日本のイノベーションのジレンマ  玉田俊平太  2024.1.21.

 2024.1.21. 日本のイノベーションのジレンマ 第2

破壊的イノベーターになるための7つのステップ

 

著者 玉田俊平太 東大博士(学術)1995年よりハーバード大へ留学、。ビジネススクールでマイケル・ポーター教授のゼミに所属。競争力と戦略の関係について研究するとともにクリステンセン教授からイノベーションのマネジメントについて指導を受ける。筑波大講師、経済産業研究所フェローを経て、関学専門職大学院経営戦略研究科教授。専門はイノベーションのマネジメント、科学技術政策

 

発行日           2020.8.25. 初版第1刷発行

発行所          翔泳社

 

24-01 イノベーションのジレンマ』参照

 

 

はじめに――なぜ、日本の製造業は破壊されたのか

l  自動車の生産性を測ってみると「日本の奇跡」が

International Motor Vehicle Programを作って各国の自動車工場の生産性を測定したところ、トヨタはGM2倍、ヨーロッパの平均値比4倍も高く、コスト競争で圧倒していた

l  トヨタ生産方式というイノベーション

品質においても圧倒。すべては「トヨタ生産方式」という日本生まれの工場経営法によるもの

l  半導体でシリコンバレーを打ち負かした日本

80年代後半には、世界の半導体売り上げトップ10のうち6社までが日本

l  クリステンセン教授の不吉な予言

クリステンセンは、20年も前に半導体における日本の業界の今日の状況を見通していた

破壊的イノベーションの本質を理解し、それに適切に対処することは、多くの日本企業に求められている喫緊の課題であり、クリステンセンの理論を日本企業に則して書き直す

 

I部   破壊的イノベーションとは何か

1章       破壊的イノベーターだった日本企業

l  トランジスタラジオで真空管ラジオを破壊したソニー

エレクトロニクス製品の大本となる真空管を1947年トランジスタに変えたのはベル研究所

1960年誕生のトランジスタラジオこそ、日本企業による代表的な破壊的イノベーション

l  トランジスタ開発の発表に目を付けたのは・・・・

ATTのベル研の発表に注目したのが磁気テープの製造を始めて6年目の東京通信工業

l  補聴器ではなく、ラジオをやろう!

東京通信工業がトランジスタ特許のライセンス契約をした際に示唆されたのは、耳に聞こえる周波数程度の信号にしか使えないので補聴器が利用できるということだったが、大衆製品を目指した井深社長はラジオを主張、トランジスタの歩留まりが悪いのを改善して応用

l  ビジョナリー井深と破壊的イノベーターのソニー

井深と盛田が目指したのは、新しい技術を使って新しい顧客をターゲットにする「破壊的イノベーター」であり、「据置型ラジオ」の主流市場から「持歩き可能なラジオ」という新市場を創出

l  強いインセンティブが「破壊」を生み出す

当時のトランジスタは真空管より性能が低い、海のものとも山のものともつかない未知のデバイスに過ぎず、商品化の対象とは見做されていなかった

新規参入者のソニーには、トランジスタラジオに取り組むための強いインセンティブがあった

l  業務用ゲームを家庭で遊べるようにしたファミコン

任天堂のファミコンも、業務用ゲームだったドンキーコングをビデオゲームとして家庭にプレイ体験を持ち込んだ破壊的イノベーション

世界初のビデオゲームは、DECのミニコン上で動いた「スペースウォ―」

l  大人がのめり込むゲームを子供たちにも

インベーダーゲームの爆発的人気で、家庭用にもゲーム機が開発されたが、何れも1つのゲームだけのもので、性能も低くすぐに飽きられる

任天堂のファミコンは、1万円以下で発売後3年は競争相手が出ない機械、という2大コンセプトで開発。リコーと共にカスタムLSIを開発。最終的に14,800円で家庭にゲーム機が来た

l  「破壊」を起こしたインクジェット・プリンター

レーザー・プリンターは、コピー機の原理をプリンタに応用した機械。鮮明で速いが、大型で高価格、消費電力も大きく、交換部品も高価だったため、速度や解像度の必要ない顧客はインクジェットを使ったが、印字ヘッドの交換が複雑で時間がかかった

キャノンが開発したバブルジェット方式のインクジェット・プリンタは、レーザー並みのクオリティとインクジェット並みのコストパフォーマンスを両立させることで市場を破壊

l  セレンディピティから生まれたバブルジェット

インクを入れた注射器の針を熱するとインクが飛び出すのを見て、圧着素子ではなくヒーターでインクを蒸発させ、その蒸気の泡の力でインクを飛ばす方法を開発したのがバブルジェット

特許取得から8年後の1985年、初のバブルジェット式プリンタの商品化に成功

l  ビジネスモデルの確立とレーザー・プリンタの「破壊」

ヘッドのメカニズムがシンプルで低コストのため、ヘッドとインクが一体化したカートリッジを使い捨てる方式が可能となり、プリンタを安く売って普及させ、カートリッジで儲けるというビジネスモデルの確立に繋がる

キャノンは、当初ローエンドの市場から始め、メーカー間での激しい技術開発競争によって技術水準を向上させ、ハイエンド市場をも浸食し始めている

 

2章       イノベーションとはそもそも何か

l  実は、多くの人が理解していないイノベーションの意味

語源はラテン語のinnovare。「何かを新しくする」意で、「なにかを新しくすること」

l  イノベーションの現代的定義とは

企業のイノベーションは、プロダクトとビジネス・プロセスの両方に起こる

イノベーションと呼べるには、市場や社内で広く受け入れられて普及しなければならない。アメリカの大企業のプロジェクトの「技術的な成功確率」は約80%だが、その後の「商業的な成功確率」は約20%まで下がる

l  何が変わるかでイノベーションを分類すると・・・・・

プロダクト・イノベーションで代表的なのは、ウォークマンやスマホ

プロセス・イノベーションでは、電炉(ミニミル)や、オンライン・バンキング、カンバン方式

l  メンタルモデル・イノベーションとは?

顧客の「認識(メンタルモデル)」を変えるイノベーションで、スポーツドリンクのポカリスエットを二日酔いにも役に立つと市場に認識させたケースはその一例

l  レクサスの成功にはどのようなイノベーションが必要か?

1989年北米で始まったセルシオに代わる高級ブランドレクサスの成功のためには、前記3種のイノベーションの同時達成が必要

l  イノベーションは「創新普及」と訳そう

単なる技術革新に止まらず、社会に広く行き渡り、経済的に成功することが必要

 

3章       破壊的イノベーションとは何か

l  大企業が圧倒的に有利な持続的イノベーション

持続的イノベーションでは、漸進的・画期的の如何に拘らず、技術進歩の方向が既存顧客が重視する性能の向上という点で共通し、経営資源の十分にある大企業が圧倒的な力を持つ

l  破壊的イノベーションの特徴とは

シンプルで使い勝手がよく、安上がりな製品やサービスは、既存の主要顧客には魅力的に映らないが、市場を破壊するポテンシャルを持つ――全く新しい需要を喚起する新市場型破壊と、主要性能が過剰となったためローエンド顧客にアピールするローエンド型破壊がある

l  無消費をターゲットにする新市場型破壊

無消費とは、「顧客が何も持たない状態」のことで、「新規事業では無消費をタ^ゲットにせよ」と言われる。顧客が何も持っていないから、シンプルで安価な製品が受け入れられる

電卓の開発競争から誕生したマイクロプロセッサは、パソコンの誕生に合わせて新市場を開拓

l  コンピュータ・マニアの心を捉えたマイクロプロセッサ

最初の顧客は、純粋な個人の趣味のため大型コンピュータの機能を使いたいマニアが中心

l  パーソナル・コンピュータの原型、Apple II

1974年、マイクロプロセッサを搭載した世界初のパソコン「アルテア8800」が登場、さらに77年に簡単に組み立てられる「Apple II」が出て大ヒット。先駆的かつ画期的な製品だった

l  キラーアプリの登場で単なるおもちゃが実用品に

1978年、「スプレッドシート」のコンセプトを組み込んだアプリ「ビジカルク」がApple IIに搭載されると、家庭や小規模企業の業務に画期的な変革をもたらし、マニアの趣味用途から実用品に変貌、新たな顧客を獲得

l  持続的イノベーションの軌道に乗って主流市場へ

パソコンは、典型的な新市場型の破壊的イノベーションだが、徐々にその性能を上げ、持続的イノベーションの軌道に乗る。市場の拡大とともに、処理性能は上がり、記憶装置の容量も劇的に増え、信頼性も増大し、メインフレームやミニコンの市場を「破壊」しつつある

l  満足過剰な状態の顧客をターゲットにするローエンド型破壊

ローエンド型破壊は、既存製品の性能が過剰となり、多くの消費者が求める水準を超えてしまった状況で、一部のローエンド顧客をターゲットにしたイノベーション

ティファールの電気ケトルは、典型的なローエンド型破壊――ただ湯を沸かすだけ、保温機能すらついていない。過剰に満足させられていた顧客に、必要十分な機能を安価に提供

l  探す、運ぶ、設置する機能を省いたイケアの組み立て家具

イケアの家具も、フルサービスの家具屋に対するローエンド型破壊といえる

l  髭剃り、洗髪、ブローを止めたQBハウスのサービス

ローエンド型破壊をサービスで実現したのがヘアカットのQBハウス。店の外からでもわかる混雑状況を示す信号機は、顧客満足度の向上と店舗稼働率の向上という一石二鳥を実現

l  既存企業が陥る「イノベーションのジレンマ」

「アメリカビジネス史上最も愚かな意思決定」と言われるのは、1879年当時全米最大の企業で、全米に電信ネットワークを構築していたウェスタン・ユニオンが、アレキサンダー・ベルからの電話の特許を10万ドルで譲りたいという提案を拒否したこと

かつては経営者に先見の明がなかったと批判されたが、クリステンセンによれば、経営陣が合理的な意思決定をしたが故に電話は必要ないと判断したとする

l  到達距離が長く信頼性も極めて高かった電信

1856年、ロチェスターの実業家シプレーが起業、社名をウェスタン・ユニオンと改称し、全米に電信網を拡大、独占企業として成長

l  コミュニケーション手段としては欠点だらけの電話

1876年発明された電話は、20マイル以内に限定、聞き取るまでに慣れが必要で、子損顧客が求める信頼性と長距離通信というニーズを満たせないので、特許は不要

l  まずは、街頭の通話デモで有用性をアピール

ベルトワトソンは、街頭で、まるで手品のようなデモを行い電話の有用性を世間に知らしめる

l  医師や薬局という新しい顧客から次第に普及

最初に導入したのは盗聴警報機の会社で、次第に近距離コミュニケーションの必需品として認められ、3年後にはホワイトハウスにも設置。居ながらにして使える、双方向のコミュニケーション手段として、電信とは違った新しい顧客を掴んでいく

 

4章       優良企業がジレンマに陥るメカニズム

l  顧客が求める性能には上限が・・・・・

技術の需要曲線(顧客が利用可能な性能)に注目

顧客が製品に求める性能(ニーズ)には、生理的・物理的・制度的な理由などから利用可能な上限があり、その上限は時間がたっても変化しないか、ゆっくりとしか上昇しない

製品のある性能がこの「技術の需要曲線」を上回ると、顧客はそれ以上の性能向上に価値を感じず、他の性能で製品の優劣(取捨選択)を判断するようになる

l  顧客の利用可能な性能には幅がある

需要曲線には当然幅があるが、標準的な曲線から離れるほど需要は低下する

l  既存企業がほぼ必ず勝つ持続的イノベーション

企業は、持続的イノベーションによって顧客が重要視する性能を引き上げようとするので、時間とともに、需要曲線を下から上へと凌駕するようになる

既存の大手企業は、顧客ニーズにも敏感で、開発のための資源も豊富であり、圧倒的な優位にある。光ファイバーにしても、クォーツ時計にしても、画期的だが持続的イノベーション

l  性能が技術の需要曲線を超えると「破壊」が起きる

製品の性能が「技術の需要曲線」を超えると、新たな技術による低性能、低価格の製品が現れる。それらは、当初こそ低性能だったが、持続的イノベーションによって徐々に性能を向上させ、市場をローエンドから浸食し始め、やがて「技術の需要曲線」に到達すると、既存製品の顧客は、性能が同じであれば、別の基準で製品を選択するようになる。多くの場合、破壊的イノベーションの方が他の属性において優れているため、乗り換えが進み、市場は破壊される

l  異なる経営が必要になる2種類の「イノベーションの状況」

製品が顧客の要求水準に追い付けていない場合は、持続的イノベーションの状況にあり、より良い製品を開発・供給することで競い合うことが求められるが、需要曲線を上回ると、破壊的イノベーションの状況となり、競合商品を開発するか、顧客がまだ満足していない市場にシフトするかの判断を迫られる

l  医療分野において、今起こっている「破壊」

医療の現場でも、総合病院の医療レベルに一般診療所が接近してきており、さらに企業内検診も力をつけ、さらにその下にはセルフケアを謳う企業が控えている

 

II部         なぜ、日本の優良企業が破壊されてしまうのか

 

5章       状況に応じたイノベーション・マネジメント――テレビにおけるイノベーションの状況変化

l  ハイテク技術のクアトロンが売れない理由は?

光の3原色に黄色を加えた「4原色テレビ」をシャープが発売、自然の色の再現力を高めようとしたが、市場は受け入れず、会社の業績は下降線を辿り、台湾企業に買収

l  娯楽の王様にして超ハイエンド商品だったテレビ

1953年、シャープが国産のテレビ第1号を開発。高卒公務員給与の3年分という超ハイエンドの商品

l  テレビの世界でも「破壊」を起こしたのはソニー

1959年、ソニーが世界初のポータブル・トランジスタテレビを発表。据え置き型が主流だった

l  ブラック企業並みの労働環境から生み出された次男坊

ヒットしたのは5インチの2号機で、ソニーがアメリカに橋頭保を築くきっかけになる

l  フランク・シナトラもお気に入り、アメリカでも大ヒット

1962年、ニューヨーク5番街にショールームを開設し、2号機は華々しくデビュー

l  据え置き型テレビに使われたイノベーションはすべて持続的

トランジスタは「ポータブルテレビ」という新市場型の破壊的イノベーションを起こしたが、その後の性能の向上、安定した品質、低価格は持続的イノベーションの軌道といえる

l  トリニトロンも液晶も持続的イノベーション

トリニトロンブラウン管技術も液晶パネルの採用も持続的イノベーションの一環。液晶も多くの性能の点で問題があり、RCAは開発を断念、ただ消費電力が低く薄型軽量という特性あり

l  液晶技術のトリクルアップの終着点=据え置き型テレビ

電卓戦争は、インテルが世界制覇のきっかけとなったマイクロプロセッサを生み出しただけでなく、表示装置にもイノベーションをもたらす――1973年、シャープが世界初の液晶表示電卓を発売。その後液晶の技術水準が上がり、高性能の製品にも普及する(=トリクルアップ)

ブラウン管テレビでは、重量も奥行きも大型化に限界があり、改良された液晶が導入

l  薄型テレビ「敗戦」の原因=「イノベーションの状況」の変化

据え置き型テレビは、2000年頃までは性能がまだ顧客の要求水準には達していなかったが、2000年代半ば過ぎから性能が水準を超え始めると、顧客は他の基準で選択を始める

l  画素数――フルハイビジョンが当たり前に

テレビで送られる情報の量は、「1画面当たりの画素数」x「1秒当たりのコマ数」で表され、ハイビジョンの出現で、720ドットx480=約35万画素から、19201080=約200万画素と6倍になり、近くで見ても走査線が見えず、画面もワイド化し、新規販売を席巻

l  コントラスト比――性能向上が感じられないレベルに

画面の一番明るいところと暗い所の明るさの比率をコントラスト比といい、一般的な人間の目が感じ取れるのは8001だが、101でも満足できるというデータもあるのに、最新の液晶では700万対1超まで進化、多くの人はそれを感じられない域に達している

l  反応速度――16倍速の描画さえも可能に

テレビの動画は1秒間に60枚の異なる画面(描画)を表示して動きを見せていて、その倍速を上げるほど滑らかな動きとなるが、技術の進歩により16倍速(960)まで可能に

l  テレビを取り巻く環境は「破壊的イノベーションの状況」へ

液晶テレビの性能向上は、普通の消費者にとって「十分以上に良い」性能に達したため、望む以上の高性能に対し適正な対価を払わなくなった――「持続的イノベーションの状況」から「破壊的イノベーションの状況」へと変化しているのに、日本の家電メーカーは同じマネジメントをしていたために市場から後退

l  多くの顧客の需要から「行き過ぎて」しまっている4Kテレビ

2011年東芝が、水平方向の画素を4000(4)にしてハイビジョンの4倍の約800万画素にした4Kテレビを発売、他のメーカーも追随

l  テレビを雇う、顧客のジョブを分析

クリステンセンは、顧客がある商品を買うのは、顧客の片付けたいジョブを解決するためにその製品を雇うのだという=商品を購入するのは、その商品から何らかのサービス(便益)を受けるため(サービス・ドミナント・ロジック)――テレビを買う顧客が求めるサービスは、①暇潰し・賑やかし、②情報収集、③感動を得る

l  暇潰しという「ジョブ」ではありがたみは増えず

暇潰しのためなら4Kテレビはいらない

l  情報収集の目的でも便益は向上せず

4Kテレビ導入のインセンティブにはならない

l  感動を得るのなら、一定の需要は見込めるも・・・・

コンテンツも対応すれば需要はあるが、現在の技術では無料視聴の地上波の1チャンネル分の帯域幅では4K放送が収まらず、衛星放送でしか使えない。地上波の横幅は1440画素で、フルハイビジョンですらないが、画質が悪いとの不満は聞こえない

l  4Kテレビの世帯普及率はマッサージチェア程度か?

4Kテレビは完全にオーバースペック。コンテンツが増えたとしても普及率はせいぜい20

にも拘らず、さらに8K実用放送が開始されている

 

6章       発明とイノベーションの決定的な違い――エコシステムづくりの巧拙がスマホ成功の鍵

l  電話を再発明したと言われるジョブズ

iPhoneは電話の再発明。日本では発売4年で1億台を超えた

l  スマートフォンは破壊的イノベーション?

日本はスマホ以前から携帯電話大国で、機器のメーカーはほとんど日本の会社だったが、スマホでは劣後

l  遅れていた欧米と先進国だった日本

スマホ登場前の欧米の携帯電話機能は日本に比べて相当遅れていて、画面も白黒で小さく、文字によるコミュニケーションもわずか数百字で、スマホは携帯を多機能化させた持続的イノベーションだったが、日本は既に高機能端末で世界最先端を走り、iモードやEZwebなどのインターネット機能を使いこなしていた

l  スマートフォンはガラケーに対する破壊的イノベーション

従来製品よりも優れた性能で、要求の厳しいハイエンドの顧客獲得を狙うのが「持続的イノベーション」だとすると、破壊的イノベーションとは、既存の主要顧客には性能が低すぎて魅力的ではないが、新しい顧客にアピールするもの。スマホは日本市場でまさにこれにあたる

l  スマートフォンの魅力=アプリの魅力

iPhoneはパソコンに近い。多数の開発者が提供するアプリがほとんどのニーズに対応

l  エコシステムづくりの巧拙が勝負を分けた

iTunesStoreを世界最大の音楽・映像配信サイトに育て上げ、AppStoreを通じて世界中にアプリを流通させ、アップルも業者も儲けるエコシステムを構築。ビジネス・プラットフォームを提供することで、アップル以外の企業が開発・製造した商品によって魅力を高めている

l  エコシステム構築のためにアップルが「やらない」こと

アップルは、パソコン市場をプロと一般、パソコンの形態をノートとデスクトップの2種類、合計4つのセグメントに分け、各セグメントでのモデル数を徹底的に絞り込んだため、1機種当たりの普及台数は全世界で膨大となり、アプリなどの開発業者にとっても魅力的

l  アップルにお株を奪われてしまった日本企業

エコシステムにしてもプラットフォーム・ビジネスも日本企業がオリジナル

アプリをAppStoreに限定したのも、任天堂がゲームの開発業者からファミコン用ROMカセットの製造を独占受託して儲かる仕組みを作ったのが原型だし、ハードウェアを廉価にして大量に普及させることでそのハード上で作動するアプリを開発する企業に魅力的な環境を整えるというプラットフォーム戦略もソニーのプレーステーションが先行。さらに、ソフトの課金代行で儲けるビジネスモデルは、iモードが先鞭をつけたもの

l  インベンターよりもイノベーターが生き残る

「優れた芸術家は真似をし、偉大な芸術家は盗む」とピカソが言ったのをジョブズも取り入れ、ソフトウェア開発業者に使いやすい環境を整えている。優れた企業には優れたアイディアを取り入れる学習能力が備わっている。イノベーションの時代には、他社の優れたアイディア(インベンション)をもいち早く取り入れ、自社のイノベーションとして実現させられるオープンイノベーション能力を持ち、他社と共存共栄のエコシステムを構築できる企業だけが生き残る

 

7章       自らを破壊することで生き残る――デジタルカメラの変遷

l  破壊的イノベーターだったジョージ・イーストマン

1880年頃まで、写真撮影にはウェット・プレート(湿板)を作って写真機に据え付けるための暗室が必要だった

l  イーストマンによる最初のイノベーション

1880年、ヨーロッパで使われていたドライ・プレート(乾板)と、それを大量生産する機械の特許を北米で取ったのがイーストマンで、1884年会社を設立。ここまでは持続的イノベーション

l  ローラーホルダーで賞はもらったけれど・・・・

イーストマンは、1枚ごとに看板を替える代わりに、ロール状に巻いた柔らかいものに感光材料を塗ることを思いつき賞を取るが、画質が悪くプロには使ってもらえなかった

l  KODAK]という新しいブランドの誕生

プロ市場がだめならアマチュアを対象に、ローラホルダーを使った簡単な箱型カメラを作成

ファインダーがないカメラは、狩猟用語の「スナップショット」さながら、当てずっぽうで撮るしかなかった

l  勝利の方程式ともいうべきビジネスモデル

KODAK」のセールスコピーは、”You press the button, we do the rest.”  「写ルンです」の元祖。一旦自社製品を買えば、永久に自社の顧客に取り込めるビジネスモデルを開発

l  世界の覇者、コダックを破壊したものは・・・・

1900年にはKODAKの廉価版「ブローニー」を1ドルで発売して大ヒット、その後軸足を写真用フィルムに移し、シェア90%を誇ったが、2012年チャプター11申請

コダックを破壊したのは、同社の社員が1975年に発明したデジタルカメラ

l  優良企業が陥りがちな「キャピタリストのジレンマ」

投資収益率が重視されると、持続的イノベーションに企業の投資が偏り、破壊的イノベーションに対する投資が行われにくくなる現象を「キャピタリストのジレンマ」という

合理的な意思決定を重視する企業ほど、投資家や既存顧客の要求に逆らうことは困難

l  当初、主要顧客に見向きもされなかったデジタルカメラ

世界初の市販「電子カメラ」は1986年キャノンが発売、デジタルカメラは富士フィルムが198835万画素を発売。アナログの6001000万画素から見るとおもちゃ同然だが、現像不要や電送可能などの別の特性が新しい市場を開発

1994年には、コダックが製造、アップルが販売したデジカメもあったが、大ヒットには繋がらず、翌年Windows95の発売と共にカメラ以外のメーカーも含め市場参入が相次ぐ

l  「闇研」から誕生したカシオのQV-10

QV-1095年発売、大ヒットとなるが、「電子カメラ」で失敗した後も闇で研究を続け、汎用部品の寄せ集めで作った試作機は、重く高熱を持ち使い物にはならず

l  QV-10は、デジタル版KODAK

ファインダーの代わりに液晶画面を搭載したところ、すぐに見られることが話題性を呼び製品化が急浮上、さらにパソコンとの連動で商品としての魅力アップ

l  フィルムカメラを「破壊」したデジタルカメラ

発売当初は、既存顧客とは全く異なるニーズを持つ新しい顧客に受け入れられたし、市場を牽引したのも既存のカメラメーカーではなく、業界外部のカシオ計算機

l  ミラーレス一眼は破壊的イノベーションか?

2012年以降、デジタルカメラ市場に異変――出荷台数が急減、スマホに席巻

l  一眼レフ市場参入が悲願だったパナソニックとオリンパス

フィルムカメラメーカーは、レンズの設計・製造の高度な技術をベースに、デジタル一眼レフカメラでもレンズシステムのオートフォーカス化に成功、多彩な交換レンズのラインアップもあってデジタル市場でも優位にあった。一方、パナソニックやオリンパスは、軽量化やコンパクト化を狙ってミラーレスを開発、新たな市場を開拓

l  理論通り、自己破壊を避けたニコン

ミラーレス登場に対するニコンの対応は、既存のラインアップと競合しない、さらに小さなレンズ交換式カメラを開発したが、必ずしも市場に受け入れっれているとは言い難い

l  破壊する側とされる側が同居しているソニー

ソニーのデジタルカメラは、2006年、世界初のオートフォーカス一眼レフ「α7000」のコニカミノルタカメラ事業部門を取り込んだ辺りから活気づく。ソニー初の交換レンズ式デジカメを発売、高性能光学ファインダーを装備して一眼レフデジカメの歴史の到達点を極める

l  伏兵は身内から

2010年、同じソニーから発売されたミラーレスNEXシリーズが、小型軽量を武器にローエンドの需要にヒット。技術改良を加えて、今ではレンズ交換式デジタルカメラの主流に躍進

l  キャノンとニコンの「転身」は間に合うか?

キャノンは、市場に隙間なく商品のラインアップを持っていて、ミラーレス一眼市場に参入する動機はなく、ミラーレス市場は最も遅く、かつ既存商品と競合するモデルを投入

2013年、ソニーは世界初の35ミリフルサイズ・ミラーレスを発表、一眼レフユーザーを侵食

2018年、キャノン、ニコンは主力のカメラ事業の不振の打開策として、漸く本腰を入れてミラーレスに進出したが、2019年一眼レフとミラーレスを合わせたフルサイズ規格の出荷台数ではソニーが業界トップに

l  「カメラ専用機」を破壊しつつある「カメラアプリ」

スマホ内蔵カメラとアプリという異形の商品が、カメラという商品カテゴリーを破壊しようとしている

 

III部       破壊的イノベーターになるための7つのステップ

8章       破壊的イノベーションを起こすための基本戦略

l  経営者には「両利きの経営ambidexterity」のマスターが必須

企業活動には、以下の2つの活動が高い次元でバランスが取れていることが必要とする理論

     知の深堀りexploitation――既知を活用して収益を得たり、知識をさらに発展させる

     知の探索exploration――既存の知識基盤やスキルからシフトする

   が持続的イノベーションであり、②が破壊的イノベーション

l  経営者を悩ますサクセス(コンピテンシー)・トラップとは?

一たび成功すると、自分たちの認知している世界に疑念を持たなくなり、そこから抜け出せなくなる⇒サクセス(コンピテンシー)・トラップ

両利き経営を進めるために必要な要素とは:

     深掘りと探索が必要であることを正当化する明確な戦略的意図

     新しい事業の育成と資金供給に経営陣が関与・監督し、周囲の批判から保護すること

     深掘り型事業から十分な距離を置きながら、その能力や資源を活用するのに必要な組織的インターフェースを注意深く設定する

l  イノベーションに対する2種類の戦略

     既存商品を使っていない無消費の顧客に対し新たなサービスを提供する「新市場型の破壊的イノベーション」と、過剰性能の市場での「ローエンド型の破壊的イノベーション」

     既存商品の顧客の満足度を高めるアプローチで、持続的イノベーションとして既存市場のハイエンドを目指す

l  新市場型破壊では無消費者がターゲットに

これまで何も使っていない顧客だからこそ、シンプルで低価格な製品が受け入れられる

キャノンのミニコピアや、パソコンなどがこの範疇に入る

l  ローエンド型では満足過剰がターゲットに

現在ある製品の性能が、多くの消費者にとって「満足過剰」の状況にあるときに有効な戦略

ティファールの電気ケトル、QBハウス、回転寿司

l  持続的イノベーションではメンタルモデルの変化を

「客観的価値」が飽和状態にある場合には、製品を使った時に価値を感じる「メンタルモデル」を変化させることで、「主観的価値」を向上させるのが有効

l  日本にもメンタルモデル・イノベーションのチャンスが

世界最古の会社は「金剛組」、世界最古の王朝は「大和王朝」

l  長い歴史と独自の文化を活かしきれていない?

日本は、長い歴史と独自の優れた文化を持ちながら、その価値に気付かず、十分に活かしきれていない。歴史の再認識がメンタルモデルのイノベーションを起こすのではないか

l  日本刀の魅力をベースにした製品がアメリカなどで大評判

KAIの包丁

 

9章       アイディアを生み出す「苗床」とは

l  アイディアこそが重要な時代

破壊的イノベーションを起こす組織作り、優れたアイディアを生み出すための「デザイン思考」

l  アイディアが生み出されるプロセスとは

     資料集め――ニーズについての情報も必要。テクノロジー・プッシュよりも、ニーズ・プル型のアプローチが望ましい

     資料の咀嚼

     孵化段階

     アイディアの誕生

     アイディアの具体化・展開

l  「技術が先か、ニーズが先か」は永遠のテーマ

ユーザーのニーズの理解が、イノベーションの成功・不成功を左右するもっとも決定的な要因

l  dスクールやバイオデザイン・プログラムにおける取組

スタンフォード大の「dスクール」は、イノベーティブなアイディアの創出法を研究し、他の学部生に教えるための機関で、学生が「アイディアのつくりかた」を学んで、学部で学んだアイディアを出すプロセスと相俟ってイノベーションの起爆剤にしようとする

バイオデザイン・プログラムは、2001年創設の医療機器分野のイノベーター教育に特化したフェエローシップ・プログラム(給費生制度)

l  「人の見える手」で選抜される多様な人材のチーム

バイオデザイン・プログラムの大きな特徴の1つは、「多様な知識・考え方からなるメンバーを意図的に選抜し、人物属性に応じてチームを構成する」点――4種類の人材属性(プロトタイプを作るビルダー、科学技術の知識を持ち応用できるシンカー、臨床経験のあるクリニシャン、プロジェクト・マネジャー)1つのチームに配置。イノベーションはチームワークの産物

l  留学生と日本人学生の自己紹介はこんなに違う

自己目標を明確に

l  均質性より多様性――高級官僚集団と愚連隊ではどちらが上?

企業における人種やジェンダーの多様性と、売上高、顧客数、市場シェア、利益といった業績指標との間には正の相関がある

学問の分野でも、均質性の高いチームから生まれるイノベーションは「平均値」こそ高いが「ブレイクスルー」は生まれにくく、他方多様な分野の人々で構成されるチームは、「平均値」は低くても「ブレイクスルー」を生み出す。「粒揃い」より「粒違い」

 

10章    「ジョブ」と「制約」を探すニーズ・ファインディング

l  ニーズ・ファインディングとニーズ・ステートメント

破壊的イノベーションを起こす上で最も重要なステップの1つがニーズ・ファインディング

前記のバイオデザイン・プログラムでは、21組で臨床現場に入り、医療現場での様々な人々を参与観察し、潜在的ニーズを発掘、それを簡略かつ明瞭なステートメントにまとめる

一般的には、「エスノグラフィ(文化人類学的)・マーケティング」と呼ばれ、すぐに見つかる「ペイン・ポイント」よりも、一見支障はないがイライラが溜まっている「テンション・ポイント」を捜して改善することにイノベーションの可能性が豊富に眠っている

l  テンション・ポイントの解決――ウーバーのケース

消費者が何となく不満に感じながら、我慢して使っている(=テンション・ポイント)という一種の「無消費」の状況を解決して成功したのがウーバー。2009年創業から5年で世界58か国300都市に広がり、契約ドライバーは100万人を突破

l  タクシーよりも便利で快適、しかも安価なサービス

2年前に発売開始されたiPhoneを活用したサービス

l  ウーバーは既存タクシーに対する持続的イノベーション

l  ノン・コンシューマーを探せ!

無消費とは、製品やサービスの消費が何らかの「制約」によって妨げられている状況であり、無消費者とは無消費の状況にある潜在顧客

l  スキルによる制約とは

消費を妨げる「制約」には、スキル、資力、アクセス、時間などがある

スキルによる制約とは、使いこなすための専門知識がないために専門家の手助けを必要とする製品やサービスで、そこには無消費というチャンスがある

l  資力による制約とは

欲しいけど高くて買えない状態で、コスト構造の変革によって無消費者に切り込むことが可能

l  アクセスによる制約とは

サービスや製品が特定の場所でしか使えない状態で、ポータブルにしたり、リモートオフィスのように働き方を変えることによって新たなマーケットが出現

l  時間による制約とは

消費に時間がかかるためにやめてしまったり、製品を使いこなすようになるまでに時間がかかったりするケースで、短編映画や、使いやすいアプリの開発などに新商品開発の余地がある

l  満足過剰の顧客を探せ!

シンプルで低価格なソリューションを提供し、ローエンド型のイノベーションを起こす

l  仮説設定能力が鍵になる

人間の思考は、演繹、帰納、創発(仮説設定)3種類。創発は人間にしかできない

アイディアを創り出す才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存

顧客ニーズを見つけ、その実現を妨げている要因を洞察するところに、新しい市場は存在

 

11章    破壊的アイディアを生み出すブレインストーミング

l  「正しい」ブレインストーミングとは

無消費の状況をもたらす様々な制約を取り除くためのアイディアを出す有効な方法は、多様なメンバーによるブレインストーミング。正しいブレインストーミングのルール:

     価値判断は後回し

     ワイルドなアイディアを促す――”Think out of the box.”(既成概念から離れる)

     他人のアイディアの尻馬に乗る――他人のアイディアをレバレッジとして利用

     数を求める――アイディアは質より量。かける時間は6090

     一度に1人が話す――聞くことは話すことと同じくらい重要

     テーマに集中する

     可視化する――ホワイトボード、ポストイット、サインペンなどの活用

l  ブレインストーミングのための小技

アイディアに番号を振ったり、小道具を用意してプロトタイプを作ったりするのも有効

l  可能な限り、記録を残す

 

12章    破壊度と実現可能性による破壊的アイディアの選定

l  イノベーションのプロセスは「発散」と「収束」の繰り返し

選定にあたって有効なのは、①アイディア・レジュメにまとめ、②チェックリストに照らし合わせてふるいにかけ、③スコアリングして破壊度を計測し、④破壊度と自社での実現可能性、長期利益予想、その判断に対する確信度を表にして評価

l  スクリーニング前にアイディアの明確化を

出されたアイディアを、関連するグループごとに分け、レジュメの形にまとめる

l  アイディアのチェック

ターゲットとする顧客にとって重要か、顧客がフラストレーションを感じている状況か、長期的に大きな価値をもたらすか、全社的な戦略に適合しているか、など

l  アイディアの破壊度の評価

競合他社にとってその程度破壊的か大まかに測定

l  最終試験――自社で実現可能か

 

13章    破壊的イノベーションを起こす組織とは

l  既存組織が無能力になるとき

破壊的イノベーションは、独立した組織に任せよ

l  クラウンをマイナーチェンジするケース

既存組織内の機能別組織に任せれば足りる

l  トヨタで軽自動車を開発・販売するケース

開発チームは既存組織内でいいが、販売は別組織

l  DECがパソコンを販売したケース

ミニコン・メーカーの雄DECがパソコン市場に参入したとき、既存販売網を利用したため失敗を繰り返す

l  トヨタでハイブリッド車を開発・販売するケース

開発チームは既存組織内の重量級チームで行い、販売は既存の販売網で行う

l  ホンダがジェット機を開発・販売するケース/ソニーが家庭用ゲーム市場に参入したケース

開発・販売ともに独立した組織で行う

l  IBMがパソコン事業に進出したケース

ミニコンでの失敗を糧に、初めて開発・製造を社外に出し、ソース・コードに関する技術情報を公開、他社既製品を使って成功

 

14章    破壊的買収 4つのハードル

l  破壊的イノベーターの買収

ハードル①     資源を買う(持続的買収)のかビジネスモデルを買う(破壊的買収)のかを明確に

ハードル②     買収先企業の価値を正確に見極める――ソフトバンクがボーダフォンを買収したケース

ハードル③     妥当な条件で買収契約を結ぶ

ハードル④     買収した企業を適切にマネージする

l  企業買収は難しいが、不可能ではない

l  破壊的イノベーションを手にするための2つの手段

独立組織か買収か、2つの手段は21世紀の経営者が習得すべき必須スキル

 

 

おわりに

日本企業によるイノベーション戦略

     日本にあって世界にないもの――世界最大の都市圏にある機会とは?

ニッチなビジネスでも成立しうるチャンスが世界一多い都市圏といえる

     電網国家、日本――情報インフラも世界最高水準にある

     「ない」ことすら強みになる――少子高齢化は脅威か?

     少子高齢化を機会に

     ライフロング・ラーニング・コミットメントのススメ

 

 

 

 

翔泳社 ホームページ

日本企業再生の道がここにある。いちばん実践的な「破壊的イノベーション」の本

『イノベーションのジレンマ』著者、クレイトン・クリステンセン教授が強力推薦した「日本企業のための」イノベーション解説書の決定版が新たな事例と理論を加えて待望の改訂!

【本書のポイント】

・イノベーション理論を明快に整理

・国内・海外事例を交えた解説で理解しやすい

・アイディア発想や組織づくりなど、実践できる理論も多数

【本書の解説内容(一部)】

・破壊的イノベーションとは何か?

・事例から学ぶ破壊のプロセス

・顧客の「ジョブ」と「制約」を探す

・「正しい」ブレインストーミング法

・イノベーションタイプに応じた組織 など

【概要】「失われた20年」と呼ばれていた時代が「失われた30年」と言われるようになり、現在もなお進行形で語られています。

本書では、日本企業が破壊的イノベーションを起こすためにイノベーションの各理論を整理し、実践にまで落とし込みます。国内・海外を問わず事例やケーススタディも満載。

改訂にあたり事例を追加し、「デザイン思考」や「両利きの経営」の理論についても加筆しました。

破壊的イノベーションの基本から

そもそもイノベーションとは何か、そして破壊的イノベーションとは何か、という基礎から解説。理解を助ける事例も豊富に取り上げる。

経営の指標となる「イノベーションの状況」

自社の状況や市場の環境がめまぐるしく変わる今、状況に応じた異なる経営スタイルが必要である。そのためには、「持続的イノベーションの状況」と「破壊的イノベーションの状況」の把握が不可欠となる。

破壊的アイディアの創出や評価の方法

破壊的アイディアを生み出す「正しいブレインストーミング」を紹介。さらにアイディアの評価方法も取り上げ、理論を実践に落とし込む。

イノベーションを推進する組織体制

イノベーションのタイプ別に、どのような組織体制をとるべきかをシミュレーションも交えて解説する。

 

 

 

コメント

このブログの人気の投稿

近代数寄者の茶会記  谷晃  2021.5.1.

新 東京いい店やれる店  ホイチョイ・プロダクションズ  2013.5.26.

自由学園物語  羽仁進  2021.5.21.