捏造の科学者―STAP細胞事件 須田桃子 2015.10.8.
2015.10.8. 捏造の科学者― STAP 細胞事件 著者 須田桃子 1975 年千葉県生まれ。早大大学院理工学研究科修士課程修了 ( 物理学専攻 ) 。 01 年毎日新聞社入社、 06 年科学環境部記者、生殖補助医療や生命科学、ノーベル賞などを担当。特に iPS 細胞については 06 年当初から山中伸弥・京大教授のノーベル賞受賞まで継続的に取材。森口尚史氏が、「 iPS 細胞を使った世界初の心臓移植手術」を実施したと発表した際は、その内容を疑い、記事化を見送った経験もある。今回の事件では、当初は「世紀の発見」との理研の発表を信じ、報道を行ったが、疑義が指摘されるようになると、各関係者への独自取材をもとにスクープを連発、一連の報道をリードし続けた 発行日 2014.12.30. 第 1 刷発行 15.2.1. 第 4 刷発行 発行所 文藝春秋 第1章 異例づくしの記者会見 STAP 細胞発表の4日前、理化学研究所から記者会見開催の案内が入るが、「幹細胞研究の基礎分野で大きな進展があった」とあるだけで、成果のタイトルはおろか、概要や発表者名も書かれていない妙なもの。笹井にメールで問い合わせても、「須田さんの場合は〈絶対〉来るべきだと思う」とあるのみ 理研の発生・再生科学総合研究センター CDB の副センター長の笹井芳樹は、再生医療分野の著名な研究者。「 ES 細胞」を使って脳の発生初期を再現する研究に取り組む。 11 年にはマウスの ES 細胞から目の網膜の元になる「眼杯 ( がんぱい ) 」という立体的組織を作成することに成功、失明の原因となる網膜の病気の再生治療に繋がるとして注目 日を置かず判明した概要は、論文の掲載誌は英科学誌ネイチ...