ことばの番人 髙橋秀実 2025.4.25.
2025.4.25. ことばの番人 著者 髙橋秀実 ( ひでみね ) 1961 年横浜市生まれ。 2024 年没。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社を経てノンフィクション作家に。『ご先祖様はどちら様』で第 10 回小林秀雄賞、『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』で第 23 回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。『はい、泳げません』『おやじはニーチェ認知症の父と過ごした 436 日』など著書多数 発行日 2024.9.30. 第 1 刷発行 発行所 集英社 第1章 はじめに校正ありき 上手い文章を書くには、誰かに読んでもらう。そして直してもらう 一般的な視点が入ることで、文章は独りよがりを脱し、公共性や社会性を帯びる。言葉が練られ、開かれていく。優れた書き手などおらず、優れた校正者がいるとさえ思う l 校正者の不在 『古事記』を撰録した太安万侶も校正者で、上巻の序に、「旧辞 ( ふること ) の誤りに忤 ( たが ) へるを惜しみ、先紀 ( さきつよのふみ ) の誤りに錯 ( たが ) へるを正さむ」とあるように、彼は過去の文献を校正した。原本は現存せず、日本では「初めに校正があった」 国立印刷所の『官報』には、毎月法律の条文などの「誤り」が発表されている 「文化」とは「文による感化」を意味し、「武力や刑罰などの権力を用いず」に、文によって「人を導くこと」。世の平和のためにも心掛けるべきは文の校正 l 読者の不利益 校正の基本は「照合」。「校」は「くらべる」で、「校正とは写本・印刷物を原本と比べ、誤りを正す」ことで、誤字の訂正のほか、意味や事実関係を照合する 改善策は以下の 3 点 ・句読点を 1 つ入れる ・言葉の順番を変える ・修飾語と修飾される語を近くにする...