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スケープゴートが変えた世界史  Vincent Mottez  2025.7.8.

  2025.7.8.  スケープゴートが変えた世界史 上下 Les Bouces Emissaires de L’Histoire : Pourquoi Leur a-t-on Fait, Porter le Chapeau?      2019   著者  Vincent Mottez( モテ,ヴァンサン )  歴史分野を専門とする作家、ジャーナリスト。いくつかの雑誌に寄稿しているほか、フランス・テレヴィジオンの「歴史の秘密  Secret d’Histoire 」のディレクターもつとめている   訳者 太田佐絵子 早稲田大学第一文学部フランス文学科卒   発行日            2025.2.10.  第 1 刷 発行所            原書房     上巻 なぜこれほど憎まれるのか 彼らは死刑を宣告されたり、殺害されたり、自殺に追いやられたり、生前あるいは死後に侮辱されたりしている。彼らは責任を負わされ続けている、彼らは記憶上の呪われ者たちであり、歴史上のスケープゴートなのである 特定のイメージが人々の心に深く刻まれ、彼らの名前と不可分のものとなる。ネロと竪琴、ルクレツィア・ボルジアと毒薬、カトリーヌ・ド・メディシスと占星術師、マリー・アントワネットとブリオッシュ、ロベスピエールとギロチンなど 本書に集められたスケープゴートたちは、根強い伝説、たわいない逸話、エピナル版画と呼ばれた色刷りの大衆版画の題材というだけではなく、帝国の崩壊、革命の騒乱、政治家の暗殺などによってしばしば歴史の流れを変え、時には世界の様相を変えた 単なる噂話が、時代を経るにつれて既成事実とされてしまう スケープゴートという表現は、『旧約聖書』の「レビ記」第 16 章を起源とするが、ヘブライ語で書かれた最初の版では「アザゼルの雄ヤギ」という言葉が用いられている。贖 ( あがな ) いの儀式のあと、祭司は雄ヤギの頭...