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戦争と西洋  西谷修  2025.8.31.

  2025.8.31.  戦争と西洋 西側の「正義」とは何か   著者 西谷修  1950 年生まれ。哲学者。東京大学法学部卒業、東京都立大学フランス文学科修士課程修了。明治学院大学文学部教授、東京外国語大学大学院総合国際学研究科教授、立教大学大学院文学研究科特任教授を歴任。東京外国語大学名誉教授。 20 世紀フランス文学・思想の研究をベースに、グローバルスタディーズ、戦争論、世界史論、クレオール文化などを広く論じる。著書に『戦争論』(講談社学術文庫)、『夜の鼓動にふれる』(ちくま学芸文庫)、『戦争とは何だろうか』(ちくまプリマー新書)、『アメリカ 異形の制度空間』(講談社メチエ)、『私たちはどんな世界を生きているか』(講談社現代新書)など   発行日            2025.6.15.  初版第 1 刷発行 発行所            筑摩書房  ( 筑摩選書 )   初出 トイビト ( 誰もが、いつからでも、そしていつまででも「学問」できるインターネット上の「キャンパス」です。人文・社会・自然・芸術、さまざまな研究者の記事が無料で読めるだけでなく、記事から任意の箇所を抜粋してノートを作成し、他のユーザーと共有することができます )     第 1 章 世界戦争とは何だったのか l   世界戦争から 80 年 2022 年、ロシアによるウクライナ侵攻で世界は新たな混乱期に入ったと言われた 第 2 次大戦以降、西側を軸として作られた世界的な安全保障体制が、冷戦終結後 30 年を経て西側に吸収・統合されなかった旧社会主義諸国やイスラーム諸国から「新たな挑戦」を受けている 2 度の世界戦争を経験して以後、戦争はいけない、戦争は「悪」である、というのが 1 つになった人類世界 ( 国際社会 ) の基本原則になったはず にも拘らず、「戦争当たり前」の機運に世界が流されているが、その機運が蔓延しているのは「西側」世界だけ l ...