに関連して、国際興業の小佐野賢治を脅かしたとして田中が逮捕される
巨大な自民党の誕生は、財界とのパイプをさらに強化し、合法的に利権を取り出していく
国と党という二重支配が権力犯罪を覆い隠し、検察に対する厚い壁となって立ちはだかる
こうした構造汚職の安定期に入ると、ウラ世界のフィクサーの手を借りるまでもなくなり、戦後日本の3悪人も例外ではなく、森脇、田中を売ることで生きながらえていた児玉もロッキード事件で白日の下に晒される
2.
政・官・財癒着の完成
68年、日本のGNPは世界2位に躍進。産業界は活況を呈し、業界間の利権を巡る争いを背景にした汚職事件が摘発 ⇒ 共和製糖事件(67年)、大阪タクシー汚職事件(67年)、日通事件(68年)
73年の石油ショック ⇒ ロッキード事件(74年)、ダグラス・グラマン事件(79年)、KDD事件(79年)
これら事件の共通点は、自殺者を出していること ⇒ フィクサーに代わってその役割を背負わされた中間管理職や秘書が、その重荷に耐えられなかった結果
自民党一党支配の安定期、田中支配が続き、後に暴かれる政財官の汚職の構造を作り上げ、田中以降政治家が地検特捜部に逮捕されるのは85年の撚糸工連事件までない
そして、自民党は、一旦野党に下るものの他党を巻き込みながら再び政権党の命脈を保ち続ける
² 日本通運事件
l 特捜検察の黄金時代
67年の共和製糖事件 ⇒ カネをもらっても政治献金といえば地検も手を出せず、賄賂の立証は困難
特捜地検の黄金時代 ⇒ 馬場義続が生みの親、河井信太郎が次席、その下に吉永祐介
l 日通独占体制維持工作のウラ金づくり
日通は、37年政府出資も含め6社を合同して設立された国策会社、国鉄貨物、特に政府買い入れ米麦の陸送を独占していたが、59年中小が合同して「全国通運」を設立、68年から食糧庁が米麦の輸送を認めたことから、輸送業界のガリバーだった日通にも危機感が募り、政界工作が始まる
まずはウラ金作りのためのトンネル会社を設立、架空工事で資金を捻出するが、社長らがその金を横領して逮捕
l 金をもらった政治家47人、起訴はたったの2人
カネをもらった議員は「日通議員」と呼ばれても、ただカネをもらっただけでは贈収賄はもとより、政治資金規制法にも公選法違反にもならない
日通労組から社会党経由参院議員となった大倉が、58年に新設された斡旋収賄罪で、自由党の池田正之輔が受託収賄罪で起訴
河井は、特捜の被害者たちからの攻撃により、地方へ飛ばされ、特捜は壊滅的な打撃を受ける
² ロッキード事件
l 海のむこうから飛んできた国際スキャンダル
戦後最大の汚職事件で「総理大臣の犯罪」として有名
田中は、72年に首相就任、日中国交回復により中国残留日本人孤児の帰国に道を開いたが、列島改造論が土地の投機熱を煽り、狂乱物価を増幅させたうえ、資産形成に絡む「田中金脈」問題を追及され、74年退陣
76年、米上院外交委員会多国籍企業小委員会(チャーチ委員長)の公聴会で、ロッキード社が「トライスター」の売り込みを巡って日本はじめ十数か国に工作資金をばら撒いたことが暴露され、児玉、丸紅、国際興業を通じて政府高官にカネがばら撒かれていたことが発覚
田中の後継だった三木は、指揮権発動はしないと明言、国会は関係者を次々と証人喚問し、全首相を頂点とする事件の真相を把握
76年、地検は、田中を工作資金5億円の授受に絡む外為法違反と受託収賄罪で逮捕、起訴
全日空の次期大型旅客機購入計画をトライスターにするよう、運輸大臣だった佐々木秀世に行政指導させたという容疑
全日空ルートでも、全日空から賄賂をもらった橋本元運輸相、佐藤孝行元運輸政務次官が、日航による大型機の国内導入延期を指導。賄賂の原資はロッキード社のウラ金だった
l 軍用機導入をめぐる疑惑は謎のまま
72年、田中はニクソンから対日貿易赤字削減のために米国製航空機導入を要請されて快諾、直後に全日空はダグラスDC10からトライスターに変更
灰色高官は14名に上ったが、起訴されたのは田中、橋本、佐藤の3人のみ
ロッキード社は、対潜哨戒機P3Cオライオンの売り込みでも児玉に動いてもらったことを明らかにしたが、児玉が脳血栓で倒れ疑惑解明への道は閉ざされた
l 疑惑発覚から19年、総理大臣の犯罪確定
77年、公判スタート。起訴されたのは16名 ⇒ 田中は83年の1審、87年の2審とも実刑、85年の脳梗塞から93年死去するも、95年の丸紅ルートの判決で最高裁が田中への贈賄の事実を認定したことにより「総理の犯罪」が確定
丸紅ルート最大の争点は、首相の職務権限と、米国司法省に依頼して実現した嘱託尋問の証拠能力 ⇒ 前者は運輸大臣への働きかけを総理の職務権限と認定したが、後者については、事前にロッキード社の証言に対し最高裁が検察による不起訴宣明(刑事免責)を認めておきながら、後に自ら証拠能力なしと否定
病床の親分から権力を奪取した竹下や金丸が新派閥を作り、親分に学んだ「二重権力」をしっかりと受け継ぎ、恐ろしいほどの集金能力の構造が、まさにゼネコン疑惑として明るみに晒された93年、田中はこの世を去る
97年、佐藤孝行は橋本内閣の総務庁長官に就任、有罪が確定しながら反省もない人間に政治改革を任せようとする政治の腐りように世論が猛反発、急遽辞任となった
l ロッキード事件謀略説の背景
首相現役当時の犯罪で逮捕、有罪となったのは田中が初
児玉がらみの軍用機問題を始め、事件そのものの謎は残されたままだったことから、謀略説が流れる
ロッキードが世界にカネをばらまいたのに、大スキャンダルに発展したのは日本のみ
謀略説の根拠の1つは田中の資源外交 ⇒ 73年の第4次中東戦争勃発で石油供給の窮地に立たされた日本は米国を裏切って親アラブ政策に転換、石油を確保するとともにいずれは日の丸原油を採るとしてメイジャーを刺激したため、米国の琴線に触れたというもの
² KDD(国際電電)事件
l 貴金属密輸品は政治家への贈りもの
2000年、KDDI誕生 ⇒ 京セラ系の新電電DDI、トヨタ系携帯電話会社日本移動通信IDO、国際電話の最大手国際電電KDDの3社が合併、NTTに挑戦
KDDは、もともと政府系特殊法人として国際通信を独占、規制緩和の一環で民営化
事件の発端は、79年のKDD社員による貴金属密輸事件 ⇒ 成田の税関で摘発されたのを契機に、独占体制維持を目論んだ郵政族議員らへのバラマキ工作が発覚
l カネを受けとった政治家190人の名前は公表せず
金品を受け取った政治家は190人に達したが、賄賂としての認識や職務権限を絞り切れずに起訴を断念、KDD社長ほかの業務上横領と郵政官僚相手の贈収賄のみを起訴、常習的な企業犯罪を厳しく断罪。公費天国と言われ、桁外れの乱脈交際費がクローズアップされた
l 2人の自殺者は何も語らない
官僚のタカリや交際費の使途といった問題に矮小化され、灰色高官は訴追を免れる一方、政界工作のキーマンだったKDDの社員2人が自殺
3.
バブル経済下、マネーばらまく新興企業
80~90年代ハ、モノ優先の拝金主義がはびこり、著しいモラルの低下を招く
88年の政治献金は総額1,722億円と過去最高。地方分も合わせると3,037億円
政官財の癒着を生み出した自民党の1党支配に陰り ⇒ その契機となったのがリクルート事件、佐川急便事件。いずれも規制をかいくぐって躍進してきた一昔前のベンチャー
政官財の構造癒着の典型がゼネコン汚職 ⇒ 公共事業の発注を巡るトライアングル
² リクルート事件
l 情報産業王国めざす江副の野望
リクルート事件=情報汚職 ⇒ 情報を集めて伝達する「報道」とは利権であり、カネだという論理で事業を進め、利権を得るために未公開株を道具として使う
利権によって情報王国を作るのが野望
l スーパーコンピュータの見返りに未公開株を譲渡
電電公社の民営化によって誕生したNTTの初代社長にIHIの真藤に江副が接近、高速デジタル通信回線リセール事業や、米国クレイ社のスーパーコンピュータの時間貸し事業の構想を持ち掛け、86年にはCOCOMで禁じられたコンピュータ4台をNTTに輸入させて、うち2台をリクルートに転売、その見返りとしてリクルートコスモスの未公開株を譲渡、年末には公開して真藤は22百万円の利益を手にしたが、贈収賄として逮捕
l 政界の“風見鶏”中曽根康弘をめぐる疑惑
九頭竜川ダム汚職、殖産住宅事件、ロッキード事件など、名前が上がりながら都度逃げ切った政界の“風見鶏”中曽根は、党内4番目の弱小派閥ながら、田中派の支持を受けて82年政権を握る
レーガンから対日貿易赤字是正を迫られた中曽根がスーパーコンピュータ購入を承知していると回答したが、中曽根は江副からの働きかけを全面否定、真藤も否定したためうやむやに終わる
その後江副が様々な政府公職に任命されるが、江副は中曽根の秘書にリクルートコスモス株を贈っており、中曽根が職務権限を使って便宜供与したのではないかとの疑惑
l 公表されたリクルートコスモス株譲渡者リスト
88年、衆院のリクルート委員会でリクルートコスモス株の譲渡リストをチェックしたところ、17人の政治家の名があり、幹事長時代に株を譲渡されていた竹下内閣はこれを機に翌年崩壊
88年、最高裁が殖産住宅事件の判決で、値上がりの確実な新規公開株は賄賂と認定したところから、17人にも嫌疑がかかったが、見返りに相当する”お返し”をしていないという理由で13人は不起訴、受託収賄罪で藤波と公明党の池田のみ起訴、中曽根は子分に責任を押し付けて生涯最大の危機を乗り切る
l 文部省・労働省にまで広がっていた腐敗の構造
リクルートのカネに群がった政治家は100人以上とも言われ、政界の腐敗が中枢にまで及んだことを物語る
文部省の剛腕事務次官・高石邦男も収賄罪、労働省も権力犯罪の初舞台となって就職情報誌の規制をストップした見返りに接待を受けていた
元々は、川崎市の都心再開発とリクルート進出を巡る、同市助役への汚職事件だったが、朝日新聞の記者が告発、ただし、同年の「サンゴ事件」と相殺されて新聞協会賞とはならず
² 佐川急便事件
l オモテ舞台に踊り出た右翼・ヤクザ
佐川マネーによって、ウラ社会にいたヤクザが拝金主義の蔓延したオモテ舞台につけ込み、宰相誕生にまで手を貸していたのが実態
保守政党と右翼・ヤクザとの持ちつ持たれつの関係は、明治以来続いているが、彼らが秩序を失うと、政治家といえども手に負えない
l 竹下登「ほめ殺し」中止の真相
87年、中曽根の後継を巡り、竹下幹事長と安倍政調会長、宮澤蔵相が争い、竹下派の最高実力者金丸を悩ましていた右翼団体によるほめ殺しをやめさせるために、東京佐川の渡辺社長に対応を依頼、渡辺は知り合いのヤクザに持ち込んで手打ちとなり、無事竹下首相が誕生
l 新興企業「佐川急便」内の確執
ほめ殺しのウラには、角栄の便宜で急成長を遂げた佐川にとって、角栄を裏切った竹下が許せなかったという説が有力
東京佐川の渡辺は、佐川からの独立を狙って竹下に接近したが、持ち込み先のヤクザがバブル崩壊で大損した穴埋めを迫られ、特別背任で告訴。東京佐川から稲川会計に流れた金は総額4,900億円とも言われる
l 5億円授受、罰金20万円の金丸信
渡辺から5億の選挙資金を受け取った金丸は、授受を認め副総裁を辞任するが、検察の事情聴取も拒否、上申書を出すだけの政治資金規制法の「寄付金の量的制限」違反での略式起訴で罰金20万円のみ
検察の弱腰に対し世論の批判が相次いだが、当時の検察庁は上から下まで京大卒、1つの省庁で京大がこれだけ枢要ポストを独占した例はないとされ、岡山大卒の吉永は飛ばされたといい、弱腰の理由は遂に不明のまま
佐川内部と右翼の関係は謎のまま、佐川急便の株は今も右翼関係者が多く保有、内部抗争が絶えないという
4.
バブル崩壊で噴出、金融不正事件
バブル崩壊とともに、様々な金融不祥事が発覚 ⇒ ウラ社会の暴力団やフィクサーがオモテ社会に登場、一流企業と一緒になって暴れ出したケースと、91年施行の「暴対法」でオモテに炙り出されそうになった暴力団がフロント企業を使って巨額マネーを動かすようになったケースに集約
² イトマン事件
l 住友銀行の平和相互吸収合併の実働部隊
住銀の首都圏進出作戦の前に現われたのが平相、同行の内紛に乗じて創業家の株の受け皿として住銀が使ったのが政界やウラ社会にも人脈のある川崎定徳の佐藤茂。イトマンからの融資で株を取得させ、平相の経営陣を特別背任で斥け吸収合併。その後もイトマンともども強引な手法で地上げに手を染めていく
l 地上げ屋伊藤寿永光と許永中によるイトマン食いつぶし
イトマンが拡大路線の邁進中にスカウトしたのが地上げ屋でウラ社会にも通じた伊藤
伊藤の融資先が雅叙園観光の仕手戦に失敗、同じく融資をしていた許永中らと知り合う
許は、日本レースの買収防衛に絡む土地転がしでぼろ儲けし、絵画ビジネスでイトマンに接近、他にも伊藤と組んで様々なプロジェクトを持ち込みイトマンを食い物にする
河村、伊藤、許は特別背任で起訴されるが、闇に消えた何千億ものカネの行方は不明
² 野村証券損失補てん事件
l スクープ記事で株の損失補填明るみに
91年、野村の160億円に上る損失補填をスクープしたのは讀賣
税務申告で「自己否認」して納税したのを不審に思った国税が突き止めた
4大証券とも同様の手口で補填、3年間で900億にも上った
l 大蔵省も認めていた官民一体の不祥事
89年、大和証券による「飛ばし事件」 ⇒ 企業の財テクに利用されていた「特定金銭信託(通称:営業特金)」がブラックマンデーで損失を計上、決算期の異なる会社に移し替えて損失の露見を回避していたが、回避しきれなくなって破綻。山一はこれで倒産
大蔵省は、90年末までに営業特金の解約を指示、証券会社は損失を出した場合、「自己否認」をしたが、大蔵省がこれを黙認していた
l 暴力団への株取引便宜供与が判明
橋本蔵相は黙認の事実を否定したが、損失補填は官民一体の不祥事というのが通説
時を一にして野村と稲川会との不透明なつながりが発覚
稲川会会長による仕手戦に絡む疑惑浮上。田淵会長・社長とも辞任するが、国会の証人喚問に対しては違法はないと押し切る
l 損失補填は日本を代表する企業の多くが受けていた
大蔵省は、行政処分のみで、証拠不十分により証取法違反の告発は見送り
4大証券による補填リストが公表され、196法人と3個人を対象に総額1,283億円
野村はさらに総会屋への利益供与まで発覚して後任の酒巻社長が逮捕
株式市場は個人投資家から見放され、長期の株式低迷へと続く
² 金丸信脱税・ゼネコン汚職事件
l 検察ついに金丸信逮捕
93年、金丸が所得税法違反(脱税)で逮捕 ⇒ 原資が年間10億を超すゼネコンからのヤミ献金。仙台市長、宮城県知事らが逮捕
l 公共事業をめぐる闇献金と談合
談合と自己否認/否認申告が横行 ⇒ 談合に免罪符を与えたのが金丸らの政治家で、ゼネコンからの要請を受け、公取委の指針で公共工事の入札を独禁法の適用除外とさせた
l ゼネコン汚職と自民党一党支配の終焉
93年、宮澤内閣不信任の解散総選挙で自民党惨敗
ゼネコンにメスが入ったのも、選挙結果と無関係ではない
l 今なお健在“土建国家日本”
94年、前建設相・中村喜四郎の逮捕許諾請求、贈賄側の鹿島も再逮捕
中村は、田中・金丸直系の建設族で、談合に対する告発を阻止するために公取委に圧力をかけた。職務権限の壁で告訴しにくく、斡旋収賄罪での告訴は実に26年ぶり
² 東京協和・安全信組事件
l 金融機関破綻の引き金となった2信組
2信組破綻が、木津、兵相の取り付け、日債銀、長銀の倒産等金融パニックの引き金
イ・アイ・イ・インターナショナルの倒産が発端 ⇒ 社長の高橋治則は父からの事業を引き継ぎリゾート開発などの投機に走るが、バブル崩壊による土地価格の暴落やリゾートブームの終焉により、91年頃から経営が悪化、長銀以下の取引銀行は7,000億もつぎ込んだが撤退、一部は回収不能とした。2信組は高利で集めた預金もあって融資を継続、最終的には日銀と預金保険機構、東京都が出資した受け皿銀行を設立、正常債権だけを切り離して2信組は清算
l 暴露された政治家や官僚のあさましさ
この過程で、2信組を舞台にした政治家や大蔵官僚のタカリや、監督官庁の無責任な姿が浮き彫りにされる。その筆頭が山口敏夫と中西啓介、大蔵官僚では主計局次長の中島義雄と東京税関長の田谷廣明
政治家と官僚に骨まで食い尽くされたのが実態
5.
露呈する官僚組織の腐敗
バブル崩壊の過程で「政」と「財」が揺らいで恥部を露出するなか、「官」だけはしたたかに生き延びていたが、運命共同体のバランスが崩れたことでその綻びを露呈
95年、「官官接待」なる言葉が市民権を得る ⇒ 薬害エイズ事件や特養建設を巡る贈収賄事件での厚生省、大阪の石油卸商がらみの「泉井疑惑」の通産省、道路公団による外債発行に絡む大蔵省
防衛庁では、調達本部を舞台とした背任・汚職事件が発覚、警察不祥事、農水省での過剰接待等々、枚挙にいとまがない
² 岡光厚生次官特養ホーム事件
l 福祉を食い物にする官僚トップと「福祉屋」
96年、薬害エイズ事件で厚生次官が辞任、後任に組織「再生」の切り札として登場したのが岡光 ⇒ 朝日新聞が、岡光と特養グループの癒着をスクープ、僅か4か月で辞任、逮捕
92年には老健福祉部長、94年には官房長として、特養グループから金品を受け取り便宜を図っている
事務次官経験者が職務権限に絡んだ贈収賄事件で逮捕されたのは、リクルート事件以来で戦後3人目、岡光は初めての実刑判決を受けた
l 贈賄側は特養ホーム建設"丸投げ"で差益
特養グループは補助金を得て特養ホームを建設するが、低額でゼネコンに丸投げし、差額を手にする ⇒ 老人福祉法により、開設資金は国が1/2、地方自治体が1/4補助、さらに埼玉県の場合は、独自に3/16の特別補助金が付くので、自己負担は総額の1/16、なおかつ、開設後も老人1人当たりの介護補助が出る
岡光自身が福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)の策定者で、そのメカニズムを悪用
l 接待を受けた厚生官僚のなかには介護保健法案責任者も
贈収賄両サイドとも実刑
補助金交付の選定基準や入札制導入など再発防止策を打ち出したが、補助金不正受給事件は後を絶たない
00年スタートの介護保険制度も、岡光が指揮し、実現に意欲を燃やしていたもの
² 大蔵・日銀接待事件
l 目にあまる接待に大蔵省へ特捜のメス
98年、国家の”聖域”とも言える大蔵省に地検特捜部のメスが入る
都市銀行からの過剰接待で検査部職員が逮捕 ⇒ 接待そのものが贈収賄の構成要件となったのは珍しい
l きっかけは第一勧銀の総会屋へのあまい融資
第一勧銀による総会屋への過剰融資で、複数の役員を背任容疑で逮捕。会長が自殺
l MOF担という名の大銀行の大蔵官僚接待係
地検が都市銀行のMOF担を任意聴取、大蔵官僚への接待の実態を内偵
l キャリアへの捜査のメスの前にノンキャリアの自殺
最初の摘発は道路公団の井坂武彦。外債発行に絡む収賄容疑
次いで大蔵省金融検査部の2人。数日後には三塚大臣と小村事務次官が世論の厳しい批判を浴びて辞任。上層部に及ぶ直前にノンキャリ2人大月と杉山が自殺
l 自殺の壁を乗り越えてキャリア官僚を逮捕したものの…
大蔵省と日銀は、大量の対象者を処分したが、最も過剰な接待を受けた一部高級官僚への司直の手は伸びず仕舞い
² 神奈川県警事件
l 権力をカサに着た暴力体質
99年に続発した神奈川県警の不祥事を発端に、全国で警察内部の呆れた実態が明るみに出る ⇒ 隊内の集団リンチ事件、押収ネガ持ち出し事件、本部内での覚醒剤使用もみ消し事件
l 京都、新潟と相次ぐ警察の不祥事
京都の小学生殺害事件において、容疑者を取り逃がし自殺させてしまう
新潟では、10歳の女児が9年2か月も監禁されたが、初動捜査ミス
嘘つきと隠蔽体質、発覚した場合の処分の軽さは変わらない
l 自浄作用なき日本の警察機構
一連の不祥事を受け、警察行政のあり方を見直すとして、国家公安委員会の諮問機関「警察刷新会議」が発足したが、メンバーは身内同然、外部による監視システムには程遠い
第2部 権力犯罪ファイル
1.
隠退蔵物資事件(辻嘉六事件)
2.
昭和電工疑獄事件
3.
炭鉱国管疑獄事件
4.
造船疑獄事件
5.
保全経済会事件
6.
売春汚職事件
7.
グラマン・ロッキード事件
8.
九頭竜川ダム汚職事件
9.
吹原産業事件
10.
共和製糖グループ事件
11.
信濃川河川敷事件
12.
大阪タクシー汚職事件
13.
日本通運事件
14.
殖産住宅事件
15.
公害Gメン汚職事件
16.
田中金脈事件
17.
ロッキード事件
18.
ダグラス・グラマン事件
19.
KDD(国際電電)事件
20.
撚糸工連事件
21.
砂利運搬船汚職事件
22.
リクルート事件
23.
イトマン事件
24.
野村証券損失補てん事件
25.
共和汚職事件
26.
佐川急便事件
27.
金丸信脱税事件
28.
ゼネコン汚職事件
29.
東京協和・安全信組事件
30.
岡光厚生次官特養ホーム事件
31.
証券各社総会屋事件
32.
石油卸商・泉井の献金事件
33.
大蔵・日銀接待事件
34.
防衛庁調本不正事件
35.
神奈川県警事件
36.
中尾元建設相贈収賄事件
あとがき 大谷昭宏
最後の入院となったその直前に「序」を書き上げた黒田の本書に向けた情熱を思うとき、なんとしてでも、その遺志を実らせたいとの結論に達し、00年9月閉鎖となった「黒田ジャーナル」を継承した形の私の個人事務所と、黒田ジャーナル時代から黒田の下で取材記者をしてきた面々が取材執筆を担当して出版にこぎつけた
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